※ザスパクサツ群馬ファンによる、ザスパクサツ群馬贔屓のマッチレビューです。
第37節はホームでの東京V戦。
試合中中断となった第31節が水曜に行われたことで、中3日の3連戦ということに。
プレーオフ内に進出するために勝利が欲しい群馬と、自動昇格県内の2位に入るために勝利が欲しい東京Vという構図なだけに、お互いに勝ちが欲しいゲームとなります。
今回はそんな東京V戦をレビューします。
Contents
スタメン・フォーメーション
ザスパクサツ群馬
スターティングメンバー
| ポジション | 背番号 | 選手名 |
| GK | 21 | 櫛引政敏 |
| DF | 2 | 城和隼颯 |
| 24 | 酒井崇一 | |
| MF | 15 | 風間宏希 |
| 36 | 中塩大貴 | |
| 38 | 天笠泰輝 | |
| FW | 5 | 川上エドオジョン智慧 |
| 7 | 川本梨誉 | |
| 10 | 佐藤亮 | |
| 23 | 平松宗 | |
| 39 | 高木彰人 |
ベンチ
| ポジション | 背番号 | 選手名 |
| GK | 42 | 石井僚 |
| DF | 4 | 川上優樹 |
| MF | 6 | 内田達也 |
| 50 | 菊地健太 | |
| FW | 9 | 北川柊斗 |
| 13 | 武颯 | |
| 14 | 白石智之 |
群馬は前試合（再開試合の第31節）から1枚を変更。
東京Vからレンタルで加入している杉本竜士が、契約上の関係で出場できないため高木彰人がスタメンに入る。
しかし高木は前に入り、左サイドには川本梨誉が回ることになるだろう。
ベンチを見ると、やはり前節の試合終了間際に頭を打ち…整列や挨拶に姿が見えなかった畑尾大翔の姿が無い。
何でも試合後に救急車で搬送されたという情報もあり、大事が無いことを祈るばかり。
代わりに久しぶりに川上優樹が入ることとなる。
また田頭亮太が外れ菊地健太も久々のメンバー入りとなっており、健太に出番が来るのかどうかも注目したいところ。
東京ヴェルディ
スターティングメンバー
| ポジション | 背番号 | 選手名 |
| GK | 1 | マテウス |
| DF | 3 | 谷口栄斗 |
| 6 | 宮原和也 | |
| 13 | 林尚輝 | |
| 24 | 奈良輪雄太 | |
| MF | 7 | 森田晃樹 |
| 8 | 齋藤功佑 | |
| 14 | 長谷川竜也 | |
| 25 | 稲見哲行 | |
| 47 | 中原輝 | |
| FW | 39 | 染野唯月 |
ベンチ
| ポジション | 背番号 | 選手名 |
| GK | 21 | 長沢祐弥 |
| DF | 5 | 平智広 |
| 16 | 山越康平 | |
| 26 | 加藤蓮 | |
| MF | 23 | 綱島悠斗 |
| FW | 29 | 河村慶人 |
| 30 | 佐川洸介 |
東京Vは前節から2枚を変更。
共に最終ラインで加藤蓮に代わり奈良輪雄太、平智広に代わって林尚輝が入る。
好調なヴェルディではあるが、ここ2試合引き分けが続いており自動昇格県内である2位以内を目指すためにも足踏みをしていられない状況。
注目はやはり夏の移籍で鹿島から加入した染野唯月か。
他にも横浜FCから加入した長谷川竜也、セレッソ大阪から加入した中原輝と新戦力がフィットしているのも注意したいポイント。
個人的に注目しているのは、中盤の底で攻撃のタクトを振るう森田晃樹である。
試合経過
【0～15分】開始早々のチャンスを活かせず
前半は東京Vのキックオフでスタート。
杉本竜士が契約上の関係でメンバー入りしていないため、左サイドに誰が入るのか…というのが注目ポイントであったが予想通り川本梨誉が入る。
これにより高木彰人がFWの左側に入りビルドアップでは降りてくる役割を、平松宗が右側に入り攻撃時には3トップの頂点という形に。
開始早々の1分、川本梨誉が良い粘りからボールを繋ぐと左サイド裏に抜け出して風間宏希からパスを引き出す。
グラウンダーのクロスはクリアされてしまうが、これを再び回収すると逆サイドの川上エドオジョン智慧へと広げる。
エドは更に外の佐藤亮に広げると、カットインからクロスを送るも…これは珍しくミスキックか？
しかし高木彰人の背中に当たる形で、その奥ゴール前に入り込んでいた平松宗にナイスボールとなる。
平松がダイレクトでシュートを狙うが…全くミートせずに…これはクリアされてしまう。
クリアボールも回収し中塩大貴のクロスを平松が頭で合わせるが、大きく枠の外に…。
開始早々に絶好の得点チャンスを迎えたものの…これを活かすことが出来なかった。
5分、川本梨誉が良い出足で相手のトラップミスを回収するが…ここはファールを受ける形でカウンターにならず。
これで得たフリーキック、蹴るのは風間宏希だったがややボールが高くなったか、マテウスが飛び出す時間が出来てしまいパンチングでクリアされてしまう。
このこぼれ球を川上エドオジョン智慧がミドルで狙っていくも、このシュートは枠の上に。
7分、東京Vらしい素晴らしいパスワークからピンチを迎える。
元々は川本梨誉のファールからのリスタートだが、その流れで中原輝からの横パスを森田晃樹が受ける。
森田が良い縦パスを齋藤功佑に入れると、齋藤はダイレクトでリターン。
これが浮いてしまうも、森田は冷静にボレー気味に中央の染野唯月にピタリと合わせる。
染野もダイレクトで斜め前に落とすと、このスペースに入り込んだ稲見哲行がダイレクトで合わせるも枠の上に外れてくれる。
ワンタッチのパスを多用し、多くの選手が絡んだ素晴らしい崩しとなり…完全に1点を失ってもおかしくないシーンだった。
稲見がフリーで抜け出しているのが気にはなるが…あれだけダイレクトで速く回されてしまうとボールウォッチャーになってしまうのは仕方ないところだろう。
【15～30分】川本の躍動
20分、ペナルティエリアやや外で東京Vがフリーキックを獲得。
中原輝が直接狙っていくも、これは落ち切らずに枠を外れていく。
櫛引政敏が1歩も動かなかったが、動けなかった…のではなく完全に見切って動かなかったように見える。
とは言え東京Vも良いキッカーがいるので、あまりこういった良い位置でのファールは避けたいところ。
22分、マテウスからのロングボールは城和隼颯が跳ね返すも、このボールを森田晃樹がダイレクトで長谷川竜也に素晴らしい縦パスを付ける。
手前でバウンドする難しいボールだったが、足の運びとジャンプで見事にタイミングを合わせて素晴らしいパスを繰り出してみせた。
このパスを受けた長谷川が少しドリブルで運んでから右にパスを送ると、これを齋藤功佑がスルー！
その奥で中原輝が狙うも、これは合わなかったか…シュートは力なく櫛引政敏に収まる。
スルーのアイディアも素晴らしかったが、やはりこのシーンで素晴らしかったのは森田のエグい縦パスだろう。
26分、左サイドでの中塩大貴からのスローインを、川本梨誉が中央に走りながら引き出す。
これは自分のところにコントロールしきったとは言えなかったものの、触ったボールが縦に抜け川上エドオジョン智慧がワンタッチで再び川本に落とす。
川本がそのままの勢いでカットイン、2枚に挟まれてファールを受けるも粘って強引にシュートまで持ち込むも…これはキーパー正面に。
ファールを受けつつもプレーオンで流され、強引にシュートまで持ち込む辺りは川本らしく…この試合は非常に良いプレーが多かった。
その強引さが川本の良いところだが、このシーンに限れば右サイドで佐藤亮がフリーで両手を上げてボールを要求しており…そこを使っても良かったかと。
恐らくワントラップで左足の前に置き、平松宗にピンポイントでクロスを送る…というプレーになっただろう。
【30～45分】ビルドアップから危うく…
36分、群馬がビルドアップで後方でボールを回す。
天笠泰輝から櫛引政敏までボールを下げると、ワントラップから長めのボールを蹴ろうとしたところを染野唯月に狙われる。
櫛引のキックが染野に当たり、ボールはポストのやや右側に外れて事なきを得るが…非常に危なかったシーンとなった。
確かに櫛引が余裕を持ち過ぎてはいたが…染野の走るコース取り、そしてパスコースを読んでの足の出し方が素晴らしかった。
これが失点にならない辺りが今期の群馬の好調さを表しているのかもしれない。
43分、良い位置で川本梨誉がファールを受けてフリーキックを獲得。
これは風間宏希が直接狙っていくが、枠の上に外れてしまう。
偶然か風などの影響があるのか…今日は両チームともにボールが落ち切らない印象も。
【45～60分】天笠のミドルシュート
後半は群馬のキックオフでスタート。
ハーフタイムで東京Vが動き、長谷川竜也に代えて加藤蓮を投入する。
50分、左サイドでコーナーキックを獲得すると、キッカーは風間宏希。
中央に送られたボールに酒井崇一が飛び込むが、谷口栄斗と競り合いミートはさせられず。
ほぼ真下に落ちたボールを左足でシュートするも、これは枠の外に外れてしまう。
56分、右サイドを良い形で佐藤亮が運ぶも繋がらず。
再びマイボールに回収すると、風間宏希が左サイドの川本梨誉に広げる。
川本のクロスはやや合わず跳ね返されてしまうがクリアは短くなり、更にはこのこぼれ球を風間が競ったことでこのクリアも短く。
このボールを天笠泰輝がダイレクトで狙っていくも枠の上に…。
可能性は感じる良いミドルではあるが…天笠は良いミドルを多く放っているだけにそろそろ1つ決めたいところ。
また川本のクロスは悪くなかったが、ファーで平松宗と佐藤亮が重なっており…どちらかが中央かニアに入っていきたかったところ。
58分に群馬が動き、高木彰人に代えて武颯を投入。
これにより高木のいた位置に平松宗が、平松のいたところに武が入る形になる。
2トップの右か左か…という違いではあるが、攻撃時には3トップに可変するためこれは大きな違いとなる。
60分には東京Vも動き、奈良輪雄太に代えて綱島悠斗を投入する。
【60～75分】一触即発の危機も…
66分、左サイドの深い位置で佐藤亮がファールを取られてしまう。
コーナーキックよりやや短く、やや内側の位置だったが…これを中原輝が直接狙って良く。
櫛引政敏も直接ではなく合わせてくるだろうと読んでいたか、飛び出しかけたところを戻る形にはなったもののしっかりとパンチングでクリア。
69分、天笠泰輝のファールに齋藤功佑が応戦する形となりゲームが少し止まる。
結果として齋藤にイエローカードが出されるが…天笠の頭を突き飛ばした行為を考えると一発レッドであってもおかしくないだろう。
そして天笠のファールも少しやり過ぎた感があり、これにノーカードというのも東京V側としては納得できないところ。
まぁ…天笠はその直前に中原輝に完全に引っ張られ足もかけられる形だったがノーファールとなっており、審判に不満をぶつけていたシーンが。
その報復と言ったら語弊があるかもしれないが、少し頭に血が上っていたところはあるだろう。
今日は比較的荒いプレーが多く、ファールやカードの判定も甘めとなっており…ゲームが荒れ気味になったのが残念なところ。
【75～90分】エド無双
76分、ファールからのリスタートの流れで中塩大貴から酒井崇一へとサイドチェンジ。
酒井から縦にロングボールが入れられると、川上エドオジョン智慧が上手く身体を使って抜け出してゴール前にグラウンダーでクロスを送る。
このクロスはニアに入り込んだ武颯には合わないものの、抜けたその先で川本梨誉がシュートを放つもブロックされてコーナーに。
78分、再び川上エドオジョン智慧が突破を図る。
ファールを受けるもプレーオンとなり、そのまま突破からクロスを送る。
このクロスは精度を欠いてしまうが、ファーサイドに流れたボールを川本梨誉が回収。
カットインからファーサイドの上角を巻いて落とすシュートで狙うも、このシュートも落ち切らず。
今日は全体的にボールが浮いてしまうと言うか…落ちない印象が…。
しかしエドは本当に凄い。
身体の使い方とボールタッチの仕方が上手く、マークを剥がしてボールが運べる唯一の存在となっている。
1人だけ動きのスピードが違うと言うか…フレーム数が違うと言うか、スーパーマ〇オのスターを取った時のような動きでマークを剥がすのが印象的。
79分、東京Vが動き、齋藤功佑に代えて河村慶人を投入。
87分には両チームが交代に動き、先に東京Vが森田晃樹に代えて平智広、染野唯月に代えて佐川洸介を投入。
群馬が風間宏希に代えて内田達也、平松宗に代えて北川柊斗を投入する。
そのままのポジションに入り、北川はやっと本職のFWで起用されることになる。
直後の89分に川本梨誉が足を攣ったこともあり、最後の交代枠を使う。
川本に代えて白石智之が投入されるが…結果論かもしれないが川本は先ほどの交代時に3枚代えで代えておけば良かった。
今日はかなり走っており、運動量が落ちてきていたことは明白。
3枚代えておけば交代回数が1回残り、川上優樹か菊地健太の投入も可能であった。
とは言え…個人的にはベンチには入れたものの…川上と菊地を使う予定は無かったようにも思っている。
95分、白石智之が左サイドを突破してファールを受ける。
これをクイックリスタートで始め、再び白石が左サイドを突破。
左からのコーナーキックのチャンスを得る。
佐藤亮のボールを武颯が折り返し、北川柊斗が詰めるも…このシュートは外からサイドネットを揺らすこととなった。
難しいボールではあったが…本職FWで起用された北川としてはここで決めきってチャンスを掴みたいところだった…。
武の折り返しを中央で内田達也も合わせにいっており、これが捉えていれば…というシーンでもあったか。
こうして両チームともに1点が遠く、スコアレスドローという結果に。
やや荒れた試合ではあったが、お互いに自分たちの良いところを出そうとしたゲームとなり見てても面白い好ゲームであった。
ピックアップポイント
両サイドの逆足配置
この試合の注目ポイントであった、出場できない杉本竜士のところに誰を置くか…という問題。
個人的には川本梨誉だと思っており、これが当たる形になったが…この躍動は正直予想外であった。
川本は左サイドでは機能していなかったことが多く、途中やっとフィットしてきたかなという時期もあったものの…サイドの選手では無いという印象。
しかし今日の川本は数字こそ残せなかったものの、攻守に躍動したと言って良いだろう。
さてこの両サイドの逆足配置、更には佐藤亮を大外に張らせて川上エドオジョン智慧が中に入るという…ある意味セオリーとは逆の配置に関してDAZN解説の幸谷秀巳さんが面白いことを言っていた。
要約すると大筋はこんな感じである。
大外でボールを佐藤が受けた際に、逆サイドの川本がカットイン。
この裏抜けに良いボールを出すためには、右サイドに左利きの選手を置きたい。
ということ。
なるほどとは思ったものの、この試合以外…例えば杉本竜士がそういった裏を狙う姿勢を見せていたかと言うと…疑問符が。
ただしかし、佐藤亮のアシスト数が示すようにカットインから精度の高いクロスをゴール前に送るというのは狙いの1つではあるだろう。
川本梨誉はクロスではなくシュートを狙うことが多かったが、同様にカットインから利き足でチャンスを作りだすシーンが多かった。
更には川上エドオジョン智慧が中央で相当にやれるようになっているのも大きい。
突破力のあるエドこそ外に、足元の上手い佐藤を内に…と思っていたがエドがこれだけターンして前を向いてキープできるとなるとこの配置も面白くなってくる。
同様に岡本一真も高いレベルで今のエドと同じ役割をこなしていたことも思い出される。
となると、右サイドバックに岡本が復帰した際には今と同様に内側のレーンを取らせる。
そしてエドを左サイドで同じ役割をさせれば…面白いことになるのではないだろうか？
（要は長倉幹樹の役割である）
エドを無理にFWの左に置く必要はなく、左サイドハーフで起用し攻撃時には3トップの左側という役割をさせれば良い。
そして左のFWに杉本竜士や白石智之を起用し、攻撃時にはWBのように外に張らせる動きをさせればシステムは今のままと変わりないと言える。
杉本や白石の守備能力、更には突破力を考えると理に合っており、このアイディアに夢が見られるのは自分だけでは無いかと思うが…。
とにもかくにも岡本一真の万全な状態での復帰が望まれる。
MOM
この試合のMOMは川上エドオジョン智慧としたい。
役割に慣れてきたのか、ここ数試合は本当に良いプレーを見せている。
特に中央の比較的プレッシャーのかかるエリアで簡単にボールを失わず、更には良いタッチでマーカーを剥がしてチャンスを作り出すシーンが多く見られる。
現在の群馬で数少ない個の力で打開できる存在となっている。
次に名前を挙げたいのが川本梨誉。
今期の成績は正直物足りないのは事実だが、前節と言い今節と言い非常に良いプレーを見せている印象。
調子の波がある印象もあるが…このまま好調な状態をキープしてほしいところだろう。
他には90分を通して高い水準でプレーしたのは佐藤亮と天笠泰輝か。
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