※ザスパクサツ群馬ファンによる、ザスパクサツ群馬贔屓のマッチレビューです。
コロナウイルスの影響により中止になっていた第24節がここで開催となります。
まずは延期になったものの、無事に開催されたことをJリーグ及び栃木SCの関係者に感謝したいところです。
前節は今シーズン初となる3得点を挙げ、クリーンシートと完璧な形で終えることができただけに、この勢いを維持したいところ。
気になるのは続出している怪我人と、コロナによる離脱者、そして連戦というところでの選手層の薄さ…。
北関東ダービー、そして残留争いという中で負けられない一戦になりますね。
そんな第24節、栃木SC戦をレビューします。
Contents
スタメン・フォーメーション
栃木SC
スターティングメンバー
ポジション | 背番号 | 選手名 |
GK | 50 | オビ パウエル オビンナ |
DF | 5 | 柳育崇 |
20 | 三國ケネディエブス | |
33 | 黒崎隼人 | |
MF | 10 | 森俊貴 |
14 | 西谷優希 | |
25 | 佐藤祥 | |
49 | 溝渕雄志 | |
FW | 29 | 矢野貴章 |
31 | 豊田陽平 | |
32 | 畑潤基 |
ベンチ
ポジション | 背番号 | 選手名 |
GK | 1 | 川田修平 |
DF | 36 | 乾大知 |
MF | 2 | 吉田将也 |
41 | 松本凪生 | |
44 | 谷内田哲平 | |
FW | 27 | 五十嵐理人 |
34 | 有馬幸太郎 |
栃木は前節からスタメン変わらず。
群馬で豊富な運動量と球際の強さを見せていた佐藤祥が中盤に。
前線はピークは過ぎたがJ2では怖い存在になる、豊田陽平と矢野貴章のツインタワーである。
ベンチには乾大知に吉田将也と、群馬に縁のある選手が入ってきた。
ザスパクサツ群馬
スターティングメンバー
ポジション | 背番号 | 選手名 |
GK | 21 | 松原修平 |
DF | 3 | 畑尾大翔 |
22 | 高橋勇利也 | |
40 | 大武峻 | |
MF | 6 | 内田達也 |
8 | 岩上祐三 | |
25 | 小島雅也 | |
36 | 吉永昇偉 | |
FW | 9 | 北川柊斗 |
10 | 青木翔大 | |
18 | 進昂平 |
ベンチ
ポジション | 背番号 | 選手名 |
GK | 44 | 山田晃士 |
DF | 24 | 光永祐也 |
MF | 15 | 金城ジャスティン俊樹 |
16 | 久保田和音 | |
19 | 白石智之 | |
41 | 中山雄登 | |
FW | 39 | 高木彰人 |
群馬は前節から4人の入れ替えとなり、中2日という連戦を考慮したことが伺える。
非常に良い動きを見せていた高木彰人が外れた理由はわからないが、前節を見る限り内容が悪くてベンチということではあるまい。
山口戦では非常にスカウティングがハマっていたこともあり、この試合では栃木の攻撃に対して高さが欲しい…といったところだろうか?
もちろんターンオーバーやコンディションも考慮して…ではあるだろうが、中山雄登に代えて内田達也を入れたり、吉永昇偉の起用も高さというところが見える気がする。
そして大した問題ではないが、小島がなぜかMF登録になっているのが謎ではある。
試合経過
北川覚醒!2試合連続ゴール
前半は栃木のキックオフでスタート。
両チームとも予想フォーメーション通りとなり、4-4-2同士の戦いということに。
開始早々の9分、岩上祐三のロングスローのモーションから中には入れずにセンターサークル付近へ。
これを受けた高橋勇利也が再び岩上に戻し、曲げて落ちるセンタリングを供給。
これがピンポイントで北川柊斗に入り、北川のヘディングも叩きつける良いシュートだったが…残念ながらキーパーの正面に。
続く12分には厚みのある攻撃を展開。
右サイドから左サイドへ大きく展開し、高橋がクロス。
内田達也がシュートを放つがブロックされる…が、栃木がセカンドの処理を誤ったボールが再び内田の下にこぼれ2度目のシュートを放つ。
これまたDFのブロックに合うが、青木翔大が回収し左サイドの高橋に。
高橋は低く速いクロスを上げ、それが柳育崇に当たり、直前でフリックされた形になった三國ケネディエブスがトラップミスという形に。
このこぼれ球を冷静に北川がボレーで流し込み先制!
北川は2試合連続かつ、チーム最多となる今期4ゴール目となった。
クロスに対して佐藤祥が飛び込んだことで、柳は佐藤がブラインドになったか?
三國としては直前でフリックされた形なので、処理を誤るのも仕方ないだろう。
北川のポジショニングが光る形になった。
目立つラフプレー ダービーは荒れる展開か?
16分には群馬のフリーキックがあったが跳ね返される。
こぼれ球を左サイドで進昂平がキープしようとしたところで、栃木のファールとなる。
ハッキリ言ってここでファールをする意味のない、全くもって不要なファールだったが…良い位置でのフリーキックなので活かしたいところ。
結局、このフリーキックはチャンスにならなかったが…栃木は少し無駄なファールが多い印象。
元々栃木というチームはハードワークで、球際が厳しく、多少ラフプレーも目立つという印象があるが…それも今日は変わらずと言ったところ。
ハードな戦いは良いがラフプレーは故障者が多い群馬にとっては避けたいところ。
そういえばダービーということもあるのだろうが…栃木のホームゴール裏には「奴らを踏み台に。立ち上がれ栃木」の弾幕が。
「奴ら」に「踏み台」ですか…栃木も今はかなり苦しい状況であり、北関東ダービーなのはわかりますが…あまりに敬意を欠く弾幕がコアから出されたなという印象。
ちなみにアウェー側のゴール裏には、アウェー席が販売されなかったこともあり、こちらにも栃木の弾幕が張られ「魂込めてぶっ潰せ 目の色変えろ栃木」と…。
怖いのは豊田の頭
36分には松原修平のゴールキックがミスキックとなり、相手に直接渡ってしまう。
低い位置から早めのクロスを上げられ、フリーの森俊貴にシュートを打たれるもこれはミートせず松原に収まる。
41分にはボールを前に上手く運べずにいたところから奪われ、群馬の左サイドからクロスを上げられる。
豊田陽平の頭に合うも、シュートは枠の上に外れてくれて助かる形に。
続く42分にも同じく左サイドを深く抉られてクロスを上げられるが、これはかろうじて松原が触ってコーナーに逃れる。
飲水タイム後辺りから栃木の時間が続いており、群馬は後方からのビルドアップが上手く運べなくなっている。
豊田と矢野貴章のプレスにハマりつつあるので、ハーフタイムにはしっかりと修正をしておきたいところ。
45分には群馬左サイドからのスローインの流れで、黒崎隼人のクロスを再び豊田が頭で合わせる。
これまたバーの上に外れてくれるが、何度かこの形が続いており…段々とクロスとヘッドが合ってきているのが怖いところ。
やはり豊田の頭は驚異の一つになりそうなだけに、やられる前に対策しておきたい。
後半頭から両チーム動く
後半は群馬のキックオフでスタート。
両チームともハーフタイムで動きがあり、栃木は西谷優希に代えて松本凪生を投入。
群馬は進昂平に代えて久保田和音を投入という形になり、どちらもそのままの位置での交代となった。
進の交代は…恐らく事前に準備されていたものだと思われるが、どうだろうか?
確かに左サイドを崩されるシーンが目立ち、テコ入れの必要性はあったが、連戦が続くことを考慮して当初から半分の予定だったのではないかと。
早々の46分には連携ミスで小島雅也のパスがミスパスになり、抜け出す豊田陽平に良いボールが入る。
これを豊田はヒールで左後方の矢野貴章に落とし矢野が突破、これは完全にやられたかと思われたが…小島が必死のブロックで自らのミスを帳消しに。
このコーナーキックからもピンチを迎え、栃木の徹底してクロスを中で合わせるという形が実りそうである。
普段なら畑尾大翔と大武峻の両CBが単純なクロスに競り負けるとは思えないが…今日はツインタワーの豊田と矢野。
良い形で入れば競り負けることは十分に考えられるだけに、クロスの方をなんとかしたいところか。
60分には群馬も反撃に転じ、右からのコーナーキックを岩上祐三が低く速いボールを入れる。
ニアで北川柊斗がフリックしファーに流すも、内田達也は予想外だったか当てきれずに枠を外れることに。
アイディア賞なプレーだったが…それだけに味方も反応できなかったというところか。
ミートすれば1点ものだったかつ、押される展開だっただけにここで取れたら大きかったのだが…。
流れが変わらず苦しい時間帯
ハーフタイムで交代も含む修正をしているのだろうが、ここまでは大きく変化もなく栃木の流れが続く展開に。
そろそろ次の交代枠を使っても良いのではないだろうか?
勝っていることもあり、連戦の疲れもあってかセットプレーでは蹴るまでに時間をかける群馬…と言うか岩上祐三。
しかしレフェリーは時計を高く上げ「止めているよ」のアピール。
群馬にとっては嬉しくないが、レフェリーのこういったジェスチャーは荒れないためにも素晴らしいファインプレー。
69分には群馬ベンチが動き、吉永昇偉に代えて高木彰人を投入。
高木は前線に入り、青木翔大がサイドハーフに下りるようだが…1枚だけの交代で良いのだろうか?
久保田和音は後半からだし、北川柊斗も青木も残したいところなのは事実だが…。
時間がかかったこともありそのまま飲水タイムに入り、明けに栃木も2回目のカードを切る。
豊田陽平に代えて谷内田哲平のようだが…なるほど豊田を下げるか。
前線に畑潤基が上がり、谷内田は畑のいた右サイドハーフに入ることに。
最後まで押し込まれる展開も集中して守りきる
75分には高橋勇利也に代えてジャスティンを投入。
これで小島雅也が左に回り、ジャスティンが右に入ることに。
このタイミングで白石智之の投入があっても良いかと思ったが、積極的に2点目を取りにいって失点はしたくないところか。
白石を入れるなら後半から入れた久保田和音を代えるわけにはいかず、内田達也を代えて久保田を中盤に入れるのが妥当であろう。
そうすると白石投入で点が取れないと、この1点を守り切れないという判断かもしれない。
79分にはゴールキックから北川柊斗が運び、右サイドから外を回る青木翔大を囮にしてカットイン。
左足のシュートはミートせず、力なくゴールキーパーに収まるが…久々にシュートまで持ち込んだのではないだろうか。
流れを変える意味でも、やはりシュートで終わることは大事であり、これが終盤に活きてくることを祈る限り。
この直後に栃木が動き、佐藤祥に代えて有馬幸太郎を投入。
有馬がFWに入り、畑が右に、谷地田がボランチに入ることに。
85分にはこの試合最大のピンチを招くも、集中して守り切った!
コーナーキックのセカンドを再び中に上げられ、これを残っていた三國ケネディエブスがピンポイントで合わせる。
これはダメかと思ったが、松原修平が必死で触りコーナーに。
松原のセーブはもちろんファインセーブだが、その前の栃木の選手に当たってコースが変わっていたら…なんてことも考えさせられ、運はザスパに向いているということか?
87分には最後の交代枠を使い、北川柊斗を下げ光永祐也を投入。
前節同様に3バックにして守りきる作戦になろう。
案の定、右から大武峻、畑尾大翔、光永と両サイドバックも含めて5バックとなる。
89分には栃木も最後の枠を使い、黒崎隼人に代えて吉田将也を投入。
将也は良いクロッサーだけに、良い形で上げさせないように最後まで集中したいところ。
93分には守り一辺倒だったところから奪ってカウンター。
岩上祐三が運び、右サイドへ流れたジャスティンを使う。
ジャスティンはそのままコーナーフラッグに逃げて時間を使うかと思ったが、なんと股抜きから入れ替わる形でカットイン。
栃木としても予想外だったか、松本凪生がユニフォームを引っ張り引き摺り倒す。
当然これにはイエローカードが出るが、ジャスティンのファインプレーだった。
ちなみにクロスをカットして岩上に出したのもジャスティン。
後方からよく上がって、時間を使うと見せて中にカットインするという怖いプレーを見せてくれた。
このフリーキックを青木翔大がフラッグ付近で時間を使い、試合はそのままタイムアップ。
終盤は終始押され続けたが、集中して1点を守り切り勝ち点3を獲得することになった。
ピックアップポイント
いまだ負けなしの監督力 この試合でも見られたマネジメント
この試合はハッキリ言ってこれと言って解説したくなるようなプレーは無かったと思う。
栃木は批判を恐れずに言えば縦ポンサッカーでしかなく(豊田と矢野はそれでも驚異だが)、群馬としてもそれに付き合う形になった面がある。
そして早い時間に先制したことで、無理に攻めなかったこともあり守る時間が長くなったゲームだった。
そのため今回は前節のレノファ山口戦でも感じた、チームのスカウティングとマネジメントについて触れたい。
完全に想像であり妄想でしかないのだが、スタメンの起用でも感じた通り、対栃木戦に向けてしっかりと準備したように思われる。
奥野監督時代からスタッフは変わっていないわけで…何がどう変わってこうなったのか知りたいところだが、少なくともここ2試合はしっかりとゲームプランを持って臨んでいるように見える。
となると、この試合交代カードを4枚しか切らなかったのも次の金沢戦に活きてくるかもしれない。
中山雄登と白石智之を温存したことになるが、この2人の使い方を次節は注目したい。
理想を言えば…岩上を休ませてあげたいところだが、今日の試合でも彼が中心になっているので難しいところ。
ちなみに白石はドリブル多用がスタメンに入らない理由かなと思ったりもする。
終盤に自力で打破できる選手が出てくるというのは怖いわけで、スーパーサブ的な部分もあるのかもしれない。
進もこの試合半分で退いているので、次節も白石はベンチスタートの可能性はあるだろう。
後半頭から、もしくは早い時間での投入が期待されるが…果たしてスタッフ陣はどう金沢を分析するか?
いつも同じメンバー、勝っても負けても同じスタイルの継続…。
結果が出ていれば、もちろんこれが悪いわけではないが…自分としては今の久藤監督のスタイルを支持したいところ。
試合終盤で見せたジャスティンのファインプレー
本文の中でもかなり触れたが、試合終盤で見せたジャスティンのプレーはファインプレーだったと思う。
既にアディショナルタイムであり、カウンターではあったが時間を使って良いところだった。
むしろ奪われてカウンターを返されては絶対にいけないシーンであり、ここで無理に攻める必要はないシーンと言えよう。
岩上の内側からオーバーラップしてきたジャスティンだが、右コーナー付近のスペースを指さし、そこにパスを要求。
そこで受け、縦に、コーナーフラッグ付近で時間稼ぎをするだろうと誰もが思ったと思う。
その裏をかくように左足のアウトサイドで股を抜き、入れ替わって中に向かうプレーは素晴らしかった。
ディフェンスとしてはカード覚悟でファールで止めるしかなく、実際にイエローカードとなった。
そしてファールを貰うことでもしっかりと時間を使い、結果このフリーキックを蹴ってすぐに試合終了となった。
完璧なプレーだったと言って良いのではないだろうか?
途中出場、それも75分からなので体力にはまだ余裕があったと思われるが、それが故に「自分が走らなければ」という気持ちも見せてくれたと思う。
そして忘れちゃいけないのが、ジャスティンと同じタイミングでファーサイドを駆け上がる選手がいるのである。
これ多分高木なのだが、彼がしっかりとゴールに向かうことで栃木の選手が彼をケアしなければならなくなっている。
そのためジャスティンと岩上に割ける人数が減ったということに。
こういったプレーは凄く地味ではあるが、凄く大事なプレーで評価されるべきだと自分は思っている。
栃木に目を移すと、最も長い距離を戻ったのは三國だと思うが…まぁ彼はCBだしと思う部分はある。
その次は多分畑だろう。
1枚目の画像でわかるように、畑は溝渕よりも後ろからのスタートにもかかわらず猛然とダッシュし岩上にプレッシャーをかけた。
ジャスティンにパスが出てからは松本と2人で挟んでいるのである。
彼はFWであり(今日はサイドハーフでスタートだが)90分プレーしているということを考えると…。
相手チームながら、こういった頑張りは非常に評価したいところ。
MOM
この試合のMOMは悩ましいが北川柊斗を選びたい。
ここ数試合のプレーを見るとCFは彼で決まりかなと思わせる出来の良さがある。
セカンドストライカーとして高木と青木が競り、違うタイプとして進や大前となるのではないだろうか?
裏を抜ける姿勢はもちろん、ポストとしても機能しており、そしてチーム最多となったシーズン4ゴール目を上げた。
前半戦はあまり出番が与えられなかったことを考慮すれば、この4得点というのは決して少なくはないだろう。
ゲーム全般を見ると、岩上がやはりチームの心臓だと思わされる。
彼がいないと別のチームと言ってよく、今日のゲームでも存在感を発揮していた。
悩ましいが…というのは岩上と北川とどちらにしようかなと思ったからである。
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