※ザスパ群馬ファンによる、ザスパ群馬贔屓のマッチレビューです。
第2節はアウェーで天敵とも言える熊本が相手となります。
熊本と言えば昨シーズンの主力だった平川怜は予想通りにJ1に引き抜かれ(磐田)、更には島村拓弥が柏へと移籍。
入れ替えで柏から岩下航が来たものの、それ以外はユースと大卒ルーキーのみの補強となっています。
しかしながらこの大卒ルーキーであるベ ジョンミンと古長谷千博が開幕戦から起用され、ルーキーとは思えない活躍を見せました。
熊本も大木武監督が継続となっており、昨シーズン同様に難しいゲームとなることが予想されそうです。
今回はそんな熊本戦をレビューします。
Contents
スタメン・フォーメーション
ロアッソ熊本
スターティングメンバー
ポジション | 背番号 | 選手名 |
GK | 1 | 田代琉我 |
DF | 3 | 大西遼太郎 |
5 | 阿部海斗 | |
24 | 江﨑巧朗 | |
MF | 8 | 上村周平 |
10 | 伊東俊 | |
13 | 岩下航 | |
21 | 豊田歩 | |
FW | 11 | ベ ジョンミン |
18 | 石川大地 | |
19 | 古長谷千博 |
ベンチ
ポジション | 背番号 | 選手名 |
GK | 23 | 佐藤優也 |
DF | 6 | 岡崎慎 |
MF | 4 | 藤田一途 |
9 | 大本祐槻 | |
17 | 藤井皓也 | |
30 | 東山達稀 | |
FW | 20 | 大崎舜 |
熊本は前節と同じスタメンを採用し、ベンチも含めて18人が変更無しとなった。
※何と見間違えたのか…どうやら違うところを見ていたようです。
スタメン2枚変更となり、前節スタメンだった黒木晃平と松岡瑠夢がベンチ外となっています。
注目はトップ下の石川大地となり、前節は2トップにトップ下という形だったものの…今節は群馬がビルドアップの際に後ろ3枚となることを考えると3トップ気味な配置になるかと思われる。
また最前線に入るルーキーコンビも良い活躍を見せており、2試合続けてのスタメン起用というだけに怖い存在と言えるだろうか?
群馬の攻撃時にはほぼミラーとなるだけに、個の攻防はもちろんだがいかにフリーを作り出すかという駆け引きも見どころになりそうである。
ザスパ群馬
スターティングメンバー
ポジション | 背番号 | 選手名 |
GK | 21 | 櫛引政敏 |
DF | 2 | 城和隼颯 |
3 | 大畑隆也 | |
24 | 酒井崇一 | |
36 | 中塩大貴 | |
MF | 6 | 天笠泰輝 |
7 | 和田昌士 | |
11 | 杉本竜士 | |
15 | 風間宏希 | |
FW | 8 | 髙澤優也 |
10 | 佐藤亮 |
ベンチ
ポジション | 背番号 | 選手名 |
GK | 42 | 石井僚 |
MF | 27 | 藤村怜 |
29 | 田頭亮太 | |
FW | 17 | 山中惇希 |
23 | 平松宗 | |
40 | 佐川洸介 | |
41 | 永長鷹虎 |
群馬は前節から1枚を変更し、平松宗に代えて和田昌士をスタメンで起用。
何度も書いているが…明らかに平松はシステムに合っておらず、この位置で使うのであれば和田の方が適任と言える。
(平松を使うなら髙澤の位置だろう)
ベンチでは船橋勇真が外れ田頭亮太が入ることになった。
田頭は大卒ルーキーではあるが、昨シーズンに特別指定でチーム入りしておりリーグ戦にも出場しているため…そう言えばルーキーだったなという印象。
練習では右サイドバックで良いプレーも見せていたようで期待したいところ。
ちなみに田頭がこの試合MF登録ということもあり、珍しく控えにDFがいないという状態に。
実際問題CBの控えがいないが、万が一2CBのどちらかにアクシデントがあった際には大畑隆也がCBに入ることになるだろう。
試合経過
【0~15分】なぜそうなるのか?並びの謎
前半は群馬のキックオフでスタート。
マイボールでのスタートということもあり、最初から後ろの並びは3枚となっているが…守備時にはいつも通り4枚に戻るだろう。
注目の和田昌士だが…なぜか2CFの右側に…。
そして髙澤優也が左側にいるのが気になるところ。
いつものシステムであれば右側が1トップとして中央高い位置に入り、左側が降りてボールを引き出す役割となる。
要は和田ではなく髙澤に平松の役割をさせることになるのだが…。
開始早々に杉本竜士が左サイドを仕掛けてコーナーを獲得。
4分にはペナルティエリア内で熊本にボールを持たれてしまうも、城和隼颯がナイスブロックを見せてコーナーに逃げる。
出だしは決して悪くなさそうである。
7分、江﨑巧朗から楔のパスを古長谷千博が引き出すと、ここで前を向きドリブルで少し運んでから右サイドの伊東俊へ。
伊東から更に外に開いたベ ジョンミンに広げると低いクロスをゴール前に供給。
古長谷にはややマイナス過ぎたこともありスルーすると、その後ろで岩下航がシュートを放つが酒井崇一がブロックしてコーナーに。
酒井は古巣だけに気合いが入っているだろう。
両WBが絡む非常に厚みのある良い攻撃だったが、やはり楔のパスを引き出した古長谷が前を向けたのが大きい。
今の群馬ではここで前を向いてボールを運べないから攻撃が停滞している。
【15~30分】いつもとは若干違うシステムか?
15分ほど見ていたが…若干いつもの群馬とはシステムが違う印象。
普段は先ほど書いたように右側のFWが最前線に残り、左側のFWが左のシャドーとして降りてボールを引き出す形。
右側のシャドーは右のサイドバックである大畑隆也が前向きで入り込んでくる…というスタイルが主である。
しかしここまで左側のFWに入った髙澤優也は前節の平松宗同様に、頻繁に中盤に降りてきてボールを引き出すプレーを見せているが…右側のFWに入った和田昌士も降りてくるシーンが目立つ。
DAZNでは画角の問題で画面外になっており確かなことは言えないが…代わりに杉本竜士、佐藤亮、大畑隆也が高い位置を取っているように思われる。
恐らくは杉本と大畑が両WGとなっており、右側から佐藤が中央に入ってくるような動きをしているのではないだろうか?
16分、城和隼颯からのボールを風間宏希がややトラップミス。
阿部海斗が素早く潰すと、ロストボールを豊田歩がダイレクトで石川大地に繋ぎショートカウンター発動。
石川から左の古長谷千博に送ると、そのままシュートまで持ち込まれてしまう。
しかしこれは櫛引政敏が右手一本パンチングで上に弾くと、落ちてくるボールを自らキャッチして難を逃れる。
20分、髙澤優也のスライディングに対してイエローカードが出るが…個人的にはファールになってしまったが非常に素晴らしいスライディングだったと思っている。
タッチが少し長くなったところを狙いすまして右足を伸ばしたタックルであり、しっかりとボールを突くことには成功しているのだが…軸足となった左足側で相手に接触しておりファールの判定は妥当か。
また斜め後ろからのタックルというのが印象が悪く、カードになったと思われる。
が、紙一重でナイスタックルに変わったであろう素晴らしいスライディングタックルであった。
22分、江﨑巧朗から大きく右サイドに展開すると、ここに抜け出したのは伊東俊。
マイナスに折り返すと石川大地が右足を振り抜くが、これは枠を外れてくれる形に。
しかしワンタッチあったようでコーナーの判定となるが…当たった中塩大貴はもちろん、打った石川ですらゴールキックと判断して帰陣していくが…?
27分には櫛引政敏からのロングキックを髙澤優也が和田昌士に落とす。
これを和田が左サイドの杉本竜士に広げると、杉本からのクロスはファーサイドへ。
ここに佐藤亮がスライディングで飛び込み折り返すが、ゴール前では残念ながら誰にも合わず…。
前半は耐える戦術ではあるのだが…この試合初めて群馬に得点の匂いがしたシーンである。
【30~45分】疑惑のゴール?
35分、熊本の右サイドからのコーナーキックは跳ね返すことに成功するが…セカンドボールは熊本が回収。
回収したボールを再び豊田歩に広げると、再び左足でゴール前にクロスを供給。
ここに石川大地が飛び込み、先制ゴールを許してしまう。
正直言ってゴールが入った瞬間は「絶対オフサイドだろ」と思い、案の定群馬は最終ラインと櫛引政敏を中心に抗議。
「まぁオフサイドだったとしても覆ることは無いけどな…」と思って見ていたが、どうもリプレイではオンサイドに見える。
熊本の選手は3人くらいオフサイドポジションにいるが、得点を取った石川はほぼ酒井崇一と同じ位置。
真横のアングルが無いので絶対ではないが、酒井に対して大畑隆也が更に後ろにいてラインが揃っていないと思われる。
「蹴った瞬間」をどこで止めるかによっても印象は変わるものの…オフサイドラインは大畑であり、石川はオンサイドに見える。
また石川以外のオフサイドポジションの選手は、プレーに関与していないと言って良いだろう。
仮に石川が本当はオフサイドポジションだったとしても、誤審と言うには厳しすぎるシビアな位置関係である。
正直言ってオフサイドを取れば熊本側から抗議が、ゴールを認めればこの試合のように群馬側から抗議が出るシーンであり…これは素直に失点を認めよう。
38分、髙澤優也がファールを受けるが…これにノーカードの判定。
当初はボールが群馬側にこぼれたためプレーオンとしたものの、髙澤が痛んでいたこともありロールバック。
杉本竜士が恐らくカードが出ないことに対して主審に何か文句をいったようで、これでイエローカードを受けてしまう。
杉本らしいと言えばらしいのだが…無駄なカードでありその熱さはプレーで見せてほしいところ。
しかしながらなぜ石川大地にカードが出ないのか理解できないタックルだったので…気持ちはとてもわかる。
ゴールシーンの際どいオフサイド疑惑だけでなく、この試合はファールの判定が揺れている印象で選手はフラストレーションが溜まっているように見える。
41分には右サイドの裏にベ ジョンミンが抜け出すと、ここに良いロングボールが送り込まれる。
城和隼颯がスライドして対応しコーナーキックに逃げるが、ここまで試合を通して中塩大貴の裏が狙われている印象も…。
中塩の裏と言うよりは高い位置を取る杉本竜士の裏…と言う方が正しいか?
【45~60分】メンバーの変更は無いが…
後半は熊本のキックオフでスタート。
両チームともにハーフタイムでのメンバーチェンジは無く後半となった。
完全にプラン外…ということは無いだろうが、恐らく群馬サイドとしては前半は0-0のプランだったであろう。
それが崩れたのでハーフタイムで動くかと思ったが、メンバーは代えず。
しかし見ているとどうやら戦術を修正したようで、この後半頭は髙澤優也と和田昌士の位置取りが逆に。
また動き方としても、いつも通りの形となり右側の髙澤が高い位置を取り、左側の和田が降りてボールを受ける役割を。
そして右側はどうやら大畑隆也ではなく、佐藤亮が絞ってシャドーに入ってくる形にしたようで…大畑はワイドに上がっていくように見える。
もちろん時間帯、展開によって流動的になるだろうが…ハーフタイムでシステムの変更があったとは思われる。
54分、大畑隆也のファールで良い位置で熊本にフリーキックを与えてしまう。
古長谷千博の右足から巻いてくるボールは素晴らしいキックとなったが、下がりながら城和隼颯が頭に当てる。
しかし下がりながら…ということもありクリアは不十分となり、こぼれ球を伊東俊が直接狙う。
叩きつけられて嫌な弾み方となったボールかつ、ブラインドだったと思うが櫛引政敏が正面でしっかりとブロックを作っている辺りがさすがである。
とは言えキャッチはできず身体に当てるのが精いっぱいとなり、こぼれ球を岩下航が詰めるが酒井崇一が身体を張ってブロック。
この辺りはいつも通りDF陣は身体が張れている。
57分には熊本の右サイドからのコーナーキックというピンチを迎え、ファーに送られたボールは競り勝つも…セカンドボールは熊本が回収。
回収した上村周平から岩下航に繋ぎ、ワンツーでボールを引き出そうと縦に抜けた上村を囮に岩下はクロスを選択。
クロスに阿部海斗が飛び込み、素晴らしいヘディングシュートを見せるが…これは櫛引政敏がスーパーセーブで守りきる。
ややコースが甘かったことが得点には繋がらなかった要因と言えそうだが、差し引いても櫛引のセーブを誉めるべきだろう。
58分、追う立場である群馬が先に動き、杉本竜士に代えて山中惇希、和田昌士に代えて佐川洸介の2枚代え。
期待していた和田であるが、期待値が高過ぎたか…新加入でありこれからということか…やや物足りない印象であった。
楔のパスを引き出し前を向く役割を期待したものの、フィジカル面で厳しそうな印象を受けた。
また技術的にも受けた後に1人で運び時間を作れるようには見えず、周囲のサポートを必要とするタイプだろうか。
とは言えこの辺りは時間が解決するという側面もあり、この試合だけで判断するのは早計だろう。
【60~75分】まさかのシュート0
67分、左サイドの大西遼太郎からロングボールが送られる。
ここに石川大地が抜け出すが、トラップが乱れボールは左サイドに流れていく。
城和隼颯が先に追いつくかと思われたが、石川が上手く身体を当てて城和のバランスを崩すことに成功。
ボールを回収すると右足で巻いていくコントロールショットを放つが、これも櫛引政敏がファインセーブでコーナーに逃れる。
理想としてはもう少し高さがあって落ちるボール…だったのだろうが、櫛引でなければ触れない良いシュートであった。
70分、左サイドに流れた髙澤優也に天笠泰輝から浮き球が入る。
これを髙澤がヒールで落とすが、恐らく本来狙った山中惇希には合わず。
しかし佐川洸介がフィジカルを活かして回収し、大きく右サイドにフィード。
このボールはやや短くなり、岩下航が頭でキーパーに返すが…ボールが自分まで届かないと判断した大畑隆也がこれを狙っており滑り込む。
キーパーより先に触ることには成功するが、ボールは大西遼太郎に当たってコーナーを獲得するに留まる。
やっと攻撃の形が作れてきたが…この70分を過ぎてもなんと群馬はシュート0である。
「守備からしっかり」「前半は耐えて後半勝負」「ボールを大切に」という戦術からシュートが少なくなるのは理解できるものの…さすがにこの時間まで0というのはいかがなものか…。
72分、先ほどの大畑隆也の粘りで奪ったコーナーキックを蹴るのは佐藤亮。
良いところにボールは入ったものの…これは熊本に跳ね返され、セカンドボールを風間宏希が狙うもブロック。
このこぼれ球を山中惇希が直接狙うも、これまたブロックされてしまう。
再び山中が回収し縦への勝負から低いクロスを送り込むも、これは田代琉我が良い判断で飛び出しパンチングで対応。
ショートカウンターになりかけたところをしっかりと対応し再びマイボールとした辺りはさすがだが…チャンスは活かしきれずとなってしまう。
74分に熊本が1度目の交代を使い、古長谷千博に代えて藤井皓也を投入する。
【75~90分】佐川の起死回生の同点弾
80分には群馬が2度目の交代を使い、佐藤亮に代えて永長鷹虎、大畑隆也に代えて田頭亮太を投入する。
87分には山中惇希が左サイドを仕掛けると、伊東俊のスライディングに倒されファールを受ける。
しかしこのファールにもカードが出されず山中が激怒。
リプレイを見ると伊東は着地の足を滑らせており、意図したスライディングでは無かったこともありラフな接触となってしまったのだろう。
山中としては周囲を確認するために首を振っているタイミングで、死角となり見えていなかったこともあり荒いタックルと感じたと思われる。
時間帯や点差もあり、髙澤が山中をなだめて早いリスタートを促すのが印象的。
このシーンを見ても髙澤がある程度ボールを受けて捌けるため、髙澤にこの役割をさせたいのはわかるものの…やはり彼はゴール前にいた方が怖い選手であろう。
88分には熊本も2度目の交代を使い、伊東俊に代えて大本祐槻を投入。
92分、佐川洸介がターゲットマンとして投入されていること…既にアディショナルタイムということもありロングボールが目立っていた時間帯。
2度3度と放り込まれたボールは跳ね返されるも、右サイドで回収した永長鷹虎が技術を見せる。
マークを翻弄し内側の風間宏希にパスを通すと、風間からのクロスに髙澤優也が飛び込む。
これは競り勝てずボールは右サイドに飛ぶが、このボールを田頭亮太が頭で中央に折り返す。
するとこのボールを佐川洸介がワントラップから素早く右足を振り抜くと、これがゴールに吸い込まれて同点に。
利き足ではない右足であり、簡単ではないシュートをよく枠に流し込んでくれた。
また興味深いのがゴールが決まった後の周囲の反応。
ゴールを決めた佐川と、結果的にナイスアシストとなった田頭は渾身のガッツポーズ。
ゴール前にいた酒井崇一と永長鷹虎は喜びながら佐川の方へ。
佐川の1番近くにいた髙澤は両手を上げてガッツポーズの後に佐川を労ってから、ボールを拾いに行こうとする。
ゴール左側にいた城和はいの一番にゴールに走りボールを回収。
値千金の同点弾であり、既にアディショナルタイムも3分になるタイミングということで…この同点ゴールに大騒ぎで喜ぶのは当たり前である。
しかしながら喜びよりも先にボールを拾いに行った城和、佐川を祝福した後にボールを取りに行こうとした髙澤の姿を見ると…チームが今季の主将と副主将に2人を任命した理由がわかるというもの。
また佐川は大槻監督の下に駆け寄るところに指揮官への信頼が見え、大槻監督は佐川を労いつつも「まだ終わってない」「もう1点取ってこい」とでも言うようにセンターサークルを指差しているのが人柄を表しているようで印象的であった。
94分には群馬が最後の交代を使い、髙澤優也に代えて平松宗を投入。
同点弾により勢いを増し、最後まで攻め込むも逆転はできずに2試合続けてドローとなった。
ピックアップポイント
システムの変更
だいたい試合経過のところで書いてしまったが、この試合は公式戦では初となる試みが行われたように思う。
これがシステムアップデートによるものなのか、熊本対策だったのかは不明だが…。
まずは開幕戦となった鹿児島戦。
こちらは昨シーズン同様に4-4-2の守備陣形から右サイドバックを上げる形で可変。
ただし昨シーズンの終盤と同じように、右SBを大外に出すのではなく内側に入れるのが特徴的ではある。
(多少の誇張はありイラストがハーフコートだが、イメージは下図の通り)
それに対して今節の前半は、2トップの両方が降りてボールを引き出す形を取っていたように見えた。
代わりに前に出て行くのが両WBである杉本竜士と大畑隆也で、この2枚はWGのように高い位置かつワイドに位置を取る。
DAZNでは画面に映りきらず…確かめられなかったが、画面端から時折映る姿を見ると佐藤亮が中央寄りにポジションを取っていたのではないだろうか?
(多少の誇張はありイラストがハーフコートだが、イメージは下図の通り)
熊本の3トップが群馬の3CBに、熊本のボランチが群馬の両ボランチに付いていた印象。
両サイドはサイド同士のマッチアップとなり、群馬の2CFは熊本の3CBで見ているという状態であった。
そのため風間天笠の両ボランチが下がってビルドアップに参加することで、熊本の両ボランチも引きつけ中央にスペースを作り出す。
そこにFWが降りてボールを受けることで、熊本はCBがそこまで付いていくべきかWBが絞って対応するべきか…というズレを起こすのが狙いだった…のではないだろうか?
前半の内に失点したということもあってか…それとも当初からの予定通りかはわからないが、後半はシステムをいつもの形に戻す。
ただし、この試合では大畑がワイドに開き佐藤がインに絞っていたように見えた。
佐川投入後も前節ほどは2トップ状態にはせず、髙澤が降りてビルドアップの形を作る今まで通りの可変システムと言って良いだろう。
もちろん佐川が入ったことと、時間帯や点差のこともありロングボールが増えたことは事実だが。
特に深い考察があるわけではないが、某掲示板では「和田と高澤の位置が逆」や「和田に1トップやらせてどうする」という意見が多く見られた気がしたので取り上げてみることにした次第。
あくまでも自分の印象だが、いつものシステムで和田の1トップではなく…和田と髙澤の2枚共ボールを受けに降りるシステムを使ったように感じた…という話である。
バックパスの置き所
今回はもう1つ取り上げたいことがある。
43分のシーンが顕著だが、ビルドアップの際にゴールキーパーまでボールを下げる際のボールの質の話である。
こういう言い方は大変失礼ではあるが…櫛引政敏は決して足元の上手いキーパーではない。
(こういうご時世なので言い訳をしておくが、誹謗中傷の意図は全くなく事実とシステムを論じるために必要で書いた)
この43分のシーンでは2度ほど続けて中塩大貴から櫛引にボールを下げている。
櫛引のキックは1本目こそ両チームにイーブンのボールであったが、2本目は完全にキックミスとなりタッチラインを割ることになった。
1本目のキックもイーブンのボールとなったが、決して質が良いとは言えない。
繰り返しになるが櫛引はそれほど足元が上手いタイプではなく、利き足ではない左足になると更に精度が落ちる。
後方からボールを大事に繋いでいくスタイルを取っている群馬としては、これは大きなウィークポイントであることは事実だろう。
それだけに、櫛引に返すボールに一工夫欲しいところ。
恐ろしく単純に言ってしまえば、櫛引の右足側にボールを返せば良いだけである。
特にこのシーンに限ればバックパスを出した中塩にはほぼプレッシャーはかかっておらず、余裕を持って櫛引にパスを送っていると言って良い。
受け手の櫛引も相手FWが近くにいる…なんてこともなくほぼノープレッシャーである。
であれば櫛引が蹴りやすいように、櫛引の右足側にパスを出してやる…くらいの気遣いが欲しいところ。
中塩のフォローをしておくと、彼も利き足ではない右足でバックパスを出していることが1つ。
そしてセオリー的には、安全な左側に返すのが正しいことが1つ。
一応解説しておくと、出し手(中塩)が右側にパスを出すのと左側にパスを出すのでは下図だけパスカットのリスクが違う。(ボールまでの距離が異なる)
出し手へプレスをかけに来る相手だけでなく、このバックパスを狙いにくる選手がいる場合にもボールまでの距離が遠くなる左側が有利なのである。
更に言えばバックパスの大前提と言うか、大事な約束事に「ゴールに向かって蹴らない」ということがある。
例えば芝の状態が悪く、GKが蹴ろうとしたときにイレギュラーバウンドして空振りをしたら?
GKがバックパスを受けようと動いた時に負傷して転倒したら?
ゴールに向かうボールはオウンゴールになるが、枠外に向かって戻したボールならばコーナーキックで済むわけである。
この2つの理由から中塩のバックパスは全く間違っておらず、セオリーからすれば正しいことは事実。
しかしビルドアップを大事にするチームということ、更には中塩にも櫛引にもほぼノープレッシャーであったことを考えると右足側に出す選択肢があっても良かったように思う。
MOM
この試合のMOMは櫛引政敏としたい。
完全に負け試合であった試合を引き分けに持ち込んだ最大の立役者は、同点ゴールを挙げた佐川洸介で間違いないだろう。
しかしこの同点弾を呼び込んだのは、ビッグセーブを続けた櫛引のプレーだったと言いたい。
後半に入った57分のスーパーセーブや、67分のビッグセーブが最大の見せ場と言えるが…このどちらかで2失点目を奪われていたら?
この試合内容を考えると2失点目を奪われた時点で終了となっていた可能性が高い。
櫛引だけでなく全員の守備の頑張りではあるが、1失点で耐えきったからこそ同点弾が生まれたと言って良いだろう。
そして名前を挙げたが、同点弾を決めた佐川は2試合続けて途中出場から良いパフォーマンスを見せてくれた。
スタメン起用の声も多く見られるが…個人的には佐川はこの途中からの投入が良いと考えている。
佐川を最前線に置き、髙澤か和田をシャドーとするならばスタメン起用の可能性はありえなくは無いが…。
しかしこれまでの大槻監督のサッカーを考えると、あのプレスではスタメン起用は考えにくいだろう。
前線から追い続けられる平松宗や髙澤優也が高く評価されているわけで、佐川をスタメン起用するのであればシステムの変更を余儀なくされるのではないだろうか?
3シーズン目となる大槻監督が、シーズン序盤でシステムを大きく変える…というのは考えにくい。
また佐川にしても得意ではないだろうハイプレスをさせるより、点が欲しい時間帯で出してあのフィジカルを活かしてプレーさせた方が効果的である。
(自分が佐川を評価していないわけではなく、チームのシステムを考えると途中投入の方が効果的…という意見である)
気になるのは前節キレッキレだった佐藤亮が今節は消えていたこと。
これまで書いてきたように求められる役割がこの試合では違ったと思われ、それが影響した可能性はあるが…。
佐藤の活躍こそが攻撃のキーでもあるので、次節は期待したい。
コメント
現地観戦していたロアッソサポーターです。
偶然貴ブログを発見しまして、群馬さん側の視点によるマッチレビューを楽しく拝読させていただきました(^^)
石川選手の得点シーン、オフサイド云々の疑義は全くわかりませんでした。
(スタンドで観ていたから当然っちゃあ当然ですがw)
帰宅してDAZNで確認しましたが、見た限りではオンサイドかなぁと。
ただ、仰るとおり真横の映像がないのでなんとも…。
VARのない試合で瞬時に判断するのは大変だなぁと思いました(^_^;)
同点ゴールを決めた佐川選手について、とにかく分厚い!という印象が強かったです(笑)。
結果は引き分けでしたが、失点のタイミング然り、ダメージを負っての帰宅となりました…(ノД`)
もしお聞きできるなら、他サポさんからみたロアッソ熊本の評価をお聞きしたいです。
あと、ロアッソの先発&ベンチメンバーは第1節と違いますのでお手数ですがご確認ください。
(第1節は松岡選手がFW先発、岩下選手のポジションに古長谷選手、DFは阿部選手ベンチでスタメン黒木選手…etc)
今年も長いシーズンが始まりましたが、お互いチームの勝利を願って応援していきましょう(^^)
長々と失礼いたしましたm(_ _)m
(※ 次対戦する時はロアッソ勝たせていただきますよ~( ´ー`)☆笑)
by 現地観戦ロアサポおじさん 2024年3月5日 2:27 PM
現地観戦ロアサポおじさんさん、ありがとうございます。
まさかアウェーサポからコメント頂けるとは!
得点シーン、自分もオンサイドの可能性が高いと思います。
記事内にも書きましたが、仮にオフサイドだったとしても審判を責めるのはかわいそうなレベルでしょう…。
ロアッソのメンバーに関して、確認して修正しました。
一体何を見ていたのか…まさかの同じ試合のリストを見比べていたのかもしれません…。
熊本さんは大木監督が非常に良いチームを作っているな、という印象です。
今年は平川怜選手が移籍したのが特に痛いだろうなと思っていましたが、試合内容では圧倒されたように影響を感じなかったです。
(もちろん平川選手の離脱は痛いでしょうが)
また、まだ2試合ではありますが大卒ルーキーが活躍している点やユースからの昇格などを羨ましく感じています。
特に群馬はユースがかなり厳しい状態ですので…。
昨シーズンは負け越しているので、次のホームでは勝って今年は勝ち越したいと思います!
お互いに躍進の1年になることを期待しています。
by あかぎ 2024年3月6日 10:51 PM