※ザスパ群馬ファンによる、ザスパ群馬贔屓のマッチレビューです。
第2節は再びホームでの栃木シティ戦。
スケジュールの関係でホーム戦が2試合続く形となりました。
前節は良いサッカーをしながらも決定力不足に泣き、スコアレスドローという結果に。
琉球の調子が決して良かったわけではないこともあり、昇格を目指す群馬としては是非とも勝っておきたかった試合でしたね。
今節は再びホームゲームが続くということで、しっかりと勝って良い流れを作っていきたいところ。
対するは昨シーズンのJFL王者である栃木シティ。
初のJ3ではあるものの、今矢監督4年目ということに、更には戦力的にはかなり強いチームと言えるでしょう。
今回はそんな栃木シティ戦をレビューします。
Contents
スタメン・フォーメーション
ザスパ群馬
スターティングメンバー
ポジション | 背番号 | 選手名 |
GK | 13 | 近藤壱成 |
DF | 2 | 田頭亮太 |
3 | 大畑隆也 | |
22 | 高橋勇利也 | |
MF | 6 | 米原秀亮 |
7 | 西村恭史 | |
8 | 山内陸 | |
11 | 加々美登生 | |
FW | 9 | 青木翔大 |
17 | 山中惇希 | |
20 | 下川太陽 |
ベンチ
ポジション | 背番号 | 選手名 |
GK | 1 | 石井僚 |
DF | 43 | 野瀬翔也 |
MF | 27 | 藤村怜 |
35 | 玉城大志 | |
36 | 安達秀都 | |
37 | 瀬畠義成 | |
FW | 10 | 髙澤優也 |
18 | 田中翔太 | |
38 | 小西宏登 |
群馬は前節から2枚を変更。
河田篤秀に代えて青木翔大、藤村怜に代えて加々美登生がスタートから起用されることとなった。
気になるのはスタメンから外れた河田だが…ベンチにもおらず前節の戦犯となったか?
確かに取るべきところで取れなかったとは言えるが…効果的なポストプレーからチャンスを作っており、戦犯としてベンチ外というのは厳しいのではないだろうか?
ということで、個人的な想像ではあるが怪我かコンディション不良で外れたものと考えている。
ベンチを見ると小柳達司に代えてルーキーの野瀬翔也、藤村怜がベンチスタートとなり、河田篤秀が外れたところに瀬畠義成が入る形となっている。
前節と同じくDF登録は1枚という…非常に攻撃的な選手が揃うこととなった。
注目はもちろんスタメン起用となった青木翔大と加々美登生。
どちらも前節途中出場で存在感を出していただけに、スタメンの座をつかみ取ったと言えるだろうか?
またもう一人名前を挙げたいのが、前節はどうにも試合に入りきれずに交代となってしまった印象の強い下川太陽。
途中で下げたことを考えても、沖田監督としても前節は機能していなかったと考えていそうだが…信頼は厚いと思われる。
このチャンスをしっかりと活かして、スタメンで起用されている理由を見せつけてほしいところ。
栃木シティ
スターティングメンバー
ポジション | 背番号 | 選手名 |
GK | 31 | 相澤ピーターコアミ |
DF | 2 | カルロス エドゥアルド |
15 | 佐藤喜生 | |
22 | 鈴木裕斗 | |
33 | 乾貴哉 | |
MF | 8 | 森俊貴 |
14 | 関野元弥 | |
16 | 加藤丈 | |
26 | 宇津木峻 | |
FW | 9 | 都倉賢 |
77 | 田中パウロ淳一 |
ベンチ
ポジション | 背番号 | 選手名 |
GK | 1 | 原田欽庸 |
DF | 42 | マテイ ヨニッチ |
MF | 11 | 表原玄太 |
20 | 土佐陸翼 | |
FW | 19 | 村越健太 |
24 | 熊野敬二郎 | |
25 | 東川続 | |
40 | 鈴木国友 | |
99 | 平岡将豪 |
栃木Cも前節から2枚を変更。
奥井諒に代えて乾貴哉、吉田篤志に代えて森俊貴が起用される。
そして奥井と吉田はどちらもベンチ外となっている。
ベンチメンバーも変更があり、内田錬平、藤原拓海が外れ、マテイ ヨニッチ、村越健太、熊野敬二郎、平岡将豪がベンチ入りということに。
注目は栃木Cと言えば…の田中パウロ淳一であろう。
既に31歳となるが怖さは健在。
そして同じくベテラン枠ではあるものの、盛岡から新加入の都倉賢。
元ザスパということでお馴染みのプレーヤーではある。
もう一人名前を挙げたいのが、栃木は栃木でも…栃木SCの10番を背負っていた森俊貴である。
この3人が形成する攻撃陣を、群馬DF陣はどう止めるのか…というのが注目ポイントになるだろう。
元群馬と言えば、スタメンの都倉賢以外にベンチには鈴木国友が。
そしてベンチ外となっているが岡庭裕貴も栃木Cに所属している。
試合経過
【0~15分】早々にピンチは迎えるが…徐々に群馬ペースに
前半は栃木Cのキックオフでスタート。
今節は正田醤油スタジアムらしく、非常に強い風がピッチの左から右に流れる試合となった。
また雪が降っている…と言うよりは、強風により赤城山から雪が舞ってくるといった非常にタフなコンディションであった。
0分、開始早々にビルドアップのミスからピンチを招いてしまう。
大畑隆也からのパスを受けた高橋勇利也だったが、やや置き所が長くなり…更には芝に足を取られたか?プレスに来た森俊貴と交錯する形に。
このこぼれ球を都倉賢が直接狙っていくも、このシュートはそれほど威力なくキーパーの正面に行ってくれる。
13分、西村恭史が上手いキープから山中惇希に落とす。
山中がミドルシュートを狙っていくが、これはエドゥアルドに当たり、この試合初のコーナーキックを獲得する。
14分、左からのコーナーキックを蹴るのは加々美登生。
狙っていったのか、強風に押されたのかは不明だが…これが良いボールとなりニアサイドを直接狙うコースになる。
非常に良いボールとなったが、ここは相澤ピーターコアミがかき出しこぼれ球も栃木Cがクリア。
右サイドに流れたボールを下川太陽がライン際で残して回収すると、突破を仕掛けファールを受けてフリーキックを獲得する。
15分、このフリーキックは山中惇希が低いボールでマイナスに入れていく。
これを直接加々美登生がミドルで狙っていくも、ブロックされてしまう。
こぼれ球を下川太陽が直接狙っていくが…これは大きく枠を外してしまう形に。
こうしてキックオフ直後こそミスからピンチを迎えたが、その後は落ち着いてボールを保持し群馬ペースを作り出した時間帯となった。
【15~30分】シーズン初ゴールは青木翔大
17分、近藤壱成からのロングボールを青木翔大が頭でフリックして右サイド裏のスペースに送る。
ここに下川太陽が抜け出すと、深い位置まで侵入しカットインから左足で狙っていくも…これはエドゥアルドにブロックされてしまう。
こぼれ球を自ら回収すると、フォローにきた田頭亮太に落とす。
田頭がダイレクトでゴール前にクロスを送り込むと、ここに青木翔大が飛び込むが…その前に鈴木裕斗が頭でコーナーにクリアする。
非常に良い形でゴール前に侵入しただけに、ここは下川のところで決めきりたかったところか?
しかし早い時間帯で一つ良い形で得意のカットインを見せたことで、下川はこの試合はしっかりとノッていけるのではないだろうか?
22分、相澤ピーターコアミが蹴りだしたボールを宇津木峻がトラップして収めるが、ここを狙っていたのが米原秀亮。
ワンタッチで前に持ち出してから左サイドの加々美登生に素晴らしいスルーパスを通す。
加々美がそのまま持ち出してシュートを狙っていくが…これは相澤ピーターコアミのファインセーブに防がれてしまう…。
チャンスは作れているだけに…早い時間で1つゴールが欲しいところ。
このままでは前節同様に「決定力不足」となってしまう。
そんなことを思っていた23分、ついに今シーズン初ゴールが生まれる。
左からのコーナーキックを獲得すると、ここもキッカーは加々美登生。
中央に送られたボールはエドゥアルドが競り勝つが、このクリアは真上に上がる形となり、更には強風で流されて戻ってくる。
ここを高橋勇利也が頭で狙っていくが、このシュートは相澤ピーターコアミがファインセーブ。
しかしこぼれ球を青木翔大がお腹辺りで押し込んで先制ゴールを奪う。
青木の押し込みも田中パウロ淳一に当たりながら入る…という、栃木Cも良いDF対応を見せたが…ついにゴールをこじ開けることに成功。
続く24分、米原秀亮からの縦パスを下がりながら受けた加々美登生が、ダイレクトでDFライン裏にフリック。
ここに抜け出した青木翔大が直接ゴールを狙っていくが…これは枠の右に外れてしまう。
シュートはやや残念であり、中央には西村恭史、ファーには山中惇希が入り込んでおり…結果論としてはここを使っても良かったのでは?となる。
しかし青木はしっかりと中も見ており、その上で自らシュートを打つことを選択。
個人的には、FWとしてはこのくらいのエゴがあった方が良いと考えている。
しかし米原は良いところを常に見ているし、加々美は上手い。
25分頃から栃木Cは前線の左右を入れ替えたようで、右に田中パウロ淳一、左に森俊貴という形に。
流れの中でのものかと思ったが、プレーが切れてもポジションはこのままとなっており、戦術的に左右を入れ替えたようである。
【30~45分】終了間際のパーフェクト弾
この試合はセットプレー時のミスキックが非常に目立つ印象。
蹴った後の風の影響も大きいだろうが、どちらかと言うと蹴る直前に止まっているはずのボールが風で少し動くのが原因に見える。
選手としては止まっていると思っているのに、わずかに動かれることでミートポイントをズラしてしまっているのだろう。
41分、下川太陽が高橋勇利也に下げたボールがミスとなり、これを森俊貴がカット。
そのままペナルティエリア内まで持ち込むが、途中でボールに足を引っかける形となりやや体勢を崩す。
しかし失わずに粘って後方の加藤丈に落とし、加藤が狙っていくも…このシュートは枠を外れてくれる。
加藤はワンタッチをアピールするも、判定はゴールキックということに。
45分、左サイドの山内陸から大きく右に展開。
右サイドで下川太陽が受けると、インナーラップした田頭亮太を囮にカットイン。
シュートを狙っていくも…これは枠を外してしまう。
細かいタッチで持ち込んだが、映像を見る限りだと持ち出しが一つ多かったか?
しかし下川はこの試合は良い仕掛けを再三見せている。
46分、栃木Cのゴールキックは都倉賢が競り勝つも、落としたところに栃木Cの選手はおらず。
米原秀亮がやや戻りながら回収にいくと、これをダイレクトで左サイド裏のスペースに送り込む。
ここに抜け出した山中惇希が、これまたダイレクトでゴール前にクロスを送ると、ここにフリーで西村恭史が飛び込んで追加点。
このシーンは後ほど振り返りたい。
こうして前半終了間際にまさに「パーフェクト」なカウンターで追加点を挙げ、良い形で前半を終えることとなった。
【45~60分】開始早々のピンチ再び
後半は群馬のキックオフでスタート。
両チームともにハーフタイムでの交代はなくリスタートとなった。
48分、群馬のゴールキックだったが…山内陸が中央ペナルティラインのところで田中パウロ淳一と都倉賢に挟まれる形でロスト。
都倉が持ち出すも、良いタイミングで飛び出した近藤壱成が右足でカット。
このこぼれ球が田中パウロ淳一の足元に入ってしまい、直接打たれるも…ゴールマウスのカバーに入っていた高橋勇利也が足に当ててセーブ。
こぼれ球を大畑隆也が大きく蹴りだして難を逃れる。
最終的にはこの大畑のクリアに対して飛び込んだ都倉のファールとなったようである。
前半早々にもミスからピンチがあり、41分にもパスミスからピンチを迎えている。
どうしてもチームの戦術上、こういった形のピンチは出てくることが予想されるが…この辺りはしっかりと修正したいところ。
この試合でもどれか1つ決められていたらわからなくなっていただろう。
50分、鈴木裕斗からの長い楔の縦パスを都倉賢が引き出すと、ダイレクトで右に落とす。
関野元弥が潰されながらも右サイドにボールを送ると、これを田中パウロ淳一がダイレクトでゴール前に送る。
恐らくシュートではなくクロスだったと思うが、これがゴールを狙う形となり近藤壱成がパンチでコーナーに逃げることとなる。
55分、近藤壱成からのスローを受けた米原秀亮が一気に右サイドにロングボールを送り込む。
これはこの後に奪われてしまい攻撃は続かなかったが…米原は本当によく周りが見えている。
【60~75分】3バックに変更か?
61分、栃木Cベンチが先に動く。
加藤丈に代えて表原玄太、都倉賢に代えて東川続を投入する。
62分には群馬ベンチも動き、山中惇希に代えて藤村怜、青木翔大に代えて髙澤優也を投入。
攻守に効いている青木を下げてしまって大丈夫か?という想いはあるものの…これは髙澤を入れて3点目を取りにいくという沖田監督のメッセージなのだろう。
山中に代えてフジレンということで、恐らく加々美登生が前に出て、フジレンが後ろに入る形となると思われる。
66分、大畑隆也のクリアが田頭亮太の背中に当たるという不運もあり、ボールは森俊貴が回収。
そのままペナルティエリア内に突き進み左足を振り抜くも、ここは近藤壱成がビッグセーブ。
こぼれ球に表原玄太が詰めるが、このシュートは外れてくれる。
このこぼれ球に対して表原と近藤が絡んだことで、近藤が頭を蹴られる形となって試合はしばらく中断。
どうやらノーファールの判定だったようだが…ここはファールを取ってもらわないとキーパーが怪我をする。
キーパーチャージというルールは当の昔に無くなっているが、足元のボールに手を使えるキーパーは頭も低い位置になりがち。
扱いはフィールドプレーヤーと同じとされるが、やはり手を使える分プレーのやり方が変わるため、区別は必要だろう。
特別視する必要はないが、やはり危険度が高いキーパーというポジションのため、多少の考慮は必要だろう。
ちなみに一説によればキーパーチャージというルールは、こういった接触でキーパーが負傷することが多かったため設立されたと言われている。
しかしキーパーを特別視したために、今度はFWの怪我が多くなったために廃止された…なんて話もあるようである(真相は知らないが)
72分、両チームのベンチが同じタイミングで動く。
群馬は加々美登生に代えて田中翔太を投入。
栃木Cは田中パウロ淳一に代えて鈴木国友、森俊貴に代えて平岡将豪を投入する。
この交代からだったのか…その前の62分の交代からだったのかは不明だが…この交代後から山内陸の姿が見えないことに気付いた。
左SBでプレーしており、攻撃時には確かに内側のレーンに入るスタイルだったが…今は守備時にも左サイドにいない。
最初はDAZNの画面で見切れた先にいるのかとも思ったが…そう考えると4バックが右にスライドし過ぎていることになる。
それに左のワイドでは投入された田中翔太が守備に戻ってきている。
となると、どうやら3バックに変更しているようだ。
探してみると山内は米原秀亮の右前辺り。
ポジションは後ろの右から田頭亮太、大畑隆也、高橋勇利也の3バック。
アンカーに米原は変わらず、右に山内、左に藤村怜。
WBが右に下川太陽、左に田中。
前は西村恭史と髙澤優也の2トップとなり、3-5-2に近い形を取っているように見える。
【75~90分】しっかりとクローズして今季初勝利
77分、栃木Cにフリーキックを与えると表原玄太が直接狙うも枠の上に外れていく。
81分、群馬ベンチが最後の交代に動く。
下川太陽に代えて小西宏登、米原秀亮に代えて安達秀都を投入する。
直後の82分には栃木Cベンチも動く。
関野元弥に代えて熊野敬二郎を投入し、これで両チームともに交代カードを使い切ることとなった。
この交代でどうやら米原のいたアンカーには山内陸が入ったようである。
つまり山内をアンカーに、右に安達、左に藤村怜。
小西は下川のいた右WBの位置にそのまま入る形となる。
89分、右サイドでボールを受けた小西宏登が一つ左に持ち出してクロスを供給。
これは跳ね返されてしまうが、こぼれ球を自らミドルで狙っていく。
このシュートはミートしなかったか?DFに当たり上に跳ね上がるが、これを髙澤優也が得意の頭で狙っていく。
しかし相澤ピーターコアミが良い反応で右手一本でかき出す。
触っていなければそのまま…もしくは外にいた田中翔太が押し込んでいただろう…。
94分には小西宏登がカットインから左足を振っていくも枠の上に外れてしまう。
シュートは外れたものの、この試合でも小西は短い時間ながら存在感を見せられていると言える。
同94分、表原玄太が早めに上げたクロスは両チームが競り合い…やや群馬が競り勝ったか?
群馬から見てボールは前にこぼれると、これを乾貴哉がミドルで狙っていくが、ここは大畑隆也が身体を張ってブロック。
こうして最後まで集中を切らさず、スローダウンは見えたものの…攻撃の手も緩めることなく、見事にシーズン初勝利となった。
ピックアップポイント
46分の追加点のシーン
今回は前半終了間際の、追加点のシーンを振り返りたい。
相澤ピーターコアミによるゴールキックでプレーが再開されたわけだが、群馬特有の強風によりボールはやや戻ることに。
恐らく落下点の予測も難しくなったと思われ、都倉賢が最後はやや下がりながら頭で当てる形となる。
競り合いに行った高橋勇利也は競り合えた…というレベルになく、両者の行動を見てもボールが予想よりも戻されたことがわかる。
このように落下点の予想が難しくなったことも関係したか?都倉の落としは森俊貴には合わず、先に米原秀亮が反応することとなる。
この後の米原のパスが本当に見事の一言なのだが、まず下がってボールに向かいながらも首を振って前方の状況を確認しているのが見事。
そしてもう一度首を振って同一方向の視野に収まっている山中惇希の動きを確認。
山中は山中で外に開く動きをすることで、米原からボールを受けやすい位置を取ろうとしている。
しかし米原は降りてきた山中に当てるパスではなく、この動きによって空いたスペースに山中を走らせるパスを選択する。(下図)
これは米原がまず最初に裏のスペースを確認しており、2度見の形で山中の動きを捉えているからこそできるものである。
通常であれば、山中のボールを受けに行った動きに合わせて左サイドに広げるだけに留まっていただろう。
(そして山中が溜めて後ろに下げるなり米原に戻すなりで、ビルドアップしていく形)
山中も米原のスルーパスへの反応は素晴らしく、蹴られた瞬間には裏へのスペースと察知して向きを変えてダッシュしている。
そして左サイドを山中が抜け出していくわけだが、この時にゴール前は中央ややマイナスにゴールを決めた西村恭史。
そしてほぼ真横の位置関係で中央からファーに流れた青木翔大、ファーで田頭亮太が待つとなっており、実に3枚が入り込んでいるのも素晴らしい。
そして山中惇希がパーフェクトなクロスを送ったので忘れられがちだが…加々美登生は山中の後方に入っていき、しっかりとフォローできる位置を取っている。(下図)
もう少し付け加えると、青木翔大は最初ニアに向かおうとして佐藤喜生と身体をぶつけ、その後にファーに方向転換している。
FWの動きとしてはセオリーであり、一度ニアに向かってマーカー(佐藤)に存在をアピール。
佐藤はボールを見つつ背中のマーカー(青木)を見ることは、人間の構造上できないわけで…ボールを見たタイミングで青木はファーに離れてフリーになる…という動きである。
結果的にこれもあり西村が入り込むスペースが大きく空いたわけだが…スペースを空ける意図があったのかはわからない。
青木に聞いてみると西村がニアに入ってきたのが見えたので、自分はファーで受けようとした…と言うかもしれない。
しかし西村がいなくても、恐らく同様の動きでファーでフリーで受けようとする形にはなったと思う。
そしてクロスは中央の西村のところに上がり、フリーで入り込んだ西村がこれまたパーフェクトなヘディングでゴールに流し込んでみせた。
個人的に気になるのは、あまりにも西村がフリーだったこと。
自分が栃木Cの監督だったら西村に対する守備をサボった宇津木峻を叱責するだろう。
初期の立ち位置はやや西村の方が有利だったのは確かだが、全速力でゴール前に上がった西村に対して宇津木は多少手を抜いて戻っている。
確かにダイレクトで山中からクロスが西村に入ると予想するのは難しく…「一度加々美に下げて作り直すだろう」という頭があったかもしれないが。
枚数としても足りているとは言えないため、宇津木が必死で戻るしかない状況だったと考える。
最悪、西村の動きが見えるので佐藤に対して青木のマークを捨てて(乾に受け渡して)ニアに入り込んでいる西村の対応をさせる…などのコーチングが欲しかった。
もちろん…それをあの一瞬で判断して行動する…というのは難しいが、結果だけを見ると宇津木が少しサボったツケが大きかったとなってしまう。
米原のスルーパス、山中のクロス、西村のヘッドと3回パーフェクトが続いたゴールであり、どれか1つでもズレがあればゴールは生まれていない可能性が高く…宇津木がサボったと言ってしまうのは厳しいかもしれないが…。
ここまで書いてきて思ったが…結果的に青木が佐藤に身体をぶつけたことで、佐藤は西村に対して出れなくなった…とも言えるかもしれない?
佐藤の立ち位置からすれば西村がフリーで入ってくるのは視野の端で見えているだろうが…青木の存在が頭に残りそちらのマークも捨てられない…という心境だったのかもしれない。
MOM
この試合のMOMは青木翔大としたい。
値千金の先制ゴールはもちろんだが、さすがのポストプレーで常に攻撃の起点となってくれた。
時間帯や展開が違うので…単純に比較するものではないが、交代で髙澤優也が入ってからは髙澤が起点になれなかった印象が強い。
MOMはやはりゴールという結果が大きいので青木としたが…影のMVPとも言うべき存在が米原秀亮だろう。
前節と同じく攻撃のタクトを振るい、2点目では見事の一言なスルーパスを通してみせた。
まさにチームの心臓と言える大車輪の活躍を見せてくれた。
ちなみに退いてからは山内陸がこのポジションに入ったが、山内もさすがに中盤が本職の存在感。
不慣れであろう左SBをやりつつということで…ある意味では山内がこのチームの鍵を握っているかもしれない。
追加点の西村恭史、そのアシストをした山中惇希、更には技術の高さを見せた加々美登生など、比較的どの選手も自分の持ち味を出してくれた試合になったと言えるだろう。
そんな中、最後に一人名前を挙げたいのが近藤壱成。
今節は何度かピンチを迎えたが、これが2試合目とは思えない落ち着きからビッグセーブを見せてくれた。
左右両方で精度の高いキックが蹴れ、足下もあるためにビルドアップに参加と、このシステムの重要なピースと言える。
近藤で最後と言ったが、最後に沖田監督とスタッフの功績も触れたいところか。
開幕からわずか2試合…むしろ開幕戦の段階でかなりやりたいサッカーを体現してみせたと言えるだろう。
しっかりとシステムを落とし込めており、2試合で勝点4と結果もまずまずである。
この先対戦相手がこのサッカーに対策してくることになるだろうが、それを上回ることができるのかに注目したい。
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