※ザスパクサツ群馬ファンによる、ザスパクサツ群馬贔屓のマッチレビューです。
前節は徳島を相手にスコアレスドロー。
5連戦を0勝2分3敗という成績で終えることとなりました。
明らかに疲労の色が見える5連戦だっただけに、久しぶりに1週間空いた今節には期待がかかるところ。
また、上位ではあるものの…なぜか相性の良い岡山ということで、ここで勝利して再び良い流れに乗っていきたいところでもあります。
今回はそんなファジアーノ岡山戦をレビューします。
Contents
スタメン・フォーメーション
ファジアーノ岡山
スターティングメンバー
ポジション | 背番号 | 選手名 |
GK | 13 | 金山隼樹 |
DF | 5 | 柳育崇 |
11 | 宮崎智彦 | |
23 | ヨルディ バイス | |
24 | 成瀬竣平 | |
MF | 6 | 喜山康平 |
8 | ステファン ムーク | |
14 | 田中雄大 | |
26 | 本山遥 | |
FW | 15 | ミッチェル デューク |
19 | 木村太哉 |
ベンチ
ポジション | 背番号 | 選手名 |
GK | 35 | 堀田大暉 |
DF | 3 | 阿部海大 |
16 | 河野諒祐 | |
MF | 28 | 疋田優人 |
FW | 9 | ハン イグォン |
20 | 川本梨誉 | |
39 | 白井陽斗 |
岡山は前節から3枚代えとなり、試合終了間際に失点を許して敗戦となった前節からは多少変更となった様子。
群馬としてはラッキーと言えるか、チアゴ アウベスがベンチ外となっている。
前節敗戦となったとは言え、今シーズンという意味では上位に付けており非常に好調な岡山。
チアゴ アウベスは不在のものの、ステファン ムークが2得点、ミッチェル デュークと田中雄大が3得点と、点を取れる選手がいる。
守備ではヨルディ バイスと柳育崇を中心に堅守となっており、失点は16と群馬と同じ数字。
注目はバイスで、長崎時代から非常に良い選手だと思っているが…なぜかその後はJ1からは声がかからず(年齢か?)
個人的には、J2ではトップクラスのCBだと思うが…。
ザスパクサツ群馬
スターティングメンバー
ポジション | 背番号 | 選手名 |
GK | 21 | 櫛引政敏 |
DF | 2 | 城和隼颯 |
3 | 畑尾大翔 | |
25 | 小島雅也 | |
MF | 6 | 内田達也 |
8 | 岩上祐三 | |
17 | 山中惇希 | |
30 | 山根永遠 | |
FW | 7 | 加藤潤也 |
10 | 田中稔也 | |
23 | 平松宗 |
ベンチ
ポジション | 背番号 | 選手名 |
GK | 44 | 山田晃士 |
DF | 32 | 渡辺広大 |
MF | 27 | 奥村晃司 |
38 | 天笠泰輝 | |
FW | 9 | 北川柊斗 |
11 | 深堀隼平 | |
39 | 高木彰人 |
群馬は前節から変更無しのスタメンとなり、ベンチ入りメンバーも変更無し。
1週間空いた試合となるために、これが現状のベストメンバーということだと思って良いのではないだろうか?
チームからは怪我の公表がされていない選手も多く、怪我で外れているのか…戦力として計算されていないのか…判断が難しい選手も。
5連戦では疲労面で苦しんだ印象が強いので、怪我人の復帰とベンチ外メンバーの奮起、更には少し気が早いが移籍期間での適所の補強と…選手層を少し厚くしたいところだろうか。
また試合前のウォーミングアップで気になったが…山根永遠の左膝はテーピングでグルグル巻き状態。
野戦病院とまでは言わないが…少し怪我人が多い印象がある。
試合経過
ハイプレス
前半は群馬のキックオフでスタート。
メンバーを見るに4-4-2だと思ったが、予想通りに守備時には4-4-2となった。
攻撃時には右の小島雅也が高い位置を取り、3-4-3気味に可変するのもいつも通りと言える。
5分、群馬左サイドを突破されてしまう。
成瀬康平から田中雄大に縦パスが入り、インナーラップで抜け出した本山遥が岩上祐三の裏を取ることに成功。
一気にペナルティ内に侵入しクロスを送るが、これはゴール前のミッチェル デュークには合わず…更にはファーにも合わずに逆サイドに抜ける。
逆サイドのタッチライン際で木村太哉が回収し、一度宮崎智彦に戻してからリターンを受け、ここからクロスをゴール前に。
ここに飛び込んだのが田中雄大だったが、このヘディングは櫛引政敏がファインセーブで抑える。
最初の本山の突破も素晴らしかったし、その後の田中のヘディングも素晴らしかっただけに非常に危なかったシーン。
田中は選手データによると162cmと小さいが…ゴール前への入り方が非常に上手かったために山中惇希が競り負ける形に。
山中をこのポジションで使う限りここは穴となり、ここ数試合は同様に逆サイドからの長いクロスボールを当てて狙われている。
チームとしてもわかってはいるが…といったところか。
10分、嫌な位置でファールを取られてフリーキックを与えてしまう。
田中雄大のキックが良い位置に入り、ミッチェル デュークと飛び出した櫛引政敏が競り合うが…デュークが競り勝ったと言って良いか。
しかしこれはオフサイド。
田中の蹴る前に宮崎智彦がキックフェイントを入れており、このタイミングで少しDFラインが上がったことでデュークは出た状態だったか。
しかし田中雄大は良い選手だな…。
ルーキーながら既に3ゴールと、まさに良い出出しとなり今期ブレイクの予感。
早稲田大学の同期である田部井悠にも期待がかかるが…。
大きなチャンスは岡山のみの時間帯となったが、両チームともにハイプレスを中心に速い展開の出だしとなっている。
お互いに集中した守備の時間
15分、群馬右サイドで宮崎智彦が空間を使ったショートパスを縦の木村太哉に入れ、田中稔也を外すことに成功。
木村はインナーラップでスルスルと抜け出した喜山康平にスルーパスを通し、喜山の折り返しをミッチェル デュークが合わせるが…これはわずかに枠を外れて助かることに。
喜山のマークは内田達也だったが、動きに合わせてしっかり付いていたものの…パスが出る瞬間にオフサイドを狙って止まったことで結果的にフリー気味に。
ここでオフサイドが取れれば完璧だったが…取れなかったことで内田が少し遅れ気味になったわけだが、ここは仕方ないだろう。
デュークに対しては畑尾大翔が付いていたが、これはデュークが上手かった。
ゴール前に入り込む際に畑尾とポジションを取り合い、(少し手を使って畑尾を払った気もするが)急に止まることでスペースとフリーを作り出すことに成功。
畑尾も完全に離れてしまいつつも、最後はよくコースに身体を投げ出した。
これもデュークがシュートを外したことに影響があっただろう。
17分、自陣左サイドからのスローインを山中惇希が縦に長いボールを入れる。
ここに最初は加藤潤也が絡むが、DFと共に双方触れずボールは後ろに。
流れたボールには平松宗が行くが、ここはDFに体を掴まれる形で…これもボールが後ろに流れる形になる。
自分が触れなかったために前に矢印を向けていたKJがこのボールを拾い、一気に抜け出すことに成功。
中央にドリブルで運び、一度右サイドの小島雅也に預ける。
小島はこれを逆サイド、左サイドをフリーで駆け上がる山根永遠にクロスを送るが…これは山根の手前で柳育崇が頭でカット。
通っていれば面白かったが…少し距離があったか、柳が充分に対応できる時間があったのが悔やまれるところ。
しかし攻撃の形としては良いショートカウンターだった。
20分には距離はあるが右サイドでフリーキックを獲得。
これを岩上祐三が中に放り込むが…ここは跳ね返されてしまう。
こぼれ球を山中惇希が回収し、再びクロスを上げるかと思いきや…ドリブルで左サイドを突破。
ファーサイドへのクロスは少し精度が甘く、ゴールキーパーが触るが…クリアはしきれずファーに。
これを山根永遠がダイレクトでボレーを打つも…わずかに枠の外。
山中の良さはコレであり、このドリブルでの突破力と技術の高さなのだが…現状のシステムでは活かしきれていないのが気になるところ。
もちろんスタッフもわかってはいると思うが…怪我人等々のチーム状況を考えるとこの形になってしまうのだろう。
3CBと言っても右の城和隼颯はほぼ攻撃参加しないので、もう少し左の山中の攻撃参加の機会が増やせると攻撃に厚みが出てくるとは思うが…。
お互いに少ないながらもチャンスは作りつつ…しかし決定打に欠ける、言い換えるとどちらも非常に集中した守備を見せる展開が続く。
一進一退 チャンスは迎えつつもスコアレス
32分、ヨルディ バイスが自陣から一気に群馬左サイドへロングボールを供給。
これは山根永遠が先に落下点に入ったが…手前で田中雄大が飛んだことでボールを見失ったかコントロールミス。
これを田中に拾われそのままミドルを打たれてしまうが枠の上に。
しかし田中雄大は本当に積極的でルーキーとは思えない良い動きを見せている。
高卒ではなく大卒ルーキーとなれば、期待するのは即戦力だと思うが…岡山は良い選手を獲得したものだ。
39分には群馬左サイドからのコーナーキック。
田中雄大のキックを後ろから入り込んできた本山遥が頭で合わせるが、ミッチェル デュークに当たり枠を大きく外れて助かる。
本山はペナルティエリアの外から入ってきたという…デザインされたプレーだけに、ここに誰も対応出来ずにフリーにしてしまったのは仕方ないとも思うが…セットプレーの守備は課題の一つだろう。
41分、城和隼颯から右サイド裏の平松宗にロングボールが入るが、これはヨルディ バイスが頭で宮崎智彦に落とす。
しかし宮崎がトラップミスしたところを平松が奪い取り、小島雅也に落とす。
小島は中央加藤潤也にパスを送るが…なんとKJがここで空振り。
しかしその外を山根永遠も上がってきており、ファーに巻いて落とすイメージのコントロールショットを放つが…枠の外。
小島のパスが少しインフロントにかかっていたために、KJの予想よりもボールが少しマイナスに戻ったことで空振りになったか…。
46分には群馬右サイドを攻められる。
一度奪って畑尾大翔がクリアするが、これが短くミッチェル デュークが回収。
デュークは横パスで成瀬竣兵に預けゴール前に駆け上がると、そこに成瀬からクロスが入り頭で合わせるが櫛引政敏がセーブ。
勢いのあるヘッドだったが…少し叩きつけ過ぎてしまったことで櫛引としては処理しやすい形に。
誰もデュークを見ておらず、フリーで入り込まれているのが気になるところ。
前半の終盤でお互いにチャンスは迎えつつも、スコアレスでハーフタイムを迎える事となる。
疑惑の判定?外か中か?
後半は岡山のキックオフでスタート。
両チーム共にハーフタイムでの交代は無く後半を迎えることに。
51分、右サイドでボールを受けた田中稔也から、裏に抜け出した加藤潤也にロングボールが入る。
ヨルディ バイスの上を抜け、その裏のKJにピタリと収まる見事なパスとなりKJがここでキープ。
時間を作り味方の上がりを待ち、中央に上がってきた内田達也にパスを通しシュートまで持ち込むが…このシュートは柳育崇が股下で挟み込むようにブロック。
内田としてはコースを狙ったシュートだったのだろうが…それが故に少しシュートにスピードが無かったか。
しかし稔也には珍しく…と言ったら失礼だが…素晴らしいロングパスだった。
あまりこういったプレーをするイメージがなく、どちらかと言えば奥村晃司がこういったプレーを得意にしている印象。
それとKJに収まったあとに平松宗が外をオーバーラップしたのも忘れてはいけないポイント。
平松が外を回ったことで中が空き、内田がフリーになるスペースを作っている。
56分、群馬の左サイドで畑尾大翔がステファン ムークに対してファールを取られてしまう。
ペナルティエリアの外か中か…判定が非常に難しい際どいところだったがこれは外の判定。
しかしリプレイを見ると…中のような気もするな…。
とは言え、サッカーという競技の精神を考えるとこのファールは外でフリーキックというのが妥当だろう。
よくジャッジリプレイで原博実さんが似たようなことを言っていたが、自分としては原さんの意見はサッカーの面白さの本質だと思う。
ルールの正しい適用としては今回もPKが正しかったかもしれないが、あのシーンでは外でFKでの再開が試合の展開としては正しいかなと。
上手く言えないが、何でもかんでも正しさを求めるわけではなく…グレーな部分があるのがサッカーの面白さではないだろうか。
もちろんこの試合だけの話としては、岡山ファンからすればたまったものではないだろうが…。
コーナー直接!岩上の魔球
68分、中央で田中稔也が城和隼颯からパスを引き出し、これを左の加藤潤也に。
KJは更に左サイドの山根永遠に広げ、山根からゴール前にクロスが送られるも…これは跳ね返されてしまう。
しかし直前にも中央の良い位置で稔也がパスを受けたシーンがあり、この試合では良い形で稔也がボールを受けられている印象がある。
これはちょっと後ほど触れたい。
70分には左サイドでコーナーキックを獲得。
キッカーは岩上祐三で、ニアに蹴ったボールがそのままゴールに吸い込まれて先制!
恐らくニアに入り込む平松宗を狙い、フリックして更に中に…というプレーだったと思うが…。
ニアのストーンに入っていた木村太哉の頭を超え、それがブラインドになったか…抜けると思っていなかったか…キーパーの金山隼樹も反応が遅れて良い形で触れずにボールはネットの中に。
金山は直前に自分のスペースを確保しようと山根永遠とやりあっていたので、そちらも影響があったかもしれない。
失礼な言い方になるが…岩上のキックミスが結果的にゴールに吸い込まれたと言える。
キックミスと言い切ってしまうのもどうかとは思うが…平松を狙ったボールであればもう少しマイナス寄りだったかと。
逆に平松が予定の場所まで入り切れなかった可能性も無くはないが…。
72分、このゴールの後のキックオフ前に岡山が交代カードを使う。
コーナーキック前から準備はしており、セットプレーだったために交代を待ったが…これが得点になったことで展開が変わってしまった形に。
それもあってかキックオフの準備ができてからも交代までに時間がかかったが…もしかしたら予め用意していたカードと変えたのか、増やしたのか?
結果としては3枚代えとなり、喜山康平に代えてハン イグォン、成瀬竣平に代えて河野諒祐、ステファン ムークに代えて川本梨誉を投入する。
73分には群馬も動き、田中稔也に代えて奥村晃司を投入。
奥村はそのまま右サイドに入ることに。
両チームとも交代カードを使って流れを自分たちに引き寄せたい時間帯となる。
パワープレーも凌ぎきり今期6勝目
76分には再び岡山が動き、木村太哉に代えて白井陽斗を投入する。
77分、中央の岩上祐三から右サイドの小島雅也に広げ、小島はこれをゴール前に上げる。
しかしこのクロスは小島に対応したハン イグォンの足に当たりコースが変わって高く上がる形に。
これを加藤潤也が収め、上手い体の使い方から右からゴール前に抜け出すことに成功。
ゴール前には平松宗がいたが、KJは自らシュートを選択するも…わずかに枠の外に。
ドリブルのタッチが1つ多くなったことでシュートの角度を狭めてしまったのが要因か…。
本当はこのタッチのタイミングで中央の平松にパスを出す予定だったと思われるが、柳育崇が非常に良い戻りを見せ平松の前に入っている。
これでゴール前に出せなくなり、もう一個サイドにドリブルで持ち出した…のじゃないかと思うが…ここは決めておきたかったところ。
しかし前節と言いKJが積極的にシュートを狙っており、これは明らかに以前とは意識が異なるのでそういった指示もあったか?
KJは非常に良いスルーパスを持っており、スペースを見つける能力も高いから…パスが出せてしまう…というのは以前も書いたが、このシーンは狙って正解だろう。
結果として枠を外してしまったが、ここで勝負して外しても責める人間はいないんじゃないだろうか。
78分には自陣でのパス回しから、内田達也が少し長いボールを縦に入れる。
これを加藤潤也が山根永遠に落とし、山根がドリブルで一気に運んでいく。
ペナルティエリアの外で中の奥村晃司に送り、奥村はここからミドルシュートを放つもキーパーがナイスセーブを見せる。
KJ、山根、奥村と良い形で連動し、奥村のシュートもらしさのある良いシュートだったが…キーパーのセーブが素晴らしかった。
81分には両チーム同時に動く形となり、岡山は本山遥に代えて疋田優人を、群馬は山中惇希に代えて渡辺広大を投入。
広大はそのまま山中の位置に入るが、これは守備固めで完全に3バックに移行と思われる。
守備時には山根永遠と小島雅也が両ワイドに下りて、5バックの形となるだろう。
87分には群馬も最後の交代を使い、内田達也に代えて高木彰人、加藤潤也に代えて北川柊斗を投入。
高木が右に入り、奥村がボランチに移ることとなる。
80分頃から山根永遠がだいぶ体力的に厳しそうに見え、天笠泰輝を入れるかと思ってたが…後ろは下手に代えてバランスを崩したくないといったところか。
高木と北川に前から追ってもらい、山根や小島雅也の負担を減らしていきたいところ。
92分、小島雅也が少し処理を誤る形になったボールをハン イグォンが奪う。
そのまま単独で突破を見せペナルティエリア内に侵入するも、群馬DFも必死にシュートコースを切り簡単に打たせない。
イグォンは打たせてもらえず、少しずつ中央に下がりながらドリブルで運ぶ形になり…最後は強引にシュートを放つが枠の外。
最後は北川柊斗もしっかりと戻ってコースに入っており、チーム全体の守備意識が見られたシーン。
もちろん展開として北川も高木も前線からの守備のタスクを与えられて入っているとは思うが…FWの選手ながらしっかりと守備の意識が見られるのが今シーズンのポイントと言えるだろう。
終盤は岡山もパワープレーに出てきていたが、畑尾大翔と城和隼颯を中心に基本的に高さ負けはしておらず簡単に放り込まれたボールは全て跳ね返していたのが大きい。
92分のシーンは肝を冷やしたが…このままアディショナルタイムも逃げ切り久々の勝利となった。
ピックアップポイント
田中稔也というプレーヤー
今回は少し趣向を変えて、個人的に気になったプレーでは無くプレーヤーに焦点を当ててみたい。
と言うのも今日の田中稔也は今シーズンではベストと言っても良い出来の良さであり、課題となっていたプレーにかなりの改善が見られた。
今シーズンの右サイドハーフとして、ほぼ不動と言えるのが田中稔也である。
第3節こそベンチスタートとなったが、開幕からスタメンとして起用されており、現状のシステムではファーストチョイスで間違いないだろう。
しかしながらファン・サポーターからは疑問視する声も出ていることも確かであり、個人的にも攻撃面での物足りなさを感じているのは事実。
その状態でなぜファーストチョイスで使われ続けているのかと言うと、このポジションの選手では抜群に守備が良いから…だと思われる。
対人に強いわけではないが、プレスの行くところ行かないところの判断に優れており、プレスのかけるコースが抜群に上手い。
パスコースを限定しながらプレスに行くのが基本になるが、そのコースの切り方、相手の選択肢の限定の仕方が上手いと言える。
しかし右SMFというポジション、更には攻撃時には3-4-3気味にシフトすることで右のシャドーということを考えると…攻撃面での貢献度をもっと見たかった。
特に左の加藤潤也に比較すると、右サイドでチャンスを作れていない試合が多く…稔也の選択肢もバックパスが多いというのが問題であった。
もちろんWBである小島雅也との連携面もあり、稔也だけの問題ではないが…。
更に言えば、例えばこのポジションに内田達也が起用されていれば…ここまでサポからの不満の声は無かっただろう。
誤解を恐れず一言で言えば、内田というプレーヤーはそういうプレースタイルではないから。
加入時からの稔也を知っていれば知っているほど、あの攻撃力はどこにいってしまったのか…と思われたのが今シーズン。
シャドーで受けた時に前を向けないのが今シーズンの課題…ということを以前に書いたが、今節は随分と改善されたのが印象的だった。
サッカーは相手があってのことなので岡山の守備と相性が良かっただけ…という可能性もあるが、DFとDFの間のスペースで前を向いてボールを引き出すシーンがよく見られた試合だったと思う。
KJは後ろ向きで受けても前を向ける力があり、また後ろ向きで受けてボールを叩く能力も持っている。
しかし稔也は…少なくとも自分が見てきた限りでは後ろ向きで受けて前を向くのは難しいと思われる。
(後ろ向きで受けて、外の小島や中の岩上に叩いてワンツーを受ける…というプレーは可能である。
また「だからKJは優れている」という意味ではなく、プレースタイルの違いである)
稔也の武器は得点感覚の良さと仕掛けだと思うが、その仕掛けがあまり見られなかったのが今シーズン…と言えるだろう。
稔也が仕掛けるためには、やはり前を向いてボールをもらう必要があり、今節で見せたようなスペースでボールを引き出す動きを磨いていきたいところ。
残念ながらハイライトには映っていないが、67分50秒の畑尾から縦パスを引き出したプレーと、68分25秒の城和から縦パスを引き出したプレー。
この2つのプレーのように、自分の前にスペースを作った状態で前を向いてボールを受けたい。
そして受けさせたやれるようにチームでも工夫できれば、稔也はもっと活躍できると思う。
DAZNだと画面外での動きになり映っていないことが多いパターンなので、以前から動きは良いけどCBが出せなかったのか…稔也の動きが改善されたから今節は出せたのか…その辺りはわからない。
しかし出し手も含めて、稔也がこういった形で受けられるシーンを増やせば右サイドの攻撃も活性化するのではないだろうか?
あとは…シュートは上手く決定力も高い印象があるので、もっとゴール前に顔を出したいところ。
16試合16ゴールと、ゴールが少ないチーム状況だけに稔也のゴールが必要だ!
MOM
この試合のMOMは…畑尾大翔としたい。
普通に選ぶのであれば、岩上祐三というのが一般的なチョイスだろうが…敢えて畑尾にしたい。
先に岩上に触れるが、決勝点となったコーナーキックはもちろんとして、90分を通して中盤をコントロールしたと言える。
全体を通してみれば岡山の時間が長かった試合と言えるだろうが、中盤は本山でも喜山でも、ムークでもなく岩上がコントロールしたと言って良いだろう。
という事で岩上がMOM級の活躍だったのは事実として、畑尾に触れたい。
今節はデュークの1トップに対してCBが2枚、攻撃時には3枚ということもあり基本的には真ん中の畑尾が対応。
まずはそのデュークに対してほぼ自由にプレーさせていないことが1つ。
単純な競り合いでは全く負けておらず、スピード負けもしていなかった印象。
危なかったのは15分のシーンだが、これも対応としては非常によく対応していると言える。
クロスをあげた喜山の抜け出しに対してオフサイドを取りにいったことで、デュークが畑尾の前に出る形になるがオンサイドとわかるや(多少腕は使っているが)デュークに対してポジションを取り直す。
その後はデュークが1枚上手で、その場で止まり畑尾を行かせて自身の前にスペースを作り出すが…それでも畑尾は身体を投げ出してシュートコースをブロック。
デュークのシュートが枠を外れたのも、畑尾のブロックを避けたいという意識が働いたことは十分に考えられる。
このシーン以外でデュークに畑尾がやられたシーンはないだろう。
櫛引もファインセーブが少なくカウントしても1つあり、無失点試合に大きく貢献。
城和も無失点を支えた1人として、90分を通して良いプレーを見せていたのは言うまでもない。
また他にはKJがいつも通り非常に良いプレーを見せていたが…決定機を1本外したこともありMOMにはしなかった。
更に言うと…KJは期待値が高いために良いプレーを見せてもMOMに選びにくいという、KJには申し訳ない事情もある。
ただし、今日もKJは抜群に良かった。
もう一人触れたいのが平松宗。
当初は深堀隼平がファーストチョイスとなっており、深堀のプレスはKJとの連携を含めて抜群に良かった。
攻撃面ではタイプが違うので比較が難しいため置いておくが、対して平松は当初の守備はそれほど良かったとは言えないだろう。
しかし得点という結果でポジションを掴んでからは、以前の深堀と同様に抜群のプレスを見せるようになっており、今節も最前線から良いプレスを90分見せ続けてくれた。
5連戦が終わり1週間空いたことも大きかったか、全体的に90分を通して動きが良かったようにも思う。
後半の終盤で足が止まらず、90分を戦いきったというのは…やはり疲労が大きかっただろう。
また1週間空くので、次節も楽しみにしたいところ。
そろそろ怪我人も戻ってきてほしいが…。
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