※ザスパクサツ群馬ファンによる、ザスパクサツ群馬贔屓のマッチレビューです。
第33節はホームでの町田戦。
前節の藤枝戦は試合前に中止となり、その前の金沢戦は試合中に中止と…2試合続けて中止となったのが直近の出来事です。
夏の暑い時期に2試合休めたと捉えるべきか、試合勘が失われたことを嘆くべきなのか…。
とにもかくにも長期的に見れば、この2試合をどこかで行うために日程が過密になることが心配されます。
雷ばかりはどうしようもないので今節に集中するとして、好調の首位町田をホームに迎える第33節です。
今回はそんなFC町田ゼルビア戦をレビューします。
Contents
スタメン・フォーメーション
ザスパクサツ群馬
スターティングメンバー
ポジション | 背番号 | 選手名 |
GK | 21 | 櫛引政敏 |
DF | 2 | 城和隼颯 |
24 | 酒井崇一 | |
MF | 5 | 川上エドオジョン智慧 |
15 | 風間宏希 | |
36 | 中塩大貴 | |
38 | 天笠泰輝 | |
FW | 7 | 川本梨誉 |
10 | 佐藤亮 | |
23 | 平松宗 | |
47 | 杉本竜士 |
ベンチ
ポジション | 背番号 | 選手名 |
GK | 42 | 石井僚 |
DF | 3 | 畑尾大翔 |
MF | 6 | 内田達也 |
FW | 9 | 北川柊斗 |
13 | 武颯 | |
14 | 白石智之 | |
17 | 山中惇希 |
群馬は中止とはなった前節から1枚を変更。
噂ではあるが前節はコンディション不良によってベンチからも外れていた風間宏希が復帰となる。
群馬はここ10試合負けが無いということもあり、予想通りにメンバーに変更は無いこととなった。
FC町田ゼルビア
スターティングメンバー
ポジション | 背番号 | 選手名 |
GK | 42 | 福井光輝 |
DF | 4 | 池田樹雷人 |
14 | チャン ミンギュ | |
22 | 翁長聖 | |
43 | 鈴木準弥 | |
MF | 9 | 沼田駿也 |
16 | 宇野禅斗 | |
27 | 平河悠 | |
33 | 松井蓮之 | |
FW | 15 | ミッチェル デューク |
25 | 藤尾翔太 |
ベンチ
ポジション | 背番号 | 選手名 |
GK | 23 | ポープ ウィリアム |
DF | 2 | 奥山政幸 |
47 | 松本大輔 | |
MF | 10 | 高橋大吾 |
39 | バスケス バイロン | |
41 | 安井拓也 | |
FW | 7 | 荒木駿太 |
町田は前節から1枚を変更。
戦列から離れていた池田樹雷人が復帰することとなる。
気になるのは前節からゴールを守ることとなった福井光輝か?
恐らくその前の清水を相手に3-2で敗戦となったことからポープ ウィリアムに代わって…となるのだろうが、初出場で山形を相手に無失点に貢献。
そのまま群馬戦でもゴールを守ることとなった。
他には平河悠と藤尾翔太のU-23日本代表コンビに、夏に加入した鈴木準弥やバスケス バイロンも気になるところ。
バスケスはベンチスタートとなるが、ベンチと言えば群馬キラーの高橋大吾も控えている。
試合経過
【0~15分】ミスからピンチを迎えるも
前半は町田のキックオフでスタート。
開始早々の0分、平河悠が早めに上げたクロスをミッチェル デュークがコントロール。
角度が無かったこともありゴール前に折り返すが、これは藤尾翔太の前で酒井崇一が頭でクリア。
しかしセカンドを回収した杉本竜士がドリブルで運ぼうとしたところ、松井蓮之の鋭い寄せに合いターンしたところで平河に奪い返されてしまう。
平河から横パスを受けた藤尾がシュートを狙うも、これはミートしなかったか…力なく櫛引政敏の正面となり、群馬としては助かったシーンに。
7分、宇野禅斗からのロングボールに藤尾翔太が抜け出そうとするが、ここは城和隼颯が上手く身体を使って対応。
戻ってきた風間宏希に繋ぐが…風間がそれをダイレクトで中塩大貴にアウトサイドで繋ごうとしたところ、パスが合わずに平河悠の足元に入ってしまう。
平河がカットインからシュートを狙うが、これは櫛引政敏がファインセーブで弾く。
こぼれ球を藤尾が詰めるが、ここには城和がしっかり身体を寄せたためか…シュートはバーを直撃して外れていく。
序盤にミスから危険なシーンを2度作られてしまうが、これがどちらも点にならなかったのは大きいだろう。
9分には群馬も1つ反撃の形を作る。
川本梨誉が上手く収めたところから一気に縦に仕掛けるが、ここはチャン ミンギュが上手く対応しシュートは打たせてもらえない。
序盤は受け身に回り様子を見るという大槻サッカーだけに、序盤は町田の時間が続くことに。
【15~30分】フィットしてきた平松
20分、川本梨誉が良いプレスをかけると池田樹雷人のパスミスを誘うことに成功。
このズレたパスを平松宗が回収し、ドリブルで前に運ぼうとするが…ここは宇野禅斗が戦術的ファールで対応。
当然これはイエローカードが提示されるが、宇野としても分かった上で止めるべきと判断してのカード覚悟のプレーだろう。
21分、このファールで得たフリーキックのリスタート。
風間宏希のロングボールを右サイドで佐藤亮が収めると、内側を上がった川上エドオジョン智慧へ。
佐藤が再びエドからリターンを受けると、左足でクロスを送ると見せかけて切り替えし縦に運んでから右足でゴール前にクロスを供給。
これを川本梨誉が頭でフリックしファーサイドを狙うも…枠は捉えられず。
佐藤は今シーズン再三素晴らしい左足からのアシストを見せているだけに、対応した沼田駿也は見事に騙されることとなった。
この後の右足でのクロスの精度も悪くなく、「佐藤は左足だけではない」と思わせられたならばかなり優位に立てるだろう。
ここまで平松宗が良い形で左サイドを降りてボールを引き出しているのが印象的。
いわゆる長倉幹樹がやっていた役割だが、ここ数試合平松がその役割を担っていたものの…なかなか苦戦していた印象も。
しかしこの試合では降りて引き出して戻すだけでなく、上手くターンして前を向いてからドリブルで運ぶ姿勢も見せられていると言えるだろう。
【30~45分】可能性を感じるセットプレー
38分、佐藤亮が下りてきてボールを受けると、川上エドオジョン智慧がその裏に飛び出してボールを引き出す。
右サイド裏のスペースに抜け出したエドがゴール前にクロスを送るが、これは平松宗の前でクリアされてしまいコーナーキックに。
中央やや後ろ側の位置に川本梨誉がフリーでいたため、そちらを選択しても面白かったかもしれない。
DAZNでは試合開始すぐから解説の坪井慶介さんが言っているが、この試合では高い位置を取ろうとするエドに対して左サイドハーフの沼田駿也が対応している。
そして佐藤亮には左サイドバックの翁長聖が対応しているため、エドが上がって沼田を下げて作ったスペースに酒井崇一が侵入。
更には佐藤が下がって翁長を引き出し、空いた裏のスペースにエドが入り込むという素晴らしい形だったと言える。
40分、右からのコーナーキックを得るとショートコーナーを選択。
これは再び逆サイドからのコーナーキックとなり、こちらサイドでもショートコーナーを選択する。
風間宏希から受けた天笠泰輝がダイレクトでファーサイドに放り込むと、城和隼颯が頭で合わせるも…これは枠を捉えられず。
下がりながらの難しいヘディングにはなったが…なんとか枠に飛ばしたいところか。
46分には町田もセットプレーからチャンスを作る。
左サイドの高い位置でスローインを獲得すると、翁長聖がニアポスト際にロングスローを投げる。
これをミッチェル デュークが中央に折り返すが、櫛引政敏が反応して左腕に当てる。
ボールは上に浮き上がりゴールに向かうが、落ち着いて自らしっかりと抑えてピンチを脱する。
町田は翁長のロングスローも脅威だが、それ以上に逆サイドの鈴木準弥のロングスローが凄い。
飛距離もあるし球種も豊富であり、このスローインは鈴木の大きな武器と言えるだろう。
【45~60分】怒涛のミドルも…
後半は群馬のキックオフでスタート。
両チームともにハーフタイムでの交代は無くリスタートとなる。
49分、右サイドで町田がコーナーキックを得ると、キッカーは鈴木準弥。
中央で藤尾翔太が合わせるもやや合わず、身体が伸び切る形となったこともあり威力はそれほどではなく櫛引政敏の正面に。
しかし風間宏希と城和隼颯のちょうど間の位置、ゾーンディフェンス対策では鉄板とも言えるDF間にピンポイントで良いキックが入ってきているのが怖いところ。
今の群馬はそう簡単に失点しなくなっているだけに、この試合のスコアが動く時はどちらに動くとしてもセットプレーになるかもしれない。
54分、自陣左サイドからのスローインに対し、川上エドオジョン智慧が内側に絞ってボールを引き出すと、そのまま左サイドにドリブルを開始。
DFが寄せてきたところで、裏のスペースに抜け出した平松宗に空間を使ったパスを送る。
パスを浮かせたこともあり平松は勢いのまま縦に抜け出せず、ターンしてカットインを選択したと思うが…戻ったチャン ミンギュに足を出されてしまう。
しかしこぼれ球が川本梨誉に入り、右足でミドルシュートを狙っていくが…池田樹雷人がシュートコースに飛び込んでブロック。
こぼれ球を佐藤亮が直接狙っていくも、福井光輝の正面となってしまう。
強烈なシュートだっただけに福井も上に弾いてからキャッチとなるが、こぼれ球に詰めていた杉本竜士が止まり切れずに福井との接触を和らげるために手で福井を押す形となりファールの判定。
福井の身体ごとゴールに押し込もうとした…と見えないこともなく「ちょっと荒れるかな?」とも思ったが、杉本がすぐに謝り福井も「止まれないよな」という感じですぐに応対。
全く荒れることなく収まって、これは非常に良かったと言える。
しかし佐藤の左足だけに…これはもう少し際どいコースを狙ってほしかったのも事実か?
強烈なシュートを枠に飛ばしただけで評価されても良いのだろうが、打ったのが佐藤という選手だと思うと…やはりハードルは高くなりここは決めたいところだろう。
【60~75分】同じタイミングで動く両チーム
後半に入ってからより目立つようになったが、どうにも平松宗と杉本竜士の連携が合っていない印象。
どちらが悪いということもないのだろうが、平松のパスが杉本がもらいたいところからズレているのか?平松からすればいてほしいところに杉本がいないのか?
とにかく連携が取れておらず、今日の平松は良い感じで長倉幹樹の役割を果たしているだけにその後のパスのズレが目立つと言える。
69分、飲水タイム明けに両チームが動く。
町田は沼田駿也に代えてバスケス バイロン、宇野禅斗に代えて安井拓也を投入。
群馬は天笠泰輝に代えて内田達也、杉本竜士に代えて山中惇希を投入する。
これで入れ違いとなったことで、天笠とバスケスの青森山田同級生対決は見れないことに…。
72分、中塩大貴からのロングボールに山中惇希が抜け出し、鈴木準弥との1対1を仕掛けるが…これは山中のファールの判定となり町田ボールに。
この時に頭と頭が当たったようで、山中の額が切れて出血となったため治療のためにピッチを離れ一時10人となるも…山中は止血して無事にピッチに復帰する。
【75~90分】決定機もゴールは遠く
79分、右サイド裏のスペースに藤尾翔太が抜け出してボールをキープ。
フォローに入ったバスケス バイロンに広げ、更に鈴木準弥に下げるとゴール前にクロス…だと思うが、これが直接ゴールに向かう。
櫛引政敏がなんとか右手一本でコーナーに逃げるが、触らなければバー直撃で外れてくれたか…もしかしたらバーを叩きながら枠に吸い込まれたかもしれないボールだった。
81分には再び両チームが同じタイミングで動き、群馬は平松宗に代えて白石智之、佐藤亮に代えて北川柊斗を投入。
町田はミッチェル デュークに代えて高橋大吾、平河悠に代えて荒木駿太を投入する。
87分、山中惇希がバスケス バイロンを相手に仕掛けたところで交錯し両者転倒。
これは山中のファールの判定となり、群馬ベンチがヒートアップ。
結果的に渡邉英豊GKコーチにイエローカードが出されることに。
このタイミングで少し前から準備していたもののセットプレーもあり交代を待っていた畑尾大翔が投入される。
川本梨誉に代わり投入され、ポジションがどうなるのか気になるところ。
とりあえずは、距離はあるもののセットプレーでの再開ということで最終ラインの中央寄りに入ったようである。
88分、このセットプレーで大きく放り込まれたボールを畑尾大翔が跳ね返すと、こぼれ球を最前線に残っていた白石智之が回収。
ドリブルで運びながらキープするが…なんと畑尾が猛ダッシュで最前線に上がっていく。
白石は右サイドに逃げながらボールを運びキープすると、後方からフォローに入った川上エドオジョン智慧へ戻す。
エドが更に内田達也に下げると、内田がこれをダイレクトで縦に通す。
ここに畑尾が抜け出すと、鈴木準弥に対応されながらも勝負を選びシュートまで持ち込むも枠の上に。
しかし今シーズンの内田は時折このような切れ味抜群の縦パスを見せるだけに…これを増やしていけたら相当怖い選手になれると思うのだが…。
またセットプレーからのチャンスと判断して最前線に駆け上がったのかと思った畑尾だったが、どうやらそのまま川本梨誉のポジションに入るようである。
FW畑尾の誕生であり畑尾大作戦であるが…気になるのはベンチに武颯という生粋のFWがいるということ。
94分、櫛引政敏からのロングボールを左サイド奥のスペースで山中惇希が収める。
一度後方の中塩大貴に下げると中央の内田達也へ。
内田がこれをダイレクトで白石智之に送ると、白石が勝負を仕掛け抜き切らないうちに左足で中央に送り込む。
ピンポイントで風間宏希がいたが、DFも対応しておりダイレクトでは打てず…トラップから右に持ち出してシュートを狙うもブロック。
こぼれ球が畑尾大翔に転がると、シュートフェイントで池田樹雷人を滑らせシュートを狙うも…セカンドディフェンダーの荒木駿太の出した足が目に入ったか…シュートは枠を外れてしまう。
ここでタイムアップとなり、最後の最後にビッグチャンスを迎えた群馬だったが…取り切れずにドローとなった。
ちなみにこのプレーに対して町田は畑尾のオフサイドをアピールしているが、白石に対応したチャン ミンギュが最終ラインのため…恐らくオンサイドと思われる。
また、畑尾のシュートが外れたことでそちらに意識が向き忘れがちだが…ここでもダイレクトで決定的な縦パスを付けた内田を個人的には評価したいところ。
ピックアップポイント
畑尾大作戦
今回は最後の交代となった畑尾大翔の起用法について考えたい。
畑尾が投入されたことで、自分の中で最初に浮かんだのが畑尾をアンカーにしたトリプルボランチ。
最近試合終盤で多用している3ボランチであり、5-3-2となるケースと6-3-1となるケースがあるが、今回は白石智之を1枚残した6-3-1と予想した。
(サイドハーフの位置で、6-3-1と言うべきか4-5-1と言うべきか…ではある)
時間は既に87分であり、ホームではあるものの…首位の町田を相手にしていることを考えると勝ち点1は悪くない。
違う言い方をすれば勝ち点1は必須とも言え、引き分け狙いであわよくばセットプレーで1点取って勝ち点3…という交代策だと思ったのだが。
フタを開けて見ると畑尾大翔は最前線に投入されることとなった。
ではなぜ生粋のFWでありストライカーの武颯を起用しなかったのか?
ここが自分にとっては謎であり、現時点で明確な答えが出ていない。
考えられるのは町田のセットプレー対策として畑尾大翔の守備力を活かしたかった…というもの。
また先ほど書いたように群馬のセットプレー時にも畑尾は得点を狙える可能性が高い。
守備陣は集中して守れているため、下手に形や人を変えてバランスを崩すことを嫌い最前線に入れた…と言うのが個人的な予測ではある。
しかしながら武であってもセットプレー時のストーンとしての役割は期待でき、攻撃時のセットプレーでも畑尾ほどではないにしろ得点は期待できる気がするのである。
金沢戦までのようにベンチのFWが高木彰人であれば、最後は高さを活かしたいので…というのは理解出来るが…。
また…これは「たられば」でしかないが、武であれば最後の2つのチャンスのどちらかは決めたのではないかという想いもある。
どちらも見た目ほど簡単ではなく本職がCBの畑尾に「決めきれ」と言うのは厳しいが、FWの武であればどちらかは決めなくてはいけないシーンとも言える。
とは言え投入直後にフリーキックを跳ね返したのも畑尾であるため、たらればを語るのであれば…武が投入されていたら競り負けて失点していた…可能性ももちろんあるだろう。
どちらが正解だったのかは答えが出るものでは無いが、武を使わずに畑尾を使った理由を是非とも大槻監督には聞いてみたい。
MOM
この試合のMOMは櫛引政敏としたい。
ここしばらく本当にMOMの選出が難しい。
と言うのも全選手がきっちりと自分のやるべき事をこなしており、結果もしっかりと付いてきているのである。
飛び抜けて良かった…という選手がおらず、全選手が高い水準で良いプレーを見せてくれている。
とは言え今節で1人選ぶならば、個人的には櫛引政敏としたい。
いつも通りの素晴らしいセービングはもちろん、今節は後方からのロングキックでも少なくとも2つは大きなチャンスを作り出した。
キックは不安定であり、特に左足の精度は高いとは言えずピンチを招いたりタッチラインを割ったりするシーンがあることは事実。
しかし今の群馬のスタイルではキーパーもキックの精度が求められており、少しずつではあるが良いキックを見せているように思う。
繰り返すが守備面では全く言うことは無いレベルであり、J2でも屈指のゴールキーパーだろう。
畑尾大翔は決めきっていればヒーローであり、内田達也は試合展開でも触れたように素晴らしい縦パス2本を筆頭に機能した。
山中惇希も杉本竜士とは違った形で左サイドを仕掛けた。
交代選手がしっかりと役割を果たしているというのも、今の群馬の好調な理由の1つと言えるだろう。
繰り返すが全選手が次第点以上のプレーを見せており、名前が挙がらなかった選手もしっかりと戦えていることは強調したい。
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