※ザスパクサツ群馬ファンによる、ザスパクサツ群馬贔屓のマッチレビューです。
前節の山形戦では猛攻を受けつつも最後の最後は凌いでおり、なんとか勝点1を持って帰れるか…という希望を後半45分に打ち砕かれた試合でした。
もちろん負けるつもりで戦う人はいませんが、とは言っても山形戦は勝点が0に終わることも十分に考慮していたハズ。
残り試合も少ない中、1試合の結果よりも最終順位に目を向けた戦いになっていくというもの。
そういったことを考えると、この直接の残留争いのライバルとなっている松本山雅戦は絶対に落とせない試合です。
そんな第36節、松本山雅FC戦をレビューします。
Contents
スタメン・フォーメーション
ザスパクサツ群馬
スターティングメンバー
ポジション | 背番号 | 選手名 |
GK | 1 | 清水慶記 |
DF | 3 | 畑尾大翔 |
24 | 光永祐也 | |
25 | 小島雅也 | |
40 | 大武峻 | |
MF | 7 | 加藤潤也 |
8 | 岩上祐三 | |
11 | 田中稔也 | |
41 | 中山雄登 | |
FW | 10 | 青木翔大 |
50 | 大前元紀 |
ベンチ
ポジション | 背番号 | 選手名 |
GK | 21 | 松原修平 |
DF | 32 | 渡辺広大 |
MF | 6 | 内田達也 |
15 | 金城ジャスティン俊樹 | |
16 | 久保田和音 | |
19 | 白石智之 | |
FW | 9 | 北川柊斗 |
群馬は前節から3枚を代え、光永、中山、青木がスタメンに復帰。
前節の早い時間に負傷退場してしまった藤井はベンチにも入っておらず、長期の離脱にならないことを願うばかり。
そこにはジャスティンが入るかと思ったが、前節の出来が評価されたか光永が入り小島と左右を入れ替える形に。
そしてそのジャスティンはベンチに入ることとなった。
松本山雅FC
スターティングメンバー
ポジション | 背番号 | 選手名 |
GK | 1 | 圍謙太朗 |
DF | 2 | 星キョーワァン |
37 | 宮部大己 | |
43 | 常田克人 | |
MF | 4 | 安東輝 |
8 | 河合秀人 | |
17 | 表原玄太 | |
27 | 下川陽太 | |
28 | 小手川宏基 | |
FW | 14 | 鈴木国友 |
15 | 伊藤翔 |
ベンチ
ポジション | 背番号 | 選手名 |
GK | 16 | 村山智彦 |
DF | 44 | 野々村鷹人 |
MF | 7 | 田中パウロ淳一 |
10 | セルジーニョ | |
38 | 佐藤和弘 | |
FW | 25 | 榎本樹 |
45 | 山口一真 |
対する松本山雅も群馬同様にここしばらくは勝ちから見放されており、降格圏に沈む状況。
この試合は大幅にメンバーを入れ替えてくることとなった。
名波監督に代わってからもシステム的には3-4-2-1となっており、群馬の4-4-2とのミスマッチをどちらが上手く使えるかといった試合になるだろうか。
個人的な注目はベンチに入っているセルジーニョ。
そして少し前に群馬に在籍していた榎本樹がベンチに入っているのも嬉しいところ。
試合経過
序盤の猛攻も?
前半は群馬のキックオフでスタート。
3分、早々に群馬は良い位置でのフリーキックを松本に与えてしまう。
このフリーキックからコーナーキックが続く形となり、ショートコーナーから下川陽太の良いクロスが中央に供給される。
これを常田克人が頭で合わせられてしまうが、清水慶記がナイスセーブで防ぐ。
前半の早々から松本に与えるコーナーキックが多くなり、序盤から猛攻を受ける形になってしまう。
10分には大武峻の横パスが畑尾大翔に合わず、かろうじて畑尾が中山雄登にパスを送るもこれを回収されてしまう。
ここからショートカウンターを浴びる形になるが、大武がしっかりとミスをリカバリーする動きを見せコーナーキックに逃れることに成功。
大武のパスはほぼ真横だったが、畑尾は後ろに位置を取り直していたところであり…意図がかみ合わなかったことによるミスからのピンチであった。
開始から10分近くは松本の猛攻を凌ぐ形になったが、13分には群馬も反撃を開始。
裏に抜け出した青木翔大へのパスから左サイドの光永祐也に。
一度加藤潤也に預け、縦に抜けた光永に良いスルーパスが通るもクロスは上げきれず。
しかししっかりと相手に当ててコーナーを取っており、スタメン起用となった光永は非常に持ち味の良いオーバーラップを見せてくれた。
左サイドを圧倒!値千金のPK弾
ここから徐々に左サイドを圧倒し、久々の先発となった光永祐也が起用に応える形で左サイド深くを制圧していく。
加藤潤也とのコンビが非常に良く、溜めた加藤を光永がオーバーラップし、そこに素晴らしいスルーパスが供給されるという展開が続く。
ここまで光永の良いところが本当によく出ており、課題となっているのは恐らく守備面。
今日の試合で守備もそつなくこなせれば、さすがに残りの試合は久藤監督もスタメンで使ってくれるだろう。
24分、その左サイドで失ったところからカウンター気味の反撃を受けるも…ここで良い守備を見せたのが大前元紀。
あまり守備をしないイメージがあるが、このシーンでは空いた左サイドのスペース(加藤、光永が上がった裏)を埋め、ボールホルダーにプレスこそ行っていないものの時間をかけさせ攻撃を遅らせる良い守備を見せている。
これによりオーバーラップしていた左サイドも帰陣し守備陣形を整えられたことで、松本はボールを後方に下げ攻撃を作り直すことを余儀なくされる。
そして30分、左サイドで裏に抜け出した加藤にロングボールが入る。
少し溜めてから、更にその裏に抜け出した青木翔大にスルーパスを通す。
ペナルティエリアに侵入した青木に対し、スライディングにいった星キョーワァンの足が青木の右足に当たりPKの判定に。
青木の右足の出し方が上手く、先にボールと星の間に足を置けたことで勝負ありとなった。
32分、このPKを大前が冷静に右下隅に沈めて先制に成功。
結果としてはキーパーの逆を付いた形になったが、多分これは逆を取りにいったわけではなく触れないコースに送ったものと思われる。
ほぼサイドネットという良いコースであり、スピードも十分ということで仮にキーパーがこちらに飛んでいても触れなかっただろう。
追加点ならず。深刻な決定力不足
このPKの前後から少し風が出てきた正田醤油スタジアム。
この時期…に限らないが、比較的強風の多い土地柄ではあるものの、この試合はほぼ無風でスタート。
そして今日の風はこの時期に珍しく、松本側から群馬側に吹く南風である。
とは言っても恐らくプレーには大きな影響を与えないレベルであろう。
37分には左サイドから攻撃をするも手詰まりとなり、いったん戻したところから右サイドに大きく展開。
ここに入った小島雅也がクロスを上げるも、これはDFのブロックにあってしまう。
結果としてクロスは防がれたが、両サイドを大きく深く使い、両サイドバックが高く上がれているという理想の展開ではある。
39分にはDF裏に抜け出した河合秀人に良いパスが入ってしまうが、大武峻がしっかりと対応し無理な体勢でシュートを打たせることに成功。
このシュートは大きく枠を外れることになるが、河合が少し溜めたところで群馬右サイドのスペースに上がってきた下川陽太を使われていたら危ないシーンだった。
かなり強引にシュートに持ち込んでおり、恐らく河合には下川が見えていなかったのだろう。
43分、右サイドを小島雅也と田中稔也で攻め、そこに関わってきた青木に当ててから小島が低く速いクロスをゴール前に供給。
これを大前が右足でとらえるも、シュートは枠の上に…。
形としては完璧だったが…シュートブロックに滑り込んだ宮部大己の姿が目に入ってしまったか…。
ここで追加点が取れなかったことが後に響いてこないと良いのだが…結局追加点は取れずにハーフタイムを迎えることになる。
今日も小島!守護神として君臨
後半は松本のキックオフでスタート。
追う展開となった松本はこのハーフタイムで早くも2枚を代えて再スタート。
鈴木国友に代えてセルジーニョを、星キョーワァンに代えて野々村鷹人が入るが…どうやらシステム的には変更はない模様。
50分、群馬右サイドからのコーナーキックを常田克人がドンピシャで頭で捉える。
キーパーも抜けゴールかと思われたが、ここは小島雅也がヘディングでかき出すことに成功。
京都戦に続いて2本目となる、ライン上(と言うほど上ではなかったが)でのファインセーブであった。
ゴールキーパーではないが守護神と言いたくなる、良い守備を見せている。
52分には一気に裏に抜け出した河合秀人にボールが入り、グラウンダーのクロスは伊藤翔に合ってしまうがコースに入った大武峻がカットしてコーナーに。
これでコーナーは何本目か?
さすがにそろそろ決められてしまうんじゃないかと思いつつも、最後のところではしっかりと守れる展開が続く。
55分には大前が溜めたところから右サイドの田中稔也に。
オーバーラップする小島を囮に、中央下りてきた青木翔大の方を選択。
青木が相手に潰されながらも強引にシュートまで持ち込むが、これはブロックされてしまう。
結果としてブロックされてしまったが、青木には珍しく感じる強引にシュートに持ち込むシーン。
失敗に終わったという言い方もできるが、やはりFWはこうじゃないと!
3ボランチ?早くも守備固めか
62分は群馬右サイドからクロスを上げられ、逆サイドに入り込んできた下川陽太に頭で合わせられるも枠の上。
光永祐也もマークに付き切れておらず、非常に危ないシーンだったが…シュートが枠に飛ばないことで助けられる形に。
後半は完全に防戦一方の展開と言え、セルジーニョが入ってから大きく流れが変わった印象がある。
かなり下りてボールを受けたがる傾向があり、それ自体はゴールから遠く怖さはないものの…ここから良い攻撃を組み立てられているのが問題であろう。
2シャドーの位置から中盤に下りていくだけに、誰がそこをケアするのか…しっかりと確認していかないと危ない。
なんて思っていたが64分に群馬ベンチが動く。
先制点となったPKを獲得した青木翔大に代えて内田達也を投入し、入ってきた内田は指を3本立てている。
琉球戦だったかで見せた、岩上祐三をワンアンカーに置くトリプルボランチとも言えるシステムに変更するようである。
これで4-3-3とも4-5-1とも言えるフォーメーションとなり、前線は大前を1トップに、右に田中稔也、左に加藤潤也となった。
早くもこの時間から守備固めかという印象もあるだろうが、これはセルジーニョが比較的自由にしている中盤中央のスペースを消す意味合いが強いだろうか?
飲水タイムが明けた68分に、松本が2回目の交代に動く。
小手川宏基に代えて山口一真を投入し、どうやらボランチを1枚減らして前線の枚数を増やすようである。
山口はセルジーニョがプレーしていたシャドーに入り、セルジーニョが最前線で伊藤翔と2トップのような形となっている。
久藤監督に対応されたことで、名波監督もシステムの変更といったところだろうか?
やはりこういったベンチワーク、これがサッカーの面白いところだろう。
74分には松本が最後の交代カードを切り、伊藤翔に代えて榎本樹を、表原玄太に代えて田中パウロ淳一を投入。
どうやら田中が左に入り、左にいた下川陽太が右に移るようである。
榎本の姿が見られて嬉しいが…今日のところは沈黙していてほしいところ。
悪癖は止まったか?耐えきって得た勝点3
1点を奪った群馬、追いかける松本という展開と時間帯ということもあるだろうが…残り15分のこの時間まで完全に防戦一方になってしまっている。
特に内田達也を入れて中盤を厚くしたことで、守備面は良くなり守れてはいるものの…跳ね返したボールが前線大前元紀1枚では収まらない。
大前はさすがのテクニックを見せてマイボールにするシーンも多く作っているのだが、前線1枚孤立ということもあり松本が厳しくプレッシャーをかけて潰していく。
正直ファールの判定が甘いのではないかと思うところはあるが、多少ファール気味のプレスもあり大前にボールが収まりきらない展開が続くことに。
両ウィングが守備に吸収されて4-5-1になっているのが原因だが、ここらで手を打たないといつもの悪癖が出て失点してしまうだろう…。
そう思っていたら77分にベンチが動き、田中稔也に代えて白石智之を投入。
前節は久保田和音の投入だったが、今回は白石にチャンスが回ってきた。
79分には守備陣が頑張ったところからこぼれ球を白石が回収。
そして自らドリブルで運んでから前線で裏に抜けた大前にパスを送る。
しかしこのパスは大前がオフサイドと判断してプレーに関与しない姿勢を見せることに。
残念ながらチャンスにはならなかったが、やはり白石のように自分でボールが運べる選手が入ると防戦一方の展開から脱却ができるようになる。
82分にもクリアボールを白石が運び、そこをセルジーニョがファールで止める形に。
これも結果的にはチャンスには繋がらないものの、こうやって反撃の形を見せることで松本としても後ろのケアを気にする必要が出てくる。
簡単に言うとサンドバッグ状態を防げるわけである。
83分には久しぶりに攻撃の形を作れ、左サイドでキープした展開から大前が中央の岩上祐三に。
岩上がミドルシュートを打つが、これは残念ながら枠の外に…。
しかしこれで良い、これで良いのである。
反撃の形を見せることと、シュートで終わりプレーを切ることが大切である。
87分、90分と高いクロスボールを頭で合わせられるシーンが続くが、最後の最後はなんとか守りきる展開に。
交代カードも残っているし85分くらいには最後の守備固めでも良いと思うが…。
91分に最後のカードを切り、大前元紀に代えて北川柊斗、中山雄登に代えて渡辺広大を投入。
5-4-1に代えて3バックの中央に広大が入り、高さを増してクロスボール対策となるだろう。
個人的には北川を入れたのも良いと思っており、後ろを固めて守るだけでなく、前線からフレッシュな選手が追うということも大事である。
そして何とか守りきることに成功し、重要な残留争いの直接対決を制することとなった。
ピックアップポイント
43分 小島の技ありなランニング
この試合は展開の問題もあるが、ハッキリ言ってコレといったシーンはなかったように思う。
完璧に崩したシーンも崩されたシーンもそれほど無かっただろう。
数少ない崩し切ったシーンとして、シュートは外れたものの非常に良い形での攻撃となった43分のシーンを振り返りたい。
まずは左サイドを崩そうと中山、光永と繋いだものの縦への突破は難しく一度岩上にボールを下げることに。
そしてその岩上から斜め逆サイドに非常に良いロングボールが供給される。
これが右サイドを駆け上がった小島にドンピシャで合うわけだが、岩上はノープレッシャーだったとは言え本当によく見ていたし良いボールを蹴った。
更に小島も大前ばりの完璧なトラップで止め…むしろ完璧に止めすぎたが故に自分の体がボールを追い越してしまうレベル。
小島のフォローに田中が近づき、小島はトラップで縦への勢いを殺してしまったこともあり一度下げる形に。
そして田中が入れ替わる形で縦へ突破を仕掛けたために、小島は反対に田中がいた位置にフォローに下りることになる。
この時の配置がこんな感じ。(関わった選手以外は省いたので、スペースがスカスカだがご容赦を)
また小手川を書き忘れたが、小島の少し後ろにいる。
そして小島がボールを受けた時に、青木がフォローに近づいてきている。
小島はそこを使ったわけだが、その後の走り方が非常に良かった。
まずは青木のインを突く形で入り、青木から落としてもらってシュートを狙う…というのが恐らく最初の考え。
星キョーワァンが中央にいたが、ここのスペースがかなり空いていたためにここを使うべく狙ったと思われる。
しかし小手川と下川の2人が付いてきたこともあり、コースを変更し外側を選択。
咄嗟に変更したのだが、調度下川がボールの方を向き小島が視界から消えているタイミングでのコース変更となったのがポイント。
そのため下川は中に絞ったままとなり、フリーになった小島のクロスには青木に付いていた常田がいくことになった。
この素晴らしい動きによってフリーを作り出せたために、常田がスイッチしてフォローにきたものの間に合ったとは言い難い状態に。
また小島もダイレクトでクロスを上げられた、というのも非常に大きかった。
MOM
この試合のMOMは…光永祐也としたい。
少し贔屓目があるのは否定できないが、まずはなんといっても久々に掴んだスタメンのチャンス。
前節は藤井のアクシデントがあったことで急遽出番がきて、完璧に対応して見せたことでチャンスを掴んでみせたと言える。
J3時代から見せている、光永の持ち味はオーバーラップして深い位置からのクロス。
これは左効きというメリットが非常に活きており、このクロスを右足で上げるのは至難の業。
それが故に小島が左で出場すると精度が低くなるか、それを嫌って一度切り返すということになっていた。
逆に光永は右足がイマイチなのは事実で…この試合でも右足で上げられたのに切り返すシーンがあったのも事実。
とは言え、右足で上げるシーンというのは中でDFが待ち構えて対応できるパターン。
対してオーバーラップからライン際で上げるクロスは、DFも戻りながらの対応なので難しい。
今の戦術であれば左のサイドバックは左効き…ではなくとも、遜色なく左足が蹴れないとツライ。
そして光永には失礼な言い方になるが…あまり足元が上手いという印象は持っていなかった。
それも起用されない理由なのかなと思っていたが、この試合は狭いところでもしっかりとボールを収め、KJとの連携で左サイドを攻略するシーンが目立ったのもポイント。
簡単に失わず、攻められない際にも岩上や中山にしっかりと戻すという足元の上手さも見せてくれた。
守備面でも特にこの試合は気になったシーンはなく、そつなくこなしたと言えるだろう。
普段の練習や控え組の試合で、監督としては納得できないことがあるのだと思うが…今日の出来を見る限り左サイドバックのファーストチョイスは光永以外にいない。
加藤潤也との連携面も非常に良く、加藤が気持ちよくプレー出来ているのも大きいだろう。
色々と課題はあるだろうが、監督には我慢してもう少し使い続けてみてほしいと切に願う。
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