※ザスパ群馬ファンによる、ザスパ群馬贔屓のマッチレビューです。
第12節はアウェーでの福島ユナイテッドFC戦です。
前節はFC岐阜との…ある意味では残留を争う直接対決となりましたが、前半は試合を支配したものの後半に1チャンスを決めきられて失点。
敗戦濃厚の中、なんとか加々美登生のゴラッソで同点に追いついた試合でした。
絶対に勝たなくてはならない試合でしたが、終始試合を支配したこと、更には土壇場でなんとか同点に追いついたことを前向きに捉えたいところでしょうか?
今節はゴールデンウィーク中ということもあり、連戦となるため出場メンバーに変更もあるかと予想されます。
チームの総合力という意味でも、今後を占う一戦となるのではないでしょうか?
今回はそんな福島ユナイテッドFC戦をレビューします。
Contents
スタメン・フォーメーション
※通常ホームチームを左にしますが、メインスタンドから見た通りの配置で表記
福島ユナイテッドFC
スターティングメンバー
ポジション | 背番号 | 選手名 |
GK | 1 | 上田智輝 |
DF | 3 | 松長根悠仁 |
23 | 安在達弥 | |
25 | 當麻颯 | |
27 | 野末学 | |
MF | 6 | 上畑佑平士 |
13 | 宮崎智彦 | |
37 | 由井航太 | |
FW | 10 | 森晃太 |
14 | 中村翼 | |
29 | 石井稜真 |
ベンチ
ポジション | 背番号 | 選手名 |
GK | 31 | 安西駿 |
DF | 17 | 藤谷匠 |
28 | 鈴直樹 | |
MF | 7 | 針谷岳晃 |
20 | 城定幹大 | |
30 | 狩野海晟 | |
38 | 粟野健翔 | |
FW | 9 | 清水一雅 |
40 | 樋口寛規 |
福島は前節から8枚を変更。
連戦ということでターンオーバーと言えるだろうか。
外れたのは山田将之、藤谷匠、鈴直樹、針谷岳晃、城定幹大、狩野海晟、清水一雅、樋口寛規の8人。
山田がベンチ外となったが、残る7人はベンチスタートということに。
代わりに入ったのが松長根悠仁、當麻颯、野末学、上畑佑平士、宮崎智彦、由井航太、中村翼、石井稜真となる。
注目はこれが今季初スタメンとなる由井航太だろうか?
川崎フロンターレの下部組織出身で、今シーズンより福島へ武者修行となっている。
他には10番を背負う森晃太、更には大卒ルーキーながらここまで2ゴールの中村翼などが気になる存在である。
ベンチを見ると、やはりチームの中心的な存在と言える針谷岳晃や城定幹大辺りが、どのタイミングで出てくるか…となるだろうか。
そしてここまで7ゴールでチーム得点ランクトップの樋口寛規は…やはり怖い存在と言えるだろう。
ザスパ群馬
スターティングメンバー
ポジション | 背番号 | 選手名 |
GK | 21 | キム ジェヒ |
DF | 3 | 大畑隆也 |
22 | 高橋勇利也 | |
35 | 玉城大志 | |
43 | 野瀬翔也 | |
MF | 8 | 山内陸 |
27 | 藤村怜 | |
36 | 安達秀都 | |
FW | 9 | 青木翔大 |
11 | 加々美登生 | |
38 | 小西宏登 |
ベンチ
ポジション | 背番号 | 選手名 |
GK | 13 | 近藤壱成 |
DF | 14 | 菊地健太 |
25 | 中野力瑠 | |
MF | 2 | 田頭亮太 |
6 | 米原秀亮 | |
7 | 西村恭史 | |
FW | 17 | 山中惇希 |
20 | 下川太陽 | |
32 | 河田篤秀 |
群馬は前節から4枚を変更。
西村恭史、下川太陽、山中惇希、小野関虎之介が外れ、玉城大志、安達秀都、青木翔大、加々美登生がスタメン起用となった。
西村、下川、山中はベンチスタートとなったが…小野関はまさかのベンチ外。
前節も前半のみで下げられており、自分としては悪かったと思っていないのだが…監督としては何か思うところがあったようである。
虎が外れたことで安達がベンチ外からスタメン起用となっており、ベンチを含めれば変更点はこの1点のみとなった。
この変更により並びが気になるところだが、メンバー表を見た時点では安達秀都を右SBに置くのかと予想。
藤村怜をアンカーに、右に山内陸、左に玉城大志と予想したが…これは全然当たっていなかった。
注目はスタメン起用となった安達と玉城、更には青木。
加々美も前節のゴラッソの良い印象のままスタートから躍動してくれることに期待したい。
試合経過
【0~15分】3バックの採用
前半は群馬のキックオフでスタート。
今日の福島は雨が降る中でのゲームとなった。
ゲームが始まってすぐに気が付いたのは、今日のアンカーは山内陸のようである。
藤村怜が左側におり、右側には玉城大志が入っている様子。
となると、右サイドバックは安達秀都ではなく玉城が入ったか…と思っていたが。
9分、3本群馬のコーナーキックが続いたが…3本目は跳ね返されたところからカウンターを浴びる。
森晃太が上手く山内陸を剥がしかけたが、ここは山内も粘って上手く対応しピンチを逃れることに成功。
山内は以前似たような形で剥がされてしまったが、ここはよく粘った、
11分、小西宏登からのクロスに安達秀都が飛び込んだが…ここは安達のファールとなってしまう。
安達はいつもの西村恭史の役割と言え、なかなか高い位置にいる印象となっている。
さてこの15分を見てわかったが、今節は前節の15分過ぎからと同様に3バックが採用されている。
前節も今節も実況はずっと右サイドバックに山内陸(前節)、玉城大志(今節)と言い続けていたが、これは3バックが正しいだろう。
(今節の実況は途中から「右サイドバック」という表現を使わず、玉城は中央に…と言っていたが)
この辺りの意図は思う事があるので、後ほど解説したい。
【15~30分】今節も群馬がボールを保持し続ける
16分、最終ラインでいつも通りビルドアップしていたが、大畑隆也がドリブルを使い左サイドを運んでいく。
ここに加々美登生、高橋勇利也と絡んで密集を抜け出すと、勇利也から良い縦パスが楔に下りてきた青木翔大に入る。
青木がターンしてから絶妙のスルーパスをDF裏に送り込むと、ここに入り込んだのは藤村怜。
溜めてからのクロスを選択したが、これは手前でDFにクリアされてしまうが…逆サイドに流れたボールを青木が回収。
ファーにクロスを上げると、フジレンがボレーで狙っていくが…これはキーパーが弾いてコーナーに。
最初のフジレンが抜け出した際に、小西宏登がファーでフリーだったので…フジレンがダイレクトで左足で上げられていれば…と思わなくもないが良い攻撃であった。
24分、加々美登生が良いカットインの仕掛けでファールを受ける。
ペナルティエリア内で倒れる形となったが…ファール自体は外だろう。
やはり外という判定であり、ペナルティエリアのすぐ外からのフリーキックとなった。
(リプレイを見ても外で正しい)
このフリーキックは藤村怜が直接狙っていくが、やはり少し距離が近過ぎることもあり…壁に当ててしまう形となった。
26分、このフリーキックが壁に当たりスローインでのリスタートとなったのだが、このスローインから細かいパスで左サイドを崩す。
高橋勇利也がクロスを送ると、これを小西宏登が折り返すが…ここはキーパーが飛び出して対応。
さすがに青木翔大と言えど、キーパーには競り勝てないので…もう少しクロスの精度を上げていきたい。
最近はこの「クロス」までは作れているので、やはり精度を上げていくことが大事だろう。
特に左サイドは(人が変わっても)良い連携で崩すことが多く、これは現チームの強みと言える。
(逆に右サイドは小西の個人技が光るため、下手に近い距離にいない印象)
【30~45分】課題だった前半でのゴール
38分、ここまでボールを保持し続けた群馬だったが、やっと待望の先制ゴールを挙げる。
大畑隆也から対角斜めの形で小西宏登に展開すると、小西は一度玉城大志に下げる。
玉城からDF裏に斜めに走り込んだ加々美登生にロングボールが送られると、ゴール前にクロスを送り込む。
これは青木翔大には合わなかったが、セカンドボールを玉城がミドルで狙っていく。
このシュートはミートしなかったが、ブロックされて跳ね返ったボールは小西の足元に。
小西がクロスを選択するも…これは対応したDFに当ててしまい、再び小西がボールを保持。
すると藤村怜が良い斜めの動きでポケットに入り込むと、ここに小西からスルーパスが送られる。
これをフジレンがダイレクトで強いボールを折り返すと、ドンピシャで青木翔大が頭で当てて先制ゴールを奪う。
いや…よく合わせたな。
青木らしい素晴らしいゴールだったが、フジレンの動き出しとクロスの質も高かった。
完璧なタイミングで宮崎智彦を置き去りにし、良い位置に入り込んだと言える。
そう遡っていくと小西のスルーパスも見事だったし、そもそも加々美の裏抜けも素晴らしかった。
もっと言えば大畑のロングフィードも(ボールの質は良いとは言えなかったが)良かった。
特に大畑はこのすぐ前のプレーでも小西にロングフィードを送っており、今まではロングボールを蹴らないという沖田監督の方針だったが…今節は対角のボールは狙いを持ってやっているかもしれない。
加々美の裏抜けに玉城も長いボールを入れており、やっとチームとして次のステップに進んだということだろうか?
このように長いボールも織り交ぜていけるようになると、相手としてはかなり守りにくくなる。
こうしてボールは保持でき、非常に良い前半ながら…得点が取れずに後半対策されてしまう…という最近の試合の傾向を崩すことに成功。
更には42分に、待望の追加点まで奪う。
42分、上田智輝からロングボールが石井稜真に収まりかけてしまうが…ここは大畑隆也と玉城大志が挟み込む形で対応。
体勢を崩した石井の蹴ったボールは小西宏登に収まる形となった。
ここから小西がドリブルで運んでいくと、一気にカットインから左足を振り抜き、これが綺麗にゴールに吸い込まれていく。
松長根悠仁の寄せが甘い…と言えばその通りでしかないのだが、小西は(この試合だけでなくシーズンここまで)あれだけ良いドリブルで縦に中に仕掛けてきた。
そのため、松長根としても簡単に抜かれないように距離を空け気味で対応せざるを得なかったのだろう…。
また先ほどの得点シーンのイメージもあると思われ、事実このシーンも同様に安達秀都がインナーラップで縦に抜けている。
松長根としては縦を使うことを読んでおり、カットインからシュート…というイメージはあまりなかったのだろう。
こうしてまさか…と言ってはアレだが、2点をリードして前半を終えることとなった。
しかし問題は後半である。
今までのようにハーフタイムで修正された後、それをしっかりと上回っていけるかどうかが問われることになるだろう。
【45~60分】1点を失うもすぐに取り返す
後半は福島のキックオフでスタート。
2点を追う形となった福島がハーフタイムで動き、宮崎智彦に代えて城定幹大、由井航太に代えて針谷岳晃を投入する。
注目していた由井だったが、この試合は完全に安達秀都に消されたと言って良いだろう。
また後半からは群馬もプレスのかけ方を変えたようであり、この辺りはまとめて後ほど紹介しよう。
54分、松長根悠仁が裏を狙ったボールは山内陸に当たるが、セカンドは上畑佑平士が藤村怜に勝ち森晃太に繋ぐ。
森のタッチがやや長くなったところを山内は狙ったのだと思うが…取り切れずに抜け出されてしまう。
右を上がった安在達弥を使うと、安在がダイレクトで折り返し、中村翼が力強く叩き込んで1点を返す。
マークとしては元々野瀬翔也だったんだろうが…DFラインを揃えて下がったところに、中村は止まってスペースを作った…と言える。
そのため、ここはボランチが埋めたいところだが…山内があの形で置き去りにされたのが痛かった。
加々美登生が手前側で埋めてはいたが、足の届かない絶妙な位置にパスを通されたと言える。
こうして1点を返され…以前のFC大阪戦が脳裏に浮かんでくる…。
56分、ここまで比較的上手くいっていたビルドアップが引っかかってしまう。
キム ジェヒのキックが森晃太に当たってしまうと、こぼれ球を石井稜真が無人のゴールに向けてシュートを放つ。
これは必死に戻ったキムが横っ飛びで弾くも、このこぼれ球に森が詰める。
しかしこのシュートは枠には送れず、サイドネットを外から揺らす形となり助かることに。
石井がもっと浮き球でループ気味に狙っていたら同点に追いつかれていただろう。
こういったミスは避けたいところだが…このサッカーを続けていく以上、どうしても1試合に1つ2つは出てしまうもの。
キムのキックは素晴らしいのは事実なので、ミスを恐れず自信を持って有効なパスを通していってほしいが…怖いサッカーなのは事実。
こうして失点からズルズルといきそうな雰囲気のあった展開だったが、今日はそうはならなかった。
58分、左サイドでコーナーキックを得ると、キッカーは安達秀都。
低く速いクロスをニアに入れると、これを高橋勇利也がヒールでフリック。
中村翼が足を伸ばし触ったものの…コースが変わりながらもゴールに吸い込まれ、再び2点差に広げることに成功。
こういう言い方は酷だが…中村が触ったことで逆にゴールになったとも言える。
しかし目の前でコースが変わったのに…(触れなかったものの)上田智輝はよく反応したものである。
【60~75分】ダメ押しの4点目
62分、ショートカウンター気味に早い攻撃を受ける。
最後は城定幹大がカットインからシュートを狙っていくが、ここはキム ジェヒが正面でセーブする。
群馬の守備の特性から、1つ剥がされると一気にゴール前に迫られると言える。
65分、両チームが選手交代に動く。
群馬のコーナーキックで再開となるが、福島ベンチはそのまま交代カードを切る選択をし、中村翼に代えて樋口寛規を投入する。
群馬は待つ判断にしたのか…交代選手を変えたのか…第4審との間でちょっとゴタゴタとし時間がかかるも、このタイミングで交代。
藤村怜に代えて下川太陽、安達秀都に代えて西村恭史、山内陸に代えて米原秀亮を投入する。
メンバーの顔触れを見ると、恐らくそのままのポジションに入ることになるだろう。
71分、ボールを奪った小西宏登がドリブルで少し運ぶと、一気に左サイド裏にロングボールを送る。
ここに下川太陽が抜け出しており、ゴール前に青木翔大が入り込んでいたが…マイナスの位置でフリーになっていた加々美登生を選択。
加々美はトラップから左に持ち出しシュートを狙うが…やや持ち出しが長くなり安在達弥に当ててしまう。
しかしこぼれ球が下川の足元に入り、再びマイナス気味のボールを送ると、これまたフリーで入ってきていた米原秀亮が流し込んで追加点。
これでいわゆる危険な2点差から、安全圏とも言える3点差に広げることに成功。
しかし…やはりFC大阪戦を考えると3点差と言っても油断はできないところ。
72分、このゴールの後のリスタート前に福島ベンチが動く。
安在達弥に代えて鈴直樹を投入する。
【75~90分】締まらない終盤
76分、再び福島ベンチが動き、石井稜真に代えて清水一雅を投入する。
するとこの直後、キム ジェヒから米原秀亮が縦パスを引き出すと、すぐ横の下川太陽に落とす。
下川のトラップがやや浮いてしまうと、城定幹大に詰められてしまう。
恐らく…下川が後方にパスをしようとした際に、ボールより先に城定の足を蹴ってしまった形になったのだろう…。
足の軌道が変わり、ボールにしっかりミートしなかったために短くなったパスを、樋口寛規が直接ループ気味に狙っていく。
このシュートは幸運にもクロスバーを直撃し、跳ね返ったボールをキムがセーブしてピンチを脱する。
80分に群馬ベンチが動き、小西宏登に代えて田頭亮太を投入する。
88分にも群馬ベンチが動き、加々美登生に代えて山中惇希を投入。
90分、ボールを奪ったところから良いカウンターを見せる。
米原秀亮が左サイドに展開すると、ライン際で山中惇希が頭で縦に落とす。
ここに高橋勇利也が抜け出すと、うかつにも距離を詰めた野末学をワンタッチでかわし縦に突破。
完全に数的優位となったが…高橋のパスは青木翔大に合わず(松長根悠仁の伸ばした足に当たって少しコースが変わったか?)
奥で田頭亮太が回収し玉城大志に下げると、玉城のクロスをファーで山中惇希が合わせるも…ややボールが高く当てるのが精いっぱいとなりゴールラインを割ってしまう。
(山中の位置がオフサイドであり、ドンピシャで合っていても…ではあったが)
94分、左サイドからの福島のスローインを野瀬翔也が跳ね返すと、これがタッチライン際で青木翔大に収まる。
青木がやや下がりながらボールをキープすると、良いタイミングで抜けた西村恭史を使う。
ワントラップからスルーパスを送ると下川太陽が抜け出し、逆サイドに展開。
ここに山中惇希が入り込んでおり、左足で良いシュートを狙ったが…ここは上田智輝が足でビッグセーブを見せる。
こぼれ球を米原秀亮が再びゴール前に送り、下川が頭で合わせるも…これは枠の右に外れてしまう。
非常に良い攻撃の形だったが…これ、下川の抜け出しオフサイドの可能性が高い。
副審がオフサイドラインに間に合っておらず、やや角度がついたところで見たためにオンサイドに見えた…というパターンであろう。
とは言え一度オフサイドラインを上げてから下がって…という形であり、これを完璧に合わせられる審判は…なかなかいないだろうが。
95分、再びビルドアップでミスが出てしまう。
キム ジェヒが狙ったやや長いボールは、そのまま城定幹大に入ってしまう。
福島は前からプレスにきており、群馬は後ろの人数が少なかったこともあり…完全に数的不利の状態。
城定から良い縦パスが針谷岳晃に入ると、針谷が右に落として清水一雅が叩き込んで1点を返されてしまう。
野瀬翔也がもっと絞るべきではあったが…完全に数的不利であり、外の森晃太もいたため…まぁ仕方ないところ。
実際森を使われていたら野瀬が出なければならない状態になっており、危険度を考えれば中央を締めるべきではあったが…根本的には枚数が足りていないのである。
やや集中が切れているのか…キムのキックが続けてミスになっているのが気になるところ。
97分、針谷岳晃からのロングボールを大畑隆也と樋口寛規が競る。
どちらも競り勝った…とは言えない形でボールは上に上がると、これを城定幹大が胸トラップにいくが山中惇希が潰す。
このこぼれ球を上畑佑平士が直接狙うと、野瀬翔也と高橋勇利也でブロック。
しかしこぼれ球を森晃太に直接狙われる。
キム ジェヒが良い反応でやや触りコースを変えると、これがクロスバーを直撃して外れてくれる。
…完全に集中が切れている。
特に気になるのは森のマークをするべき田頭亮太。
立ち位置が完全におかしいと言うか…守備のリスク管理ができていない。
ボールがこっちに来ると全く思っていない立ち位置であり、これは相当意識を入れ替えないと今後厳しいだろう。
特にサイドバックとしてやっていくのであれば、この辺りの意識改革は必須と言える。
こうしてかなり後味の悪い、全くもって締まらないゲームとなったが…福島の決定力不足にも救われなんとか勝利することに成功。
最終的に4-2での勝利ではあるが、正直何かが違えばFC大阪戦のようにひっくり返されていてもおかしくなかっただろう。
(むろん群馬にも5点目以降を取れていたチャンスはあったが)
課題はまだまだあるものの、ひとまずは勝利したことを喜び、これをきっかけに調子が上向いてくることを期待したい。
ピックアップポイント
変則の4バックなのか3バックなのか
今回は前節から気になっているこの部分を取り上げたい。
元々今シーズンの群馬は4バックで開幕し、攻撃時には両サイドバックがアンカーの脇に上がる形の変則スタイルとなっていた。
鳥取戦と奈良クラブ戦で3バックを採用しており、個人的には前節の岐阜戦も(少なくとも15分過ぎ頃からは)3バックだったと考えている。
(しかしメディアはこの2節を4バックとしているようだが)
元々が変則的な形で流動的に動いているため、ポジションを定めるのが難しいのであるが…前節の右サイドバックでスタートした山内陸は明らかに途中から中盤を守っていた。
今節も玉城大志は右サイド脇に下りることはなく、中盤の守備を行っていたと考えて間違いないだろう。
そのため、右サイドを守っていたのは野瀬翔也と小西宏登になる。
2CBで右側の野瀬が引っ張り出されているのではなく、3CBの右側の野瀬がWBの小西とともに右サイドを守る形になるのである。
ちなみに前節は藤村怜をアンカーに置いた3-5-2(3-1-4-2)であったが、今節は中盤の三角形を逆にした3-5-2(3-4-1-2)となっている。
この辺りの意図は予想の範疇を出ないが…恐らく群馬の選手の都合ではなく、対戦相手に合わせた形と思われる。
どういうことかと言うと、沖田監督の守備の基本は現代サッカーでは珍しいとも言えるレベルで1対1のマンツーマン志向が強い。
大昔ほどマンツーマンでどこまでも付いていく形ではないが、基本の立ち位置はありつつも(ゾーンで)場所を守ると言うより、対人を守るという形を作っているように見える。
極力1対1の形を作っており、それが故に1枚剥がされると一気にスピードアップされてしまう…という傾向がある。
さて、今節の3-5-2であるが…全体を見るとこのようにマッチアップするためにこの形となっている。(やや大げさに描いているが)
福島は今節1アンカーに由井航太が起用されており、2CBとの3枚を3人で見るためにトップ下(安達秀都)が置かれた形になる。
前節の岐阜はダブルボランチを採用していたため、群馬はフジレンをアンカーにしその前に西村と下川を並べていた。
(フジレンがトップ下の西谷亮を、西村と下川がボランチの北龍磨と萩野滉大を見る形)
ちなみに後半からは3人でこの3人に当たる…という形は変わっていないものの、由井に代わって入った針谷岳晃を青木翔大が見るシーンが多かった。
(青木と安達の守備時の立ち位置が逆となり、安達が最前線右側に入ることが多かった)
正直意図はわからないが…ハーフタイムで指示があったと思われる。
試合中は流動的に動くため、4-4-2だとか5-3-2だとか数字にそれほど大きな意味があるわけではないが…個人的にはここはこだわりたいポイントである。
大事なのは数字ではなく、誰がどこをどのように埋めているのか…ではあるが、数字はその参考になるだろう。
前節や今節の後に「野瀬翔也が釣り出された」とか「山内陸が守備をしないから小西宏登が深い位置まで戻って守備をした」なんて声を見かけたので、今回はコレを取り上げることにした次第である。
4バックではなく3バックであると考えれば、野瀬が釣り出され大畑隆也が釣り出されないのは至極当然。
(実際は高橋勇利也が戻る距離が長いために、状況によっては戻り切れずに大畑が外に出て対応するシーンはあるが)
また山内(今節では玉城)は右SBではなく中盤の守備を担うために、通常右サイド深い位置まで戻らないのも当然のこととなる。
3バック…言い換えれば5バックになるので、守備陣形がセットできる時間がある時にはWGの小西が右サイド深い位置の守備をすることになるのである。
左サイドも同様に、引いてセットした際には加々美登生がしっかりと最終ラインに入っていた。
どうしても勇利也が攻撃時に前に上がるために、1番早く戻れる位置にいる選手がポジションを埋めることになり…勇利也だったりフジレンだったり、加々美だったりとなり2CBの印象が強くなりがちではあるが。
2CBの印象が強いが故に、4バックという頭が抜けない…と言い換えられるかもしれない。
ちなみに攻撃時は今までと大きく変わらず、2-3-5もしくは2-5-3と言える形である。
綺麗に並べると下記図のようになるが
実際のところは下記図のようにかなり左右差のあるポジションと言える。
特に今節は玉城(前節は山内)が山内(前節はフジレン)とダブルボランチ気味にプレーしており、特に左右差が感じられることとなった。
この辺りも意図が明確にあり、右サイドは小西が1人で縦にも中にも仕掛けられるのが大きいのだろう。
小西にスペースを与えつつ、安達と玉城がフォローできる形を取っている。
対して左サイドは加々美、フジレン、勇利也と距離を近くし、細かいパスでプレスをくぐりぬける形となっている。
沖田監督は超攻撃的サッカーを掲げ、自分達のサッカーに強くこだわりを見せているように見えるが…実際のところはかなり攻撃も守備も柔軟に対応している印象である。
(攻撃面では起用された選手の特色を活かせるように、守備面では対戦相手に合わせて)
今節は勝利したものの、まだまだ予断を許さない状況が続いており…下手したらJFLへの降格もあり得る。
が…自分が今後も沖田監督に任せてみたいと思っているのは、この辺りの柔軟性が大きい。
さて次節(天皇杯を挟んで…ではあるが)は3-1-4-2が基本となっている高知。
マンツーマンの形を作り出すためには、4バックの採用となるかと思うが…果たして?
MOM
この試合のMOMは小西宏登としたい。
まさにスーパーの一言だろう。
得点はもちろんだが、攻守に素晴らしい活躍をしてくれた。
この試合に限らず、小西の貢献度はもはや語るまでもない。
他には青木翔大、高橋勇利也、藤村怜の名前を挙げたい。
青木はやはりさすがの一言で、青木がいるだけで攻撃はタメが作れるし守備も安定する。
勇利也は水を得た魚のような状態であり、攻撃参加が期待される3CBの外側というのはまさに適任の一言。
フジレンは相変わらずの運動量でどこにでも顔を出してくれた。
他にはやや地味だったかもしれないが、ボールの無いところで効いていたのが玉城大志と安達秀都。
(玉城はかなりボールにも絡んだが)
守備では完全にダブルボランチと言えたが、攻撃でも山内陸がアンカーではあるものの…玉城とダブルボランチに近い形を作っていたのがこの試合の特徴。
これが福島にハマったと言える。
安達は守備時にはトップ下の位置で、完全に福島のアンカー(由井航太)を消してくれた。
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