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【2025 J3第23節】ザスパ群馬 対 FC大阪【レビュー】

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※ザスパ群馬ファンによる、ザスパ群馬贔屓のマッチレビューです。

 

第23節はホームでのFC大阪戦です。

前節は鹿児島を相手に逆転負け。

先制から逆転を許し、1度は追いついたものの…再び突き放されて敗戦…という内容でした。

しかし徐々に内容が良くなってきているのも事実であり、中断期間空けのこの試合は今後を占う大事な試合となりそうです。

今節は前回対戦で良い試合を見せたものの、逆転負けという非常に悔しい試合となったFC大阪が相手。

シーズンダブルを避けるのはもちろんですが、今度は勝って勢いに乗りたいところです。

 

今回はそんなFC大阪戦をレビューします。

スタメン・フォーメーション

ザスパ群馬

スターティングメンバー

ポジション 背番号 選手名
GK 13 近藤壱成
DF 3 大畑隆也
22 高橋勇利也
30 小柳達司
36 安達秀都
MF 7 西村恭史
15 風間宏希
37 瀬畠義成
FW 18 田中翔太
32 河田篤秀
38 小西宏登

ベンチ

ポジション 背番号 選手名
GK 21 キム ジェヒ
DF 43 野瀬翔也
MF 8 山内陸
27 藤村怜
35 玉城大志
49 小竹知恩
FW 9 青木翔大
10 髙澤優也
20 下川太陽

 

群馬は前節から2枚を入れ替え。

山内陸とモハマド ファルザン佐名が外れ、風間宏希と小西宏登がスタメン起用となった。

山内はベンチスタートとなったものの、ファルザンはまさかのベンチ外。

前節の大活躍を考えると外す理由がないので、怪我かコンディション不良かとなるのだろう。

長期離脱ではないと良いのだが…。

 

離脱と言えば前節に復帰した小西宏登がスタメン起用となっており、前節は今一つ試合に入りきれなかったのが気になるところ。

怪我が治り調子も上がってきているだろうから、ここでしっかりと試合勘を取り戻していきたいところだろう。

また藤村怜もベンチに復帰し、貴重な戦力が帰ってきてくれた。

フジレンがベンチに復帰したため、前節からは菊地健太がベンチ外ということに。

FC大阪

スターティングメンバー

ポジション 背番号 選手名
GK 1 山本透衣
DF 3 川上竜
16 橋本陸
23 秋山拓也
37 堤奏一郎
MF 10 久保吏久斗
19 増田隼司
27 澤崎凌大
33 禹相皓
FW 7 木匠貴大
9 島田拓海

ベンチ

ポジション 背番号 選手名
GK 31 菅原大道
DF 5 水口湧斗
6 舘野俊祐
MF 8 芳賀日陽
11 利根瑠偉
25 武井成豪
41 野瀬龍世
FW 39 望月想空
51 西村真折

 

FC大阪は前節から3枚を変更。

芳賀日陽、佐藤諒、西村真折が外れ、久保吏久斗、増田隼司、澤崎凌大がスタメン起用となった。

芳賀と西村はベンチから、佐藤はベンチ外ということに。

ベンチを見ると坂本翔が外れ、水口湧斗と利根瑠偉がベンチ入りとなっている。

 

注目はやはり前回対戦でもやられている、木匠貴大と島田拓海の2トップ。

特に島田の方はここまで7得点となっており、チームのトップスコアラー。

ここ7試合ゴールから遠ざかっているものの…やはり怖い存在ではある。

 

そしてやはり忘れられないのが、ベンチに座る西村真折。

どうやら久々にベンチスタートとなったようだが…前回対戦では途中出場から2点を奪われている。

その再現だけは絶対に避けたいところである。

試合経過

【0~15分】ロングボール一本に河田のスーパーゴール

前半はFC大阪のキックオフでスタート。

5分、ファーストシュートとなった島田拓海のシュートは、近藤壱成がしっかりとセーブ。

 

6分、右サイドを安達秀都小西宏登西村恭史の3人で細かく繋いで抜けようとするが…これを失い増田隼司から縦のスペースにスルーパスが送られる。

ここに入っていた木匠貴大が少しドリブルで運んでから、中央にスルーパス気味のクロスを送ると…ここに入り込んできた久保吏久斗は触れなかったものの、その奥には島田拓海が!

しかし島田のシュートはミートしなかったか…ふかしてしまい枠を大きく外してくれて助かる形となった。

終わってみるとこの試合はFC大阪の決定力不足に助けられた形でもあり、このシュートが決まっていたら全く違うゲームになっていた可能性もある。

 

9分、自陣でファールを受けると、このフリーキックを蹴るのは高橋勇利也

画面外で河田篤秀が良い動き出しを見せたようで、ここにロングボールを入れる。

橋本陸と並走する形ではあったが、河田が完全に橋本を背中でブロックしており…これは河田の動き出しの勝利。

勇利也からの良いボールを頭でコントロールから、飛び出してきたキーパーをよく見てインサイドで軽く浮かせてゴールに流し込んでみせた。

FC大阪のDF陣は、この河田の動き出しに対してオフサイドをアピールするも判定はゴールのまま。

勇利也のボールは非常に良かったが、それ以上に河田のコントロールからループシュートは完璧の一言。

こういった難しいプレーを難なくやってしまうのが河田という選手である。

(逆に簡単なシュートを外しがちなのがご愛嬌か…)

 

13分、近藤壱成から長めのボールが送られると、これを小西宏登がしっかりとキープ。

内側を縦に駆け上がった西村恭史を使うと、抜け出した西村がダイレクトでクロス。

これを逆サイドから入り込んだ田中翔太が合わせるも…ミートしなかったかDFにブロックされたか。

こぼれ球を再び西村が回収し、ファーにクロスを送り込むと、今度は高橋勇利也が合わせるも…これは山本透衣が左手一本で良いセーブを見せる。

ここは決めきって点差を広げておきたかったところだが…勇利也のシュートはコースも悪くなく、キーパーを誉めるべきだろう。

【15~30分】完璧な形での追加点

23分、風間宏希から安達秀都小西宏登と右サイドにボールを繋いでいく。

すると流れの中で最前線にいた田中翔太が斜めのランニングでDFラインの裏に抜け出していく。

小西のスルーパスを田中がダイレクトで低く折り返すと、ニアに入った西村恭史には合わず…。

しかしその奥で高橋勇利也がしっかりと左足で合わせて追加点を奪うことに成功。

ややコースが甘かったものの、アウトサイドにかけたことでキーパーから逃げる軌道となり、山本透衣も触ったもののコースがほぼ変わらずにネットに吸い込まれる形となった。

左利きの小西らしい素晴らしいアウトサイドでのスルーパス、田中の動き出しからのクロス。

ニアには西村、中央ややファーに勇利也、その奥には河田篤秀も入り込んでおり、まさに完璧な形のゴールと言えるだろう。

 

29分、河田篤秀へのパスがややズレたところから速攻を受ける。

久保吏久斗が右サイドを運びクロスを上げると、これを木匠貴大が合わせるが…浮いてしまい助かる形に。

これでFC大阪は決定機を2つ外してしまったこととなり、3つのうち2つを決めきった群馬との差がスコアに現れることとなった。

しかし改めて思うが…前半のうちにFC大阪が1つでも決めていたら全く違ったゲームになった可能性がある。

【30~45分】今節も怪しい判定再び

36分、小柳達司からのロングボールが最前線に送られるが…ここは河田篤秀が競り勝てず。

しかしどちらも触ったのか触らなかったのか…というボールとなり、FC大阪のDF陣は流れたボールの処理はキーパーに任せた様子。

ここに河田が諦めずに詰めると、ボールに飛び込んだキーパーに倒される形となったがノーファールの判定。

キーパーはボールを触っておらず河田を倒しているようにも見え…これは本当にノーファールだろうか?

確かにPKを取るにはなかなか勇気のいるシーンではあるが、群馬サポ側から見るとノーファールに納得のいかない人も多いかと。

ノーファールでプレーが流れたため、ここからカウンターを受けそうになるが…ここを西村恭史が身体を張ってファールで止める。

個人的にはここも西村にイエローカードで良いと思うのだが…先ほどのPKを取らなかった帳消しかのように、ノーカードの判定となった。

 

40分、ロングボールに河田篤秀が抜け出そうとしたが…両チームの選手ともに引っ張り合う形となり転倒。

これに対して主審はオフェンスファールを取ったようで、激怒した河田が全身で怒りを表してしまう。

リプレイを見るとどちらもやり合っていることは事実だが…うーん、ディフェンスファールかなという印象。

(自分が群馬サポだからかもしれないが)

河田のこのジェスチャーに対し、抗議としてイエローカードが提示される。

このカードは妥当であり、何の文句もないのだが…その後の河田の身振り手振りで主審と会話している姿を見ると…副審はディフェンスファールを取っていたのかもしれない。

判定の決定権は主審が持っているが…このシーンは主審よりも副審の方が遥かに見やすいシーン。

誤審というほどではないかもしれないが、ここしばらく不遇な判定が多い群馬としては「またか」という思いがある。

【45~60分】互いにゴールに迫るも

後半は群馬のキックオフでスタート。

ハーフタイムでFC大阪が2枚を代え、澤崎凌大に代えて芳賀日陽島田拓海に代えて望月想空を投入する。

 

49分、芳賀日陽のパスを西村恭史がインターセプト。

すぐ横の風間宏希に繋ぐと、風間は左サイドの裏のスペースにロングボールを送り込む。

ここに走っていたのは河田篤秀だったが…本人としてはもっと縦(自分の前のスペース)に欲しかった様子。

しかししっかりと回収すると、ドリブルで仕掛けてシュートを狙っていく。

ファーを狙ったシュートは山本透衣がセーブするが、このこぼれ球が小西宏登の足下に。

小西のシュートは橋本陸にブロックされてしまうも、跳ね返りを瀬畠義成が狙っていく。

これも橋本がブロックしたが…手に当たっているようにも見えるがノーハンドの判定に。

こぼれ球は風間のところに飛んだが、シュートは打てずに最終的には禹相皓を倒してしまう形となりファールの判定となった。

 

51分、FC大阪がコーナーキックのチャンスを得ると、キッカーは橋本陸

ニアへのボールは西村恭史が頭でクリアするも、こぼれたボールを堤奏一郎がダイレクトで狙っていく。

ファーに巻いて落とすようなイメージだったかと思うが…落ち切らずに外れてくれて助かる形となった。

 

53分、近藤壱成の低い縦パスに禹相皓が滑り込んでカット。

これが久保吏久斗につながると、中央に低いボールを送り込む。

芳賀日陽が受け、切り返しから右足に持ち替えてシュートを狙っていくも…このシュートは枠の右に外れてくれる。

 

56分、群馬ベンチが動く。

風間宏希に代えて藤村怜瀬畠義成に代えて山内陸を投入する。

フジレンは怪我からの復帰戦となるが、35分程度ということなのでコンディション面は問題ないと考えて良さそうか。

【60~75分】やや押し込まれる展開に

66分、FC大阪ベンチが動く。

木匠貴大に代えて西村真折久保吏久斗に代えて野瀬龍世を投入する。

68分には群馬ベンチが再び動き、小西宏登に代えて下川太陽を投入。

 

69分、野瀬龍世のクロスに望月想空が合わせるも枠の左に。

70分には橋本陸がフリーキックを蹴るが、これは小柳達司が跳ね返す。

こぼれ球は野瀬にダイレクトで打たれるも、このシュートもわずかに枠の左に外れてくれる。

 

点差を考えるとこういう展開になりがちではあるが…この時間帯はやや押し込まれることとなっている。

シュートが外れてくれているから助かっているが、前回対戦の事を考えると…やはりもう1点取って試合を決めたいところだろう。

【75~90分】課題だったクロージング

82分、同じタイミングで両チームが動く。

群馬は河田篤秀に代えて髙澤優也西村恭史に代えて野瀬翔也を投入。

FC大阪は増田隼司に代えて利根瑠偉を投入する。

髙澤はそのまま最前線、河田のところに入るとして…野瀬を入れてどう変えるのか?

どうやら西村のいたところに下川太陽が上がり、下川のいた右WBには山内陸が。

山内のいたアンカー(左のディフェンシブハーフ)には藤村怜フジレンのいた左シャドーに田中翔太

田中のいた左のWBに高橋勇利也が入り、最終ラインが野瀬を右に加えて左にスライドした様子。

まとめると3CBは右から野瀬小柳達司大畑隆也

WBが右に山内、左に勇利也となり、ダブルボランチはフジレン安達秀都

シャドーが右に下川、左に田中、最前線が髙澤となる。

 

89分、右サイドで野瀬龍世がボールを受けると、少し運んでからゴール前にクロスを送り込む。

ここに望月想空が飛び込むが、小柳達司野瀬翔也がしっかりと対応しており身体をぶつけて良い体勢では打たせず。

そのためこのシュートは枠を捉えられず左に外れていく。

 

アディショナルタイムは4分となったが、この89分のシーン以外には危険なシーンは作らせず。

課題であったアディショナルタイムの締め方も、少し改善が見られて無事にクロージングを完了。

本当に久々のホーム戦勝利となった。

ピックアップポイント

戦術の改善に関して

この試合は上位のFC大阪を相手に、非常に良い試合を見せて完勝となったと言える。

とは言え、FC大阪がことごとく決定機を外してくれた印象もあり…特に開始早々の6分のシーンを決められていたら全く違うゲーム展開となったかもしれない。

 

しかし戦術面がかなり改善され、内容が良かったこともまた事実であろう。

特に目立ったのは今まで以上にロングボールが多用されたこと。

少し前から要所要所でロングボールを使えるようになってきていたが、この試合は更に増えていた印象がある。

またゴールキックも近藤壱成が大きく蹴りだすシーンがあり、この辺りは明確に監督の指示が変わったことが伺える。

 

以前に書いたが、やはり沖田監督は「敢えて」異常なまでに足下にこだわり続けてきたのだと思う。

それは足下を繋ぐポゼッションサッカーという美学ではなく、まず第一フェーズとして徹底的に足下を繋げる意識と技術、連携を構築すること。

第二フェーズとしてロングボールも織り交ぜていく。

そして第三フェーズとして、両方を効果的に使い分けていく段階…という考えがあったのだろう。

確かその際に自分が書いたことは、その準備段階(第一フェーズ)で失う勝点と、完成後(第三フェーズ後)で得られる勝点とどちらが多くなるか…ということだったと思う。

 

正直なところ個人的には…今シーズンだけを見れば勝点はマイナスでも良いと思っている。

要は戦術の熟成までに失った勝点の方が大きくなり、優勝はおろか昇格圏内も逃してしまうような形であっても、長期的なクラブ経営を考えた方が良いということ。

というのも当然J2の舞台に戻りたいし戻るべきではあるが、現状のままJ2に戻っても良くて残留争い。

悪ければすぐにJ3に戻ることが予想される。

であれば今はしっかりと地力をつけ、クラブの経営基盤等々を強化していく段階であろう。

この先に大きく飛躍するための準備期間となれば良いのではないかと思っている。

 

そのため、問題は来シーズンに再びスクラップ&ビルドにならないようにしなければならない。

かつてのザスパというチームは、前シーズンの選手の方が少ないということも多いような…言葉は悪いが寄せ集めのチームであった。(監督も毎年のように変わっていた)

毎年毎年チームをイチから作り、良くなってきたころにはシーズンが終わるということが多かった。

安定した成績を残すためにも、このままチームの熟成と来年に上乗せできるようにしていってほしいところ。

(そう考えると…やはり大槻監督の2年目が痛すぎるのだが…)

 

改めて戦術の話に戻り、沖田監督の采配にも少し触れたい。

ロングボールが多くなったのも采配の1つではあるが、どちらかというとクロージングの話である。

82分の交代で野瀬翔也を投入し、1枚DFを増やすような形を取った。

これは以前も試しており、攻撃時に2バックになるのを止めて3バックのまま…という形である。

(当然リードを守りきるために1枚DFを増やしたと考えて良いだろう)

 

他には試合終盤には高橋勇利也がコーナーフラッグ付近で時間を使い切るプレーを見せており、この辺りも明確に変わったところと言える。

沖田監督の考えが変わったのか…その辺りは本人しかわからないが、個人的には先ほど書いたように「次のフェーズ」に移ったのだと考える。

楽観的な考えかもしれないが…こうして次の段階に入った群馬であり、ここから更に良い試合をしてくれるような予感を感じさせるFC大阪戦であった。

あとは今後のフェーズの中に「組織的な守備の構築」が含まれていることを願うばかりである。

MOM

この試合のMOMは河田篤秀としたい。

あのスーパーゴールはもちろんだが、再三にわたり良い裏抜けを狙っていたのが印象的。

また降りてきては素晴らしいサイドチェンジなどを見せ、やはりJ3のレベルの選手ではないと思わせてくれた。

ある意味ではやっと河田が本領を発揮してきたと言え、ここから更に調子を上げていってくれることに期待したいところ。

 

他には高橋勇利也も触れておきたい。

ゴールはもちろんだが、毎度毎度しっかりとこの位置まで入り込んでおり、攻守に非常に運動量を求められる役割ながらもしっかりと役割を果たしている。

当初は守備の怪しさが目立ってしまっていたが、以前書いたように瀬畠義成安達秀都の両ボランチの対応の変化も含めて、守備も安定してきている。

まさに今のシステムのキーマンと呼べる存在だが…それだけに気になるのは離脱時には誰が代わりを務めるのか…ということ。

当然練習中にはこの役割を他の選手でも試しているとは思うが…。

 

安達秀都の名前が出たので少し追加で書きたいが、彼はここ数試合で随分と守備対応が向上した印象。

元々は攻撃の色の方が強い選手かと感じたが、今はかなり守備面でも良い対応を見せている。

 

最後は怪我明けの小西宏登藤村怜に触れたい。

小西は前節は正直今一つ…というか以前の小西を考えると物足りなさがあった。

この試合でも「小西ならもっと出来るだろう」という思いはあるものの、着実にコンディションを上げてきていることが伺える。

完全復活も近そうであり、今後の活躍に期待したい。

フジレンは逆に怪我明けながら、それほどブランクを感じさせないように見えた。

地味ながら(失礼)風間宏希がなかなか効いているので、復帰したフジレンとの使い分けが悩ましくなるだろう。

沖田監督としては贅沢な悩みができたのではないだろうか?