※ザスパ群馬ファンによる、ザスパ群馬贔屓のマッチレビューです。
第35節はアウェーでのテゲバジャーロ宮崎戦です。
前節はアウェーで金沢を相手に見事な逆転勝利!
今シーズン…どころか2023年シーズン以来となる連勝となりました。
JFLの現状も含めると、これで残留の可能性がグッと高まったところですが、この試合も勝点を取ってより確実にしておきたいところ。
宮崎はプレーオフ圏内の強豪ではありますが、水曜日に延期になっていた松本戦を行っていたり…得点ランキングトップの橋本啓吾が累積により出場停止と、群馬にもチャンスはありそうな予感。
今回はそんなテゲバジャーロ宮崎戦をレビューします。
Contents
スタメン・フォーメーション

テゲバジャーロ宮崎
スターティングメンバー
| ポジション | 背番号 | 選手名 |
| GK | 31 | 岡本享也 |
| DF | 24 | 松本雄真 |
| 33 | 黒木謙吾 | |
| 35 | 江川慶城 | |
| 39 | 下川陽太 | |
| MF | 8 | 力安祥伍 |
| 20 | 阿野真拓 | |
| 41 | 坂井駿也 | |
| 50 | 安田虎士朗 | |
| FW | 18 | 吉澤柊 |
| 58 | 武颯 |
ベンチ
| ポジション | 背番号 | 選手名 |
| GK | 32 | イ チュンウォン |
| DF | 4 | 櫻井風我 |
| 28 | 眞鍋旭輝 | |
| 45 | 田中誠太郎 | |
| MF | 6 | 大熊健太 |
| 10 | 井上怜 | |
| 34 | 河合駿樹 | |
| FW | 27 | 渡邊星来 |
| 42 | 松本 ケン チザンガ |
宮崎は前節から4枚を入れ替え。
眞鍋旭輝、河合駿樹、奥村晃司、橋本啓吾に代えて、黒木謙吾、阿野真拓、安田虎士朗、吉澤柊をスタメン起用。
眞鍋と河合はベンチスタートとなったが、奥村はなぜかベンチ外(橋本は累積による出場停止)
元群馬の奥村だけに再びの対戦を楽しみにしていたが…前節の後の練習で怪我でもあったのだろうか?
ここまで前々節の奈良戦以外は全試合スタメン出場となっており、アシストを量産するなど…中心選手と言って良い存在なのだが…。
元群馬と言えば8月にカターレ富山から加入した武颯。
ここまでコンスタントに出場機会を得ており、10試合で5ゴールという記録も残している。
他に気になるのは技術力のある阿野真拓。
マッチアップは小竹知恩と高橋勇利也ということになるだろうから…ここは他の選手も含めて上手く対応していきたいところか。
ベンチではやはり井上怜だろう。
最近は出場時間が減っているようだが…突破力のあるアタッカーとして途中から出てくるのは驚異である。
ザスパ群馬
スターティングメンバー
| ポジション | 背番号 | 選手名 |
| GK | 21 | キム ジェヒ |
| DF | 3 | 大畑隆也 |
| 8 | 山内陸 | |
| 22 | 高橋勇利也 | |
| 43 | 野瀬翔也 | |
| MF | 11 | 加々美登生 |
| 27 | 藤村怜 | |
| 37 | 瀬畠義成 | |
| FW | 4 | 船橋勇真 |
| 7 | 西村恭史 | |
| 49 | 小竹知恩 |
ベンチ
| ポジション | 背番号 | 選手名 |
| GK | 13 | 近藤壱成 |
| DF | 14 | 菊地健太 |
| 30 | 小柳達司 | |
| MF | 5 | 山口一真 |
| 15 | 風間宏希 | |
| 19 | モハマド ファルザン佐名 | |
| 36 | 安達秀都 | |
| FW | 18 | 田中翔太 |
| 38 | 小西宏登 |
群馬は前節からスタメンに変更は無し。
ベンチは中野力瑠と下川太陽が外れ、小柳達司とモハマド ファルザン佐名が復帰。
小柳は累積出場明け、ファルザンは怪我明けということになる。
これまた前節同様に、勝利の後は下手にいじらない…といったところだろうか?
注目は2試合続けてコンビを組むことになる、西村恭史と加賀美登生の2トップ。
どちらも不慣れなポジションではあるものの…前線から執拗にボールを追う守備は今までのFW陣よりも質が高い。
西村と加賀美の最適なポジションはここではなさそうだが…FW陣に怪我人が相次いでいる現状はこれがベストと言えるだろう。
ベンチではもちろん、怪我から復帰となるモハマド ファルザン佐名に注目。
加入当初は積極性に欠ける印象があったが…チームに馴染んだか、その後は素晴らしいプレーを披露。
その直後に怪我で離脱となってしまっており、怪我前のような活躍に期待がかかる。
そしてファルザンの復帰により、せっかくスタメンに定着したかに思われた小竹知恩のポジションが危うくなるのも注目ポイントだろう。
シーズン残りは少ないが、このポジション争いの激化が良い化学反応を起こすことに期待したい。
試合経過
【0~15分】今日はどうやら4-4-2
前半は群馬のキックオフでスタート。
今日の試合はやや風があり、向きで言うと群馬側から宮崎側に吹く形となっている。
3分、宮崎がコーナーキックを得ると、キッカーは坂井駿也。
ニアに送られたボールはキム ジェヒが飛び出してパンチング。
再びコーナーキックとなるが、ここも防ぎきる。
しかし…この前のコーナーキックもそうだったが、群馬DFがマイボールと判断して触らずにゴールラインを割らせたボールがコーナーの判定となっているのは気になるところ。
7分、山内陸がゴール正面やや左の、非常に良い位置でファールをもらう。
するとキッカーは…なんと船橋勇真!
低い弾道のシュートで、ジャンプした壁の下を狙った面白いボールではあったが…これはキーパーの岡本享也がしっかりとキャッチ。
群馬も壁の前に2枚を置いてボールの出所を隠すという対応はしたが…キーパーの立ち位置的には見えていたようにも思う。
この試合はどうやら守備は明確に4-4-2となっている様子。
押し込まれても小竹知恩が最終ラインに入って5枚…という形ではなく、あくまでも4バックを基本としてケースによって枚数が増えるという印象である。
フォーメーション図は3-5-2のままとしたが、守備は4-4-2と考えていいだろう。
【15~30分】お互いにチャンスシーンは作るも
17分、群馬の自陣でのビルドアップがやや苦しくなってしまう。
しかしルーズなボールではあったが、前線に入ったボールを西村恭史が左サイドに流れた加々美登生につなぐ。
加賀美がこれを肩でトラップからシュートまで持ち込むと、枠は捉えられなかったものの…DFが触ってコーナーを獲得。
宮崎の選手は加々美のトラップに対してハンドをアピールしたが、これは認められず。
まぁ…やや怪しさのある位置でのトラップではあった。
23分、パスカットから藤村怜が右サイドの加賀美登生へ送る。
加賀美のトラップはやや足下に詰まった感はあったが、そのままシュートに繋げるもキーパー正面。
やや強引な形であったが、シュートで終わったのは良しとするべきか?
このシュートに可能性はなかったが…今までの群馬はとにかくシュートが少なかった。
勝利した直近の2試合は、このように加賀美を中心に積極的にシュートを狙う姿勢が出ており、それが結果にも繋がっていると言えるだろう。
24分、瀬畠義成が縦に流したボールが、宮崎の選手も群馬の選手も触れずに抜けていく。
その先に入っていた藤村怜がダイレクトで左サイドに広げると、小竹知恩が回収しファーサイドにクロスを送る。
ここに船橋勇真が飛び込んで合わせるが枠の上に外れてしまう。
船橋が合わせた…というよりは下川陽太が先に頭で触り、それが船橋の頭に当たって枠の上に…というのが正しいか。
そしてこの競り合いで下川が左肩を痛めて立ち上がれず…。
ノーファールの正当なチャージだとは思うが、やはり船橋に勢いよく身体をぶつけられると…と言ったところ。
担架が要請されたものの、下川は立ち上がり自力でピッチ外へ。
肩も外れたりはしていなかったようで、再びピッチに戻ってこれることとなった。
怪我人が相次いでいる群馬だけに、相手チームではあるが…やはりここは怪我がなくて良かったというのが正直な感想である。
しかしこのシーン…フジレンの狙いは決して悪くなかったが、黒木謙吾が西村恭史について行っており、フジレンに対応したのが右SBの松本雄真であったことを考えると…大きく左に流す必要はなかった。
もっと優しいボールで、小竹が直接ゴールに迎えるようなボールがベストだっただろう。
やや距離はあったが小竹のスプリント力なら追いつき、そのままシュートが狙えたのではないだろうか?
【30~45分】宮崎に押し込まれるもゴールは許さず
33分、黒木謙吾から阿野真拓に広げると、阿野がやや内側に持ち出してから武颯へ。
武からリターンを受けると、左アウトサイドでやや内側縦に流して松本雄真へ送る。
松本がゴール前に折り返すと、吉澤柊がヒールで合わせるが…これはキム ジェヒが右手でかき出す。
こぼれ球を瀬畠義成が蹴りだすが…大きくクリアは出来ずに高く上に上がるに留まる…。
しかし最後は小竹知恩が蹴りだしてピンチを逃れる形に。
このシーン、語弊を恐れずに言ってしまうと…小竹が守備をサボったのが原因。
阿野についていたのが小竹であり、武とのワンツーの際にボールウォッチャー気味になり阿野をフリーにしてしまう。
ここまでは…まぁ良い。
これで阿野には高橋勇利也がスライドして対応しており、守備の形としてはこれで良い。
問題は勇利也がスライドして阿野に対応したのに、小竹は勇利也の見ていた松本を見ていないこと。
勇利也がスライドしたのだから、小竹は全力で勇利也の内側に戻り松本への対応をしなければならない。
ここを武に対して出て行った大畑隆也に、戻りながら対応させてはいけないだろう。
44分、宮崎が何度かゴール前まで迫るシーンを作るも…群馬DF陣も粘りを見せてシュートは打たせず。
この時間帯は宮崎がペースを握り押し込む展開とは言えるかもしれないが、どちらのチームも決定機を作れるまではいかず…という時間となった。
【45~60分】堅い展開の試合に
後半は宮崎のキックオフでスタート。
両チームともにハーフタイムでの交代はなくリスタートとなった。
この時間帯も前半終了間際の15分と同様に、やや宮崎ペースと言えそうなものの…どちらも決定機を迎えるまでは至らない展開が続く。
非常に堅い試合と言え、宮崎はプレーオフ圏内を確実にするため…群馬は残留を確実にするため、どちらも勝点3が欲しいものの…勝点1でも良く、0は絶対に避けたいという共通の思いが見え隠れする。
ということでこの15分はお互いにチャンスらしいチャンスを作り出せずに時間が進むこととなった。
【60~75分】耐える時間が続く
60分、宮崎が中央を経由して右から左サイドに広げると、下川陽太が早めのタイミングでクロスをゴール前に送る。
中央に入った吉澤柊の頭の上を超えると、ファーで阿野真拓が飛び込むも…これは枠の右に外れてくれる。
これは完全にやられたと言え…両チーム合わせてここまでで1番の決定機だっただろう。
気になるのは高橋勇利也が、大畑隆也に対して何かを言っているところ。
これは後ほど考察したい。
61分、群馬ベンチが先に動く。
藤村怜に代えて田中翔太、西村恭史に代えて山口一真、加賀美登生に代えて安達秀都を投入する。
これでここ最近お馴染みになりつつある、山口と船橋勇真の2トップに。
田中は船橋のいた右WBに入り、安達がフジレンのいたインサイドハーフに入るが…山内陸と左右を入れ替える形となる。
70分には宮崎ベンチも動く。
坂井駿也に代えて井上怜、吉澤柊に代えて松本 ケン チザンガを投入する。
72分、宮崎のゴールキックは岡本享也が大きく蹴っていく。
これを松本ケン チザンガが頭で当てると、ボールは井上怜へ。
井上から武颯に送ると、ワンツーの形で井上が左サイドを抜け出していく。
ここからゴール前にクロス…かと思ったが、強烈なシュートをニアに放つ。
しかしここはキム ジェヒも良い反応を見せてコーナーキックに逃れることとなった。
キムの立ち位置は問題があるレベルではなかったが、確かにややクロス対応によった位置取りをしていたのは事実。
この立ち位置を見てシュートの判断としただろうか?
ニアをぶち抜かれてもおかしくない良いシュートだったが、ここはキムが良い反応を見せた。
ちなみに中央に入ってきていたのは阿野真拓であったが、ここは60分のシーンとは異なり高橋勇利也が良い対応を見せていた。
もう一つ余談を書くと、武はオフサイドだったようにも見えるが…どうだろうか?(際どいのは間違いない)
【75~90分】ついに均衡が破れるが、諦めなかった群馬
77分、下川陽太から大きく逆サイドにサイドチェンジ。
阿野真拓が良いトラップから縦に仕掛けると、低いクロスをゴール前に送り込む。
これに力安祥伍が滑り込んで先制を許してしまう。
素晴らしいサイドチェンジに、素晴らしい仕掛けだった…。
高橋勇利也も阿野の仕掛けに付いていけなかったわけではなかったが…スライディングブロックで滑り込んだ足の下を通されてしまう形となってしまった。
力安のところは…本来は瀬畠義成が最後までついていくべきだっただろうか?
まぁ力安のコース取りと、そこへの阿野のクロスが素晴らしかったと言える。
79分、群馬ベンチが動く。
小竹知恩に代えてモハマド ファルザン佐名を投入する。
80分、このわずかな時間の差で群馬ベンチが再び動く。
瀬畠義成に代えて風間宏希を投入する。
リスタートは良い位置からのフリーキックだが、これを風間に蹴らせるために入れたか?
ほぼ正面の良い位置ではあるが、ペナルティーアーク内ということで…巻いて落とすには少し近すぎる難しい距離とも言える。
結局このFKを蹴ったのは山口一真だったが、これは壁に当ててしまう。
82分、宮崎ベンチが動く。
江川慶城に代えて眞鍋旭輝、阿野真拓に代えて櫻井風我を投入する。
宮崎は残り時間で逃げ切り策となるか?
攻撃で厄介だった阿野が下がるのは群馬としてはありがたい。
83分、前線で船橋勇真が収めると、山口一真へ。
これがいったんは合わなかったように見えたが、山口が奪い返して左のモハマド ファルザン佐名へ。
ファルザンが山口に戻すと、やや遠いながらも山口が積極的に足を振っていく。
これはキーパーがセーブしたものの、枠はしっかりと捉えておりコーナーキックを獲得する。
85分、山口一真のクロスに船橋勇真が飛び込むも合わず…。
しかしこぼれ球を船橋自ら折り返すが、これはDFに当たって威力が落ちキーパーにセーブされてしまう。
86分にはモハマド ファルザン佐名が勝負を仕掛け、切り返しから内側の風間宏希へ。
これもやや距離があったものの積極的にミドルを狙っていくと、黒木謙吾が頭で当ててコーナーに逃げる。
今シーズン今までの群馬であれば、あの時間に先制を許して意気消沈…といったところ。
しかし今節は2連勝できているだけに、まだまだ諦める姿勢を見せている選手はいない。
それが実ったのが90分。
大畑隆也からパスを受けた山内陸が、縦にグラウンダー気味の素晴らしいパスを送り込む。
これを船橋勇真がヒールで後方にフリックし、モハマド ファルザン佐名につなぐ。
宮崎DFの寄せも早く、シュートは打たせてもらえなかったが…ファルザンはすぐに右足を伸ばして横パスに切り替える。
これは高橋勇利也には合わなかったものの、その奥に入り込んでいた田中翔太が抑えの効いた良いシュートを放つ。
このシュートは岡本享也が右手一本で素晴らしいセーブを見せたが、こぼれ球を櫻井風我が上手く処理できず…先に山口一真がシュートを放つ。
これに眞鍋旭輝が足を伸ばしコースは大きく変えたが、枠外にまで変えることはできずにゴールに突き刺さり同点に。
田中のところで決めておきたかったが、田中のシュートは悪くなく…ここは岡本のファインセーブと言えるだろう。
その後山口がしっかり詰めていたのを評価するべきであり、山口の他に船橋もシュート体勢に入っていたのもポイントであろう。
先ほど書いたように、まだまだ勝負を諦めていなかった執念が生んだゴールと言える。
92分、このゴール後のリスタート前に宮崎ベンチが最後の交代枠を使う。
武颯に代えて渡邊星来を投入する。
宮崎のキックオフは一度後方に下げてから大きく蹴りこむ。
これを跳ね返すと、そのあとのセカンドボールはイーブンな拾い合いに。
最終的に山内陸のところに向かうと、山内がこれをダイレクトで前線に大きく蹴りこむ。
単に大きくクリアかと思いきや、ここに安達秀都が走っており山内はしっかりと狙っていた様子。
安達がキープから内側を上がってきた山口一真に落とすと、山口はシュートモーションから更に横パスを選択。
ここにモハマド ファルザン佐名が滑り込んで逆転に成功!
試合後のファルのインタビューを聞くと、この形は練習していたようだが…山口のはどう見てもシュートモーションから強引に横パスを送っているように見える。
これにより櫻井風我の足は一瞬止まり、ファルへ綺麗にボールがつながったと言える。
まぁシュートモーションではなく…見え見えの横パスでも櫻井が間に合わなかった可能性もあるが…こういったプレーは良い方向に解釈したい。
これにより今シーズンは度々やられてきたアディショナルタイムの悪夢を、アディショナルタイムの歓喜に変えることに成功。
3連勝という結果はもちろん大きな収穫だが、それ以上にこの逆転劇は選手たちの自信を深めたのではないだろうか?
ちなみに放送では95分頃に高橋勇利也にイエローカードが出ていたことが表示された。
記録を振り返ってみると、92分にC1(反スポーツ的行為)となっているので…恐らく同点弾が決まった後に勇利也が更にネットにボールを蹴りこんだのに対するカードではないだろうか?
サッカーではよく見かける行為であり、必ずしもカードが出るとは限らないが…展開や時間帯を考えて不必要に煽ったと判断されたか。
アディショナルタイムでの同点弾ということで喜びの気持ちは理解できるが…これにより時節出場停止となったのは痛い。
ピックアップポイント
60分のプレーが切れた際の勇利也の行動
宮崎の先制弾も含めて、3ゴール全てが素晴らしいゴールだったが…敢えて60分の宮崎の決定機を取り上げたい。
それも、決定機のプレーではなくその後の群馬の選手たちの行動についてである。
まず60分のプレーを振り返ると、大畑隆也からの縦パスを山内陸が受けたが…2枚に挟まれる形となりロスト。
これを宮崎が左サイドに広げ、下川陽太が早めのクロス。
中央で吉澤柊が潰れ、その上を抜けたボールに阿野真拓が合わせたが枠の右側に外れていった…というシーンである。
このシュートが外れたあとに、なかなか大きなジャスチャーと共に高橋勇利也が大畑隆也に怒りをぶつけていたのが気になったポイントである。
まず最初に考えたのが、阿野に対する大畑の対応に勇利也が不満だった…というもの。
しかしチームとしての約束事がわからないので何とも言えないのだが…オーソドックスに考えると阿野に付くのは勇利也であり、阿野に対して付いていけなかった…という状態に見える。
確かに勇利也は攻撃の際には前に上がり、このスペースを空けてしまうために誰かが埋める必要があるのだが…このシーンでは阿野よりも自陣側からのスタートである。
そして阿野は勇利也の目の前を通ってゴール前に上がっており、勇利也が阿野の動きに気付かないはずがない。
中央のCB2枚の動きとしても、中央は吉澤柊1枚であり、大畑隆也が対応するのが妥当。
野瀬翔也はニアのスペースを埋め、船橋勇真が下川陽太にドリブルで抜かれてペナルティエリア内に侵入した際に対応できる位置…ということで間違っていない。
ニアに入り込めそうな宮崎の選手はいなかったが…、やはり下川のドリブル突破の可能性を考慮し野瀬の位置はここだろう。
ということで、特別な約束事がなければ群馬の守備対応に問題があるとは思えず、大畑が勇利也に怒られる理由がない。
むしろ、問題があるとしたら勇利也自身の対応になるのだが…。
となると、その前のところか?
高橋勇利也のスローインで大畑隆也に入れ、大畑の縦パスを山内陸が下がりながら受けたものの…ここがやや狙われており挟まれてロストしたところから宮崎の攻撃が始まっている。
このシーンでは勇利也もリターンを要求しており、ここで勇利也ではなく山内を選択し…結果的に失ったところを勇利也は言っているのか?
確かに山内は狙われていた形であり、ここで失ったのは山内の責任というよりは大畑の責任であろう。
ということで真相はわからないながらも、このパスの選択に対して高橋勇利也が大畑隆也に何か言っていた…と考えるのが妥当な気がするところ。
ここまで群馬の選手たちはおとなしいと言うか…あまり試合中に意見をぶつけ合ってこなかった印象がある。
青木翔大が唯一気持ちを見せてきた印象であり、青木の怪我での離脱によりチームはダメになるかと思っていたが…。
むしろ離脱した分を補うかのように、それぞれ他の選手たちに戦う気持ちが見え始めたように見える。
何があったのかはわからないが…結果も出ており、着実にチームは良い方向に向かっていると言える。
やはり…これがシーズン序盤であれば…となってしまうのが悔やまれる。
MOM
この試合のMOMはモハマド ファルザン佐名としたい。
それだけ値千金の逆転ゴールであり、同点弾の演出も同様に高く評価されるポイントだろう。
同点弾と言えば、山口一真も途中出場から結果を残したと言える。(1G1Aだから大活躍と言って良いだろう)
スタメン組では…やはり船橋勇真だろう。
正直田中翔太をFWで使わずに船橋をFWで使うことに疑問があったし、今もそれは変わらないのだが…この試合はかなり効いていたのは事実。
WB(この試合はほぼSBと捉えてよさそうだが)として上下に走り回ったあとで、90分フルで最後は最前線までプレスをかけてくれた貢献度も高く評価されてほしいところ。
同点弾のシーンでは技ありのヒールでモハマド ファルザン佐名につないでいたりと、あの恵まれた体格で最前線でポストにもなれることを証明した。
178cmだから決して大きいというわけではないのだが、縦にではなくシルエットとして大きい…言い換えるとガタイが良いのである。
FW陣が大量離脱中の今、スタートから船橋のFW起用も面白いかもしれない。
自分は田中は右WBで使う選手ではないと思っているが…田中の他、WBは小西宏登もいる。
更には小竹知恩かファルザンか…どちらか右もできないだろうか?
ただ…右WB時に(小西や小竹、ファルに比べると落ちるが)攻撃力を落とさず、守備時には右SBとして計算できる…というのは捨てられないポイントではある。
注目したいのは高橋勇利也が出場停止となる時節。
この左CBに以前のように船橋を入れるのか…、それとも菊地健太等を入れ船橋は右WBのままとするのか?
そして最後に山内陸に触れて終わりにしたい。
超ザスパ群馬掲示板などでは…どうにも「山内イラネ」の声が強いように見える。
しかし、今日の2得点はどちらも山内の縦パス一本から。
更には連勝のスタートとなった奈良戦での河田篤秀のゴールも、山内の縦パス一本から生まれている。
確かに現在の3-5-2と4-4-2も含めても、適正ポジションが見つからないのは事実。
3-4-3の時も含めて…ダブルボランチの片方で使うには守備が計算できないのが紛れもない弱点であろう。
かと言って4-4-2では右SMFの役割になるが、攻撃では明らかにサイドの選手とは言えない。
攻撃(特にパス)センスを活かし、守備の負担を減らすためにも…現システムではインサイドハーフしかない。
(そのために最初は偽SBで左SBだったのだろうが)
と…実に消去法的な起用であり、本当は4-4-2ダイヤモンドのトップ下…なんてのが輝くタイプなのではないかと思う。
そのため山内が(特に加入前の、昨年の八戸時代の評価での期待値に比べて)機能していないのは否定しない。
しかしこの3連勝に大きく貢献しているのは事実であり、類まれなるパスセンスで3得点を演出したのはファン・サポーターには理解してほしいと思うのである。

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