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【2025 J3第34節】ツエーゲン金沢 対 ザスパ群馬【レビュー】

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※ザスパ群馬ファンによる、ザスパ群馬贔屓のマッチレビューです。

 

第34節はアウェーでのツエーゲン金沢戦です。

前節はホームで奈良を相手に、まさかの2-0での勝利。

残念ながら「まさかの」という言葉を使ってしまうくらいに久々の勝利となりました(9試合ぶり)

今節は金沢ということで、まさに現在絶好調のチームが相手と難しいゲームが予想されます。

しかし前節でどん底からの復調の兆しを見せられただけに、残留を考えるとこのゲームでそれを手放したくないところ。

泥臭く必死に戦って、なんとか勝点を持ち帰りたいところです。

 

今回はそんなツエーゲン金沢戦をレビューします。

スタメン・フォーメーション

※通常ホームを左側にしますが、メインスタンド側から見た通りで配置

ツエーゲン金沢

スターティングメンバー

ポジション 背番号 選手名
GK 21 山ノ井拓己
DF 4 松本大輔
20 長倉颯
25 小島雅也
39 庄司朋乃也
MF 15 西谷優希
18 熊谷アンドリュー
24 西谷和希
41 嶋田慎太郎
FW 9 土信田悠生
49 大澤朋也

ベンチ

ポジション 背番号 選手名
GK 1 白井裕人
DF 16 毛利駿也
55 平智広
MF 8 大山啓輔
14 石原崇兆
17 加藤大樹
23 四宮悠成
FW 10 パトリック
11 杉浦恭平

 

金沢は前節から2枚を入れ替え。

畑尾大翔、加藤大樹に代えて、庄司朋乃也と大澤朋也をスタメンで起用。

畑尾はそのままベンチ外(怪我)、加藤はベンチスタートということになった。

ベンチを見ると、畑尾がベンチ外となったことで大山啓輔が追加された以外に変更は無いようである。

 

注目はやはり現在J3得点王争い(…と言うには1位の橋本健吾が突き抜けているが)をしている土信田悠生だろう。

12得点と量産しており、最近はパトリックから完全にポジションを奪い取った印象も。

個人的に嫌なのは(好きなのは)嶋田慎太郎。

何とも嫌なところに良いパスを付けるイメージが強い選手である。

 

他には畑尾大翔がいないのは残念だが、小島雅也は元気そうで何より。

相変わらずの運動量で右サイドを上下しているようだが…この試合は是非とも静かにしていてもらいたいところ。

 

ベンチではパトリックはもちろん、加藤大樹や杉浦恭平と得点力のある選手がいるのが注目か?

押し込まれる時間が長くなりそうだが…終盤、特にアディショナルタイムでの失点という悪癖を見せないようにしたいところ。

ザスパ群馬

スターティングメンバー

ポジション 背番号 選手名
GK 21 キム ジェヒ
DF 3 大畑隆也
8 山内陸
22 高橋勇利也
43 野瀬翔也
MF 11 加々美登生
27 藤村怜
37 瀬畠義成
FW 4 船橋勇真
7 西村恭史
49 小竹知恩

ベンチ

ポジション 背番号 選手名
GK 13 近藤壱成
DF 14 菊地健太
26 秋元琉星
MF 5 山口一真
15 風間宏希
36 安達秀都
FW 18 田中翔太
20 下川太陽
38 小西宏登

 

群馬は前節から2枚を変更。

小柳達司、河田篤秀に代えて、野瀬翔也と西村恭史がスタメン起用となった。

小柳は累積による出場停止であり、河田はやはり前節の負傷により離脱…ということになってしまった。

負傷と言えば、小竹知恩も前節担架で運ばれていたが…やはり予想通りに大事ではなかった様子で再びスタメンに名前がある。

 

注目はやはり河田篤秀も離脱となり…完全に人が足りていないFWだが、今日のメンバーを見る感じだと西村恭史が入るだろう。

前節終盤の最前線に船橋勇真という起用を見ても、やはり沖田監督としては高さと強さがある選手が欲しいようである。

個人的には田中翔太の最前線起用があるかと思っていたが…前節同様に、加々美登生が2トップの片側として起用された。

 

ベンチでは小柳達司が出場停止ということもあり、秋元琉星が初のベンチ入り。

DF陣にアクシデントが無ければ出場の可能性は低いが、来シーズンに向けてベンチでリーグ戦の雰囲気を体感できることは大きいだろう。

 

勝った試合の後ということもあり、必要に迫られて(出場停止と怪我)以外の変更は特にない…ということになりそうである。

試合経過

【0~15分】セットプレーからの失点再び

試合前は雨が降っていたものの、キックオフの時点では快晴に。

しかし変わりやすい山の天気…というような状態で、この試合は天候に翻弄されることとなった。

 

前半は金沢のキックオフでスタート。

並びを見ると、やはりここしばらく採用している3-5-2を基本とし、最前線は西村恭史加々美登生となっている様子。

しかし前節までに比べると、やや西村の1トップ感が強い…気もしなくはない。

とは言え(特に守備の構成は)基本的には3-5-2と考えていいだろう。

 

5分、右の低い位置でスローインだったが…藤村怜からの縦パスに熊谷アンドリューが足を出してブロック。

これが嶋田慎太郎の方にこぼれると、嶋田がダイレクトで左側ポケットにスルーパスを通す。

ここに土信田悠生が入り込み、左足を振るが…これはキーパーの正面で助かる形となった。

嶋田らしい素晴らしいスルーパスが通ってしまったが、野瀬翔也大畑隆也もしっかりと身体を寄せてシュートコースを限定したと言える。

 

8分、群馬がフリーキックのチャンスを迎えたが…これは跳ね返されてしまう。

しかしこれを回収し、藤村怜山内陸西村恭史とパスをつなぎ、最後は西村の落としに加々美登生がシュートを放っていくも…これは枠の左側に外れてしまう。

これは外れてしまったが、加賀美はこの2試合非常に積極的にゴールを狙う姿勢が見られるのが良い。

 

15分、金沢が右からのコーナーキックを得ると、キッカーは西谷和希

これはショートコーナーで始め、最後は嶋田慎太郎がゴール前にクロスを送り込む。

これは野瀬翔也が競り勝ったものの…下がりながらのヘディングとなったこともあり、跳ね返せずにボールはほぼ真上に上がってしまう。

このボールに対してキム ジェヒと、松本大輔小島雅也が競るが…誰かが競り勝てたとは言えないイーブンな状態でボールはほぼ真下に。

これを松本が詰め込んで先制を許してしまう。

相変わらず…小島のジャンプ力がエグいが…タイミングと高さだけでなく、さりげなくキムの肩に手をかけて飛べなくしているのもポイント。

肩に手をかけている…と言うよりは左手の上から被さるように…と言うほうが正解か?

とにかくこれでキムはプレーの自由度を無くし、手と頭という高さの差もあり触ることは出来たものの跳ね返すことは出来ず。

現代サッカーではこれはノーファールで間違いないが…個人的にはキーパーは手が使える以上、ファールの基準がフィールドプレーヤーと同じというのはいかがなものかと思っている。(というのは以前書いたが)

【15~30分】ピンチが続くが追加点は許さず

18分、金沢のフリーキックでのリスタート。

山ノ井拓己が前線に大きく蹴りこむと、これが土信田悠生の頭をわずかに超え、その裏に抜け出していた小島雅也に通ってしまう。

小島が良いタッチでゴール方向に向かうと、アウトサイドでシュートを放つ。

しかしこれはキム ジェヒが良いセーブを見せてコーナーに逃れる。

いやぁ…コジってあんなプレーできる選手だっただろうか?

特に最後のアウトでのシュートは難しい体勢ながらも威力、コースともに申し分のない素晴らしいシュートだった。

 

21分、群馬のビルドアップにミスが出てしまう。

金沢のハイプレスでかなり苦しい状態で繋ぎに行った形となってしまい、最後は山内陸のところで土信田悠生に足を出されて奪われてしまう。

これを熊谷アンドリューがシュートするが、ここは大畑隆也が滑り込んでシュートブロックしコーナーに。

このシーンは奪われた山内が悪い…と言うよりは、その前のビルドアップで既にかなり苦しい状態だったと言える。

最近はロングボールも多用しており、早めに蹴っても良いシーンだったと思うが…。

 

30分、金沢が右からのコーナーキックを得ると、キッカーは西谷和希

これはキム ジェヒがパンチングで跳ね返すも、こぼれ球を西谷優希が直接狙っていく。

ペナルティエリア内からのシュートであり、かなり危険なシーンだったが…これは枠の上に外れてくれて助かる形となった。

パンチングの選択をするならば、もう少し強く跳ね返したいところか。

とは言え試合が終わってから振り返ってみると、この押し込まれた時間帯に追加点を許さなかったことが勝因の1つと言えるかもしれない。

【30~45分】ロングボール1本!前半で追いつく

33分、高橋勇利也加々美登生船橋勇真と繋ぎ、船橋がシュートを狙っていくが…これはブロックされてコーナーキックに。

ファーを狙ったシュートだったが、これは恐らく枠外だっただけにラッキーである。

船橋は前節のクロスと言い…精度の部分をもっと上げて行きたいが…豊富な運動量で攻守に顔を出しているため、特に守備の安定に貢献している。

 

35分、船橋勇真から加々美登生につなぐと、まだペナルティエリアの外ながらも思い切ってシュートを放っていく。

これは枠を捉えることはできなかったが、可能性は感じさせたのではないだろうか?

加賀美は今シーズンの2ゴール、どちらもミドルシュートを叩き込む形であり、この距離でも十分に狙うポテンシャルを持っている。

今の群馬に足りないのは積極性であり、それはシュートという面でも同じ。

前節の前半で交代となるほどに追い回した前線からの守備と同様、この試合でも素晴らしい積極性を見せてくれている。

 

37分、雷により試合は一時中断ということに。

キックオフ時には晴れ間が見えていたものの…20分過ぎ頃から雨が強くなり、この時点ではサッカーにならないような土砂降りの雨が降っている。

しばらくの中断を挟み、36分50秒から試合は再開となった。

 

38分、ゴール前へのボールが…バウンドが合わなかったか変わったのか…野瀬翔也が処理できずに土信田悠生がキーパーと1対1になってしまう。

しかし土信田のシュートはキム ジェヒが…顔か?でセーブ。

しっかりと身体を大きく使ってシュートコースを消し切った結果と言える。

 

39分、群馬が3対2の数的優位から決定機を迎える。

加々美登生がドリブルで運んでから左側の西村恭史へ送る。

これをダイレクトで右の藤村怜に送り、キーパーと1対1の形を作ったが…フジレンのシュートは山ノ井拓己に当ててしまう。

やや最初のトラップが長かったか…山ノ井に一気に距離を詰められてコースが消されてしまった。

それもあってか、フジレンも最後はボールを下から突くような形で浮かせにいったようにも見えるが…思ったより浮かなかったというところか?

 

43分、山内陸か?からロングボールが出ると、小竹知恩がハーフラインから一気にゴール前までドリブルで持ち上がる。

最後は切り返して右足でシュートを打つが…これはミートしなかったのか、やや力なくキーパーにセーブされてしまう。

このシーン、小竹の突破力が光るところなのだが…個人的には逆サイドの船橋勇真に注目してもらいたい。

きっちりとあの距離を駆け上がり、ファーサイドで良い位置でフリーの状態を作り出しているのである。

 

46分、ハーフライン付近で藤村怜がファールを受ける。

するとクイック…というほど早くはなかったが、位置的にも金沢が油断している裏を狙う形で船橋勇真が一気にゴール前にロングボールを送る。

ここに高橋勇利也がダイビングヘッドで飛び込んだが…惜しくもこれはポスト直撃。

しかし跳ね返りを西村恭史がしっかりと沈めて、前半のうちに同点に追いつくことに成功する。

船橋のボールは素晴らしかったが、勇利也がこれを狙っており船橋にアイコンタクトをしていたのが素晴らしい。

もちろん船橋もよく前線を見ていた。

ビルドアップを重視するのは決して悪いことではないと思うが…ビルドアップだけではいけない。

前節もそうだったが、やはり点が入りやすいのはセットプレーとカウンターである。

こういったプレーは沖田監督好みではないのだろうが…こういったプレーも積極的に狙わせてほしいところ。

【45~60分】中断再び。2度の中断というレアな試合

後半は群馬のキックオフでスタート。

ハーフタイムでの交代はなくリスタートとなった。

前半全てを見ての感想だが、この試合は前節ほど4-4-2感が無いのが特徴か?

以前に比べると右WBの船橋勇真が最終ラインに加わることが多く、DFラインは4枚の時間も長い。

しかし前節は明確に4-4-2の形を作っていたが、今節は3-5-2を基本としながら状況により船橋が最終ラインをケア…という表現が近そう。

具体的に言うと、右のインサイドハーフである山内陸がそれほど右に寄っていないのである。

あくまでも山内は右側のインサイドハーフであり、基本的にサイドの守備は船橋の仕事…というのが前節との違い。

(もちろん状況によって山内はサイド深くまで守備をするシーンもあるが)

 

50分、金沢にフリーキックを与えると、これを蹴るのは西谷和希

中央に送られたボールは松本大輔高橋勇利也に競り勝ち、これを小島雅也が詰め込んでネットを揺らすが…オフサイドの判定。

小島は完全にオンサイドだったので…最初の松本がオフサイドポジションだっただろうか?

リプレイを見ると…真横ではないので正確ではないが…確かに微妙に出ているようにも見える。

まぁ最初のプレーなので副審としてはそれほど難しいジャッジではないため、オフサイドラインの小竹知恩よりも出ていたのだろう。

結果論ではあるが、これで再びリードを許していたらまた違った試合になっていたかもしれない。

 

56分、群馬がカウンターを見せる。

加々美登生のところで一度奪われてしまうが、そのあとのパスを船橋勇真がカットし奪い返す。

ドリブルで持ち運び中央に寄ってから左サイドの小竹知恩に広げる。

すると小竹小島雅也との駆け引きから、最後は右に持ち出してシュートを放つ。

やや巻きが甘かったか…素晴らしいシュートではあったが惜しくもポストに直撃となり跳ね返ってしまう。

思わず頭を抱える小竹だが…本当に小竹は可能性を感じさせてくれるプレーヤーである。

足下の技術はそれほど高いとは言えず、この試合でもロストやミスでタッチラインを割ってしまうようなシーンは多かった。

しかし特徴的なストライドの長い突破や身体の強さなど、ロマンを感じさせてくれる。

まだ19歳、ここから技術が伸びると楽しみな選手になりそうだが…その頃には群馬にいないだろうか…。

 

57分過ぎ、再び雷の影響により試合が中断される。

1試合で2度の雷雨中断というのは非常に珍しいし、自分としてはザスパ以外の試合も含めてちょっと記憶にない。

集中力がリセットされてしまうというデメリットはあるが、監督としてはしっかりと指示を出してゲームを作り直せるというメリットも。

どちらのチームも条件は同じため、どちらがこれをより活かすことができるだろうか?

雷が落ち着き、56分40秒過ぎからリスタートとなる。

【60~75分】ストライカー田中

64分、群馬ベンチが先に動く。

前後半に1回ずつ中断が入ったこともあり、どちらのチームも交代がなくこの時間で最初の交代となる。

加々美登生に代えて安達秀都藤村怜に代えて田中翔太西村恭史に代えて山口一真と3枚代え。

これにより最前線は右に船橋勇真、左に山口

船橋のいた右WBに田中が入り、安達がインサイドハーフに入るが…フジレンのいた左側は山内陸が移動し安達は右に入る。

うーん…田中がFWじゃダメなのだろうか?

船橋のWBは効いているし田中は前でこそ活きる選手。

船橋の方が前線で身体を張れるイメージはあるが…公式データではどちらも178cmで同じ。

田中はハイボールは身長もありそれほど収まらないが、足下へのボールはしっかりとキープしてくれる印象があるが…。

WBは運動量が求められるポジションでもあり、それを考えてフレッシュな田中を…というのはわからなくはないが。

 

68分、奪ったところからカウンター発動。

安達秀都が右サイド裏にロングボールを送ると、ここに山口一真が抜け出す。

山口がグラウンダーのボールを折り返すと、山内陸が合わせるが…これは枠の右側に外れてしまう。

これは絶対に枠に送らないといけないシーンであろう…。

 

70分、金沢ベンチが動く。

嶋田慎太郎に代えて四宮悠成大澤朋也に代えて加藤大樹を投入する。

 

72分、四宮悠成が素晴らしいスルーパスを送ると、ここに加藤大樹が抜け出す。

そのままシュートまで持ち込まれるが、これは枠の右に外れてくれる。

 

73分、このゴールキック。

これは繋がらず、最後は山ノ井拓己に蹴り返されるが…これを安達秀都が回収し高橋勇利也へ。

勇利也が縦に送ると、これを山口一真がヒールでフリック。

そのまま左サイド裏に流れるボールに小竹知恩が抜け出していくと、逆サイドを全力で駆け上がった田中翔太にクロスを送る。

これを田中が滑り込みながら押し込み逆転に成功!

小竹のクロスはキーパーが出れず、戻るDFが触れないという絶妙な位置だったが…バウンドもしており決して簡単なシュートではなかった。

ゴール前への入り方といい、田中は本当にストライカーである。

43分にも同様に小竹が左サイドを駆け上がり、(使われなかったが)右側を船橋勇真がゴール前まで入り込んだシーンがあった。

練習中からこの両ワイドでゴールに迫る…というのをやっており、それが故に田中をサイドで使っているとは思うが…なかなかそのメリットを活かせないでいた。

WBである故に守備に追われる時間も長く、なかなかペナルティエリア内で仕事をする時間が作れない。

狙いはわかるものの…やはり田中はペナルティエリア内での仕事の時間を増やしてあげたいと思ったシーンであった。

 

74分、このゴール後、リスタート前に群馬ベンチが動く。

小竹知恩に代えて小西宏登を投入すると、小西は右側に入り、田中翔太が左側に移動する。

【75~90分】まさかのダメ押し弾

76分、金沢ベンチが動く。

土信田悠生に代えてパトリック熊谷アンドリューに代えて大山啓輔を投入する。

 

86分、同じタイミングで両チームが動く。

まずは群馬が、山内陸に代えて菊地健太を投入。

金沢は小島雅也に代えて杉浦恭平を投入する。

 

90分、左からのコーナーキックを得ると、キッカーは山口一真

大きくファーに送ると、これを高橋勇利也がボレー。

これは狙ったのか中央への折り返しだったのか…わからないが、ミートしなかったために地面に叩きつける形となってしまう。

このバウンドしたボールを瀬畠義成がバックヘッド気味に頭でフリックすると、これがゴール左隅に吸い込まれて追加点。

まさかのダメ押し弾となった。

アディショナルタイムは5分と表示されており、5分あれば2点はおろか…時には3点取ることもあり逆転される可能性もあるにはあるが…この追加点で試合はほぼ決まったと言って良いだろう。

もちろん油断はしてはいけないが…今シーズンの群馬の状況を考えるとリードが1点だと最後までヒリ付く展開になってしまう。

2点差あれば心に余裕を持ちながらプレーできるだろう。

 

しかしこの時間帯で時間稼ぎをせずに、コーナーで点を取りに行ったのは賛否両論あると思う。

人数的にも減らした感じではなかったため、カウンターで同点に追いつかれる可能性を考えてしまう状況であった。

そういったところから個人的には「否」の側なのだが、結果的にはこの攻撃的マインドが良い方向に転んだと言えるだろう。

受け身にならず最後まで積極的に…という意味では、メンタル面には良い結果となったかもしれない。

 

こうしてこの後はピンチらしいピンチもなく、アディショナルタイムを消化し試合終了。

今シーズン初となる逆転勝利かつ連勝となった。

この2勝とJFLの現状から、ほぼ降格は免れたと言えるが…このまま自力での残留兼である18位以上を確定させたいところである。

ピックアップポイント

ガムシャラで泥臭いサッカーが返ってきた

この連勝はこれに尽きる。

とにかくこの2試合は選手全員が走っているし、球際で戦っていると言えるだろう。

それが結果にも繋がっている。

 

気が早いしまだまだ油断はできないが…試合展開の最後に書いたように、JFLの状況も含めて残留の可能性が高くなってきたと言える。

すると来シーズンのことが気になりだすが…最大の注目点は沖田監督がどうなるか…だろう。

群馬の予算等々を考えると…残留すれば続投になりそうな気がしてならないのだが、その辺りは蓋を開けてみないとわからない。

 

個人的にはこの2試合のように泥臭く、戦う姿勢を見せられるのなら続投でも良いかと思わなくもない。

監督を変えるとなるとイチからチームを作り直すことにもなり、群馬の予算を考えると実績のある良い監督を連れてこれるというのも考えづらいところ。

再び監督歴のないような監督を連れてきてギャンブルとなるなら…沖田監督のままでも…と思わなくはないのである。

ただし、書いたようにこの直近2試合のような戦い方をできるなら…である。

 

個人的にはビルドアップを大事にするのは構わないが、「だけ」に固執してはならないと思っている。

実際ここ2勝もゴールはセットプレーとカウンター。

ボールを大事にビルドアップでゲームを作ることを基本としつつも、状況によっては素早くカウンターを狙う姿勢を見せ続けてほしい。

また綺麗なビルドアップで崩すサッカーと、泥臭く球際を強く戦うサッカーは両立できるとも思っている。

 

とにもかくにも勝利こそが特効薬であり、この試合は先制を許しながらもズルズルといかなかったのは前節の勝利が大きかっただろう。

この連勝で選手たちは更に自身も深めたと思われ、残り4試合を良い形で終わらせたいところ。

そしてチームが監督・スタッフ、選手たちにどのような評価をするのか…楽しみに待っていたい。

しかし…どのような結果になろうとも、誰とは言わないが昨シーズンの降格、今シーズンの残留争いの責任を取るべき人間がいるのではないだろうか?とは思う。

MOM

この試合のMOMは船橋勇真としたい。

今回も良い意味でMOMは悩んだ。

船橋以外に悩ましかったのは、小竹知恩高橋勇利也西村恭史といったところ。

もちろんそれ以外の選手も、全員がしっかりと自分のやるべきことをやった試合だった。

 

まずは船橋勇真だが、この試合も前節同様に攻守のバランスを取り守備を安定させたと言える。

それでいながらチャンスの際にはしっかりとゴール前に上がり、攻撃に厚みをもたらしてくれた。

同点弾では高橋勇利也がしっかり狙っていたのが素晴らしかったが、それをしっかりと見ておりピンポイントで合わせたキックは見事である。

このフリーキックは素晴らしい精度だったが、それ以外では精度をもう少し…というシーンが多いのが課題。

またやや気持ちが空回ってしまうのか、アフター気味のファールが多いのも今後の課題だろう。

しかし青木翔大が離脱した今、気迫溢れるプレーと闘争心でチームを前に向かせられる大事な存在である。

 

続いて小竹知恩だが、ポスト直撃となったシュートが決まっていれば…。

守備力、足下の技術と課題は多いが…それを補う破壊力のある突破が魅力。

この試合でも自身の持ち味を遺憾なく発揮して見せたと言える。

本当ならばWBではなく、せめてSMFで使いたいところだろうが…。

 

そして高橋勇利也だが、船橋勇真が入ったことで守備が安定したため、良い形での攻撃参加が戻ってきた。

逆転ゴールを生んだ縦パスは以前の試合でも同様のシーンを見せており、攻撃のスイッチを入れる存在としても機能している。

ボランチで使っても面白そうなのだが…3バックの左が1番適性が高いだろうか。

 

数字に残る形での活躍は無かったが、拾っておきたいのは加々美登生

前節同様に最前線から追い回し、攻撃では積極的に足を振るシーンが多かった。

これは今までの群馬に足りていなかったところであり、加賀美の起用がこの2試合の結果に繋がっていると言っても過言ではないだろう。

 

交代選手ではまずは山口一真だろう。

やはり前評判通りに怪我やオーバートレーニング症候群がなければJ3にいるような選手ではない。

まだコンディションは上がりそうだし、「環境を変えたことが良かった」という判断で来シーズンも群馬にいてもらえないだろうか?

 

他にも名前を挙げたい選手はたくさんいるのだが…長くなるのでこの辺で。

最初に書いたように、全員がやるべきことをしっかりとやった、という試合であった。