※ザスパクサツ群馬ファンによる、ザスパクサツ群馬贔屓のマッチレビューです。
前節は北関東ダービーということで、アウェーでの栃木戦でした。
結果としては終了間際のPKにて追いついたものの、内容的には完敗と言って良い試合。
しかしながらシーズンも終盤かつ残留争い中ということで、ここで0に終わるのと1を持って帰れたのは大きな違い。
今節は再びアウェーが続き、東京ヴェルディのホームに乗り込む試合。
アウェーの連戦とは言え1週間あり、栃木→群馬→東京ということでそれほど負担は無いでしょうか?
しかし気になるのは少なくとも8名は離脱となると思われるコロナの感染状況…。
大幅なメンバーの入れ替えを余儀なくされることは間違いないでしょう。
今回はそんな東京ヴェルディ戦をレビューします。
Contents
スタメン・フォーメーション
東京ヴェルディ
スターティングメンバー
ポジション | 背番号 | 選手名 |
GK | 1 | マテウス |
DF | 2 | 深澤大輝 |
3 | ンドカ ボニフェイス | |
5 | 平智広 | |
26 | 加藤蓮 | |
MF | 4 | 梶川諒太 |
7 | 森田晃樹 | |
9 | 杉本竜士 | |
25 | 稲見哲行 | |
FW | 27 | 佐藤凌我 |
30 | 染野唯月 |
ベンチ
ポジション | 背番号 | 選手名 |
GK | 21 | 長沢祐弥 |
DF | 15 | 馬場晴也 |
23 | 谷口栄斗 | |
28 | 山口竜弥 | |
MF | 14 | 石原大雅 |
19 | 小池純輝 | |
FW | 29 | 河村慶人 |
東京Vは前試合(天皇杯)から6枚を変更。
水曜開催となった天皇杯の準々決勝から中2日で迎えるリーグ戦ということ、更には4試合勝利無しということもあってかメンバーも変えてきている様子。
その東京Vと言えば城福浩監督が就任し、更には新井瑞希の海外挑戦と前回対戦とは別チームとも言える状態に。
注目は鹿島からレンタル加入の染野唯月と、現在11ゴールの佐藤凌我の攻撃陣となるか?
またベンチとなっているものの…途中から出てくると思われる元群馬の小池純輝も怖い存在と言える。
元群馬と言えば加藤弘堅はメンバー外となった。
ザスパクサツ群馬
スターティングメンバー
ポジション | 背番号 | 選手名 |
GK | 44 | 山田晃士 |
DF | 3 | 畑尾大翔 |
4 | 川上優樹 | |
19 | 岡本一真 | |
25 | 小島雅也 | |
MF | 8 | 岩上祐三 |
10 | 田中稔也 | |
33 | 細貝萌 | |
FW | 40 | 高木友也 |
42 | 鈴木国友 | |
47 | 川本梨誉 |
ベンチ
ポジション | 背番号 | 選手名 |
DF | 5 | 藤井悠太 |
22 | 高橋勇利也 | |
MF | 7 | 加藤潤也 |
16 | 久保田和音 | |
49 | 田部井悠 | |
FW | 9 | 北川柊斗 |
11 | 深堀隼平 |
群馬は前節から4枚を変更し、GKの山田晃士がリーグ戦初出場ということに。
公式戦という意味では6月に天皇杯でデビューしているが、やはりリーグ戦はまた違ったものがあるだろう。
コロナによる緊急事態ではあるが…山田個人にとっては大きなチャンスなので存分にアピールしてほしいところ。
気がかりなのは伊藤元太もおらず、控えのキーパーが不在というところか…。
また川上優樹が久しぶりに本職であるCB起用となり、岩上祐三が復帰。
田中稔也も久々にチームに復帰という形になった。
またベンチを見ても藤井悠太、高橋勇利也、久保田和音、田部井悠と…今まであまり出番の無かった選手が揃うことに。
他には加藤潤也もベンチに復帰という形となった。
試合経過
【0~15分】開始早々にPKのチャンス
前半は群馬のキックオフでスタート。
0分、開始早々に東京Vがロングボールからシュートまで持ち込むも、これはゴールキーパーの正面に。
山田晃士としてはこれがリーグ戦初出場ということもあり、試合前はかなり緊張している様子も見られただけに…開始早々にボールに触れたというのは大きいだろう。
しかし2分、ンドカ ボニフェイスからのロングボールに抜け出した染野唯月に対して、下がりながら染野を抑えつつキーパーに出てきてほしかった畑尾大翔と、少し躊躇した山田晃士という構図に。
結果として山田がクリアするが、染野を倒してしまいヒヤッとするシーンになってしまう。
(当然染野もファールを大きくアピールしていた)
この辺りはGKとCBがいつもと違う急造コンビということや、ルーキーであるが故の経験不足といったところか。
8分、左サイドの高い位置で得たスローインを小島雅也が入れると、高木友也からリターンを受けて一気にカットイン。
ペナルティエリア内まで侵入すると、これを稲見哲行が斜め後ろから倒してしまいPKの判定に。
予想していなかったように見え、やはりこういった積極的な仕掛けがチャンスを生むと言える。
しかし転倒の際に小島は右の肩や鎖骨辺りを抑えて痛がっており…コロナでの離脱者が多い中、これ以上の離脱となるとかなり痛いが…。
最終的に小島はこの試合90分プレーしきったが、怪我をしていないことを祈りたい。
10分、このPKを蹴るのは前節と同じく細貝萌。
前節に比べるといささかプレッシャーは少ないだろうが、2試合続けてのPKというのも蹴りにくいだろうとは思う…。
結局前回とほぼ同じコースを狙ったものの、ボール2つほど左に外してしまう。
ちょっとインステップにかかり過ぎたか…とも思うが、東京Vのマテウスも完全に読み切っており枠内であっても止められた可能性は高い。
前回も書いたが…そもそも細貝がPKを蹴るというチーム状況がおかしい。
キャプテンであり精神力が強く、現在のチームを引っ張って行ける存在であるが故に…彼が外したなら仕方ないと思うサポーターも多いだろう。(少なくとも自分はそう思う)
それだけに細貝にかかる責任が重過ぎるのではないだろうか?
そもそも細貝はPKキッカーでは無く、かつての所属チームでPKやプレースキックを任されていたことが無いだろう。
群馬出身であり日本代表経験も豊富なレジェンドではあるが、まだ一選手でしかない細貝にそれほどの重荷を背負わせて良いのだろうか…。
「彼は強いから大丈夫」とこのままいき、ある日突然に重責に耐え切れずに崩壊するようなことにならないことを願いたい。
そのためにも、次のPKのチャンスは是非ともFWが「俺に蹴らせろ」と言ってほしい。
【15~30分】栃木戦の再来?押し込まれる展開が続く
14分、東京Vの最終ラインに対して前からプレスをかける群馬だったが…綺麗にこれを剥がされてしまいハーフライン辺りから森田晃樹が持ち出したところで3対5の数的不利に陥ってしまう。
ペナルティエリア少し手前まで運ぶと、ファーサイド側を上がる佐藤凌我へパスを通す。
ちょっとパスがマイナスとなり、佐藤は後ろ向きでトラップすると更に外を上がる深澤大輝へのパスフェイントから逆向きにターンして左足を振り抜くも…わずかに枠の外に。
佐藤のパスフェイントに小島雅也は完全に釣られてしまうが…これはもう数的不利な状況であり仕方ないだろう。
パスを出すのがオーソドックスであり、そこから見事なタッチで左足に持ち変えてシュートで終わらせた佐藤が上手かった。
17分、ここまで押し込まれる時間が長く…セカンドも東京Vに拾われがちで繋がらない群馬だったが、川上優樹のクリアを川本梨誉が収める。
東京Vも早い攻守の切り替えから川本に寄せるも、冷静に当ててタッチラインに逃げてマイボールのスローインに。
前節もそうだったが、川本はこういったプレーが非常に上手い。
抜群のキープ力!という感じは無いが、上手くファールを貰ったり相手に当てて出したりで孤立した状態でもマイボールにしてくれるというありがたい存在である。
19分には右サイドで得たスローインを、深澤大輝がタッチライン際で裏のスペースへ投げ入れる。
ここに走り込んでいたのは染野唯月であり…リスタートとは言えちょっと簡単に裏を取られてしまった印象。
染野はコーナー付近で少し溜めると、インナーラップしてきた深澤に戻す。
深澤はワントラップで更に縦に抉ってからクロスを供給し、佐藤凌我が頭で合わせるも枠の上。
スローインもそうだが、深澤のインナーラップにも誰も付いていない…更には佐藤も畑尾大翔と岡本一真との間でフリーと…ちょっと集中力を欠いたシーンと言える。
このまま群馬は完全に押し込まれる展開となり、守備の時間が続く。
【30~45分】少しずつ攻撃の形を作るも…
31分、やっと群馬も反撃に出る。
岩上祐三からのパスに田中稔也が抜け出すと、そのまま一気に縦にドリブルで運んでいく。
森田晃樹が戻ってきたことで稔也はターンからカットインを選択。
中に切り込んでから一度岩上に下げる。
これを岩上がダイレクトで逆サイド、左サイドへ展開し鈴木国友が収める。
しかし岩上のパスが高く上がってしまい時間もかかったことから鈴木は再び後ろの細貝萌に戻す。
細貝はダイレクトで高木友也に当てると、高木は更に鈴木に広げてワンツーを受ける。
そのままカットインでペナルティエリア内に侵入し左足を振り抜くが…これはボール1つほど外に外れてしまう。
非常に良いカットインだったが…あの形なら右足で打ちたかった。
加入した当初から薄々感じていたが…やはり高木は右足蹴れないと思われる。
寄せたのが先ほどPKを献上した稲見哲行だったために、先ほどのシーンが頭によぎったか躊躇が見られたために左足で打てたが…通常は打たせてもらえないだろう。
最後の左アウトサイドでのタッチのところで右足でシュートを打てていれば…というシーンではあるが、高木が右足も使いこなせていたら群馬にはいない。
まだ24歳ということもあり、右足も磨いていくのか…それとも左のスペシャリストとしてあの位置からアウトでシュートを狙えるようにするのか…今後の成長に期待したいが…横浜FCに返却しなきゃならないか?
なんとか完全移籍で来シーズンも群馬で戦ってほしい選手だが…。
34分、岩上祐三が一気に右サイドに広げると…少しボールが長いかと思ったものの岡本一真がダイレクトで折り返す。
これを川本梨誉が後ろ向きで、反転しながらシュートを狙うも枠を捉えられず。
この時間まで消えている印象だった岩上だが、やっと攻撃でらしい良いパスを出せたと言える。
また岡本もよくダイレクトでこれをしっかりと川本に向けて折り返せた。
38分、ンドカ ボニフェイスが中央を持ち上がり、DFライン裏にスルーパスを送る。
ここに飛び出した染野唯月はダイレクトでゴール前に折り返すも、佐藤凌我には合わずに逆サイドまで流れてしまい群馬が回収。
佐藤には川上優樹がしっかりと付いていたことで触らせなかったとも言え、危ないシーンではあったがなんとかピンチを脱することができた。
しかし染野の飛び出しはオフサイドだったようにも見える。
44分、左サイドから攻撃を作った東京Vだったがシュートまでは打てずにボールは右サイドへ。
深澤大輝が誰もいないペナルティエリア内のスペースに浮き球を送ると、ここに反応していたのが左サイドの杉本竜士。
杉本は左足でクロスをファーに送ると、加藤蓮が頭で合わせるも…ミートせずにボールは枠を外れる。
嘘だろ?と言わんばかりの見事な深澤の空間とスペースを使ったスルーパスだったが…その前の逆サイドからの崩しも含めて完全にやられたシーン。
なんとか持ちこたえて前半を終える事となる。
【45~60分】一気に動いた後半
後半は東京ヴェルディのキックオフでスタート。
押し込んでいながら点が取れない展開を打破するべくか、それとも中2日の連戦ということで最初から予定していたか…ハーフタイムで東京Vが動く。
梶川諒太に代えて河村慶人を投入すると、どうやらそのままのポジションでスタートするもよう。
53分、畑尾大翔のヘディングでのクリアを田中稔也が頭で川本梨誉に繋ぐ。
川本は加藤蓮と平智広に寄せられるも、しっかりとキープし内側の鈴木国友に繋ぐ。
鈴木もしっかりとキープから失わず、右サイドを駆け上がる稔也に向けてスルーパスを通す。
パスが欲しかった位置よりマイナスとなったことで稔也はスローダウンし、加藤と対峙することを余儀なくされるが…ここは縦に勝負し交わしきってクロスを供給。
素晴らしい動きでファーでフリーを作り出した鈴木が頭で合わせるが…なんとバーに直撃。
しかしこの跳ね返りを川本が頭で押し込んで先制に成功。
このシーンは後ほど振り返りたい。
55分、この失点を受けて…と言うよりはその前から準備をしていたかもしれないが東京Vがハーフタイムに続いて動く。
稲見哲行に代えて馬場晴也、杉本竜士に代えて山口竜弥を投入。
57分、川上優樹のファールでフリーキックを与えると、ペナルティエリア内左側に抜け出した染野唯月に向けてボールが入る。
細貝萌が対応に行くも、クロスを上げられてしまい中央で佐藤凌我が合わせるもミートせずにボールは後方に。
これを森田晃樹が詰めて素晴らしいミドルシュートを叩き込み、わずか2分で同点に追いつかれてしまう。
このシーンも後ほど振り返りたい。
【60~75分】岡本一真の凄さ
61分、群馬も交代カードを使い鈴木国友に代えて北川柊斗を投入する。
鈴木も…どうにもシステムの相性もあり持ち味を出せているとは言い難い印象。
得点シーンの動きなどは見事だっただけに、やはりもっとゴールに近い位置でプレーさせたいところだが…。
62分、左サイドからのスローインのリスタート。
ロングスローを北川柊斗が競り、こぼれ球を田中稔也が粘って潰されると、このこぼれ球を北川が頑張ってマイボールとし右サイドを駆け上がる岡本一真にスルーパスを送る。
田中のところでファールだったのか、北川が頑張ったところでファールだったのかは不明だが…プレーオンでファールを認めつつも流した西山貴生主審のナイスジャッジ。
これを岡本がダイレクトで、DFライン裏ギリギリかつゴールキーパーが出られないところにグラウンダー気味のクロスを送る。
しかしこのクロスは川本梨誉のわずか前を横切る形で抜けてしまいチャンスにはならず…。
通らなかったとは言え、戻るDFの足がギリギリ届かないところに巻いて戻る素晴らしいクロスであり…しかもそれがダイレクトで供給。
元々のポテンシャルは高いのは間違いないだろうし、シーズン中盤まで試合に使わずに身体を作らせたことが良かったのかもしれないが…試合をこなすたびに自信が付いているのかプレーが良くなっている。
既に他クラブのスカウトの目も光っていると思うが…なんとか死守してほしいところ。
(でも2年契約だろうから…来年移籍金0で出て行かれるよりは良いのだろうか?貧乏クラブはツラい)
しかしこのプレーがなぜかハイライトからは外れているのが悔やまれる…。
70分、山田晃士と川上優樹が交錯してプレーが止まる。
脳震盪が疑われてメディカルスタッフがピッチ内に入るも、川上は立ち上がりどうやらプレー続行可能な様子。
しかしスタッフがピッチに入ったこともあり、川上は一度ピッチ外に出されることに。
リスタートがコーナーキックに近い位置からのフリーキックなだけに…ルール上仕方ないが…川上がピッチにいないのは痛い。
71分、このフリーキックに山田晃士が飛び出すも触れず、その奥で染野唯月が頭で合わせるも枠の上。
山田はその手前で加藤蓮が進路をブロックする形になったことに対してファールをアピールするも、これはノーファールの判定。
加藤がいなければ染野よりも先にパンチングできた可能性もあるが…ノーファールであり触れなかったことは事実。
この辺りは前向きに経験として今後に活かしてほしいところ。
余談にはなるが山田は公式のプロフィールが179cmであるが…恐らく実際はそこまで無いようにも見える。
179cmだとしてもGKとしては小さい方と言え、ハイボールの対応は苦労するであろうことからこういった飛び出す時、飛び出さない時の判断力が大事になってくる。
この辺りは経験値と言えるので、今後の山田の成長に期待したい。
72分、群馬が2度目の交代枠を使う。
川本梨誉に代えて深堀隼平、田中稔也に代えて加藤潤也を投入。
北川柊斗が川本のいた最前線に入り、深堀が北川のいた左に、KJはそのまま稔也の位置に入る。
【75~90分】猛攻を耐えきりドロー
78分、東京Vの左からの攻撃は一度防いだと思いきや…再び奪われると今度は右側で深澤大輝へ良いスルーパスが入ってしまう。
深澤はこれをクロスのフェイントから切り替えし、上がってきたンドカ ボニフェイスに落とすも…このシュートはふかしてしまう。
79分には左サイドからのスローインだったが…スローインを受けた深堀隼平のところで奪われてカウンターを浴びる。
佐藤凌我から染野唯月に繋ぐと、染野は大きくサイドチェンジ。
これに抜け出した山口竜弥が受け、その内側を上がってきた加藤蓮に向けてペナルティエリア内にスルーパスを送るも…これはなんとか戻り切った加藤潤也がカットしてスローインに逃げる。
途中出場であり体力面を考えればこういったプレーは求められているとは思うが…それにしても非常に良いランニングバックを見せてくれた。
攻撃の選手ながら奪われたところからの切り替えが早く、見事に長い距離を戻り切っての守備となりKJには頭が下がる。
とは言え、やはり途中出場となる選手はこういったプレーを期待したい。
86分には東京ヴェルディが最後の交代を使い、佐藤凌我に代えて小池純輝を投入。
88分には群馬も最後の交代を使い、岩上祐三に代えて藤井悠太を投入する。
藤井は手で5を示しながら入ってきており、5-4-1での守備対応となるであろう。
そして藤井の立ち位置としては岩上のいたディフェンシブハーフにそのまま入ることとなったが、役割はCB前のボックスの位置に入ってくる選手への対応と高さ対策ということになる。
93分には山口竜弥からのクロスに頭で染野唯月が合わせるも枠の外。
94分には深澤大輝からのクロスをンドカ ボニフェイスが頭で合わせるもファールの判定で助かる。
アディショナルタイムの6分をなんとか守り切り、コロナで離脱者が相次ぐという難しい試合とはなったものの勝ち点1を持ち変えることとなった。
ピックアップポイント
53分の得点シーン
まずは53分の群馬の得点シーンを振り返りたい。
畑尾大翔のヘディングでのクリアを田中稔也が頭で川本梨誉に繋いだ形となったが、まずはここで川本が2枚に寄せられつつも失わなかったことが大きかった。
そして鈴木国友も上手く手を使って後ろから来るディフェンダーに仕事をさせずに、右サイドを上がる稔也にスルーパスを送る。
本来であればこのパスがもっとプラス方向であり、稔也は駆け上がる勢いをそのままにクロスを送りたかったところだろう。
しかしスローダウンさせられたあとに1対1を仕掛ける積極性が非常に良く、ここで久々の出番でアピールしたいという気持ちが見える。
加藤蓮を振り切ってクロスを上げるタイミングがあったが、ここから更にもうワンタッチ踏み込んだのもポイント。
これにより加藤のスライディングによるブロックもかわし、角度が更に深くなることで中のDFは守りにくくなる。
その後のピンポイントクロスも見事だった。
さて、今度は中のメンバーの動きに目を移すが川本梨誉は一度中央に入り込もうとするが…稔也がスローダウンしたことで速度を落とし、勝負したタイミングでニアに抜け出す。
鈴木は稔也と川本の動きを見て、ファーに流れる選択をする。
そしてこの時に空いた中央のゴール前に猛然と迫るのが細貝萌。
この細貝の動きにDFが釣られる形となったために、鈴木はファーに流れたあとに止まって目の前にスペースを確保した。
細貝がゴール前の中央の位置、言い方を変えると川本が作ったスペースに入り込んだことで河村慶人はここに対応せざるを得なくなったわけである。
これによりファーを守るのは深澤大輝となるが、稔也がこれだけ深くえぐっているので鈴木の位置を確認することは不可能だろう。
これにより鈴木は深澤との位置を調整してフリーを作り出している。
鈴木のヘディングでゴールが決まれば完璧だったが、跳ね返りを下がりながらという難しい姿勢ながら川本はよく決めてくれた。
全員の動きが素晴らしかったゴールだが、個人的には細貝のランニングを最重要ポイントに挙げたい。
ベテランらしいゲームを読む力…とも言えるが、ゲーム序盤のPKを外してしまったという責任感から得点機にゴール前まで入り込んでくれたように見える。
先ほど書いたように、細貝がゴール中央に入り込んだことにより鈴木のマークであった河村が細貝にスライドしたことでフリーとなっている。
ボールは一切触れていないものの、稔也に次ぐナイスアシストと言って良いだろう。
57分の失点シーン
続いて57分の失点シーンを振り返る。
初見ではなぜ森田晃樹があれだけドフリーだったのか?というように思ったが、見返してみると色々と思うことがあったので語りたい。
まずはこの得点に繋がったリスタートはセットプレーであるが、このファールをしたのが川上優樹である。
このファールの是非に関してはそれぞれ考えがあると思うが、今回ここでは触れないこととして話を進める。
川上の名前を出したのは「川上」というのが大事なポイントであり、言い換えるとCBの選手というのが大事なポイントとなったからである。
そしてこのファールの位置がハーフウェーラインを少し超えたという、比較的高い位置だったこともポイントとなる。
ファールを受けた森田晃樹が倒れていたこともあり、川上は一度謝罪に向かい森田に声をかけたのちにポジションに戻ろうとしている。
しかしその途中で主審が川上を呼び寄せ、先ほどのファールに関して注意を与える。
その後で川上はポジションに戻るとなっており、トータルで非常に時間がかかったことで既にゴール前には東京ヴェルディの選手がセットプレーに向けてポジションを取っていた。
そう、群馬のゴール前にセットプレーの鍵となる重要なCBが1枚いないのである。
笛でプレーが止まっているとは言え、川上が戻る前に早いリスタートをされる可能性を考えると誰かが川上のポジションに入る必要があり…その対応をしたのが細貝萌である。
(この辺りはさすがベテランと言える)
なので本来は中央のボックスの場所にいるはずの細貝が、クロスを上げた染野唯月に対応してサイドに流れていた…ということになる。
もう一人のボランチである岩上祐三は、正しく自分の本来の位置を守っており…染野に入った時点ではニアへの折り返しに対応するべくポジションを取っている。
もう一人のCBである畑尾大翔も、正しく自分の本来のポジションを守っておりクロスに対して佐藤凌我が詰めたところにブロックに入っているわけである。
そのこぼれ球、森田晃樹のところは本来細貝が守るべきところであるが…川上に代わってポジションを取っていたために誰もそのフォローをしておらずフリーにさせてしまった…と言える。
下記図が今の話をまとめた、馬場晴也がフリーキックを蹴った際のポジションとなる。
この段階で既に中央にぽっかりとスペースが空いており、この空いたスペースに森田が入り込んだことがわかる。
そして染野がクロスを上げる瞬間の各選手のポジションが下記図である。
稔也は外の山口竜弥に、岩上はニアの低い位置の加藤に、小島はファーの河村、畑尾は佐藤に対応しており、しっかり自分の仕事をしていると言える。
細貝が中央におらず川上も最終ラインに入ってしまったことに気付いていれば、外の山口を捨てて岩上が森田、稔也が加藤を見れば良い。
山口にはパスが出てから岡本が行けばいいとも言える。
細貝が気を利かせてファインプレーをしたが、それ以外の選手が愚直に自分の仕事を行ったが故の失点…と言えるかもしれない。
根本のところは川上が最終ラインまで戻らず、細貝の位置に入れば良かったと言えるが…CBの選手が前に入るというシーンは滅多に無いので頭に浮かばなかっただろう。
細貝以外の10人の対応を嘆くよりは…細貝のサッカーIQの高さに関心するべきシーンなのかもしれない。
とは言え例えばこれが川上がこのファールで退場とか、負傷によりピッチを離れて10人に…というのであればまた違ったと思う。
その状況であれば高木友也や鈴木国友の立ち位置も変わり、前線を1枚減らして守備ブロックをしっかりと構築していたと思われる。
染野の狙いは佐藤であり、森田がフリーになっていたのは偶然の産物と言えるかもしれないが…この失点にはこういった原因があったと考えている。
MOM
この試合のMOMは…川本梨誉としたい。
今後への期待も込めての選出となる。
得点シーンは難しい体勢ながら、身体の強さを感じさせるヘディングで枠に持っていったのが見事。
ニアにボールは入らなかったが、ンドカとのポジション争いも悪くはなく最終的にフリーを作ったと言える。
試合を通しては1トップとしてボールを収め…られたとは言えないものの、フォローが無くてもなんとかマイボールにするなど存在感は見せただろう。
この1点をきっかけに、残り試合で量産してくれることに期待したい。
この試合でも最も注目を集めたと言えるのが山田晃士だろうか。
試合前はかなり緊張していた様子も見られたが、次第点の出来だったと言える。
プレーに関しては緊急事態にもかかわらずそつなくこなしてくれたと言えるが、やはり所々に経験不足を感じさせるプレーが見られたのも事実。
現時点では櫛引政敏と清水慶記の壁は高いと言えるだろうが…まだ23歳かつルーキーという事で長い目で育てていきたい選手だろう。
また本来評価に入れてはいけないものだとは思うが、この試合でもプレーに気合いを感じられ応援したくなる選手である。
続いて久々の出番となった川上優樹にも触れたい。
久々の出番かつ、本職のCBでのプレーという事で本人も気合いが入っていたように見える。
失点シーンこそ思うところはあるが…これを経験としてまた一皮剥けてほしいところ。
それ以外に関しては安定した守備を見せてくれた。
MOMに悩んだのは岡本一真。
彼は…化け物だろう…。
身体ができるまで待ったの声の通り、高卒とは思えないフィジカルの強さを見せ90分を通して上下動する運動量をこの試合でも見せてくれた。
ハイライトになぜ映っていないのか…62分のクロスは間違いなくJ2レベルで留まる物では無い。
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