※ザスパクサツ群馬ファンによる、ザスパクサツ群馬贔屓のマッチレビューです。
前節はJ1からの降格組という強豪かつ、過去1度も勝ったことのないという相性の悪い仙台。
両チームともに見せ場を作りつつも、お互いに決定力不足とスコアレスドローの展開でした。
しかしながら勝てた試合とも言え、今後に向けて非常に期待の持てる内容だったと言えるでしょう。
この試合で負傷退場した細貝萌は、足首の脱臼骨折で6ヶ月の離脱が発表。
守備の要であり精神的支柱でもある主将が抜けた影響も気になる今節です。
Contents
スタメン・フォーメーション
ザスパクサツ群馬
スターティングメンバー
ポジション | 背番号 | 選手名 |
GK | 21 | 櫛引政敏 |
DF | 2 | 城和隼颯 |
3 | 畑尾大翔 | |
24 | 光永祐也 | |
25 | 小島雅也 | |
MF | 7 | 加藤潤也 |
8 | 岩上祐三 | |
15 | 風間宏希 | |
FW | 10 | 田中稔也 |
11 | 深堀隼平 | |
30 | 山根永遠 |
ベンチ
ポジション | 背番号 | 選手名 |
GK | 1 | 清水慶記 |
DF | 4 | 川上優樹 |
32 | 渡辺広大 | |
MF | 17 | 山中惇希 |
38 | 天笠泰輝 | |
FW | 23 | 平松宗 |
39 | 高木彰人 |
群馬のスタメンは前節の細貝萌が後退してからのメンバーと同じ形に。
細貝のいたボランチに風間宏希が入り、右サイドに田中稔也が入る。
対してベンチは大きく変更があり前節に続いて天笠泰輝が、そして初ベンチとなる山中惇希が入った。
また北川柊斗に代えて高木彰人が今シーズン初のベンチ入りとなった。
やはり守備は安定しているだけに、得点が取れていない前線は色々と試したい…という監督の意図があるだろう。
東京ヴェルディ
スターティングメンバー
ポジション | 背番号 | 選手名 |
GK | 31 | 高木和徹 |
DF | 15 | 馬場晴也 |
16 | 山越康平 | |
23 | 谷口栄斗 | |
MF | 2 | 深澤大輝 |
4 | 梶川諒太 | |
6 | 山本理仁 | |
14 | 石浦大雅 | |
FW | 10 | 新井瑞希 |
19 | 小池純輝 | |
27 | 佐藤凌我 |
ベンチ
ポジション | 背番号 | 選手名 |
GK | 21 | 長沢祐弥 |
DF | 26 | 加藤蓮 |
9 | 杉本竜士 | |
17 | 加藤弘堅 | |
MF | 18 | バスケス バイロン |
20 | 阿野真拓 | |
FW | 29 | 河村慶人 |
対する東京ヴェルディは前節から1枚代えとなり、杉本竜士に代わって元ザスパの小池純輝が入る。
小池と言うと…なんでこんなに得点力のある選手になってしまったのか…。
年齢を重ねてどんどんと伸びていっている印象が強い。
また元群馬と言えば、ベンチに加藤弘堅が入る。
ポジションが流動的で、人もボールも良く動くチームという印象があるのが東京ヴェルディというチーム。
そしてJ2ながら非常に技術の高い選手で固められているというのが印象的。
対して技術があるがゆえか、あまり走らないと言うか…攻守の切り替えがあまり良くないイメージだったが…今シーズンは違う。
元々の技術力にプラスして走れるチームになったのではないだろうか。
試合経過
早いリスタートから先制もゴール取り消しに
前半は群馬のキックオフでスタート。
正田醤油スタジアムには珍しく、非常に穏やかで風のない試合となった。
フォーメーション図ではヴェルディを4-1-2-3としたが、これは攻撃時の状態。
もっと言うと両サイドバックも上がり、前線は5枚に近い形となる。
サイドバックが上がってこれない時には、両セントラルハーフが上がりこちらも5枚に近い形に。
対して守備の1トップの佐藤凌我とセントラルの石浦大雅が並び、4-4-2のような形になっていることが多い印象。
開始早々の4分、最後尾の畑尾大翔から裏に抜け出した田中稔也にロングフィードが入る。
これは通らなかったが、珍しい形でありこういったプレーも増やしていきたいところ。
畑尾は良いキックを持っているし、深堀隼平だけでなく今回の稔也のように他の選手が裏を狙うシーンは増やしたい。
11分、左サイドで得たコーナーキックを岩上祐三が早いスタートで山根永遠に。
山根がクロスを中に送るも、これはゴールキーパーに跳ね返されるが…これを風間宏希が回収。
風間は再び左サイドに長いボールを送り、畑尾が競り合ったこぼれ球が山根に当たり、そのこぼれ球を深堀がシュート。
これはブロックされるが、ボールは再び山根の足元に入り、中央にクロスを送る。
これを田中稔也がトラップからシュートでゴールネットを揺らし、1度はどうやらゴールを認められたもよう。
しかしその後ハンドの判定に覆りノーゴールとなる。
映像を見る限りハンドが濃厚だったが、1度ゴールが認められたにもかかわらず判定が変わるという珍しいシーン。
これは後ほど改めて取り上げる。
今日も良い裏抜けを見せる深堀
15分、ヴェルディのビルドアップを加藤潤也と深堀隼平のプレスで潰し、深堀がボール奪取。
KJがそのままペナルティエリアすぐ外まで運び、自らシュートを打つがディフェンスのブロックにあってしまう。
この試合も2トップの素晴らしい守備が効いており、それが良い形で出たシーンであるが…逆サイド、右サイドに田中稔也がフリーで入ってきていたのが見えていれば…。
KJが一度切り返したシーンで稔也に出すタイミングはあったと思うが、残念ながらここは使えなかった形に。
21分には梶川諒太の縦パスを田中稔也が引っかけ、それを回収した深堀隼平がドリブルで一気に運ぶ。
一度中央の風間宏希を使い、風間は逆サイドの山根永遠に展開。
山根がゴール前にアーリークロスを送り、深堀がそこに飛び込むもわずかに合わず。
深堀の得意な形であり、少しでもタイミングが違えば触ってゴール…というシーンだった。
深堀はここまでの4試合、徹底してこういったシーンを作れており…なんとか1ゴール取らせてあげたいところ。
決定機を外して決定力不足の声も出ているだけに、このままゴールが遠いと本人の自信も失われてしまう恐れがある。
24分には群馬の右サイド、新井瑞希と梶川諒太のワンツーで新井が縦に抜け出しクロスを供給。
これを佐藤凌我に頭で合わせられてしまうが、これは枠の外に。
新井と言えばJ3時代に富山で対戦したことがあるが、その時も良いドリブルを持った選手だなと思った。
しかし今は上手いだけでなくゴールに繋がる怖さを持った選手に成長したように思う。
この試合も彼を自由にやらせないのがポイントになりそうか。
お互いに持ち味を出し合う好ゲーム
34分、ヴェルディの最後尾、谷口栄斗から大きく右サイドの山越康平にボールが展開される。
山越が切り返しから左足でゴール前にクロスを送り、佐藤凌我が飛び込むもわずかに合わずに助かる形に。
ヴェルディはポジションが流動的かつ、前線が5枚に近い形を作り対応が難しい部分はあるだろう。
この試合でも基本的には山根永遠が守備時には下がり、4バックと合わせて5対5で対応しているように見える。
40分にはヴェルディのビルドアップ、深澤大輝から縦の梶川諒太に縦パスが入る。
これを中央の山本理仁に通されシュートまで持ち込まれるが、城和隼颯がわずかに触ったか枠の外に。
ポッカリと山本がフリーになってしまっていたが、ヴェルディは本当に流動的で捕まえるのが難しそうな印象。
ここもCBが出るのか、ボランチが下がって見るのか、しっかりと意思統一をしないと危険なところになりそうである。
ちなみにこの前半を通して思ったが、風間宏希が実に伸び伸びとプレーしている印象がある。
前節の時にも書いたが、やはり適性は中央でありボランチやトップ下が本職になるだろう。
細貝萌の負傷離脱…それも今シーズン中の復帰が厳しそうというだけに、風間の存在は本当に大きい。
しかしそこに続くバックアッパーが育ってこないと、長いシーズンは苦しくなると予想されるので…天笠泰輝や奥村晃司に期待となるだろう。
櫛引の存在感
後半はヴェルディのキックオフでスタート。
両チームともに交代は無しとなった。
ところで見出しの櫛引政敏の存在感だが、この試合も非常に大きなものがある。
見せ場となるようなスーパーセーブは今節ここまで無いが、非常に高い位置を取りつつも安定しているのがポイント。
足元が特別上手いという印象は無かったと以前書いたが、これは正直今でもそう思っている。
しかし特別難しいことをやろうとせず、自分のできる事を自信を持ってやっていると言うのだろうか?非常に落ち着いて足元の対応をしている印象がある。
バックパスやペナルティエリアの外など、手が使えないところでも落ち着いて安定してプレーしている。
このように守備範囲が広いとDFラインも上げやすいし、組み立てで困った時に戻しやすいし、非常にチームとしてはありがたい存在だろう。
ビルドアップと言えばここまでで山根永遠で引っ掛かるシーンが気になる。
前々節だったか、簡単にボランチに当てたボールを狙われて奪われたシーンがあったが…山根のパスが合わないシーンが多い印象。
サイドハーフだけに出しどころが後ろの光永か、中のボランチか、もしくは裏に抜けるFWかと…出しどころが限られるので出し手だけの問題では無いのだろうが…。
57分、谷口栄斗から一気に群馬左サイド裏を狙うロングフィードが入る。
これは山根永遠が頭で対応し、内側にいる光永祐也に。
光永が再び頭で山根に戻すが…これがズレてしまい失いかけるも岩上祐三がフォロー。
しかし岩上の縦パスも読まれており、カットした梶川諒太から中央の山本理仁に。
山本はそのままミドルを打つが、これは櫛引政敏がしっかりと抑える。
山根と光永の連携ミスという形になったが、ここは開幕から課題点の1つだろう。
またバイタルの危険なエリアにもかかわらず、山本に誰も当たれなかったのも気になるところ。
同57分にはヴェルディが先に動き、山越康平に代えて加藤蓮を投入。
山越のいた右に深澤大輝が移り、加藤蓮は左に入ったもよう。
58分には深堀隼平が良いプレスをかけ谷口栄斗のパスミスを誘発。
意図した位置とズレた形になった馬場晴也は伸ばした足で触れるのが精いっぱいの形になり、これを加藤潤也が回収。
右に上がってきた深堀にダイレクトで通し、深堀がワントラップからシュートを狙うも高木和徹がスーパーセーブを見せる。
後ろからくるDFを確認する余裕までは良かったものの、トラップが少し長くなり過ぎて一気に高木和に距離を詰められてしまったことが敗因か。
深堀は本当にゴールが遠い…。
最後のシュート以外は本当に素晴らしいプレーを見せているだけに、なんとか早いタイミングで得点がほしいところだろう。
良い攻撃は見せるも遠いゴール
62分には東京ヴェルディに奪われたところを奪い返し、加藤潤也が左サイドの裏に抜け出した山根永遠へ。
山根が少し溜めて中央に送り、これを風間宏希がDF2枚を引き連れ後ろの岩上祐三へ。
岩上がワントラップからシュートを放つも、これは高木和徹が良いセーブでコーナーに。
ポストギリギリの良いシュートだっただけに相手GKを褒めるべきだろう。
63分このコーナーキックは跳ね返され、こぼれ球を奪われるがセンターサークル付近で再度奪い返すことに成功。
攻撃に転じたことで高い位置を取っていたGKの位置を確認した岩上祐三が、なんとセンターサークルからロングシュート。
残念ながら枠を外れてしまったが、こういったチャレンジはどんどん行っていくべきだろう。
ボールを奪った直後によくキーパーの位置を確認していたのが素晴らしい。
69分、群馬も最初の交代を使い深堀隼平に代えて平松宗を投入。
この交代はパターンとなったが、ここまでの3試合平松が効いているかというと疑問が残る。
今度こそ平松らしい働きを見せてほしいところ。
73分には両チームともに動き、なんと1度に5人の選手が交代ということに。
まずは群馬が山根永遠に代えて天笠泰輝、加藤潤也に代えて高木彰人を投入。
東京ヴェルディは小池純輝に代えてバスケス バイロン、佐藤凌我に代えて杉本竜士、石浦大雅に代えて阿野真拓を投入。
今シーズンも1試合5人までの交代が継続となったことで、ここから大きく試合が動くことになった。
3度ネットを揺らすもノーゴール
76分、群馬左サイドで良い縦パスを2本続けて通され、一気に左サイドを突破される。
抜け出した新井瑞希には小島雅也が対応するが、中央フリーの加藤蓮に折り返されてしまう。
加藤はワントラップからシュートを打つが、これは櫛引政敏がセーブしこぼれ球は小島がタッチラインに逃れる。
左サイドバックの加藤がインナーラップでここまで中に入り込んできたことが全てだが…そのためこれはなかなか捉えるのは難しいだろう。
ワントラップしてくれたので櫛引も時間ができたが、これをダイレクトで打たれていたら危なかったのではないだろうか?
77分、中央に受けに下りてきていた高木彰人から左サイド、裏を狙う天笠泰輝に良いスルーパスが入る。
天笠からダイレクトで中の平松宗に送り、これをダイレクトで冷静にゴールに流し込むもオフサイド。
これは…平松の動き方が…我慢できなかったんだろうなぁという感じ。
昨シーズンこういったシーンでの貰い方が上手かったのが大前元紀だが、オフサイドにならないように前に走らずに横に走るのがポイント。
しかし天笠のパスは良かったし、オフサイドではあったものの冷静に流し込んだ平松のシュートも良かった。
もう少し歯車が噛み合ってくれば…という期待感のある攻撃ではあった。
しかし79分、群馬左サイドにボールが回り、深澤大輝からバスケス バイロンに。
バスケスから裏に抜け出た山本理仁にボールが入り、山本が一気にドリブルでゴール前に。
天笠泰輝が必死に追うも間に合わず、畑尾大翔もフォローに入るが、そのまま畑尾と櫛引政敏の2人の股を抜く速いグラウンダーのシュートで失点。
このシーンは…中に折り返される可能性もあったので畑尾の対応はああなるだろう。
問題はその前の光永祐也と天笠の連携不良。
バスケスにボールが入った際になぜ光永が当たったのか?そして光永が当たるならば、なぜ天笠は裏のフォローに入らなかったのか?
結果として左サイドバックと左サイドハーフが横に並んでしまったことで、後ろのスペースががら空きになる…という形になった。
その先は山本の判断を褒めるべきで、良いコース取りとスピードで少ないながらもシュートが打てる角度を作ったことが勝因となった。
82分に群馬が最後の交代を使い、田中稔也に代えて川上優樹を、光永祐也に代えて山中惇希を投入。
山中が田中のいた右サイドハーフに入り、小島が左に移り川上が右に入る。
85分には城和隼颯からの縦パスを山中が良い貰い方で、ワンタッチで前を向くことでファールをもらう。
ファールで潰されたが…このボールの受け方には才能を感じるな…。
そしてこのフリーキックを風間宏希がゴール前に送り、川上が頭で合わせゴールネットを揺らすが…これもオフサイドの判定。
これも真横のアングルではないのでオフサイドかどうかはわからないが、残っていたとすると中央の馬場晴也か。
川上としてはマークのバスケスを完全に振り切りフリーを作り出しており、ヴェルディとしても狙って取ったオフサイドではなく偶然の産物と言えるだろう。
本当に惜しいシーンだった。
87分、ヴェルディは最後の交代を使い新井瑞希に代えて河村慶人を投入。
92分には岩上祐三が上げたクロスにキーパーが飛び出し…高木彰人と加藤蓮ともつれる形で接触。
高木のファールを取り、高木にイエローカードが提示される。
が、これは果たして高木にカードが出るようなプレーだっただろうか?
確かにキーパーの落ち方は危険であり、怪我がなくて本当に良かったが…接触自体は高木とではなく加藤蓮とである。
高木としても後ろからくるクロスボールを見ながらの対応であり、加藤蓮がいたこともあり高木からはキーパーの動きは見えていなかったようにも思う。
キーパーチャージというルールは随分と昔に無くなったが、ボールをキャッチに行くキーパーは手で守れないこともあり…完全にフィールドプレーヤーと同じとは言い難いのでファールは良いだろう。
しかし以前にJリーグジャッジリプレイでは「(キャッチするまでは)フィールドプレーヤーと同じ扱い」と上川徹さんが言っていたが…これは後ろからCBが飛び込んで頭でクリアしようとしていたら笛はなっただろうか?
自分としては手を使えるというプレーの違い上、キーパーチャージはなくとも「キーパーへのファール」は安全上フィールドプレーヤー同士の競り合いよりも厳しめで良いと思うので…ファールに異論は無いが…。
何にせよ高木和徹に怪我がなくて本当に良かった。
これもありアディショナルタイムは伸び5分となったが、90分を通して3度もネットを揺らしつつもノーゴールとなり…今季初の黒星となった。
ピックアップポイント
11分 稔也のゴールが取り消しとなったのは正しかったのか?
やはりこの試合で避けて通れない話題は、11分の左サイドのコーナーキックから田中稔也が1度ゴールネットを揺らしたシーンだろう。
1度ゴールは認められたものの、その後判定が覆りノーゴールとなったシーンである。
まずはハンドがあったのかどうか?
ハンドは見る人によって、そして見る角度によって意見が分かれると思うが…恐らく今回はそれほど議論にはならないだろう。
まずハンドとして扱われる「手」というのは「脇の下の最も奥の位置までのところ」と定義されているため、あくまでも映像からの判断ではあるが稔也のは腕であろう。
腕だと仮定した場合、「偶発的にであっても、ボールが手や腕に触れた直後に得点をする」という条文に当てはまるためハンドとなる。
例え意図的でなくても、偶発的にであっても、不自然に手を大きく広げたわけでなくても、直後に得点をしたとなるとハンドということになる。
どこまでが直後なのか…という議論はあるが、今回のケースでは稔也が(腕で)トラップしたあとにシュートを打っているので、これは「直後」と捉える人が大半だと思う。
ということで、個人的にはこの稔也のハンド自体は全くもって問題だと思っておらず、映像を見る限りでは自分もハンドだと判断している。
さて、稔也のトラップがハンドだと仮定した上で続きを見ていきたいと思う。
まずはネットを揺らしたあと、DAZNでは主審がゴールを認める笛を吹いたのかはわからない。
しかしその後の反応を見る限り、主審はゴールを1度認めた可能性が高そうである。
ちなみにゴール後に主審は副審の方を見ており、その時に左手が右胸にあるのがポイント。
偶然の可能性もあるが、恐らく会場のハンドという声に対して「自分からは胸でトラップしたように見えた」という意思を副審に伝えていると思われる。
対して副審は…ほぼDAZNでは映っていないのだが、一瞬映った映像を見る限りその場で立ち止まっていた。
ゴールを認める場合は、内側の手(あの場合右手)でフラッグを下向きに持ちセンターラインに向かって走る…ということになるが、それをせずに止まっている。
しかし明らかにファールを表すためにフラッグを上げてはおらず、恐らく「判断に迷うシーンがある」という主審への意思表示である。(一度ハンドでフラッグを上げて、その後下ろしている可能性もあるが)
このケースでは「自分には手に当たったように見えたが…」という事だったのだろう。
その後、主審は副審の所に行き協議を開始。
お互いの持っている情報を話し合い、結果としてトラップが腕であったと判断してゴールを取り消した…というのが流れだと思う。
ちなみに主審が自身の間違いに気付いた場合、次のプレーが始まる前(この場合はキックオフ)であれば判定を変えることが可能。
つまり、ここまでの流れだけを見れば…今回のケースは全く問題なくルールに乗っ取ったものと言える。
ただ気になるのは、マイクが拾っている「無いよVARは」と言う声と「映像無いよ」という声。
DAZNでは会場のオーロラビジョンでいつリプレイが流れたのかはわからないが、仮にこのリプレイを見て主審が判断を変えたのであれば大問題となる。
主審のジャッジは自身の目で見たもののみで行われ、唯一ジャッジの判断に採用が可能なのは副審と第4審からのアドバイスのみ。
(VARが採用される試合は、VARからのアドバイスとVARの映像も)
ということで、会場のリプレイ映像やその場の空気感(ハンドという声など)を判定の根拠に採用してはならないわけである。
これはVARが採用されている試合だとしても、見て参考にして良いのはVARからの映像だけであり会場のリプレイ映像は参考にしてはならないのは変わらない。
DAZNで主審と副審が協議しているシーンが映っているが、この時にはオーロラビジョンに背を向けるように立ち話し合いをしている。
つまりは会場のリプレイを見ない、もしくは「見ていないよ」という配慮が感じられる。
しかし会場のリプレイがいつ流れたのか?また、審判団はそのリプレイを見たのか?というのは映像からはわからない。
(現地からならわかったシーンかもしれない)
まとめると
- ハンドの反則はあった可能性が高い
- 主審は1度ゴールを認めた可能性が高い
その上で
- 副審がハンドの疑いを持っており、主審にアドバイスしたのなら問題無し
- 会場のリプレイが判断材料となったのならルール違反
ということになる。
あくまでもDAZNに映る映像のみでの判断だが、自分としては下記の3点から問題無く、ルール通りの運用だったと思う。
- 副審がゴールを認めるジェスチャーをせず、その場で立ち止まっていた
- 映像を見たのかはわからないが、背を向けて配慮している
- 次のプレーが再開されていないので、誤審を認めてロールバックが可能
J2にもVARが採用されていれば、何の問題にもならず両チームともにスッキリとしたシーンだろう。
主審を呼んで映像を見せ、VAR採用のジェスチャーからハンドでのリスタートにすれば良いだけであり、誰もが納得できる終わり方になる。
予算や人員の問題はあると思うが、是非とも早いことJ2にもVARを採用してほしい。
今回はVARじゃないと解決できないが、せめてゴールライン・テクノロジーだけでも早く採用してほしいものである。
※以下追記
Twitterにてこのハンドのシーンで審判団の動きが見える映像を見つけた。
要点をまとめると
- 主審はゴールを認めている(ヴェルディの選手に囲まれて抗議される)
- 副審はフラッグを右手に持ち変えセンターラインに向かって少し走る
- 少し走るが通常とは違う雰囲気はある(恐らくハンドの疑惑を持っている)
- インカムでやり取り?主審が副審に近づき協議を始める
- リプレイ映像が流れるが、審判団は一切映像を見ていない
- ヴェルディの選手が映像を見ろと抗議するが、審判は映像を見ない
- 選手とスタッフを遠ざけるジェスチャーを行い協議を続ける
- 協議の結果判定が覆る
うーん、副審が疑惑を持っていたのならセンターラインに向かって走ってはダメ。
ここが全てになる。
仮に副審は絶対の自信を持ってハンドだと思っていたとしても、これではヴェルディの抗議で誤審に気付いて判定を変えたように見えてしまう。
審判はルールに則って映像は一切見ていないが、ヴェルディの選手とスタッフの態度でどういう状況かはわかるだろう。
個人的には明らかなハンドだと思うので、誤審を認めてノーゴールで構わないが…ヴェルディの抗議によって判定が変わったように見えてしまう事だけが残念である。
ゴールのあと、副審が一切動かずにいたなら…ナイスジャッジと言えたのだが…。
最後に、確かJリーグの規約では試合動画のインターネット公開は禁止されているはずである。
観ておいてこういうことを言うのはダブルスタンダードだとは思うが…試合中に写真や動画を撮影されている方はガイドラインをチェックしてみてほしい。
MOM
この試合のMOMは…高木彰人としたい。
異論は認めるが、負け試合かつ突出して良かった選手というのはいなかったと思う。
今日も最前線から良いプレスでチームを助けたFWの2人、幻とはなったがゴールを奪った田中、更には攻守に貢献した山根。
中央の2人は今日も攻守で存在感を見せていたし、1失点したものの守備陣は今日も固い鉄壁の守備を見せていた。
そういった意味では物凄く目立った選手はいなかったが、全ての選手がしっかりと戦った試合だったと思う。
ということで、ちょっと目先を変えて途中から投入され、今期初のプレーとなった高木彰人に注目したい。
ここまで4試合、守備面でもカウンター面でも良い動きを見せているのが深堀隼平。
そして途中出場で深堀と入れ替えるのが、ここまでは平松宗となっている。
しかし平松は深堀とはタイプが違い、どちらかと言えばボールを収めるターゲットマン。
対して高木は深堀に近いタイプの選手と言えるだろう。
アディショナルタイム含めて20分程度のプレーとなったが、非常に良い動きを見せてくれたのではないだろうか?
そして途中から入ってきた選手で最も「自分がなんとかしてやる」という気持ちが伝わった選手。
大槻監督にも良いアピールができたのではないだろうか?
今日の高木のプレーを見て、FWのポジション争いが良い意味で激化して得点不足を解消してくれることに期待したい。
コメント
コメントはありません。