※ザスパ群馬ファンによる、ザスパ群馬贔屓のマッチレビューです。
ザスパのJリーグ杯はこの1stラウンド1回戦から。
相手はいきなりJ2時代にも大いに苦しめられた長崎となりました。
水曜開催ということもあり、両チームともにある程度メンバーを入れ替えて臨むことが予想されますが…それだけに普段出番の無い選手に取ってはチャンスとなるでしょう。
チームとしては「結果が大事」と言うでしょうが、個人的にはリーグ戦に全振りでカップ戦は早期敗退でも良いかと思っています。
早期敗退ながらも新戦力が持ち味を見せ、リーグ戦に絡んでくるような内容を期待したいところです。
今回はそんなV・ファーレン長崎戦をレビューします。
Contents
スタメン・フォーメーション
ザスパ群馬
スターティングメンバー
ポジション | 背番号 | 選手名 |
GK | 21 | キム ジェヒ |
DF | 3 | 大畑隆也 |
4 | 船橋勇真 | |
14 | 菊地健太 | |
43 | 野瀬翔也 | |
MF | 20 | 下川太陽 |
23 | 小野関虎之介 | |
35 | 玉城大志 | |
FW | 17 | 山中惇希 |
18 | 田中翔太 | |
38 | 小西宏登 |
ベンチ
ポジション | 背番号 | 選手名 |
GK | 13 | 近藤壱成 |
DF | 22 | 高橋勇利也 |
25 | 中野力瑠 | |
MF | 27 | 藤村怜 |
36 | 安達秀都 | |
45 | 小山結友 | |
FW | 2 | 田頭亮太 |
9 | 青木翔大 | |
11 | 加々美登生 |
群馬は直近のリーグ戦からスタメン11枚全てを入れ替え。
そのスタメンもキム ジェヒ、菊地健太、野瀬翔也、小野関虎野介、玉城大志と、ここまであまりリーグ戦で絡めていなかった選手も起用となった。
ベンチを見ても、中野力瑠や小山結友などが入り、この試合をきっかけにポジション争いに参加して競争を激化させてほしいところ。
ベンチと言えば前節ベンチ外になっていた藤村怜が復帰しており、どうやら怪我などでの離脱ではなかった様子。
(前節はコンディション不良などで外れたか?)
また瀬畠義成は長崎からの育成型のため、契約の関係で出場することができない。
さてメンバー表を見て最初に思ったのが「米原秀亮の役割ができる選手がいない」ということ。
守備時にはCBに入り、攻撃時にはアンカーに入る形を取っているが…スタメン組にこの仕事ができそうなタイプが見当たらないのである。
となると…開幕時のシステムである4-3-3を採用するだろうか?
これならばDF登録の4枚をそのまま4バックとし、玉城大志をアンカーに下川太陽と小野関虎之介を配置。
両WGに小西宏登と山中惇希で、最前線に田中翔太というのが成り立つ。
この時のシステムは攻撃時にSBがボランチの役割となるため、インサイドハーフに入る(下川と小野関)は攻撃時には実質シャドーの役割。
今日のメンバーを見るとこれが濃厚だろうか?
…などと考えていたが、キックオフ直後にこの予想は外れたことに気付くのである。
V・ファーレン長崎
スターティングメンバー
ポジション | 背番号 | 選手名 |
GK | 31 | 原田岳 |
DF | 23 | 米田隼也 |
29 | 新井一耀 | |
35 | 齋藤遼太 | |
48 | 照山颯人 | |
MF | 14 | 名倉巧 |
19 | 澤田崇 | |
34 | 松本天夢 | |
FW | 16 | エメルソン |
18 | 山崎凌吾 | |
36 | 青木俊輔 |
ベンチ
ポジション | 背番号 | 選手名 |
GK | 1 | 富澤雅也 |
DF | 41 | 田所莉旺 |
43 | 名越一樹 | |
MF | 7 | マルコス ギリェルメ |
8 | 増山朝陽 | |
22 | 西村蓮音 | |
24 | 山田陸 | |
FW | 28 | 七牟禮蒼杜 |
32 | ジョップ セリンサリウ |
対する長崎も直近のリーグ戦から11枚全てを入れ替え。
入れ替えとなっても見知った顔と名前も多く、層の厚さを感じさせるところ。
予想外だったのがリーグ戦でもまだ1試合しか出場がないフアンマ デルガドがいないこと。
群馬にとってはラッキーとも言えるが、この辺りはなんとも謎である。
個人的に注目したいのは、ベンチスタートとなっているジョップ セリンサリウ。
昨シーズンの長崎戦では、フアンマに代わっての途中投入から良い動きを見せていた。
記録上は安部大晴のゴールとなったが、セットプレーからほぼジョップのゴールと言ってもいいやられ方をしたのも記憶に新しいところである。
試合経過
【0~15分】風上を選んだ群馬
前半は長崎のキックオフでスタート。
どうやらコイントスは群馬が勝ったようだが、エンドを選択し前半の風上を選択した様子である。
さて気になる並びだが…メンバー発表の際に自分が予想したのとは異なり、前節までと同様に3バックを採用している様子。
米原秀亮の役割を担うのは船橋勇真のようだが、船橋は攻撃時にはアンカーではなく、その左側のインサイドハーフに入っている。
そのため、この試合では攻撃時のアンカー位置には玉城大志が入る。
守備の仕方を見ると前節までの3-4-3(5-4-1)とはやや異なり、最前線は2枚とし中盤を3枚に増やした3-5-2の形。
なるほど、これは長崎が4バックであり、ダブルボランチ+トップ下の名倉巧であるため、同数のマンツーマンが基本になっているわけか…。
逆に長崎の方は攻撃時には4-3-3(4-2-3-1)だが、守備時には名倉が前に上がり4-4-2の形となる。
5分、野瀬翔也のロングボールに小西宏登が良い形で抜け出すが…ここは触れずにそのままタッチを割ってしまう。
届いてダイレクトでシュートできていれば面白かったが、これは続けていきたいところ。
7分、ゴールキーパーの原田岳からのロングボールを、菊地健太が良いスライディングで奪取。
こぼれ球を小野関虎乃介がループで狙っていくが…これは枠の左に外れてしまう。
この日は風が強く、前半は風上のためこういった思い切ったループは有効だろう。
13分、長崎のフリーキックを蹴るのは青木俊輔。
これに山崎凌吾がフリーで合わせにいくも、このヘディングはミートせずに助かる形となった。
やや合わなかったために助かったが…完全にフリーで飛び込まれたのは気になるところ…。
【15~30分】長めのボールも併用
19分、キーパーも含めたいつものビルドアップで野瀬翔也がボールを持つと、ここからロングフィードでサイドチェンジ。
左サイドの山中惇希に送られると、これを山中がダイレクトで縦に。
ここに内側から縦に抜けた小野関虎之介が入り込み、これまたダイレクトでシュートを放つが枠の外に外れてしまう。
シュートは外れてしまったが、これは非常に良い攻撃の形だったのではないだろうか?
前の試合ではあまりこういったロングボールが見られなかったが、やはり時折しっかりと織り交ぜていきたいところ。
21分、今度は逆に長崎がロングボールを使う。
名倉巧が抜け出すと、対応した下川太陽を振り切ってシュートに持ち込むが…これはキム ジェヒがセーブ。
27分、小西宏登が右サイド裏に抜けたところに長めのボールが入る。
ここに下川太陽、菊地健太と絡んで、最後は下川がゴール前にクロスを送る。
これを田中翔太が合わせるも、このシュートはキーパーの正面となってしまった。
ここまで健太は(恐らく)慣れないポジションだと思うが、悪くないのではないだろうか?
守備時にはアンカー位置で名倉巧をマンツーマン気味に見ており、攻撃時には右にスライドして玉城大志をアンカーとしたトリプルボランチの右側に入っている。
(下川太陽が半列上がって右のシャドー気味になる)
健太はCBでも起用されていたように、守備強度も備えたサイドバックの選手。
しかしCBで使うには公称171cmの身長がネックであったため、このアンカーというのは新境地となりそうな予感も。
まだ30分まで経っていないが…これは沖田監督も面白い起用をしたなと唸ってしまう。
【30~45分】虎のプロ初ゴール
41分、新井一耀からのロングボールは船橋勇真が先に落下点に入ったが…トラップのタッチを誤ったか…このボールが青木俊輔の足元に入り抜け出されてしまう。
そのままペナルティエリア内に侵入しシュートを打たれるが、ここはキム ジェヒが足でビッグセーブを見せる。
こぼれ球をエメルソンに詰められるも、このシュートは玉城大志がブロック。
このシーンが顕著であり、解説の柱谷幸一さんも触れていたが…群馬はマンツーマン気味に高い位置まで追うため、ロングボールでひっくり返されると膨大なスペースで同数、もしくは数的不利となってしまう。
この形で前節は失点した…となる。
実際この試合も松本天夢を玉城大志が、澤田崇を下川太陽が、名倉巧を菊地健太がマンツーマン気味に見ている。
誰かがDFラインまでボールを受けに降りる際も、その最終ラインまで付いていくため後ろもマンツーマンで同数になっている…ということになる。
この辺りは人数をかけているため取り切れればショートカウンターのチャンスとなるが、剥がされると数的不利を生みやすい形となり…沖田サッカーの理念が表れているところ。
リーグ戦では悪い面が出て失点を重ねたが、練度が上がり取りどころがチームとして共有されることでショートカウンターのチャンスが増えることに期待したい。
42分、長崎のビルドアップに上記のようにマンツーマンで高い位置までプレスをかける。
松本天夢からの縦パスを完全に読み切っていた野瀬翔也がカットすると、2タッチ目でDF裏にスルーパスを送る。
ここに裏抜けかつボールを要求していた小野関虎之介が入り込み、これまた2タッチでゴール左に流し込んで先制に成功。
小野関はこれがプロ初ゴールとなった。
これがまさにショートカウンターの成功例であり、松本からエメルソンへのパスに対して野瀬があれだけ高い位置を取っているのが今シーズンの特徴である。
(言い換えると最終ラインもマンツーマン気味に高い位置まで来ている)
取り切れればこのようにチャンスになるが、取りに行って触れず…などでエメルソンに抜け出されると後方には誰もいない…ということになるわけだ。
マンツーマン気味で当たっているため、3CBの残り…大畑隆也は山崎凌吾に、船橋勇真は青木俊輔に対応しており…エメルソンが抜け出すと2対3の数的不利が生まれることに。
ある意味ではハイリスクハイリターンで超攻撃的と言えるのかもしれない。
ちなみに小野関に対してオフサイド疑惑が色々なところで聞かれるが…画面で見る限り田中翔太のマークに付いていた照山颯人が残っている。
新井一耀に対しては完全に前に出ていた小野関だが、オフサイドラインは照山となるのでオンサイドの可能性が高いだろう。
素晴らしい抜け出しに素晴らしいシュートであり、野瀬もナイスインターセプトにナイススルーパスであった。
45分、コーナーキックを跳ね返して群馬がカウンターのチャンスを迎える。
左サイドを山中惇希が良い形でDFの前に入り込んだが…切り返しで引っ掛かってしまう…。
ここはダイレクトで右足でシュートに持ち込んだ方が良かったと思うが、山中は左利きということもあり切り返したのだろう。
こうして前半はリードに成功して終えることとなったが、ここまで長崎は長崎らしさが見えないのが…。
メンバーが変わっているのが原因だとは思うが、ここまで正直上手くいっているとは言えないところ。
ハーフタイムで修正が入るだろうし、後々いつものメンバーがベンチから出てくるわけなので…後半の早いところで追加点を取りたいところだろう。
【45~60分】今度は風下となる群馬
後半は群馬のキックオフでスタート。
両チームともにハーフタイムでの交代は無くリスタートとなった。
52分、斎藤遼太からの縦パスを山崎凌吾がヒールで止めて、反転しながら横に流す。
ここに松本天夢が入り込んでおり、更に左の名倉巧に流す。
松本に入った段階で既に最終ラインは野瀬翔也しかいなかったが、ここで野瀬が素晴らしい対応を見せた。
名倉に対してドリブルでの突破コースは切りつつも、その左を駆け上がるエメルソンへのパスも対応できるようなコース取り。
そしてエメルソンへのパスを見事にスライディングでカットしてみせた。
完璧!100点満点の対応である。
56分、長崎ベンチが先に動く。
齋藤遼太に代えて増山朝陽、エメルソンに代えてマルコス ギリェルメを投入する。
早速リスタートとなるコーナーキックをマルコスが蹴りに行くと、このボールに山崎凌吾が合わせるがキム ジェヒが触って再びコーナーに逃れる。
後半となり風下になった群馬だったが、前半と大きくサッカーは変えずに同じまま…と言って良いだろう。
【60~75分】キムのPKストップ
68分、増山朝陽がフワッとした浮き球をDFライン裏に送ると、ここに米田隼也が入り込む。
完全に前に入られてしまった形となり、野瀬翔也が後ろから身体をぶつけたところでファールの笛が鳴りPKの判定となってしまう。
際どいところだったが…大畑隆也が最終ラインとなるので、これまた絶妙にオンサイドか?
野瀬としては自身の裏を完全に取られた形となっており、やや焦りもあって潰しに行ってしまったか。
カードが出るかと思ったが、ノーカードの判定で助かったところ。
この辺りはまだまだ若さが…となるかもしれないが、これも公式戦でしか得られない貴重な経験値となるだろう。
69分、このPKを蹴るのは山崎凌吾。
しかしこのシュートはキム ジェヒが完全に読み切る形で、ドンピシャでセーブを成功させる。
弾いたところも完璧で、セカンドは名倉巧に拾われてしまうものの…ゴールからは遠く、更には時間もかかる場所に弾いているのがポイント。
しかもその後の名倉のパスがズレたことでマイボールになりピンチを無事に脱することとなった。
70分、再び長崎ベンチが動く。
青木俊輔に代えて山田陸を投入する。
72分には群馬ベンチも動き、小西宏登に代えて田頭亮太、船橋勇真に代えて中野力瑠を投入する。
群馬ベンチとしては、選手達にやや疲労の色が見え始めていたが…ここまでかなり良い形でゲームが進められていたために交代カードを切りにくかったか?
この交代で野瀬翔也が左CBにポジションを移し、中野力瑠が右CBに入る形に変更された。
野瀬は左右どちらもできる…ということか…。
ちなみに船橋が下がったことで、攻撃時に1列上がる役割はそのまま中野が引き継ぐ形となったようである。
【75~90分】ついに同点に追いつかれる
76分、長崎ベンチが再び交代カードを切る。
澤田崇に代えてジョップ セリンサリウを投入し、これで4人目ではあるが3回の交代カードを使い切る形になった。
80分、群馬ベンチも交代カードを用意していたようだが、菊地健太に出血が見られたこともあってか一度取りやめた様子。
ここ数分は完全に長崎の猛攻に対して受けに回っており、丁寧にビルドアップはおろかロングボールも狙えず、単純にピンチを脱するためのクリアが増えている。
疲労が見える選手も増え始め、そろそろフレッシュな選手を入れると共にベンチから残り時間の戦い方のメッセージが欲しいところ。
(どうやら青木翔大が用意されていたようで、クリアボールに対して前線でキープして時間を作って押し上げられるように…ということになりそう)
しかし83分、マルコス ギリェルメが左に広げると、米田隼也が右足に持ち直してゴール前にクロスを送り込む。
ここにジョップ セリンサリウが入り込んだが、野瀬翔也が身体を前に入れてブロック。
しかしこぼれ球をマルコスに詰められて同点弾を許してしまう。
玉城大志が山崎凌吾に身体をぶつけられて倒れ込んでいたが…まぁファールは取れないだろう。
それよりもマルコスにスルスルっとゴール前まで入られたのが気になるところ。
下川太陽がそのまま付いて行っても良かっただろうし、誰かに受け渡しても良かった。
菊地健太が後ろにいたので引き受ける形も取れただろうし、その先でも中野力瑠がスペースを埋めていた。
誰もがボールウォッチャーになって、マルコスの動きを見ていなかったのが悔やまれる。
85分、この得点後、リスタート前に群馬ベンチが交代カードを切る。
小野関虎之介に代えて青木翔大、下川太陽に代えて安達秀都を投入する。
逃げ切りも見えていただけに、ここで集中が切れずにもう一度前に行けるかどうかが問われるだろう。
そういった意味では、キャプテンシーがあってメンタルが強い青木の投入は良い方向に向かいそうである。
90分、長崎のコーナーキックの場面ではあるが、群馬ベンチが交代カードを切る。
菊地健太に代えて藤村怜を投入し、相手のセットプレー時には交代をしないというセオリーはあるものの…交代を優先させた。
ちなみにこのコーナーキックの前に山中惇希にイエローカードが出たようだが、異議申し立てのようである…。
しかし、リプレイを見ると山中のクリアのあとに長崎の選手に当たっており…ゴールキックの判定にならないといけないわけで…これはちょっとかわいそうなところか。
93分にはビルドアップでのパスミスからピンチを迎えるが、名倉巧のシュートは枠の上に外れてくれる。
この試合はここまで最終ラインでの大きなミスはなかったが…思えばこれが後々の暗示だったのかもしれない。
95分、安達秀都が高い位置で松本天夢からボールを奪うと、こぼれ球を青木翔大が回収。
オフサイドポジションから戻ってきてオンサイドになった山中惇希にパスを送ると、山中が切り込んで左足を振るも…これは枠を捉えられず。
山中はあれだけ走っているし…足にはかなり疲労が溜まっているだろう。
こうして試合は1-1のまま、延長戦へともつれ込むこととなった。
【90~105分】まさかのオウンゴール
延長前半は群馬のキックオフでスタート。
エンドは後半終了時と同じままの形となった。
このキックオフの前に両チーム共に交代枠を使い、群馬は玉城大志に代えて加々美登生を投入。
長崎は名倉巧に代えて七牟禮蒼杜を投入した。
92分、藤村怜のパスがミスとなりピンチを迎えるが…ここは野瀬翔也が良い対応で潰す。
しかも野瀬へのファールを取ったようで群馬ボールとなった。
96分、長崎がフリーキックを得ると、キッカーはマルコス ギリェルメ。
ゴール前に送られると、これを見事に野瀬翔也が合わせた形となってしまいオウンゴールに。
野瀬としてはもう少し高く…バーを越えてコーナーに逃げるイメージだったのだろう。
98分、群馬ベンチが動き、野瀬翔也に代えて高橋勇利也を投入する。
(これで交代が7人目となるが、延長が始まる前の玉城大志の交代が脳震盪となっており、追加で交代が可能な状況であった)
オウンゴール直後ということで懲罰交代の声も聞かれそうだが…PK献上にオウンゴールと野瀬のメンタル面がやや心配であり、この辺りも沖田監督は考慮したのかもしれない。
(実況解説によると、交代で戻ってきた野瀬を沖田監督が少し迎えに行ったようである)
同98分、高橋勇利也からのロングボールを青木翔大が収めると、これを右に落とす。
加々美登生が更に右の田頭亮太に広げると、田頭が低いクロスを送り込む。
田中翔太が落とし、下川太陽がシュートを放つも…これは大きく枠を外してしまう。
102分にはコーナーキックを跳ね返されたセカンド、更にそのセカンドを山中惇希が良いカットインからシュートに持ち込むも枠を捉えられず。
この時間でも山中は見事な突破を見せているが…かなり体力的には厳しそうに見える。
【105~120分】力尽きた群馬
延長後半は長崎のキックオフでスタート。
108分、ビルドアップのミスを突かれて追加点を許してしまう。
大畑隆也から縦位置の藤村怜へのパスを、山崎凌吾にインターセプトされてしまう。
これをジョップ セリンサリウが受けると、インサイドで斜め後方に技ありのパスでマルコス ギリェルメに通す。
このパスに対してフジレンがスライディングでカットを狙うが、やや届かずにマルコスがフリーでゴール前に迫っていく。
完全にキーパーと1対1の状況ではあったが、高橋勇利也が懸命に戻ったことでシュートコースに入ったか…マルコスは右の増山朝陽にパスを送る選択。
これを増山がダイレクトで打つと、キム ジェヒが手には当てたものの…そのままネットに吸い込まれてしまう。
109分には増山朝陽が「先ほどのお返し」とばかりに、マルコス ギリェルメに折り返すも、これはマルコスが届かず。
90分…いや、逆転はされたものの延長前半までの105分は良いサッカーをしていたものの…やはり終盤では地力の差を見せつけられる形となってきた。
111分、高橋勇利也からの縦パスを増山朝陽がインターセプト。
増山から一気にDF裏にロングボールが送られると、ここにマルコス ギリェルメが抜け出し冷静にキーパーとの1対1を沈めて追加点を許す。
…リーグ戦同様にビルドアップのパスミスという形が続いたが、この辺りは一発勝負のカップ戦。
得失点差も関係なければ、もう点を取りに行くしかないわけで…攻めに行ってひっくり返されて点差が広がる…というのは仕方ないところ。
サッカーあるあるで仕方ないところだが、失い方が良くないのは事実か。
116分、長崎ベンチが最後の交代を使う。
山崎凌吾に代えて田所莉旺、松本天夢に代えて西村蓮音を投入。
長崎もこれで7枚となるが、群馬が玉城大志の脳震盪でカードを1枚多く切っているため、長崎も同数の7枚切ることができる。
こうして120分を超える激闘は、スコアだけを見れば力の差を見せつけられる形で終えることとなった。
ピックアップポイント
この試合の評価は?
先ほど書いたように、スコアだけを見れば力の差を見せつけられる形となった。
ということで、この試合の評価はかなり分かれるのではないだろうか?
先に個人的な意見を書いておくと、この試合は高評価で良いと思っている。
まずは長崎対策として、多少形を変えて守備では3-5-2を採用。
まだまだ危うさはあるものの、高い位置からマンツーマンでボールを奪いショートカウンターという、沖田監督の目指すサッカーの片鱗は見せてくれた。
これが上手くハマり先制に成功すると、長崎が上手くいっていなかったところもあるが…試合終盤までリードした状態を保ち長崎を慌てさせたと言える。
あわよくば追加点を奪って試合を決めてしまいたいところだったが、この辺りはどちらも点が取れずにお互い様と言ったところか。
課題となるのはリーグ戦での失点と同様に、ビルドアップのミスから自滅…というパターン。
90分はまずまず上手くいっており、群馬の選手が変わったからなのか、疲労で受ける側が受けにこれていないのか…はたまた長崎の代わった選手のプレスが上手かったのか…この辺りはしっかりと分析する必要がある。
しかしキム ジェヒを始めとして、今日の3バックはなかなか可能性を感じるビルドアップを見せてくれたのは事実ではないだろうか?
個人的には修正は必要だとは思うものの、このサッカーの精度・練度を上げていく方向で良いのではないかと思っている。
1つ気になるのは、今日の長崎の2トップ(1トップの山崎凌吾と、トップ下の名倉巧)は最終ラインにはプレスをほぼかけてこなかった。
そのためこの2人に対して、キム ジェヒ、大畑隆也、野瀬翔也の3人で常に数的優位でボールを回すことができたと言えるだろう。
特にキムの足元とパスセンス、野瀬のロングフィードは素晴らしかったが、問題はこれがハイプレスの相手でもできるかどうか?
この試合では長短のパスを上手く使い分けて、自分達のペースを作り出していたが…最終ラインまでプレスに来るチームを相手に上手くいなせるか?が注目となるだろう。
そのためにも、この最終ラインはリーグ戦でもチャンスを与えてほしいと思う。
MOM
この試合のMOMは小野関虎之介としたい。
かなり悩んだが…あの先制弾を高く評価したい。
決して簡単なシュートではなく、見事な抜け出しから見事なワンタッチで適度な角度を付けてシュートコースを広くした。
あのトラップが本当に見事の一言である。
ゴールだけでなく積極的なシュートの姿勢は光ったし、左サイドでは山中惇希との連携も良さを見せた。
守備面でもしっかりと汗をかいてくれており、今後が楽しみな存在と言える。
是非ともリーグ戦でも使ってみてほしい。
そしてMOMで悩んだのがキム ジェヒ。
これがプロデビュー戦となったわけだが、落ち着き払った素晴らしいデビューとなったのではないだろうか?
4失点こそしたものの、そのどれもが止めていればビッグセーブと言われるものだっただろう。
PKを含めて決定機を最低でも2本、個人的には3本を止めたと思っており、高い評価で良いのではないかと。
また足下の技術も高いようで、それに加えて良いところを見ておりパスセンスが良い。
長短で何回か「そこ通すか!」と唸るシーンもあり、沖田監督のやりたいサッカーに合っているキーパーであろう。
問題と言うか…懸念点は先ほど書いたように、ハイプレスの相手でも屈せずに足下が見せられるかどうかだろう。
あとは野瀬翔也にも触れたい。
PK献上とオウンゴールと悪い面も目立ったが、素晴らしいロングフィードが光った。
また足の速さもありそうで、このハイラインのサッカーには向いていると言えそうである。
実践からしか得られない経験値があるため、是非ともリーグ戦でも起用してほしいのだが…。
もし使わないなら、どこかに育成型でレンタルに出して経験値を積ませて群馬に戻したい。
大卒ではあるがルーキーなのでまだ22歳。
将来を見据えて長期的に育てていきたい選手である。
他は触れないが、この試合でスタメン起用された11人はみなそれなりのアピールに成功したと言えそうである。
逆に交代で入ったいつものメンバーで光ったのは加々美登生くらい…なのが気になるところ。
青木翔大と藤村怜は次第点以上のプレーを見せていたが、残りは「うかうかしているとポジションを奪われるぞ」といった印象を受けた。
この試合により、良い意味でライバル意識が高まり競争が激化し、チームの戦力の底上げとなってほしい。
コメント
コメントはありません。