※ザスパクサツ群馬ファンによる、ザスパクサツ群馬贔屓のマッチレビューです。
前節は北九州を相手に、最後の最後で追いついてドローという展開。
負けなかったのは大きいものの、ハッキリ言って勝点を2失った試合展開でした。
残留に向けて残りも厳しい試合が続くなか、上位とは言え今季は相性の良さを見せている水戸だけに、ここでは勝って終わりたいところです。
初の北関東ダービー制覇ということもあり、しっかりと水戸に再び勝って終わりたい…という気持ちも大きいところ。
そんな第33節、水戸ホーリーホック戦をレビューします。
Contents
スタメン・フォーメーション
水戸ホーリーホック
スターティングメンバー
ポジション | 背番号 | 選手名 |
GK | 16 | 牲川歩見 |
DF | 3 | 大崎航詩 |
4 | タビナス ジェファーソン | |
40 | 黒石貴哉 | |
43 | 鈴木喜丈 | |
MF | 8 | 森勇人 |
17 | 新里涼 | |
28 | 渡邉柊斗 | |
50 | 中里崇宏 | |
FW | 9 | 中山仁斗 |
46 | 伊藤涼太郎 |
ベンチ
ポジション | 背番号 | 選手名 |
GK | 41 | 中山開帆 |
DF | 24 | 細川淳矢 |
MF | 14 | 松崎快 |
FW | 7 | 山根永遠 |
11 | 安藤瑞季 | |
15 | 奥田晃也 | |
19 | 村田航一 |
水戸は前節から4人を交代。
前節と言えば相模原を相手に打ち合いとなり、4-4という試合だった。
水戸としては勝たなければならない試合であり、同点に追いついたのは良かったとは言え…やはり4失点しただけにテコ入れが必要というところだろう。
気になるのは最前線に入る中山仁斗。
そしてベンチに控える、ホームで得点を奪われている山根永遠。
そしてこちらもベンチだが、途中から入ってくるであろう松崎快には気を付けたいところである。
ザスパクサツ群馬
スターティングメンバー
ポジション | 背番号 | 選手名 |
GK | 1 | 清水慶記 |
DF | 3 | 畑尾大翔 |
5 | 藤井悠太 | |
25 | 小島雅也 | |
40 | 大武峻 | |
MF | 8 | 岩上祐三 |
6 | 内田達也 | |
11 | 田中稔也 | |
16 | 久保田和音 | |
FW | 10 | 青木翔大 |
50 | 大前元紀 |
ベンチ
ポジション | 背番号 | 選手名 |
GK | 21 | 清水慶記 |
DF | 32 | 渡辺広大 |
MF | 7 | 加藤潤也 |
15 | 金城ジャスティン俊樹 | |
19 | 白石智之 | |
FW | 9 | 北川柊斗 |
18 | 進昂平 |
群馬は前節から1枚、中山雄登に代えて内田達也をスタメンにて起用。
その中山はベンチにもいないということで、前節の交代はやはり怪我もあったか…。
そして前節いきなりのスタメン起用となった藤井悠太は再びスタメンに。
ベンチに目を移すと、光永祐也に代わって渡辺広大が入り、奥村晃司に代えて負傷から加藤潤也が復帰。
そして前節はベンチ外になっていた進昂平も戻っており、進は前節はやはりコンディション不良か?
高木彰人が再びベンチ外ということで、発表はないものの…それなりに時間がかかる怪我の可能性が高そうである。
試合経過
5分で2ゴール!ダービーらしいゲームになるか?
前半は水戸のキックオフでスタート。
開始早々の1分、自陣で久保田和音が失ったところからピンチを迎えるもシュートは打たせず。
その直後の2分、自陣でのパス回しの際に前線の青木翔大が裏に抜け出す。
それを見逃さなかった藤井悠太から絶妙なロングボールが入り、トラップでDFを置き去りに、2タッチ目でキーパーを交わしゴールに流し込むというスーパーゴールを見せる!
藤井のロングボールもピンポイントだったが、青木の胸トラップが全てだった。
このトラップを前に落とせて、タビナス ジェファーソンとの間に体を入れられたことでGKと1対1を作り出すことに成功。
そして冷静に左足で右に持ち出しキーパーを交わす…正直青木がここまでゴール前で冷静なプレーができるとは思っていなかった。
少し前に1点取ったことで、ストライカーとしての嗅覚が戻ってきているのかもしれない。
4分には自陣、藤井からのパスが田中稔也に合わなかったところからショートカウンターを受ける。
味方が奪った瞬間に動き出した中山仁斗に絶妙なスルーパスが通るが、これはしっかりと畑尾大翔が対応しておりシュートはブロックしてコーナーキックに。
しかしこのコーナー、ニアで鈴木喜丈に頭で合わせられてしまいこのシュートが枠の中に。
かろうじて清水慶記が弾き出すも、こぼれ球を大崎航詩がダイレクトでゴールにねじ込む。
藤井もシュートブロックに行ってはいたが…本当にねじ込むという表現がピッタリの力の入った良いシュートだった。
ポストに当たりながらゴールに入っており、これはキーパーはノーチャンスで…シュートを褒めるしかない失点と言えよう。
幸先よく先制しただけに、痛い同点弾となってしまったが…非常にダービーらしい盛り上がった試合を予感させる。
10分には自陣で奪ったところからカウンターを発動。
最後は大前元紀が良い位置で貰ったと思ったのだが…大前はパスを選択しそれが繋がらない。
ここはシュートの選択をしてほしいところ。
14分には藤井と田中で右サイドを崩し、中央で待つ大前にクロスが通るもシュートは枠を大きく外れてしまう。
以前も触れたが大前はさすがの動きでフリーの状況を作り出しており、後は枠に送るだけ…なのだが、最近はシュートが枠に行かない印象がある。
本人も自覚があるのか、それが10分の時にパスを選択したということに繋がっているのかもしれない。
藤井と田中の右サイド
18分にはスローインのチャンスだったが、これを中山仁斗に奪われカウンターを受ける。
完全に数的不利になっており、両サイド共に使われてしまう可能性があるという絶体絶命のピンチ。
中山は群馬左サイドを選択するが、その先のボールがフリーで待つファーに折り返せずピンチを脱する。
斜め上からの視点だと、先に群馬右サイドを使われていた方が危険だったように見えただけに、これはラッキーであった。
しかし群馬DF陣の必死の戻りと、その後の対応が良かったこともあり数的不利のピンチを脱したとも言える。
この辺りの時間、どうやら久保田和音が中央に入っており大前元紀が左サイドに流れている。
流れの中での動きであり、また元の位置に戻るとは思うがこれは面白そうである。
久保田は元々中盤の選手で中に入りたがる傾向があるし、大前も中央で受けてボールをロストするシーンが多いだけにサイドに流れるのは選択肢の一つになりそう。
20分には右サイドから左サイドに展開し、小島雅也が中央の久保田に折り返し、久保田がミドルシュートを狙う。
逆サイドへの展開も久保田が中央で受けたことが起点となっており、やはり久保田は中央でのプレーの方が持ち味が活きる。
しかし久保田が中央にいたために、小島の選択肢から縦への突破が消えてしまったのが気になるところ。
27分には藤井と田中で再び右サイドを攻略。
このクロスは大前に合わなかったものの、コーナーキックを獲得。
藤井は2試合続けてのスタメンとなり、前節は永田拓也対策かと思ったが…どうもそうではないような?
単純に怪我から戻ってきたことで右サイドバックのファーストチョイスが藤井なのかもしれない。
田中と良い連携を見せており、確かに課題の攻撃面でも今日はここまで良い活躍を見せていると言えそうである。
29分には大武峻が交わされたところでピンチかと思ったが、藤井が帰還し奪還。
ノーファールで奪い、非常に良いカバーリングを見せたと思ったのだが…出しどころを探しつつ下りた際に再びボールを奪われてしまう。
のだが…これは完全に森勇人の手がかかっておりファールではないだろうか?
しかし判定はノーファールとなり、ロストしたボールを伊藤涼太郎が運びシュートまで持ち込むもポストを直撃して九死に一生を得る形に。
シュートも入っていてもおかしくなかったが、中には森もフリーで待っており、ここに通っていても危ないシーンだった。
対して小島と久保田の左サイド
34分には水戸のボランチ、中里崇宏から裏に抜け出した中山仁斗に良いパスが入る。
群馬左サイドのスペースで受けた中山は中央に折り返すが、これは戻った小島雅也が良い対応を見せブロック。
40分には群馬右サイドに大きく展開され、中に切り込まれてシュートを打たれるが枠を外れて助かるシーンも。
少しずつ押される展開になってきている印象もある。
44分には逆にチャンスを迎え、田中稔也がカウンターで右サイドを持ちあがる。
しかし大前元紀へのパスが合わずにチャンスを不意にしてしまう。
これは印象としては大前が稔也の意図を感じていなかったかなと。
稔也はカウンターであり早い攻めを見せており、大前に預けて2人でゴール前まで…という意図を持っていたと思う。
対する大前は下りて受けて、少し時間を作り味方の上がりを待つ…という意図だったと思われる。
その結果が稔也がプラス方向にパスを出し、大前はマイナス方向に移動して受けようとし、結果的にパスが合わなかったという形になった。
前半は右サイドで良い攻撃を見せている群馬だが、対する左サイドは少し寂しい印象がある。
この試合に限らず最近は小島雅也が深い位置まで持ち上がるシーンが少なく、持てたとしても右足で持ちたがるが故にか縦に抜けられないシーンが多い。
この左サイドが機能しないことに関しては、後ほど改めて振り返りたい。
守護神降臨!清水のファインセーブ
後半は群馬のキックオフでスタート。
両チームともにハーフタイムでの交代はないようである。
開始早々の45分、大きなボールを左サイドに抜け出した青木翔大がキープ。
そこから味方の上がりを待ち、岩上祐三、大前元紀と繋ぎ、再び岩上に戻してシュートまで持っていくも枠の外に。
外れたものの、岩上の良い攻撃参加の形になった。
48分には中山仁斗が下りてボールを受け、うまいターンで対峙した大武峻を交わし置き去りにする。
そして群馬左サイドを上がってくる渡邉柊斗に預け、渡邉はそのままミドルシュートを放つ。
距離もありそれほど強力なシュートではなかった印象だが、恐らく急激に落ちたのだろう…キーパーは処理を誤り手で触れず胸で止めたように見えた。
ファンブルしたボールが長くなったが、清水はしっかりと自身のミスをフォローし詰めてくる森勇人よりも先に触りかき出すことに成功。
この際に清水と森の接触がありプレーが一時止まることに。
しかし…今日は大武が中山にやられるシーンが多い。
と言うか、加入後これだけハッキリと相手FWに負けているシーンは初めてではないだろうか?
続く52分には大武のパスが引っ掛かり、カットした森から中央の伊藤涼太郎に入る。
伊藤が中央で1秒弱ではあるが時間を作り、その外を回る渡邉に送りシュートまで。
この渡邉のシュートは清水がビッグセーブを見せ、こぼれ球は畑尾大翔がクリアしてピンチを脱する。
清水のビッグセーブだが、自分のパスミスを取り返すために必死でシュートコースに飛び込んだ大武のスライディングも効いているだろう。
泥臭いプレーをすれば勝てるわけではないが、やはり11人全員がこういった気持ちを見せてほしいところ。
今のザスパにはここまで必死さを感じる選手がそれほど多くない…と思ってしまう。
56分には青木のポストプレーから大前に落とし、大前は右サイドに流れた岩上を使う。
裏に抜ける岩上に向けてアウトサイドを使った見事なパスで、大前のアウトサイドは本当に凄いものがある。
岩上のクロスはファーでフリーで入り込んだ小島雅也までは届かなかったものの、跳ね返りを大前がミドルシュート。
しかしこれは枠を捉えられず…大前のシュートが本当に枠にいかない。
技術があるが故に、ギリギリのコースを狙っているというのはあるだろうが…。
ちなみに岩上へのパスは本当に素晴らしかったが、あの段階でフリーで左サイドを上がる小島を使っても面白かったと思う。
59分には小島がパスカットして抜け出したところを黒石貴哉がファールで止める。
黒石は36分にも同様の形で小島を止めており、その時にはイエローカードが掲示されており、これは2枚目だろうと思ったのだが…ここでは出ず。
群馬サイドは納得いかずに抗議をするが…当然覆ることはなく。
個人的には2枚目で退場が妥当だと思うが、2枚目は出しづらいという心理はわかる。
わかるが…2枚目だからと言って判定基準が変わってはいけない。
選手交代の謎
60分には水戸が最初の交代で、なんと3枚同時!
森勇人に代えて奥田晃也、黒石貴哉に代えて村田航一、渡邉柊斗に代えて松崎快を投入。
群馬もそろそろ交代しないと…右サイド、特に藤井悠太は疲れてきているのか…やられ始めている印象。
68分、良い位置で獲得したフリーキックだったが直接ゴール前には上げずに中央付近の岩上祐三に横パスというトリックプレー。
この一呼吸置いたことで大武峻がフリーで動き出しており、岩上はそこにピンポイントのクロスを供給するが…これは蹴る瞬間に相手ゴールキーパーの牲川歩見が読み切っていた。
キーパーには読まれていたもののDFは振り切っており、こういったトリックプレーも時々挟むと効果的なことを感じさせる良いプレーではあろう。
群馬も交代カード3枚を準備しているようだが、セットプレーが続くこともありしばらくはタッチライン外で待機している状態。
71分にやっと交代となるが、久保田和音に代えて加藤潤也、大武峻に代えて渡辺広大、藤井悠太に代えて金城ジャスティン俊樹を投入。
久保田と藤井のところは理解できるが、ここでCBを代える意味はなんだろうか?
(広大がダメだという意味ではないので勘違いされないでほしい)
確かにこの交代直前に接触があり大武が倒れていたが、その前から交代準備はしており急遽大武に変更したようには見えない。
今日の大武は中山仁斗にやられるシーンが目立ち、パスミスもありと本調子ではなさそうだが…それにしてもここでCBを代えてしまうものだろうか。
同じタイミングで水戸も2回目の交代を行い、伊藤涼太郎を下げて前回対戦で得点を取られた山根永遠を投入している。
73分には上がっていたジャスティンの裏のスペースを使われ、後ろにいた田中稔也も裏を取られる形で右サイド深くに切り込まれる。
中に折り返され奥田晃也にシュートまで持ち込まれるが、このシュートは枠を外れて助かることに。
枠にいっていても清水が触れた可能性が高そうだが、良い形で崩されているのが気になるところ。
既に75分と残り15分にも関わらず、群馬のベンチに動きがないのはどういうことだろうか?
3枚代えのタイミングも70分と、5人が交代可能な現行ルールを考えると遅すぎではないかと思うが。
上手くいっているならいざ知らず、むしろ逆に上手くいっていない状態なのだから60分辺りには最初のカードを切って良いのでは。
大武の怪我なら理解できるがCBの途中交代も謎だし、この時間までに2回目の交代がないのも謎である。
上位相手のアウェー戦だけにこのまま引き分けで良いという判断だろうか?
遅い交代と牲川のスーパーセーブ
77分には水戸が最後の交代枠を使い、中山仁斗に代えて安藤瑞季を投入。
中山は敵ながら、本当にこの試合は怖さを感じて良いプレーが多かった。
さっきも書いたが、大武が加入してからこれだけ1人の選手にやられたのは初ではないだろうか。
そして83分、自陣右サイドから畑尾大翔が前線に送ったボールを競り負けたところから、一気に素早いカウンターを受けることになる。
奪った鈴木喜丈から一気に群馬左サイドを駆け上がる松崎快にグラウンダーのスルーパスが通る。
そして松崎にそのままドリブルシュートを許し、これがゴールに突き刺さってしまう。
このシーンは後ほど取り上げることにする。
この失点を受けてか、85分には群馬も2回目の交代枠を使い田中稔也に代えて北川柊斗を、大前元紀に代えて白石智之を投入。
残り5分でどうしろと言うのだろうか…。
中継ではベンチの様子が映らないため失点前から勝ちにいくために準備していたのか、失点したから同点のために動いたのかは不明。
だが、失点から2分後の交代であり…失点して慌てて投入という感が否めない。
逆転を許した群馬としては、もはやパワープレーに賭けるしかなく前線に畑尾大翔が残ったまま。
90分にはそのパワープレーで押し込んだこぼれ球を、ジャスティンがミドルシュート。
このシュートは抑えの効いた良いシュートだったが、牲川が驚異の反応と長いリーチを活かして右手の指先でコースを変えてしまう…。
確かにジャスのシュートは多少コースが甘かったが、スピード威力は申し分なくこれはキーパーを褒めるべきだろう。
この牲川というと過去には群馬に在籍しており、J3に落ちた原因の1つとして今でも名前が出てしまう選手。
確かにあり得ないミスを連発し、それで失点し失った勝点は数知れないが…。
個人的にはゴールキーパーにも足元を求めるあのサッカーで、牲川を起用したのが間違いだったと思っている。
ある意味では牲川も被害者ではないかと…。
まだ若いこともあり、ミスの連発で自信を失って負のスパイラルに入っていた印象が強い。
牲川というキーパーは昔ながらのと言うべきか、ペナルティエリア内だけが仕事場のタイプ。
この試合でも終盤にエリア外に飛び出した際には、危なっかしいシーンを見せている。
その反面、シュートを止めるという能力は非常に高く、恵まれた体格を活かしたファインセーブは水戸に移籍してから何度も見せている。
個人的にはセービングの技術は過去イチの選手だと思っており、ジャスティンのシュートを止めたシーンのようなセービングは自分が見てきた中では群馬イチだったと思う。
とは言ってもファン歴はそれほど長くないので2012年、北一真や内藤圭佑あたりからのここ10年程の話ではあるが。
セービングと言っても松原が得意とするような、至近距離の1対1のようなパターンは強くない。
(今日も青木にやられているし)
群馬時代も足元から繋げさせずに、キーパーに戻したボールは簡単に前に蹴ることを許していればまた違ったと思うのだが…。
余談が長くなったが、個人的には群馬サポーターの牲川に対する評価が低過ぎるように思うので書いておきたかったことである。
そしてパワープレーも実らず、試合はまさかの逆転負けとなってしまった。
ピックアップポイント
83分の失点シーン
83分の失点シーンだが、まず畑尾のボールが相手に渡った時のポジションがコチラ。
まずその前に、根本的になぜ畑尾は大前にあのようなボールを送ったのかが疑問である。
確かに良い位置に下りてきてはいたが、身長がそれほどない大前に送るにはフィフティーフィフティーなハイボールだった。
実際はその裏の青木がターゲットだったが、パスが短くなった…という可能性も捨てきれないが軽率なパスだったとなるだろう。
鈴木が大前とのサイズ差を活かして、ヘディングでクリアではなくトラップでマイボールにしたことが大きかった。
トラップした瞬間に松崎は大きく空いた裏のスペースに抜け出している。
しかしマークに付くべき小島は反応が遅れ、ここで一気に距離ができたために対応できなくなってしまった。
理屈としては小島が松崎をフリーにしてしまったということになるが、小島は90分走っておりここで対応が遅れてしまうのは致し方ないとも言える。
そのため広大がフォローに行き、小島は広大のいたスペースに入り込む奥田をケアすることに。
この辺りの動きはしっかりできており、広大も小島に指示しているし指示前から小島もその動きをしている。
そして、同時に畑尾もファーを捨て、広大が抜かれた際のフォローに向けて中に絞ってきている。
と、DF全体の対応としては決して悪くないのである。
ではなぜそのままドリブルシュートに持ち込まれてしまったのか?
ボールを受けた際のトラップ、そしてその後の運び方を見ればわかるように松崎は左効きである。
となると、広大としては最も警戒するべきは中に切り込まれて左足で打たれること…と判断した可能性が高い。
そのため左にカットインされた際に遅れないように、ポジションが多少中寄りに構えていたことに。
それが故に縦に抜け右足でシュートを売った際に角度がそれなりに残っていた…ということになろう。
ゴールを奪われている以上、結果としては不正解となったわけだが…個人的には広大の対応が悪かったとは思っていない。
左足を警戒して左にカットインさせずに、利き足ではない右足でシュートを打たせるというのは理にかなった判断だったと思うが…どうだろうか。
小島が活きない理由
ここ最近、小島が攻撃面で全く活きていないように感じているサポーターも多いのではないだろうか?
自分としては加藤潤也の離脱から…と思っており、昨シーズンのように深い位置まで抉ってクロスを上げるシーンがあまり見られていない。
そもそも小島は右利きであり、それほど左足の精度が高いわけではないのもポイントの一つだろう。
右利きが故にサイドでボールを持つ際も右足の下にボールを置き、それが故に内側を向いてボールを置くことになる。
これだと単独で縦に突破するのが難しくなってしまう。
加藤潤也がいた頃は、それでも加藤との連携からオーバーラップ、インナーラップで深いスペースに抜け出してそのまま左足でクロスを上げるシーンも見られたが…久保田和音に代わってからは激減している印象がある。
これは久保田が中に入りたがる傾向があるため、サイドバックの小島の前には大きなスペースが空いてしまうことが原因である。
ここにスペースがあるということは、ドリブル突破が得意な選手ならば活きるわけだが…。
右サイドならともかく、左サイドでは小島の前にスペースがあっても活かせないことになってしまう。
逆に小島の前にはサイドハーフがいれば、更にその奥のスペースをワンツーなどで使うことが可能になるのだが…。
この試合で途中に見られたが、久保田が中に入ることで大前が左サイドに流れてくればまた変わると思う。
右サイドのジャスティンも、単独で仕掛けられるタイプではないのでこの連携が大事になってくる。
今日右サイドで起用されたのは藤井だったが、クロスが上がったのは田中稔也との縦関係で右サイドを崩したシーンばかり。
あれがフラットな4-4-2の利点ではないだろうか?
久保田に中に入るなとは言わないが、小島が持った際には誰かが縦の位置にフォローに行ってやらないと手詰まりになる。
縦への選択肢がなくなると、アーリークロスを上げるか後ろに戻すかになってしまうわけである。
小島としても右であれば、単独で縦に仕掛けるという選択肢も出てくるのだろうが…。
光永に高橋というレフティーのサイドバックが2人もいるのだから、小島は右にして左で彼らを使えないのだろうか?
使わないどころか、最近はベンチにも入ったり入らなかったりということで…理由はあるのだろうが、現状かて上手くいっているわけではないだろう。
小島としてもやりにくい左サイドで不当に評価が下がっていないだろうか?
プロである監督・コーチがわかっていないとは思えない。
やらない理由があるのだろうが…それが自分にはわからないのである。
MOM
この試合のMOMはかなり悩ましいところだが…青木翔大としたい。
清水慶記にしようかとも思ったが、93分の頑張りを見て青木を推したい。
先に清水の話をするが、この試合も非常に良いセーブを見せており少なくともファインセーブで1点は確実に救っている。
そして清水の課題の一つであったフィードも、最近はかなり良いキックを見せているのもポイント。
47分にはミドルシュートをファンブルするという危ないシーンがあったが、その後の対応は素晴らしかった。
ファンブル自体も手前で落ちるシュートであり、確実に体の正面で受けたという意味では決して悪い対応ではなかった。
本題の青木の話だが、まずは先制点。
DAZNには映っていないので想像でしかないが、タビナスとの駆け引きで見事に裏を取り、藤井悠太から良いボールが入った。
その後のトラップが完璧であり、タビナスとの間にしっかり体を入れ、冷静に2タッチ目でキーパーを交わしてゴールに流し込む。
正直、青木がこれほどゴール前で冷静な対応を見せられるとは思っていなかった…。
ストライカーらしさが戻ってきたようで、シーズン残り残留に向けて彼の力に期待したいところ。
そしてこの試合も変わらず90分を通して前線からハードワークできている点が高評価ポイント。
水戸の中山仁斗ほどではないが、前線でボールを収めて基点となるプレーもしっかりとできていた。
特にハードワークは頭が下がる想いであり、特筆すべきはアディショナルタイムの93分のプレー。
パワープレーに出ていた群馬だが、ボールが長くなりゴールキーパーまで流れたシーン。
負けているわけで、絶対に追いつかないボールだがキーパーに取らせて早くプレーをさせるためにも詰めなくてはいけないところである。
これを追わなければいけないのは…本来は交代で入った北川柊斗ではないだろうか?
ボールへの距離は青木と大差無かったが、北川の方が近かったようにも思うし。
90分走り続けてスタミナ的にも苦しいであろう時間に、キーパーにキャッチさせるべく走ったのが青木である。
気持ちで勝てれば苦労はないが、気持ちは非常に大事。
最後まで諦めない姿勢と、勝負する姿勢を見せた青木をこの試合のMOMとしたい。
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