※ザスパ群馬ファンによる、ザスパ群馬贔屓のマッチレビューです。
第3節は今シーズン初となるアウェー戦で長野。
スケジュールの関係でホーム戦が2試合続き、ここからアウェー戦が2試合続く形となります。
長野と言えば…以前J3の時に対戦し、田中稔也によるアディショナルタイム弾が思い起こされるところ。
開幕戦は良い試合をしながらもスコアレスドローとなりましたが、前節は攻撃サッカーが爆発して快勝!
この流れを維持して、今節も良いサッカーを見せたいところでしょう。
今回はそんなAC長野パルセイロ戦をレビューします。
Contents
スタメン・フォーメーション
AC長野パルセイロ
スターティングメンバー
ポジション | 背番号 | 選手名 |
GK | 21 | 松原颯太 |
DF | 3 | 冨田康平 |
4 | 行徳瑛 | |
24 | 砂森和也 | |
MF | 5 | 長谷川雄志 |
10 | 山中麗央 | |
13 | 小西陽向 | |
25 | 田中康介 | |
FW | 9 | 藤森亮志 |
14 | 三田尚希 | |
19 | 伊藤恵亮 |
ベンチ
ポジション | 背番号 | 選手名 |
GK | 1 | 田尻健 |
DF | 16 | 石井光輝 |
MF | 15 | 樋口叶 |
22 | 吉田桂介 | |
23 | イム ジフン | |
28 | 藤川虎太朗 | |
33 | 安藤一哉 | |
46 | 古賀俊太郎 | |
FW | 18 | 浮田健誠 |
長野は前節から4枚を変更。
北九州を相手に0-2で敗戦した…ということも影響しているだろうか?
大野佑哉、忽那喬司、加藤弘堅、藤川虎太朗が外れ、砂森和也、小西陽向、田中康介、藤森亮志がスタメンで起用されることとなった。
しかもスタメンから外れたメンバーは藤川以外がベンチ外に。
ベンチと言えば、前節は7枚しか置いていなかったが…ホームということもあり当然フルの9枚を登録。
気になるのは昨シーズン13ゴールという活躍をした浮田健誠の復帰だろうか。
スタメンに話を戻すと、個人的に注目は徳島から加入した長谷川雄志。
左右両足で精度の高いキックが蹴れ、プレースキッカーとしては要注意となるだろう。
先ほど加藤弘堅の名前が出たが、元群馬の選手と言えば他にも進昂平がいるが…こちらもベンチ外。
まだ開幕から3試合ではあるが、進はベンチ入りも無しと…厳しい状態となっているようである。
ちなみに長野と言えば碓井鉄平が在籍していたが、彼は昨シーズン限りで引退となっている。
ザスパ群馬
スターティングメンバー
ポジション | 背番号 | 選手名 |
GK | 13 | 近藤壱成 |
DF | 2 | 田頭亮太 |
3 | 大畑隆也 | |
22 | 高橋勇利也 | |
MF | 6 | 米原秀亮 |
7 | 西村恭史 | |
8 | 山内陸 | |
27 | 藤村怜 | |
FW | 9 | 青木翔大 |
17 | 山中惇希 | |
20 | 下川太陽 |
ベンチ
ポジション | 背番号 | 選手名 |
GK | 1 | 石井僚 |
DF | 30 | 小柳達司 |
MF | 36 | 安達秀都 |
37 | 瀬畠義成 | |
FW | 10 | 髙澤優也 |
11 | 加々美登生 | |
18 | 田中翔太 | |
32 | 河田篤秀 | |
38 | 小西宏登 |
群馬は前節から1枚を変更。
加々美登生に代えて藤村怜が起用されることとなった。
加々美はそのままベンチに入る。
ベンチメンバーは野瀬翔也と玉城大志が外れ、小柳達司と河田篤秀が復帰という形に。
とりあえず前節の河田のベンチ外が怪我ではなかったことに一安心…となるだろう。
注目は加々美に代えて入る藤村怜になるだろうか?
前節加々美が悪かったという印象は無いので、その後の練習とトレーニングマッチでフジレンの出来が良かったということではないだろうか?
他にはどちらもベンチスタートだが、戻ってきた河田篤秀と2試合続けて途中出場中の小西宏登に期待。
河田は昨シーズンから苦しんでいる印象があるが、開幕戦の内容を見ると…1つゴールが決まれば波に乗りそうな予感を感じさせる。
小西は途中出場で良い動きを見せており、スタメン起用でも良いと思うのだが…試合終盤に勢いを持たせられるアタッカーとしてベンチスタートといったところか。
試合経過
【0~15分】序盤にシュートの応酬もスコアは動かず
前半は長野のキックオフでスタート。
1分、開始早々に長野にコーナーキックを与えてしまう。
長谷川雄志の上げたボールを中央で触られてしまうも、これは枠の外に外れてくれる。
3分、小西陽向がボールを持ち運ぶと、田頭亮太と大畑隆也の間に抜け出した藤森亮志にスルーパスを送る。
田頭が身体を当てて藤森の体勢を崩し、ラインを割ったかと思ったが…ギリギリのところで藤森がゴール前に折り返す。
これを伊藤恵亮が右足アウトで流し込みにいくが、ここは近藤壱成がしっかりと面を作っておりブロック。
こぼれ球も自ら回収しピンチを逃れる。
同3分、今度は群馬がチャンスを迎える。
先ほどのピンチを防いだ群馬は、近藤壱成が左サイドに開いた高橋勇利也に繋いでリスタート。
勇利也からはポストに降りてきた青木翔大に縦パスが入る。
すると青木がワンタッチで左サイド裏に流すと、ここに山中惇希が抜け出していく。
対応した長谷川雄志を背中側に回し、良い形で抜け出してキーパーと1対1の形を作ったが…長谷川も最後まで手を出し粘ったこともあり山中に簡単に打たせず。
最後はタッチが多くなり、キーパーとの距離が無くなってしまい…恐らくゴロで股下を狙ったと思われるが、ミートしなかったか力なくキーパーにセーブされてしまう。
4分、右サイドに開いた行徳瑛の内側を三田尚希が駆け上がると、行徳はこの三田を使う。
行徳と三田の二人で右サイドを崩すと、三田から早めのタイミングでグラウンダーのクロスが中央に入る。
これを伊藤恵亮が後ろ向きで受けると、シュートは打たせてもらえず…溜めてから左サイドの田中康介に広げる。
田中のクロスは山内陸が先に触ったか?しかし三田の身体に当たり中央に折り返されてしまう。
これを伊藤が詰めようとするが…身体に対してマイナスのボールとなり、ヒールで当てるも上に外してくれて助かる形に。
こうして開始から4分までにどちらもゴール前に迫るチャンスを作り出すが、スコアは動かず。
どちらかと言えばショートカウンターで数多くチャンスを作り出した長野としては、ここで決めきりたかったところか?
このあとはややゲームは落ち着いた形となり、群馬がボールを保持しながら長野がカウンターを狙う形となっていく。
【15~30分】危うさが続いていたが…ついに失点
16分、行徳瑛からの縦パス1本に藤森亮志が抜け出していく。
恐らく行徳のパスはその前の伊藤恵亮へのポストプレー…というイメージだったと思うが、伊藤が触れなかったことで裏に抜けてしまう。
群馬DFも伊藤が触ると思って足を止めた感もあり、やけにあっさりと藤森の抜け出しを許す形となった。
追い縋る大畑隆也が斜め後ろから藤森を倒す形となったが、ここはノーファールの判定。
藤森も倒れながら粘ったものの、大畑と田頭亮太に挟まれる形で失い、群馬はクリアでタッチラインに逃れることとなった。
映像を見る感じだとノーファールで良さそうだが、J3ということもあり不可解な笛も多くなりがちなので…この辺りは気を付けたいところ。
25分、群馬がゴールキックを短く始める。
大畑隆也に繋ぐと、再びリターンを受けた近藤が縦にパスを狙っていくが…これが合わずにインターセプトされてしまう。
カットした山中麗央がそのままミドルを狙っていくが、ここは近藤がパンチで弾き返す。
セカンドボールを拾ったのは藤村怜だったが、この後のパスを山中の足に当ててしまいボールは行徳瑛が回収。
外に開いた山中にパスを送ると、内側から縦に開いた三田尚希へ。
三田のクロスをファーで藤森亮志が頭で合わせて、先制点を奪われてしまう。
枚数が足りない(藤森がフリーだった)ことを察知して素早く西村恭史がマークに入ったところは良かったが、やけにあっさりと前に出られてしまったのは気になるところ。
どうしてもボールとマークと両方を見るのが不可能なシチュエーションではあるが…この辺りは西村はDFの選手じゃないのもあるかもしれない。
本来であれば田頭亮太が埋めるポジションではあるが、フジレンがボールを失った際の位置関係によりポジションを入れ替えた形となっていた。
(田頭は自分が戻るべき位置だったが、西村が戻ったのをみて、本来西村が埋めるべきポジションを埋めにいった)
と西村の対応がやや気にはなったが…根本的には近藤のパスが繋がらなかったところであり、その後のフジレンのパスも繋がらなかったという…ビルドアップで2つミスが続いたのが原因となるだろう。
こうして序盤から長野のハイプレスに苦戦する形で、ビルドアップにミスが続いてピンチを招いていたが…ついにゴールをこじ開けられてしまうこととなった。
前節の栃木Cに比べてもプレスが速い印象はあるが…それよりも大きな違いはキーマンである米原秀亮が完全に消されていること。
小西陽向がほぼマンマークの状態で中央で米原を消しており、米原がボールを受けられるのは後ろ向きのシーンしかないように感じる。
そのため簡単にワンタッチで叩くシーンが多くなっており、起点になれずに攻撃のスイッチが入らない。
米原が消されているため、両CBが飛ばして前を狙うも…ここも狙われておりインターセプトされてカウンター…となっている。
米原を使わず内側に入る両SBを使うか、西村恭史や藤村怜が降りてきて引き出すか…もしくは米原がボールを受けたあとに小西を剥がすか、何か変化がないと厳しいだろう。
【30~45分】オフサイド?オンサイド?疑惑の同点ゴール
31分、高橋勇利也からの縦パスを山中惇希が受けると、上手く下がりながらターンして裏のスペースに浮き球を送る。
ここには外に開いて勇利也から受けようとしていた藤村怜が駆け上がり、良いトラップでマイボールにして時間を作る。
内側を上がった山内陸にスルーパスを送ると、山内がダイレクトでグラウンダーのクロスをゴール前に送る。
ここにフリーで青木翔大が待っていたが…素晴らしい危機察知能力で田中康介が飛び込んでブロック。
ボールはそのままタッチラインを割ってスローインとなる。
群馬の攻撃も良かったが、長野の守備も素晴らしかった。
37分、再び長野のショートカウンターを浴びる形となる。
ビルドアップで後方で回していたが、高橋勇利也から山内陸へのパスを三田尚希にインターセプトされてしまう。
三田がそのまま中央に低く入れると、伊藤恵亮がポスト…かと思いきやスルー。
その奥でフリーで藤森亮志が受けシュートするが、ここは大畑隆也が必死のスライディングでブロック。
こぼれ球を再び藤森に打たれるが、田頭亮太と西村恭史がブロックしてコーナーとなる。
相変わらずハイプレスに慌ててしまっているが…まだまだ集中力は高く守れていると言えるか?
しかし伊藤は凄いな…最初は触れなかったのかとも思ったが、リプレイを見るとしっかりとボールを跨いでいる。
見えていたのか「スルー」の声があったかはわからないが、素晴らしいプレーであった。
藤森がダイレクトで打っていたら危なかったが…打てなかったところを見るとスルーの声掛けではなく、伊藤の判断でスルーしたとなるか。
41分、高橋勇利也からの長めのパスは受け手の米原秀亮と意図がズレたように見えるが、長野の選手もおらずにそのまま最前線から降りてきた青木翔大に。
青木がトラップから前を向くと、左サイドを駆け上がる山中惇希へとスルーパスを送る。
山中がややスローダウンして味方がゴール前に上がる時間を作ると、細かいタッチで縦にボールを動かしDFのタイミングをズラしてクロス。
ファーで西村恭史がダイレクトで左…という素振りを見せたものの、シュートコースにDFがいたか?トラップに切り替える。
軽く右に持ち出して右足でシュートを狙うと、これがブロックされはしたものの…そのままゴール前に向かい、青木がワンタッチ。
キーパーが素晴らしい反応で触るも、こぼれ球を青木が押し込んで同点に追いつく。
長野サイドはオフサイドをアピールするも、判定は覆らずにゴールとなった。
リプレイを見ると、青木のマークに付いていた冨田康平との位置関係だと…間違いなく青木が出ている。
しかしニア…と言うのか?長野で言う左サイド側に砂森和也が残っており、映像を見る限りだとここが最終ライン。
さて青木は出ているだろうか?
少なくともDAZNの映像から判断は難しいレベルと言え、明らかなオフサイドではないだろう。
そして副審の立ち位置も非常に良く、砂森と青木の位置関係を見るのに妨げる選手もいなかった。
ということでオンサイドだった…もしくは人間の目では十分にオンサイドと判断できるレベルであった…となりそうである。
43分、長野が右サイドでコーナーを獲得すると、キッカーは長谷川雄志。
これを行徳瑛が頭で合わせるが、近藤壱成が触って後ろに逸らしてコーナーに逃げる。
正面ではあったが、十分にファインセーブと言って良いだろう。
ヘディングの強さは身長だけではないが…やはり今シーズンの群馬のDF陣はやや高さに不安がある。
こうして長野のハイプレスに苦しみ、なかなか解決策を見つけられないなかで先制点を奪われたが…なんとか同点に追いついてハーフタイムを迎えることとなった。
正直言ってこの内容で同点に追いついて折り返せたのは奇跡に近い。
【45~60分】ハーフタイムで動くも流れは変わらず。セットプレーで失点
後半は群馬のキックオフでスタート。
ハーフタイムで群馬ベンチが動き、藤村怜に代えて河田篤秀を投入する。
?フジレン悪くなかったと思うが…。
フジレンが悪かった印象はないため、河田を入れて2トップに変更するための交代かと思ったのだが…どうやら立ち位置はそのままに見える。
53分、長野に左からのコーナーキックを与えると、キッカーは長谷川雄志。
ファーに送られたボールに近藤壱成が飛び出すも、触ったか触れなかったか…。
触ったようにも見えるが遠くに弾くことはできずに、そのまま抜ける形で奥にいた砂森和也の胸に当たり中央に跳ね返る。
これを冨田康平がワントラップからシュートを打ちにいくが、青木翔大が先にクリアしたか?
しかしこれが近藤の胸に当たり、ボールはゴール方向に向かってしまう。
近藤が必死にボールを上にかき揚げに行くが…これはネットにそのまま刺さってしまい…結果的にはオウンゴールということに。
近藤のプレーでオウンとは思いにくいので、冨田のシュートではなく青木のクリアだったことになるか?
前半の内容が悪かったにもかかわらず、同点で折り返せたのに…なんとも勿体ない形で再び点差が開いてしまった。
高橋勇利也と重なる形になった…という部分はあるが、近藤は飛び出したならあれはしっかりと触って大きく弾き出さないといけない。
重なってしまった部分もコーチングと言えないこともなく、この辺りは経験の浅さも出たと言えるか?
この失点を活かして一回り大きく成長してほしいところ。
しかしハーフタイムで修正案を話し合っているだろうし、選手も代えるという形を見せたが…あまり変化が見られないのが気になるところ。
正直…河田篤秀は何しに出てきたのか…という状態である。
河田入れるのは良いのだが…もっと前に置けるように4-4-2に変えた方が良いのではないだろうか?
器用な選手なのであの位置でもプレーはできるが…良さは活かせないし、藤村怜を外した意味が無いように思う。
【60~75分】交代直後の浮田にやられる
66分、流れの中としては長野ベンチが先に動くこととなった。
三田尚希に代えて樋口叶、長谷川雄志に代えて古賀俊太郎を投入する。
70分には群馬ベンチも動き、青木翔大に代えて髙澤優也、下川太陽に代えて小西宏登を投入。
今日は下川は全く良いところ無し…となってしまった。
前節は良かったが、開幕戦も今一つであっただけに…ここは小西にチャンスがくるか?
下川はカットインからのシュートの意識が高いことは良いのだが、どうにもカットイン一辺倒。
縦に仕掛けることが皆無なため、しっかりとこの試合は対策されてしまった感がある。
73分に再び長野ベンチが動く。
藤森亮志に代えて藤川虎太朗、伊藤恵亮に代えて浮田健誠を投入する。
するとこの交代後のリスタートのプレーだった…。
高い位置でのスローインを投げたのは古賀俊太郎。
これを受けた小西陽向がワントラップからアウトサイドでフリック。
ゴールライン際から戻りながら、再度前進した樋口叶がポケットに侵入。
樋口から浮田に落とすと、これを倒れ込みながらゴール右隅に流し込んで追加点。
このシーンは31分のチャンスシーンとまさに対局と言えるか?
後ほど振り返りたい。
どうやら70分に髙澤優也と小西宏登を投入したタイミング辺りで、2トップになっているように見える。
髙澤と河田篤秀を並べて、西村恭史がボランチに入る形になった。
と思っていたが、その後を見る感じだと中盤はダイヤモンドで米原秀亮のアンカーは変わらず。
西村はトップ下気味に位置すると考えた方が良さそうな感じである。(下図)
【75~90分】一矢報いるも時すでに遅し
77分、群馬ベンチが最後の交代に動く。
田頭亮太に代えて安達秀都、大畑隆也に代えて瀬畠義成を投入する。
田頭が下がることでシステムの変更になるかとも思ったが…どうやら安達がそのまま右SBに入り、瀬畠もそのままCBに入るようである。
84分、山内陸のミドルパスは通らなかったが、その後の長野ボールに対して米原秀亮が素早く対応する。
このセカンドボールが髙澤優也の足元に入り、髙澤はこれを瀬畠義成に下げる。
瀬畠は左横の安達秀都にパスを繋げると一気にDF裏に縦パスを付ける。
(このシーンでは流れの中で山内と安達の左右が入れ替わっていた)
このまま一気にポケットの中まで入り込んだ河田篤秀が、ダイレクトでクロスを送る。
これはファーに流れた髙澤優也に対して、クロスが中央に入った形で意図が合わず…砂森和也にクリアされてしまうもクリアは不十分で真上に。
この落ち際を小西宏登がボレーに行くが…砂森が身体を寄せたことで空振り…。
このこぼれ球を西村恭史がダイレクトでシュートを打ちにいくも…このシュートは枠の上に外れてしまう。
利き足ではない左足だったし…展開もあってやや力んでアウトに引っ掛けてしまった形か?
86分、長野ベンチが最後の交代に動く。
山中麗央に代えてイム ジフンを投入する。
94分、高橋勇利也から山中惇希に広げると、山中は勝負をせずにその場からクロスを上げることを選択。
山中の突破力を警戒したか…ややDFの距離が空いていた印象があった。
このクロスを髙澤優也が頭で折り返すと、河田篤秀がドフリーでボレーを叩き込んで1点を返す。
…終了間際かつ2点差ということもあってか、長野DFも集中が切れていたか?
髙澤と河田の他に、西村恭史もペナルティエリア内に入り込んでいたが…だとしてもあのドフリーは頂けない。
こうして1点差に詰めたものの…このプレーを最後に終了の笛が鳴ることとなった。
ピックアップポイント
今回は31分の群馬のチャンスシーンと、74分の群馬の3失点目のシーンを振り返りたいと思う。
この2つは同じではないものの、かなり似たような部分があるシーンである。
注目したいのは守備対応の仕方であり、上手く守った長野と守れなかった群馬…となる。
31分のチャンスシーン
まず31分のシーンだが、最終ラインの高橋勇利也から山中惇希が縦パスを引き出す。
これを山中が上手くターンして前を向き、裏のスペースに浮き球でスルーパスを送り込む。
ここに藤村怜が抜け出したが、DFを抜き切るには至らなかったのでトラップしてスローダウンから時間を作り出した。
こうして時間を作ったことで後方から内側を山内陸がインナーラップ。
フジレンからのスルーパスを山内がダイレクトでクロスをゴール前に送り込み、青木翔大が飛び込んだ…というのが流れである。
非常に素晴らしい群馬の攻撃だったが、これに対する長野の守備も素晴らしかった…というのは試合の流れで書いた通り。
では何が素晴らしかったのか?これは青木のシュートブロックに入った田中康介の動きである。
最初青木のマークに付いていたのは中央の冨田康平だったが、山内が抜け出したことでクロスを阻止するために飛び出していく。
(どちらかと言うとクロス…と言うよりはそのままカットインから打たれないようにスペースを埋める必要があった)
これで青木がフリーになり、良い動きでPKスポット付近でスペースも作り出した。
(下図はフジレンから山内にパスが出た瞬間の立ち位置)
左CBの砂森和也はニアに入り込んだ西村恭史に付いていたため、青木がフリーになれる形だったが…逆サイドのWBである田中がしっかりとここを埋めるという良い対応を見せた。
DFの基本ではあるものの…目まぐるしく状況が変わる実際の試合の中でこれをやるのはなかなか難しいところ。
田中はポジションとしては下川太陽の動きも見なければいけないため、青木がフリーになりがちなシーンだったのだが…。
まさにこれが「絞る」ということであり、田中が見事な対応で1点を阻止したと言って良いだろう。
大外の下川はある意味捨てて良い場所であり、理由としては万一ファーへのクロスだとしても距離があるためポジションを取り直せるから。(速いクロスでドンピシャだとやられるが)
そのためより危険な中央を締め、フリーの青木へしっかりとシュートブロックにいった田中の守備戦術理解度の高さが素晴らしい。
下図は山内がダイレクトで折り返した瞬間の立ち位置。
74分の失点シーン
続いて74分のシーンを振り返りたい。
高い位置での長野ボールでのスローインだったが、スローワーは古賀俊太郎。
これを受けた小西陽向が樋口叶に落とし、樋口がペナルティエリア内に侵入。
樋口叶から浮田健誠に落とすと、浮田が高橋勇利也の股を抜く形でシュートを流し込む…という形である。
まずはスローインが小西陽向に入った瞬間の立ち位置が下記である。
樋口叶のマークに付いていたのは田頭亮太だったが、小西の技ありのパスと樋口の良い動きで完全に剥がされてしまう。
そのため、浮田健誠のマークに付いていた大畑隆也がスライドして樋口の対応に行く。
という流れで浮田がフリーになったわけだが…ここで高橋勇利也が浮田にスライドできてないのである。
この樋口が浮田にパスを出した瞬間の立ち位置が下記である。
特にこのシーンは他にペナルティエリア内に侵入してきたのが藤川虎太朗の1枚のみ。
そして藤川に対しては山内陸が対応しており、位置関係的にも山内がいくべきところである。
そのため勇利也は浮く形になっているハズなのだが…浮田にパスが出てから慌てて対応に行ったように見えてしまう。
とは言えシュートは股下を抜かれた形であり、ブロックは間に合った…と言えるかもしれない。
しかしもっと早くスライドして対応していれば、足を投げ出さずに正面でブロックできたであろうから…股下を抜かれなかった…かもしれない。
このシーンだけであればそれほど気にならなかったかもしれないが、31分に長野の田中康介の素晴らしい絞りを見てしまっただけに…気になったシーンとなった。
MOM
この試合のMOMは青木翔大としたい。
前半終了間際の同点弾はもちろんだが、その得点シーンも青木の良いパスから山中惇希が抜け出した形である。
このシーンを代表に、圧倒的なポストプレーのパフォーマンスを見せてくれたと言える。
また青木らしく守備でもかなり汗をかいてくれており、なんとか青木を90分稼働させられないか…というのが個人的な思いとなっている。
続いて名前を挙げたいのが山中惇希。
アシストはもちろんだが、今年の群馬のサッカーのシステムに山中は合っている気がしてならない。
シーズン前からJ3で活躍するのは山中じゃないかと予想していたが、やはりこの推進力はJ3では大きな武器となっている。
WGとなり守備の負担が減ったこともあってか、試合終盤まで縦に中に、良い突破を仕掛けられているように思う。
これに対して物足りなさを感じるのが右サイド。
下川太陽が3試合続けて起用されており、沖田監督としては思う部分があるのだと思うが…正直前節以外は下川をファーストチョイスとする理由は見えていない。
素晴らしいカットインは持っているので、縦への突破と織り交ぜていけば対応するDFは守りにくくなると思うのだが…。
(思えば山中も縦にしか仕掛けられない…と昨シーズンは書いたが)
それに対して…という言い方はしたくはないが、交代で入る小西宏登は3試合続けて良いプレーを見せている印象がある。
小西をスタートから使ってみるのも面白いのではないだろうか?
途中出場と言えば、安達秀都は2試合続けて良かった。
そして今節初出場となった瀬畠義成も、投入後は最終ラインを落ち着かせたように見える。
この試合では長野が1つ群馬対策としてハイプレスが有効な事を証明してみせた。
早い段階で躓けて良かった…となるように、しっかりと対応し新たな沖田サッカーを見せて欲しいところである。
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