※ザスパ群馬ファンによる、ザスパ群馬贔屓のマッチレビューです。
第4節は2戦連続となるアウェーとなり、遠方の鹿児島ユナイテッドFCが相手となります。
鹿児島と言えば昨シーズンJ2で共に戦い、残念ながらJ3に降格してしまった…いわゆる降格組仲間。
どちらも選手が入れ替わり別のチームではあるものの、やはりここはある種のライバル意識があるのではないでしょうか?
前節はアウェーで長野を相手に、ハイプレスに苦しみ敗戦。
今節は勝ち負けも当然大事にはなるものの、それ以上に修正ができたのかどうかが…シーズンを占う大事な要素となりそうです。
今回はそんな鹿児島ユナイテッドFC戦をレビューします。
Contents
スタメン・フォーメーション
鹿児島ユナイテッドFC
スターティングメンバー
ポジション | 背番号 | 選手名 |
GK | 1 | 藤嶋栄介 |
DF | 4 | 広瀬健太 |
26 | 川島功奨 | |
28 | ヘナン | |
44 | 青木義孝 | |
MF | 6 | 渡邉英祐 |
27 | 山口卓己 | |
FW | 9 | アンジェロッティ |
11 | 福田望久斗 | |
18 | 河村慶人 | |
92 | ンドカ チャールス |
ベンチ
ポジション | 背番号 | 選手名 |
GK | 16 | 山内康太 |
DF | 3 | 杉井颯 |
23 | 小島凛士郎 | |
MF | 7 | 千布一輝 |
14 | 吉尾虹樹 | |
20 | 圓道将良 | |
73 | 田中稔也 | |
FW | 10 | 武星弥 |
13 | 近藤慶一 |
鹿児島は前節からスタメンの変更はなし。
ベンチは岡崎慎と米澤令衣が外れ、杉井颯と吉尾虹樹が入ることとなった。
鹿児島は今シーズンかなりメンバーが入れ替わっており、元J2クラブ所属で見知った顔も多いのではないだろうか?
注目はアンジェロッティとンドカ チャールスの2トップ。
特にこの二人は前節揃って点を取っているだけに、勢いの面でも注意が必要になりそうな予感。
ベンチに目を移すと…やっぱり気になるのは田中稔也だろう。
昨シーズンは山口に在籍していたが、今シーズンから鹿児島に加入。
(山口から鹿児島と言えば、スタメンのヘナンもそう)
前節の長野戦でも、稔也のアディショナルタイム弾が記憶に新しいと書いたが…ベンチではあるものの元気な姿が見られることは嬉しい限りである。
ザスパ群馬
スターティングメンバー
ポジション | 背番号 | 選手名 |
GK | 13 | 近藤壱成 |
DF | 3 | 大畑隆也 |
8 | 山内陸 | |
37 | 瀬畠義成 | |
MF | 6 | 米原秀亮 |
7 | 西村恭史 | |
36 | 安達秀都 | |
9 | 青木翔大 | |
FW | 17 | 山中惇希 |
32 | 河田篤秀 | |
38 | 小西宏登 |
ベンチ
ポジション | 背番号 | 選手名 |
GK | 1 | 石井僚 |
DF | 2 | 田頭亮太 |
30 | 小柳達司 | |
43 | 野瀬翔也 | |
MF | 15 | 風間宏希 |
27 | 藤村怜 | |
FW | 11 | 加々美登生 |
18 | 田中翔太 | |
20 | 下川太陽 |
群馬は前節から4枚を変更。
田頭亮太に代えて安達秀都、高橋勇利也に代えて瀬畠義成、藤村怜に代えて河田篤秀、下川太陽に代えて小西宏登が起用される。
田頭とフジレン、下川はベンチからとなったが勇利也はなんとベンチ外。
勇利也に代わる形で野瀬翔也が再びベンチ入りとなった。
ベンチと言えば髙澤優也も不在となり、風間宏希が今シーズン初のベンチ入りとなった。
前節途中交代ながらアピールに成功したメンバーがスタメンを奪取しているとも言え、好調な選手を使い適切な競争感が出ていると言って良いのではないだろうか?
気になるのは安達秀都という、本来はSBの選手ではないであろう選手を頭から使う…という部分か。
ここまでは途中出場で上手くやっていることと、システム上攻撃時にはほぼインサイドハーフと言ってもいいので…心配はいらないかもしれない。
個人的に注目したいのは髙澤優也がベンチ外となったことで、青木翔大に代わり途中投入される確率が高いであろう田中翔太。
これまではややポジションが合っていない感があったが、本職となるFW…中央での起用となりそうなので楽しみなところである。
試合経過
【0~15分】序盤は良い形を作り、先制ゴールも
前半は群馬のキックオフでスタート。
前節の長野戦ではホームユニを着用したため、この試合が初のアウェーユニフォームとなった。
前節ソックスのみアウェー仕様だったが今節は完全にアウェーユニとなり、ザスパ史上初?となるイエローのユニフォーム。
色の組み合わせ上…どことなく栃木SC感を感じなくもないが…このユニはカッコいい。
ちなみに、鹿児島は相馬監督が体調不良ということで…指揮を執るのは小林亮ヘッドコーチとなった。
コバリョーと言えば選手としてもコーチとしても群馬に在籍しており、個人的には右サイドを駆け上がるコバリョーは推しの選手でもあった。
1分、開始早々から群馬がチャンスを迎える。
左サイドで山中惇希がクロスを上げると、やや青木翔大には高かったか…頭に当てるも逆サイドに流れてしまう。
しかしこれを小西宏登が回収しクロスを上げ直すと、河田篤秀が合わせるも…ブロックされてコーナーとなる。
4分、右サイドのライン際で西村恭史が安達秀都とのワンツーで抜け出すと、一気に左サイドにロングボールを展開。
山中惇希がクロスを送り込むと、これをゴールライン際で青木翔大が頭で折り返す。
これを河田篤秀が直接狙っていくも、ブロックに入ったヘナンに当ててしまう…。
こぼれ球を河田自ら回収に行くが、ややタッチが乱れてラインを割りゴールキックとなってしまった。
西村の素晴らしいサイドチェンジから、非常に良い形で攻撃を完結できたと言える。
9分、やや右サイドに流れてボールを受けていた大畑隆也から一気にサイドチェンジ。
これを山中惇希がダイレクトで折り返すと、ここに青木翔大が詰めるも…これは先にクリアされてしまう。
鹿児島もハイプレスでくることは予想されていたが、ここまでは良いサイドチェンジで上手く剥がせるシーンが多い。
ちなみにこの辺りで気付いたが、どうやら右サイドバックのポジションに入っているのは安達秀都ではなく西村恭史のようだ。
最初は攻撃時の役割が田頭亮太の時と安達は違うのかと思ったが…守備時に右に入っているのは西村である。
そう考えると役割も西村は攻撃時にインサイドハーフとなっており、安達がその前でセカンドトップと言うのか…3トップの右側のような役割で変わらず。
システム面は変わらないと見て良いだろう。
12分、群馬のコーナーキックが2本続き、最初は右からのコーナーキック。
2本目が左からとなったが、これを蹴るのは河田篤秀。
河田のキックはややニアの面白いところに送られたが、これは跳ね返されてしまう。
しかしこぼれ球を小西宏登がミドルで狙っていく。
どうやらこれはミートしなかったようだが、スルスルと抜けて山中惇希の足元にドンピシャリ。
これをワントラップから右足で流し込んで先制に成功する。
鹿児島の選手はとりあえずオフサイドをアピールしたが、リプレイを見るまでもなく最終ラインだったンドカ チャールスよりも後方。
これが山中にとっては嬉しいプロ初ゴールとなった。
13分、ペナルティエリア内で後ろ向きでボールを受けたアンジェロッティが、左に持ち出しながらターンして左足を振るが…これは近藤壱成がしっかりとセーブする。
【15~30分】早々に振り出しに戻される
16分、河村慶人のミドルは対応した西村恭史がブロック。
しかしこのこぼれ球が逆サイドのアンジェロッティの足元に入ってしまう。
アンジェロッティのシュートは瀬畠義成が身体を張ってブロックし、なんとかコーナーに逃げることに成功。
17分、群馬がカウンターのチャンスを迎えるも…これは群馬のファールを取られてしまう。
このリスタート、ヘナンからボールを受けた渡邉英祐が一気にDF裏にロングボールを送り込む。
右サイド裏に抜け出したンドカ チャールスが対峙した山内陸を縦にかわし、ゴール前に低いクロスを送り込む。
これを福田望久斗がヒールで流すと、近藤壱成が足で触るも…アンジェロッティが押し込んで同点にされてしまう。
右サイドを抜け出したンドカのところで、群馬DF陣がオフサイドをアピールしていたが…これはDAZNの画角では映っていないので不明。
福田はクロスを上げたンドカ(と言うよりボール)よりもマイナスの位置に見えるのでオンサイド、アンジェロッティも福田のシュートの時点でボールより後ろなのでオンサイド。
鹿児島の素晴らしい攻撃ではあったが、やや山内が簡単に縦に突破を許した感はある。
とは言え、ボールの持ち方から見てンドカは左利きと思われ、縦への突破よりもカットインからの左足を警戒していた…というのはあるかもしれない。
18分、このゴール後のリスタート。
後方でボールを回していたが、米原秀亮から大畑隆也へのパスを河村慶人が狙いすましてインターセプト。
ダイレクトで右側にいたアンジェロッティに落とすと、アンジェロッティは左を上がったンドカ チャールスに落とす。
ンドカが左足を振り抜くと、ここは近藤壱成がセーブ。
こぼれ球を渡邉英祐が詰めるも、ここも近藤が身体で面を作ってブロックし大畑隆也がタッチラインに逃げて難を逃れる形に。
19分、しかしこのスローインでのリスタートもピンチを迎えてしまう。
ファーへのクロスに福田望久斗が飛び込むも…わずかに触れなかったようで助かるが…流れは一気に鹿児島に移ったように見える。
23分、安達秀都へのパスを狙っていた河村慶人がインターセプト。
自ら左サイドを持ちあがると、対峙した西村恭史と戻ってきた安達の間を突破してシュートを放つ。
このシュートは枠の右に外れてくれるが…前節に続いてビルドアップでのパスミスが多くなっているのが気になるところ。
また左の山内陸、右の西村と…どちらも本職が中盤の選手ということで、やや守備対応がサイドバックとしては物足りないのも感じる。
【30~45分】ビルドアップに苦しみ逆転も許す
31分、鹿児島が右からのコーナーキックを得ると、キッカーは山口卓己。
山口からのボールを広瀬健太が頭で合わせるも、ここは近藤壱成が面をしっかりと作ってブロック。
こぼれ球をアンジェロッティが詰めるも、これは枠の右に外してくれて助かる形に。
ちなみにこれ、アンジェロッティが決めていればオフサイドなハズだが…VARなどがないJ3ではゴールが認められてしまう可能性もあるだろう。
広瀬のヘッドが決まっていたとしたら…近藤はアンジェロッティがコースにいたことでプレーの妨げになった…としてオフサイドを主張はするだろう。
プレーに関与したかどうかの判断は…割れるような気がする。
36分、左サイドで受けた山内陸がドリブルで運ぶと、更に裏のスペースに抜ける山中惇希に向けてスルーパスを送る。
山中がこれを大きく内側に折り返す形でトラップすると、右足で中央に低いクロスを送り込む。
ここにフリーで小西宏登が入り込んでいたが…手前でバウンドしたのが予想よりも跳ねたか、ミートさせられずに大きく枠を外してしまう。
小西の前で安達秀都がDFを引き連れて流れたこともあり、ドフリー状態だっただけに…これは枠に送りたかった。
しかし山中は本当に今シーズン効いている。
今のも散々良い縦への突破があるからこそ、切り替えしがこんなにも効果的に決まったと言えるだろう。
プレーが切れた時の顔を見てもニッコニコであり、今シーズンはやっててとても楽しいのではないだろうか?
38分、右サイドに開いて福田望久斗がボールを受けると、その内側を河村慶人が縦に抜けると、その河村を使う。
この河村が完全にフリーとなっており、遅れて西村恭史が飛び出して身体を投げ出してクロスをブロックに行くが…クロスを上げられてしまう。
このクロスをンドカ チャールスがヒールで流し、ポストに当たった跳ね返りをアンジェロッティが詰めて逆転を許してしまう。
このシーンはコーナーキックを跳ね返したところから…となっているので、DFの立ち位置が本来の位置では無かったというのも大きいだろうか。
河村のドフリー具合や、そこに西村が遅れて飛び出した形などは、立ち位置が通常ではなかったから…と考えたい。
ちなみに流れの中ではアンジェロッティがオフサイドに見えたが…リプレイを見ると、個人的にはオンサイドの可能性が高いように思う。
河村のクロスに対してンドカは(画面で見る限り)間違いなく大畑隆也よりも後ろのためオンサイド。
ンドカがヒールに当てた時点で、アンジェロッティと瀬畠義成の立ち位置はほぼ同じか…瀬畠の方が出ているようにも見える。
またンドカの方が前のようにも見え、であればアンジェロッティはボールの後方なので瀬畠の位置に関係なくオンサイドである。
とまぁリプレイを見たり画面を止めたりしても微妙であるため、これは現場ではどちらに判断されても仕方ないと言えるだろう。
こうして幸先よく先制したものの…良かったのは10分程度まで。
その後は鹿児島のプレスに苦しみ、思うようにビルドアップできずに自分達のミスからピンチを迎えるシーンが続くこととなってしまった。
鹿児島のプレス…とは言うものの、前節の長野とは違い2CBまで高いプレスをかけてくるわけではない。
ボールを持ったCBを睨みながら、その先のパスコースを潰すような形のプレスと言えるだろう。
後半に向けハーフタイムで修正できるかどうか…がこの試合の鍵となりそうである。
【45~60分】開始早々にセットプレーから失点
後半は鹿児島のキックオフでスタート。
両チームともにハーフタイムでの交代はなくリスタートとなった。
49分、鹿児島に左からのコーナーキックを与えると、キッカーは山口卓己。
ニアに送られたボールは西村恭史と広瀬健太が競り、どちらかに当たってファーに流れていく。
これをンドカ チャールスがダイレクトで流し込んで追加点。
と思ったが…副審の旗が上がってどうやらオフサイドの様子。
しかし主審と副審の協議の結果、ゴールの判定となり…これでスコアは1-3となってしまう。
このシーンは後ほど振り返りたい。
54分、左サイドを河田篤秀と山中惇希の2人の連携で崩していく。
最後は河田からの横パスを受けた西村恭史が、爪先で浮き球をリターン。
これを河田が胸トラップからシュートに持ち込むが…バーを直撃して枠を外れてしまう。
外れてしまったのかと思ったが…コーナーキックとなったので、どうやらDFに当たってコースがやや変わっているようである。
55分、この左からのコーナーキックを蹴るのは河田篤秀。
ニアに送ったボールは誰も入っておらず、跳ね返されてしまう。
しかしセカンドを安達秀都が頭で落とすと、これを小西宏登がミドルで直接狙っていく。
このシュートがDFに当たりコースが変わったこともあり、キーパーが反応できなかった…というラッキーはあるが、見事にゴールネットに突き刺さり1点を返す。
小西は前半の山中惇希の得点の際も、ミートしなかったもののミドルを狙った結果であり、更には36分にも(大きく外したが)やや遠めから狙いにいっていた。
積極的なシュートの姿勢が実ったと言って良いだろう。
57分、鹿児島ベンチが先に動く。
福田望久斗に代えて圓道将良、川島功奨に代えて杉井颯を投入する。
【60~75分】交代カードを切りつつ…
62分、群馬がカウンターでチャンスを作る。
降りてきた青木翔大に当てると、青木は大きく左に展開。
山中惇希が縦に抜け出しクロスを送るが…これはDFに当ててしまうも、ボールは河田篤秀の足元に。
しかし鹿児島のDFの寄せも早く河田は打てず…。
65分、両チームのベンチが動く。
群馬は青木翔大に代えて田中翔太、安達秀都に代えて藤村怜を投入する。
鹿児島はアンジェロッティに代えて田中稔也を投入。
この交代で田中はそのまま青木のいた最前線に入り、フジレンはどうやら西村のいた右サイドバックに入った様子。
これで西村が安達のいた右側のインサイドハーフの位置に入ることとなる。
73分にも群馬ベンチが動き、山中惇希に代えて加々美登生、小西宏登に代えて下川太陽が投入される。
この2人はそのままの位置に入るようである。
74分にはヒヤリとするシーンも…。
上に高く上がったボールを藤村怜が頭でキーパーに返そうとするが…これをンドカ チャールスが狙っており、頭で当てるもシュートは近藤壱成の正面に。
こういった連携ミスが目立つのがこの試合の特徴となってしまっているが…守備時のポジションが本職ではないのも原因の一つではないだろうか?
フジレンもサイドバックなんてやったことがあるのだろうか…?
こうして交代カードを切りながら流れをつかもうとするも…どうにも流れは群馬の方に向いてこない印象。
個人的な印象としては、このチーム…このシステムをやるとなると青木翔大の代わりがいないのが痛すぎるように思う。
河田篤秀や(今日はベンチ外だが)髙澤優也、更には先ほど交代で入った田中翔太など、良いFWはいるのだが…青木が1トップにハマり過ぎている。
河田も髙澤もどちらかと言えばフィニッシャータイプであり、このシステムの最前線には向かないだろう。
かと言って、攻撃時はシャドーストライカーと言っても良いだろう、インサイドハーフも適切なポジションかと言うと疑問が残る。
しかし…特に河田はここしかポジションがないのも事実か。
青木を軸にして、相方を河田と髙澤のどちらかが務める2トップもアリだと思うのだが…。
【75~90分】守備崩壊。交代策が裏目に
76分、河田篤秀、加々美登生、西村恭史と3人で左サイドを崩す。
最終的に加々美が抜け出しかけたが、ここはブロックされてしまう。
しかしこのこぼれ球に下川太陽が詰めて…という形を作ったが、先にゴールキーパーの藤嶋栄介が触ってコーナーに逃げられてしまう。
あと一歩…という形であったが、これは非常に良い攻撃であった。
80分、再び両チームのベンチが同じタイミングで動く。
まず鹿児島がンドカ チャールスに代えて近藤慶一、渡邉英祐に代えて吉尾虹樹を投入。
群馬は瀬畠義成に代えて田頭亮太を投入する。
交代で入った田頭が選手を集めて何か話をしているのでシステムを変えるだろうか?
しかしどうやら形は変えず、瀬畠が下がったCBに米原秀亮を入れるようである。
米原のいたアンカーには山内陸が入り、山内のいた左SBに藤村怜が、右SBには田頭が入る。
83分、青木義孝から吉尾虹樹へのパスを加々美登生が良い形で奪ったかに見えたが、河村慶人が素早い攻守の切り替えから一気に寄せて奪い返す。
河村から縦にスルーパスが送られると近藤慶一が抜け出してボールを受け、一度後方の青木に下げる。
青木がワントラップからゴール前にクロスを送り込むと、これを田中稔也が頭で合わせて追加点を許してしまう…。
このクロスに対して近藤壱成が落下点を読み違えたのか…飛び出しかけて頭上を越える軌道のため戻る…という失態を見せる。
田頭がインに絞って中央を締めたのはわかる。
田頭としては中央にスライドして、ファーは下川太陽にもっと戻ってきて欲しかったのだろう。
下川は途中でランの速度を落としており、しっかりと走れば間に合ったかは別だが…田中稔也と身体をぶつけることはできただろう。
近藤に関しては…ヤマを張ったと言ったら語弊があるかもしれないが、中央へのクロスと読んでクロスを直接キャッチして、すぐに攻撃に転じよう…という意識が悪い方に向いただろうか?
ちなみに近藤のミスが目立ってしまうが、個人的にはそれ以前にクロスを上げた青木がドフリーなのが気になるところ。
近藤に対応した大畑隆也は当然飛び出せないので、ここは藤村怜が埋めることになるのだが…フジレンは帰陣の際に内側に一度向かいかけてから外に向かっている。
中央を固めるのが間違っているわけではないが…左サイドバックである以上、この「一度下げる」先に向かうのはフジレンの仕事。
慣れない左サイドバックで判断が遅れたような気がしてならない…。
87分、西村恭史が潰されながらも藤村怜にパスを通す。
しかしワントラップから河田篤秀に出したフジレンのパスが合わず、インターセプトに飛び出した青木義孝がダイレクトで縦にパスを通す。
これは吉尾虹樹へのボールだったようにも見えるが、その手前で河村慶人が右アウトで大きくトラップして右サイドに持ち出していく。
縦に突破した河村が低いクロスをゴール前に送り込むと、これを吉尾が丁寧に合わせて追加点。
言うのは簡単だが…大畑隆也がもっと早く吉尾に対応して良かった。
その外の近藤慶一には西村恭史が戻ってきているので、そちらは任せて良い。
そして左のCBである米原秀亮が釣りだされているので、ニアを右CBの大畑が埋めて良いだろう。
とは言え大畑もしっかりと近藤を視野に入れて西村にマークの指示を出し、吉尾に対応と…やるべきことはしっかりとやっていた。
大畑が西村に指示を出すために目を離した際の、吉尾の動き出しが良かったと言える。
また河村の突破に対してあまりにも寄せの甘い米原秀亮の対応も気にはなるが…米原は正直80分辺りから顔色がヤバかった。
完全にスタミナ切れ状態となっており、この辺りは交代策が裏目に出た…と言うかマッチしなかったとなるだろう。
米原は対応が甘かったが…このようにまぁ仕方ないと思える部分もあったが、それよりもフジレンである。
自分のパスミスからにも関わらず、戻ってはいるものの戻りが甘い。
途中出場なのだから全力でゴール前に戻ってほしいところである。
こうしてまさかの5失点という悪夢のような試合となってしまった。
「超攻撃的」というのが沖田サッカーの触れ込みであったが、まぁ確かに昨シーズンより点は取れている。
しかしJ2とJ3というカテゴリー差も忘れてはならないのは事実だろう。
そして超攻撃的であるが故か、あまりにも守備の意識が足りない選手が多いのが気になるところ。
そういった意味でも青木翔大の代わりがいない。
サイドバックにボランチの選手を置き、攻撃時にはインサイドハーフとして機能させる…というものは面白いが、守備力が足りないだけに守備意識と攻守の切り替えを徹底しないといけないだろう。
試合後の沖田監督のコメントを見る限り、このサッカーを貫き通すようである。
この2連敗を今後どのように活かし、どうやって攻撃的なサッカーを構築しつつ守備を立て直すか注目したい。
ピックアップポイント
49分の失点シーン
今回は49分の3失点目のシーンを振り返りたい。
2失点目と同様に、オフサイドではないか?という声が多かったシーンである。
そして「オフサイドの判定をしたのに、VARも無く判定を覆すなんてアリなの?」という声もあった。
先の結論を書いておくと、自分は2失点目も3失点目もオンサイドの可能性が高いと考えている。
まずはこの失点シーン後の流れを振り返ってみよう。
ンドカ チャールスのシュートがネットを揺らしたところで副審の旗が上がる。
しかし主審は笛を吹いていない。
両方の手のひらを地面に向け、いわゆる一旦止めるようなジェスチャーのまま副審に向かっていっている。
この辺りで初めて笛を吹くが、ピピッと短く2回吹いているのでオフサイドでもゴールでもないのである。
「試合を一旦止めますよ」という笛であり、主審と副審で協議をするため試合を止めた合図のみなのである。
そして副審と協議した結果、ピーと長い笛を吹いてゴールの合図をした…となる。
つまり…これ判定を覆していないのである。
恐らくだが…主審はヘディングで競り勝ったのが西村恭史であることを確認しており、オフサイドはなかったと最初から考えていたと思う。
そのため、副審になぜオフサイドの旗を上げたのかを確認しにいった。
副審としてはンドカがオフサイドポジションだったためにとりあえずフラッグを上げた。
この時に副審が競り合いでどちらが勝ったのかが見えていたかどうかはわからない(位置関係的に見えないと思われるが)
そのため、もしかしたら副審がオフサイドフラッグを上げつつ…コミュニケーションシステムを使って主審を呼んだ可能性もある。
要は「競り合いでどちらが触ったかはわからなかった。しかし鹿児島の選手であればオフサイドです」と主審に伝えた…ということ。
もはや完全に想像でしかないが…この例えであったならば副審の行動は100点満点である。
位置関係はオフサイドなのでフラッグを上げるが、断定できない材料があるのでコミュニケーションシステムを使って主審を呼んだ…というのは正しい行動と言える。
さて、本当にオンサイドだったのか…ということを考えたいが、論点は恐らく3つとなる。
1つ目はコーナーキックを競り勝ったのは誰か?
2つ目は競り勝ったのは西村恭史とした場合、意図的なプレーなのかディフレクションなのか?
3つ目はアンジェロッティはプレーに関与したと言えるか?
リプレイを見る限りコーナーキックを頭に当てたのは西村恭史である。
となると、1つ目の問題は「競り勝ったのは西村」となる。
余談だが、これが西村でなく広瀬健太であればオフサイドが正しい判定である。
2つ目の問題に移り、西村のヘッドを意図的なプレー、つまりクリアと判断するとンドカはどこにいてもオフサイドは関係ないのでゴールが認められる。
一応西村のヘッドが意図的なプレーではなくディフレクションと判断された場合も考えてみよう。
ディフレクションであれば西村のヘッドの前の鹿児島の選手のパス…つまりは山口のコーナーキックに戻ることになる。
となるとルール上、コーナーキックにオフサイドはないのでンドカはオフサイドではない…ということになるわけである。
そして最後の3つ目がアンジェロッティであるが、ンドカのシュートの際のポジションはオフサイドポジションで間違いない。
となるとプレーに関与したと判断されればオフサイドであり、関与してなければ得点が認められる、となる。
最初のカメラアングル(ピッチを横に見た状態に近い角度)では、アンジェロッティは近藤のプレーを阻害している…ようにも見えなくはない。
しかしゴール裏からのカメラアングルを見ると、アンジェロッティはシュートコース上にいるとは言えず…近藤もンドカがしっかり見えていると考えて良いだろう。
近藤の視界を遮っている…とも言い難い。
よって色々な可能性を考えてきたが、これはやはりオンサイドで間違いないと言える。
主審と副審の連携プレーとも言え、むしろナイスジャッジの部類だろう。
(もしかしたら無線で第4審ともやりとりがあったかもしれない)
ちなみにもう少し脱線して、掲示板で「判定を覆した」という声が多かった気がするのでそこも触れたい。
既に書いたように、主審の笛の吹き方を見るに「判定を覆した」のではなく「保留→相談→ゴール」という流れが正しい。
しかし、仮にオフサイドの笛を吹いてしまっていたらどうなるかを考えてみよう。
仮に笛を吹いた後に副審からコミュニケーションシステムを使って呼び出され、協議の結果「オフサイドはない」…となったら覆すことは可能なのか?
答えは「可能」である。
競技規則の引用は避けるが、第5条に書かれているので興味のある方は調べてみてほしい。
要点だけ言えば、「次のプレーを再開する前」であれば判定を変えることは可能である。
つまり今回のシーンで言えば、オフサイドの笛を一旦吹いていたとしても、群馬がリスタートするまでは判定が変えられる…ということになる。
仮にオフサイドの笛を吹いていた場合、すぐに試合を止める笛をピピッと吹き直してリスタートさせない形を取り、副審と協議する形だっただろう。
長くなったので要点をまとめる。
・主審はそもそも判定を覆してはいない(これはあくまでも予想)
・プレー再開までは判定を覆しても問題ない
となる。
とは言え当然、選手や監督などの抗議で判定が覆ることはないのは付け加えておこう。
覆るのは副審や第4審からの進言によるもの、もしくは主審が判断できない要素があって副審や第4審に助言を求めたもの、に限られる。
MOM
この試合のMOMは山中惇希としたい。
プロ初ゴールに対するサービス…というわけではない。
もちろんあの先制点は高く評価されるべきものだが、それ以外でも山中は良く効いていた。
左裏のスペースを自由に使い、本当に楽しそうにサッカーをしていたのが印象的だった。
課題の1つであったクロスの精度も上がってきており、ゴール以外にチャンスメイクの部分でも大活躍だったと言えるだろう。
続いて名前を挙げたいのが青木翔大。
もはや言うまでもないだろうが、あの身体を張ったポストプレーと最前線からの守備には頭が下がる。
青木が下がると別のチーム…と言えるような試合が続いており、ここは今後の大きな課題ではないだろうか?
個人的には(能力が足りないという意味ではなく、持ち味が違うという意味で)青木に代わる選手はいないと考えており、なんとか90分使いたいと思うのだが…年齢的にも厳しいだろうか。
代わりがいない…という意味では山中もある意味そうだが、ここはタイプが違うものの加々美登生が機能している。
小西宏登や下川太陽を左で使う、ということもできるかもしれない。
最後に河田篤秀の名前も挙げたい。
昨シーズンに比べてかなり良くなってきており、前節は待望の群馬で初ゴール。
今節もバー直撃の惜しいシーンもあり、調子は上向いてきているように思う。
比較的器用なところもあり、攻撃時にはセカンドトップ、守備時にはインサイドハーフという難しい役割もそつなくこなしているように見える。
開幕戦の最前線時と違い、ポジションの関係上前を向いた状態でボールを受けられるシーンが多いのが機能している理由の1つかと思う。
ただ…河田の持ち味は前節のゴールシーンのようにシュートの上手さ。
なのでもっとゴール前でプレーをさせないと怖さがないように思う。
あくまでも個人的には…となるが、このシステムは河田に合っていないものの…起用するならここしかない、といった印象。
試合経過のところでも書いたが、選手層を考えると2トップの方が良いのではないかと思ったりもするのである。
ここまで4試合を見て、このポジションが適切と感じたのは西村恭史。
それだけに今節はなぜ右サイドバックで起用となったのか…その意図が知りたい。
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