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【2024 J2第24節】鹿児島ユナイテッドFC 対 ザスパ群馬【レビュー】

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第24節はアウェーでの鹿児島ユナイテッドFC戦。

前節に続いてアウェーでの試合となり、この試合が終わると約3週間の中断期間に入ることになります。

前節は愛媛FCを相手にまさかの4-0といった快勝を見せただけに、この鹿児島戦ではそれがフロックではなかったことを証明したいところでしょう。

先ほど触れたように、この試合の後には中断期間に入ることもあり…良い形で中断期間を迎えたいというところも。

しかし気になるのは…前節は大勝と言えど、愛媛の調子があまりにも悪かったのも事実。

この試合も続けて結果を残して初めて、奇跡の残留が見えてくることになるのではないでしょうか?

 

今回はそんな鹿児島ユナイテッドFC戦をレビューします。

スタメン・フォーメーション

鹿児島ユナイテッドFC

スターティングメンバー

ポジション 背番号 選手名
GK 1 泉森涼太
DF 3 外山凌
5 井林章
6 渡邉英祐
23 岡本將成
MF 8 藤村慶太
20 圓道将良
21 田中渉
34 鈴木翔大
35 中原秀人
FW 10 藤本憲明

ベンチ

ポジション 背番号 選手名
GK 13 松山健太
DF 28 戸根一誓
MF 7 千布一輝
11 五領淳樹
17 星広太
FW 9 有田光希
46 武星弥

 

鹿児島は前節から3枚を変更。

野嶽寛也に代えて渡邉英祐、戸根一誓に代えて井林章、山口卓己に代えて中原秀人を起用。

注目はやはり前線の4枚となり、最前線の藤本憲明にその下に入る鈴木翔大、右の田中渉に左の圓道将良と良い選手が並ぶ。

個人的には、特にその中でもやっかいな存在と言えるのが田中だと思う。

今シーズン数字としては結果を残していないが、試合内容を見るとかなり効いている選手の1人。

フォーメーション的に鹿児島と群馬はマッチしないだけに、ここを中塩大貴が見るのか菊地健太が見るのか…ズレが出ないようにしたいところ。

 

ベンチに目を移すと、やはり気になるのは有田光希だろうか。

ここまでスタメンはなく途中出場がメインかつ、それほど時間も長くはないながらも2ゴールを記録。

こういったチャンスに強い選手は今の群馬にとっては嫌な存在と言えるだろう。

ザスパ群馬

スターティングメンバー

ポジション 背番号 選手名
GK 21 櫛引政敏
DF 2 城和隼颯
3 大畑隆也
36 中塩大貴
50 菊地健太
MF 5 川上エドオジョン智慧
6 天笠泰輝
14 川本梨誉
15 風間宏希
FW 10 佐藤亮
32 河田篤秀

ベンチ

ポジション 背番号 選手名
GK 42 石井僚
MF 33 細貝萌
37 瀬畠義成
FW 11 杉本竜士
23 平松宗
28 樺山諒乃介
40 佐川洸介

 

群馬は前節から1枚を変更し、佐川洸介に代わって河田篤秀を起用。

河田は少し前からチームに加入はしていたが、移籍期間の関係でこの試合から出場が可能となっている。

移籍と言えば仙波大志もチームに加入しており、この試合から出場可能と思われるが…さすがにこちらは数日前に加入したばかりということでメンバー外に。

 

ベンチを見ると、永長鷹虎が外れる形となったようだ。

永長のポテンシャルは高いのは間違いないだけに、なんとか上手く使いたいところだが…大槻前監督も武藤監督も起用しないところを見ると…何か難点があるのか?

個人的には技術は高いもののボールを持ち過ぎるところがあり、戦術を徹底したサッカーでは使いづらい…と言ったところ。

それだけに途中出場で、状況を一気に変える役割は向いていると思うのだが…。

またこの試合も続けて酒井崇一が外れることとなり…ここも謎が残るまま。

瀬畠義成と細貝萌がCBもできるので、DFの控えは不要という判断かもしれないが…怪我などでなければ移籍の可能性が高い…となりそうか。

試合経過

【0~15分】積極性を見せた序盤

前半は鹿児島のキックオフでスタート。

この試合はやや雨が降る中での試合となった。

 

6分、自陣でのビルドアップの際に城和隼颯がドリブルを選択し鹿児島のファーストディフェンダーを外す。

降りてきた佐藤亮に預けると、佐藤はダイレクトで後方の大畑隆也に送る。

大畑がこれをワントラップから左足で大きくサイドチェンジすると、ここに菊地健太が抜け出す。

左足…ということもあってやや長いかと思ったが、これを健太がライン手前で残すと後方にフォローに入った天笠泰輝へ。

天笠がゴール前にクロスを送り込むが…これはファーに入った川本梨誉にもやや長く外山凌の足元に…。

しかし外山のクリアがミスキックとなり、これを川上エドオジョン智慧が回収し縦への突破からクロスを狙ってコーナーを獲得する。

まずは城和が自ら持ち上がるというプレーを見せたことでDFにズレを生じさせた。

それにより大畑のところで時間ができて、良いロングフィードに繋がったと言える。

城和は以前こういったプレーを見せていたが、ここしばらくあまり見られていなかった印象も…。

これは彼の持ち味の一つなので、有効に使っていきたいところ。

またこれを受けに来たのが佐藤だったが、流れの中で風間宏希が右WBの位置にスライドしていたために、すぐに佐藤がこのポジションを埋めにいったのがナイス判断。

 

7分、これで得たコーナーを蹴るのは風間宏希

このボールは跳ね返されるが、こぼれ球を川上エドオジョン智慧がミドルで狙っていく。

DFに当たったか?変な軌道のボールとなりファーに向かうと、中塩大貴が反応し頭を出すも…これは枠には送れず。

エドは前節オフサイドで取り消しになったが素晴らしいミドルを叩き込んでおり、キックの感触が良い事が伺える。

 

9分、右サイドでボールを受けた佐藤亮が技ありのパスを縦のスペースに流す。

ここに流れてボールを受けた河田篤秀がゴール前にクロスを送り込むと、ファーで菊地健太が合わせにいくが…これはミートできずに枠の外に外れてしまう。

ここは決めたいところだったが…健太の手前で田中渉がボールに触っており、直前でコースが変わったことでミートできなかった形のため仕方ないと言えるか。

 

12分、中央に流れてボールを受けた田中渉が、空間を使った浮き球のパスでDFライン裏にスルーパスを送る。

ここに圓道将良が抜け出すが、良い反応を見せた櫛引政敏が飛び出して先にキャッチする。

アフターで圓道櫛引に接触する形となり、圓道のファールを取ってここはピンチを逃れる。

しっかりと対応できているとは言えるが、ここまでの約10分間で3回裏を狙われているのは気になるところ。

これが続いてDFラインが下がり…というのは避けたい。

 

14分、ピッチの中央で左サイドからのスローインを得ると、中塩大貴が縦にロングスローを入れる。

これを河田篤秀で頭で川本梨誉に繋ぐと、ターンからやや強引にシュートに持ち込む。

これは岡本將成にブロックされるが、跳ね返りが佐藤亮の足に当たりゴールキーパーと1対1のチャンスに。

ボールの落ち際を左アウトサイドで狙うも…これはキーパーの正面に行ってしまう。

この強引さが川本の良いところではあるが…ここは良いランニングを見せた佐藤にスルーパスを送っていればもっと綺麗な形で1対1を作れた。

佐藤に対応した藤村慶太は間に合っていなかったし、なぜかファーにいた外山凌は絞らずに外に広がる動きをみせていただけに…完全に佐藤はフリーでゴール前に入れただろう。

しかし外山の対応は謎…。

右サイドの川上エドオジョン智慧は画面に映らない位置なので、絞ってゴール前のスペースを埋めなくてはいけなかったのでは?

【15~30分】お互いに決定機を迎えるも

23分、大畑隆也からのパスを下がりながら受けた川上エドオジョン智慧が、意表を突く形で素晴らしいタッチで縦に突破。

そのままドリブルで持ち上がると、ペナルティエリア外の中央の河田篤秀に楔のパスを打ち込む。

河田はこれをキープから、DF2枚の間を通すアウトサイドでの素晴らしいパスで左にスルーパスを流し込む。

ここに菊地健太が入り込み、ダイレクトでクロスを上げるもミスキックとなったか…ボールは浮いてしまいファーに流れてしまう。

低く速いクロスをDFとキーパーの間に送っていれば川本梨誉が。

もう少しマイナスにピンポイントで低く送ればエドが…更には河田もゴール前に詰めていただけになんとも勿体ないプレー。

大外の佐藤亮も含めて全員が健太のクロスに激怒していたのが印象的なシーンとなった。

恐らく健太のキックモーションを見ると、低く抑えるつもりが浮いてしまった…という形で、狙いは川本のところだったと思われる。

残念なシーンとなってしまったが、エドの技ありの突破や河田のこれまた技ありのアウトサイドでのスルーパスなど、可能性を感じるシーンではあった。

 

26分、中原秀人が大きく左サイドに展開すると、これを受けた外山凌がトラップから右足でゴール前にクロスを送り込む。

ファーに鈴木翔大が入り込み、右足には当てるがミートせずにボールは枠の外に外れていく。

シンプルなプレーだが、クロスの質が高くピンポイントで危ないシーン。

しかし菊地健太もしっかりと鈴木に身体を寄せており、簡単にはやらせていない良い対応は見せた。

 

29分、鹿児島が波状攻撃を見せる。

右サイドで受けた田中渉のクロスはファーで川上エドオジョン智慧が頭で跳ね返す。

このこぼれ球を天笠泰輝が頭で…恐らくクリアというよりは菊地健太に繋ごうと思ったのではないかと思うが…バックヘッドだったこともあり健太と意図が合わずに再び田中の下に。

田中から中原秀人にパスを送ると、これをダイレクトで一気に左サイドに展開。

ここにフリーで外山凌が飛び込むが、このシュートは力が入り過ぎたか…枠の上に外れてくれる。

最初に波状攻撃と書いたが…厚みのある攻撃を受けていただけに、ラインがやや下がっていた印象。

それにより中原のところにプレッシャーがかからず、良いボールを上げられてしまったと言える。

今日は積極的に裏を狙われている部分もあり、いかに勇気を持ってラインを高く保てるか…がポイントになるかもしれない。

【30~45分】良い形は作れつつも…ゴールは奪えず

31分、川上エドオジョン智慧が良い突破からチャンスを作り出すが…その先の佐藤亮が潰されてボールを奪われてしまう。

ここから藤村慶太が一気に群馬DFラインの裏にロングボールを入れ、藤本憲明が完全に裏を取る。

しかし櫛引政敏が良い判断を見せ、ペナルティエリアを飛び出し胸トラップからコントロール。

ボールを落ち着かせ、菊地健太にパスを出してピンチの芽を潰す。

佐藤がカットインを狙った時のタッチがややミスになったところを狙われた形だったが…その後の藤本の動き出しが素晴らしかった。

群馬としては危ない匂いはするが…対応できていないわけではないので、このまま勇気を持ってラインを上げていきたい。

 

36分、左サイド裏のスペースで菊地健太中塩大貴から縦パスを引き出す。

トラップした後の2タッチ目が素晴らしく、このタッチで一気にカットインの形を作る。

ここから右足で丁寧にファーの佐藤亮に低いスルーパスを送るが…これをその手前で河田篤秀がトラップしてしまう。

やや流れたトラップながらも、素早く反転からシュートに持ち込んだ河田はポテンシャルの高さを感じさせたが…体勢が厳しかったことでシュートは枠の上に。

河田はワンタッチをアピールしたが、判定はゴールキックとなる。

恐らく河田佐藤の動きが見えておらず、ズレたパスをなんとかシュートに持ち込んだとなるが…その裏の佐藤にピンポイントのパスだったのが悔やまれるところ。

まさに完璧なパスだったと言え、このシーンは23分の健太のクロスとは逆に健太が頭を抱える形となった。

 

47分、藤村慶太から絶妙なタイミングで縦パスが出されると、藤本憲明がヒールで流し、更にここに圓道将良が抜け出す。

しかしここも櫛引政敏が良い飛び出しを見せて圓道よりも先にボールを回収。

戻りながらDFしていた大畑隆也と接触する形で、櫛引は少し痛そうな様子を見せるも大丈夫そうである。

【45~60分】後半もやや群馬ペースで試合が進む

後半は群馬のキックオフでスタート。

両チームともにハーフタイムでの選手交代は無くリスタートとなった。

 

47分、中塩大貴のパスがブロックされた形で両チームにイーブンなルーズボールとなるが、城和隼颯が良い飛び出しを見せて先に触る。

同じくこのルーズボールを狙っていた中原秀人と接触し倒されるが、ボールを佐藤亮が回収したことでプレーオンで流す。

佐藤がドリブルでゴール前まで持ち込むと、ペナルティエリア内で倒されるがこぼれ球を川本梨誉が直接シュート。

しかしブロックされてしまいチャンスを活かせず。

佐藤が良い突破を見せたが、井林章のタックルも素晴らしく…ボールがやや足から離れたところを刈り取っている。

その後に両者がぶつかる形で佐藤が倒れるが、タックルは完全にボールを刈り取っておりノーファールで妥当だろう。

 

48分、天笠泰輝がボールを運んでから左サイドの菊地健太に展開。

健太のクロスをファーで佐藤亮が折り返すが、このボールは河田篤秀は打てず。

その裏で川本梨誉が回収し、天笠に落としてミドルを狙うが…このシュートはミートせず。

 

53分、鹿児島が最終ラインから組み立てる。

外山凌鈴木翔大とワンツーの形で中央に侵入すると、そのまま右サイドにボールを展開。

これを受けた田中渉が縦への仕掛けから、1つ内側に左足で直接ゴールを狙っていく。

これは中塩大貴が足を出してコーナーに逃れるが、触らなければ危なげなく櫛引政敏が抑えていたようにも思う。

とは言えDFなら足を出してしまう…出さねばならないとも言え、これは仕方ない部分。

ブロックしたもののゴール方向に向かってしまったことで、中塩も一瞬動きが止まりまさに「あっぶねぇ~」といった表情。

その後に櫛引と全く同じタイミングで手を出した姿が印象的。

どういった会話があったのかわからないが、中塩が「ごめん」に対して櫛引が「OKOK、ナイスブロック」といった感じか?

 

56分、群馬ベンチが先に動き、河田篤秀に代えて佐川洸介風間宏希に代えて瀬畠義成を投入する。

河田はポテンシャルの高さを見せたものの…3トップの頂点といったプレーヤーでは無さそうな印象も。

現行システムだとシャドーの方が向いてそうだが、佐藤亮川本梨誉もフィットしており3枚使いたいとなると最前線となるのは理解できる。

 

59分、藤本憲明がやや左サイドの裏に抜け出す。

ここも櫛引政敏がペナルティエリア外に飛び出すが、ここは間に合わずにカード覚悟でファールで止める形を取る。

櫛引としては今日は良いフィーリングで飛び出していただけに、ここは少し判断が強気になり過ぎていたか…。

 

また65分には天笠泰輝がユニフォームを引っ張る形でイエローカードを受け、これで次節は出場停止ということに。

今日の主審はやや鹿児島寄りと言うか…鹿児島に甘く群馬に厳しい部分があり、天笠としてもファールは取られてもカードが出るとは思っていなかったか?

ポジション柄カードが多くなりがちではあるが、天笠はややカードコレクターなところがあるのは改善していきたい。

【60~75分】取れないセットプレー

68分、外山凌からリターンを受けた中原秀人が遠目からミドルを狙っていく。

低く抑えた良いシュートだったが、これは櫛引政敏も手を伸ばさずしっかりと見切ってゴールキックを選択。

 

69分、鹿児島ベンチが動く。

中原秀人に代えて五領淳樹藤本憲明に代えて有田光希を投入する。

 

74分には群馬ベンチも動き、川本梨誉に代えて樺山諒乃介を投入する。

後半も群馬がやや優位に試合を進めてはいたが、得点の匂いはあまりせず…もう少し早めに樺山を投入しても良かったのではないかという思いも…。

また今は交代が5枚なので、ここも2枚切ってしまっても良いのではないかというのは…思うが大槻監督も武藤監督も最後まで2枚を残しがち。

自分の考えとは違い、今は2枚残すのが主流なのか…?

 

75分、交代直後の樺山諒乃介が仕掛けてコーナーを得る。

このコーナーキックを佐藤亮が中央に送ると、大畑隆也がドンピシャで合わせるもバーを直撃。

跳ね返りをクリアされてしまう。

あと少し…なのだが、なんでこんなに今シーズンはセットプレーで点が取れないのか?

【75~90分】万事休すからの意地

77分、鹿児島ベンチが動き、圓道将良に代えて武星弥渡邉英祐に代えて戸根一誓を投入。

 

80分、佐藤亮がファールを誘いFKを獲得する。

これを自ら蹴り、ゴール前に送るも…ここは跳ね返されてしまう。

セカンドボールを樺山諒乃介が直接狙うも、ミスキックとなるが…これが逆に功を奏した形で城和隼颯の足元に。

しかし城和のシュートは枠の上に外れてしまう。

一瞬城和はオフサイドかと思ったが、樺山のシュートブロックのためにコース上で止まった岡本將成が完全にラインから取り残されていた形でオンサイドだった。

 

ゴールキックでのリスタート前に群馬ベンチが最後の交代を使い、中塩大貴に代えて細貝萌天笠泰輝に代えて杉本竜士を投入。

これで中塩のいた左CBに菊地健太が降り、健太のいた左WBには川上エドオジョン智慧が、エドのいた右WBには佐藤亮が降りる。

そして樺山諒乃介が右に位置を変え、左のシャドーに杉本が入る形となった。

 

88分、藤村慶太からワンツーで受けた外山凌が大きく前方に展開。

これを有田光希がポストとなり、右サイドの五領淳樹に広げる。

五領のクロスは跳ね返すが、回収した藤村が左サイド、外山に展開。

外山のクロスを、下がりながらの難しい体勢ながら有田が合わせるが…これは枠の外に外れていく。

 

89分、右サイドのスローインを受けた瀬畠義成から中央の佐川洸介に。

しかしここで佐川五領淳樹のチェックを受けてボールロスト。

回収した鈴木翔大から右サイドに大きく展開すると、有田光希が抜け出す。

対応した城和隼颯を相手に1対1を仕掛け、中にカットインからシュートを放つと…これがブロックに入った城和菊地健太の足に当たってコースが変わりゴールに吸い込まれていく。

うーん、佐川のロストは…五領が完全に身体を手でつかんでいるのでファールと言いたいな…。

しかしその後の有田への城和の対応はイマイチと言わざるを得ず、あれだけ距離を空けたらあっさり打たれるだろう。

確かに数は揃っておらずファーの武星弥はフリーだったが、中央の五領には大畑隆也が間に合っていた。

健太城和のいた中央に戻りきっていたため、もう少し距離を詰めて対応をするべきだったか。

それで縦に抜かれてクロスを上げられる方がリスクは少ないと思えたシーンだった。

これで万事休すとなった群馬だったが…今日の群馬の選手たちは諦めなかった。

 

92分、杉本竜士のクロスを佐川洸介が合わせるが…これは枠の外に。

このリスタート前に鹿児島が動き、田中渉に代えて千布一輝を投入する。

 

94分、佐藤亮がボールを持ち出すも岡本將成との競り合いからスローインとなる。

ボールボーイを急がせ早くスローインを入れようとすると、主審の笛が鳴り鹿児島ボールの判定に。

これに佐藤が怒りを爆発させイエローカードを受けてしまう。

どうやら競り合いでの佐藤のファールを取ったようだが…今日の主審はやや基準が怪しいと言うか…鹿児島に甘目な印象がある。

佐藤としてはノーファールだと思っており、「なんでスローインが鹿児島ボールなんだ」という怒りのジェスチャーだったと思われるだけに、カードは勿体ないが気持ちは良く分かるし闘志が見えており良いだろう。

 

95分、まだピッチのちょうど真ん中の位置だったが…ここで得たフリーキックをゴール前に入れることを選択する。

佐藤亮がゴール前に入れるから全員上がれと指示を出すと、ボールはファーサイドの佐川洸介を狙う。

佐川が競るも触れなかったが、その裏で城和隼颯に当たり…これが良い胸トラップの形となり左足を振り抜くも枠をわずかに外れてしまう。

左足ながら低く抑えてボールスピードもある素晴らしいシュートだったが…なぜ入らないのか…。

 

アディショナルタイムは6分となっており、このシュートが外れた段階で95分50秒になろうとしていた。

これで気持ちが切れてしまってもおかしくなかったが…96分、大畑隆也がファールを受けるとそのまま素早いリスタートを選択する。

このボールはやや精度を欠き、杉本竜士は競れずに戸根一誓にクリアされるがセカンドボールを菊地健太がダイレクトで左の川上エドオジョン智慧に展開。

エドがドリブルで持ち運んでから、中央に降りてきた佐川洸介にパスを送る。

トラップから左に持ち出すと、強烈なミドルシュートを叩き込んで劇的な同点弾を叩き込むことに成功。

厳密に言えば大畑のリスタートはボールが止まっていないのでダメだが…最後まで諦めない姿勢が呼び込んだ同点弾と言える。

たらればではあるが、大畑が時間をかけていたら蹴って試合終了となっていた可能性もある。

 

こうして勝たなければならない試合ではあったが、負け試合を引き分けに持ち込むという執念と根性を見せた試合となった。

ピックアップポイント

憑き物が落ちたか?

まず初めに、この試合は絶対に勝たなければならなかったのは事実。

残留争い…と言うのもおこがましい状況にいるわけだが…残留争いに鹿児島を引きずり込むためにも勝たなければいけなかった試合である。

しかし今までの群馬であれば、試合終盤に失点をして…そのまま試合終了という展開だっただろう。

それを劇的な同点弾で追いついたのは大きく、更に言えば最後まで諦めない姿勢が選手から見えたことが大きい。

大畑隆也の素早いリスタートなど、なんとしてでも同点に追いついてやろうという気概が見えたのがポジティブな面である。

 

他にも前節の愛媛戦から顕著だが、選手が楽しそうにサッカーをしているのも印象的。

激しく戦い感情を剥き出しにして、時には怒りを露わに強い言葉や態度も見えるが…上手くいかないストレスから感情が爆発…という形ではないように見える。

この試合は前節の大勝があるので、メンタル面の向上というのはわかる。

それだけに…やはりなぜ前節の愛媛戦であれだけのサッカーを見せられたのかというのが気になるところ。

4得点ということもあり、途中からは何をやっても上手くいく感じでプレーが楽しかったというのはあるだろうが…そもそも試合の入りから良かったのが愛媛戦。

 

最初に書いたように、残留争いに参加するためにも…絶対にこの試合は勝たなければいけなかったのは事実。

しかし明らかにチーム状況は上向いており、前節の愛媛戦を無駄にしなかったのも事実と言える。

仙波大志が加入し、この後他にも加入があるのか…はたまた出て行く選手がいるのか…わからないが、中断期間でしっかりと戦術を見直しこの勢いを更に上向かせていきたいところ。

振り返ったときに、この鹿児島戦でドローに追いついたのが残留に大きかったと言える結末にしたい。

MOM

この試合のMOMは佐川洸介としたい。

本当に見事な同点ゴールだった。

失点が自身から…ということでなんとしてでも奪い取りたいゴールだっただろう。

この同点弾が大きかったのでMOMとしたが、正直得点シーン以外は物足りなさも…。

佐川河田篤秀のプレースタイルを考えると、佐川がスタートからの方が良いのかもしれない。

 

次に名前を挙げたいのが川上エドオジョン智慧

なんと言っても右でも左でもしっかりと仕事をするのが素晴らしい。

彼が両サイドできることで戦術に広がりがあると言える。

今日は特に攻撃の時間を長く取れ、持ち味を完璧に活かしたと言えるだろう。

同じく左WBだった菊地健太も触れておきたい。

残念なクロスが印象を悪くしているが、豊富な運動量を武器に素晴らしいプレーを見せたと思う。

左CBとして起用するには高さを始めとしてやや足りない部分はあるものの…こうしてCBでも起用できるのも戦術の幅という意味では大きなポイントではある。

 

他には佐藤亮川本梨誉、更には樺山諒乃介杉本竜士と前線の選手に積極性が見られたのも素晴らしかった。

ピックアップポイントでも触れたように、戦う姿勢が見られ自分がなんとかしてやろうという気概が見えるようになったのが大きい。

もちろん物足りない部分も多いが故に、勝ち切れないのは事実だが…少なくとも良い方向にチームが向かっていることを感じさせるのは確かである。

 

気になるのは細貝萌で…短時間で2つミスが続いてピンチを招いたのは頂けないところ。

年齢的にも衰えは隠せないのは仕方ない部分だろうが、ベテランの経験値を見せつけてほしい。

難しい状況だからこそ、細貝のような経験豊富な選手の存在が大きな力になるだろう。

ちなみに、これで細貝の出た試合は負けていない…という記録も更新となった。

非科学的と言われるだろうが、個人的には決して偶然ではないと思っている。

細貝がメンバーに入っていることで、プレー以外の面で大きく貢献している部分があるだろう。

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