※ザスパクサツ群馬ファンによる、ザスパクサツ群馬贔屓のマッチレビューです。
第10節は再びアウェーでのいわき戦。
3連戦とはなりますが、1戦目をホーム、2戦目は埼玉、3戦目は福島と比較的近距離の移動となり…本当に日程くんの優秀さに感心させられます。
ここまで4連勝と好調な群馬に対して、2連敗中のいわき。
このまま勢いに乗って初の5連勝といきたいところですが…気になるのは連戦の疲労。
ここまでメンバーをほぼ代えておらず、疲労だけでなく相手チームに対策されていることも気になるところ。
更にはいわきのサッカーは群馬が苦手としているスタイルでもあります。
今回はそんないわきFC戦をレビューします。
Contents
スタメン・フォーメーション
いわきFC
スターティングメンバー
ポジション | 背番号 | 選手名 |
GK | 21 | 高木和徹 |
DF | 2 | 石田侑資 |
3 | 遠藤凌 | |
4 | 家泉怜依 | |
16 | 河村匠 | |
MF | 6 | 宮本英治 |
13 | 鏑木瑞生 | |
15 | 加瀬直輝 | |
24 | 山下優人 | |
FW | 11 | 有田稜 |
17 | 谷村海那 |
ベンチ
ポジション | 背番号 | 選手名 |
GK | 31 | 鹿野修平 |
DF | 5 | 速水修平 |
29 | 辻岡佑真 | |
MF | 20 | 永井颯太 |
25 | 芳賀日陽 | |
FW | 9 | 近藤慶一 |
26 | 坂元一渚瑠 |
いわきは前節から3枚代え。
昨シーズンのJ3を制して今シーズンからJ2に昇格したチームであるため、恥ずかしながら選手に関してはほぼわからない…といったところ。
今節のメンバーとしては、ヴェルディから加入した高木和徹、鳥取から加入した石田侑資くらいしかわからない。
ただ注目はやはりJ3得点王となった有田稜であろう。
昨シーズンが大卒ルーキーでありながら、第3節のアディショナルタイムでデビュー。
その直後に初ゴールを決め…最終的には17得点を取ってみせた選手。
J2では2節の水戸戦で初ゴールを決めている。
ザスパクサツ群馬
スターティングメンバー
ポジション | 背番号 | 選手名 |
GK | 21 | 櫛引政敏 |
DF | 3 | 畑尾大翔 |
24 | 酒井崇一 | |
MF | 15 | 風間宏希 |
19 | 岡本一真 | |
36 | 中塩大貴 | |
38 | 天笠泰輝 | |
FW | 5 | 川上エドオジョン智慧 |
10 | 佐藤亮 | |
23 | 平松宗 | |
28 | 長倉幹樹 |
ベンチ
ポジション | 背番号 | 選手名 |
GK | 42 | 石井僚 |
DF | 2 | 城和隼颯 |
MF | 6 | 内田達也 |
33 | 細貝萌 | |
FW | 7 | 川本梨誉 |
9 | 北川柊斗 | |
17 | 山中惇希 |
群馬は前節からスタメンとベンチはメンバーが変わらず。
これでこの3連戦は全く同じ構成で臨むこととなった。
冒頭でも書いたが、気になるのはやはり疲労面。
更には途中交代カードもいつも同じパターンであり、この辺りはそろそろ徹底的に研究されてしまっているだろう。
チームとしては4連勝中と調子は良いため、メンバーを変えにくいという部分はあると思うが…
試合経過
【0~15分】開始早々に見事な崩しを受け失点
前半はいわきのキックオフでスタート。
コイントスは群馬が勝ったようであり、どうやら今日の福島もかなり風が強いために風下を選択したように見える。
開始早々の4分、天笠泰輝と宮本英治がハイボールを競り合うが…風の影響かどちらも触れず後方に落ちる形に。
これを回収されると一気に有田稜に対して縦パスを通されるが、ここは酒井崇一が素晴らしいスライディングで突破を許さず。
こぼれたボールは加瀬直輝が拾うが、ちょっと気になったのは酒井がそのあと加瀬に行かずに中央に絞ったこと。
有田に対して酒井が行ったことで、中塩大貴がカバーリングで絞っていたために…ここは酒井がそのまま外に出ても良かったのでは?
出ても間に合ったとは思えないが、少なくともノープレッシャーでクロスを上げられることは防げる。
5分、左サイドで宮本英治、加瀬直輝、石田侑資と綺麗に繋ぐと、谷村海那に良いスルーパスが入る。
これを中に丁寧に折り返して有田稜が押し込み先制。
綺麗に崩されたが…これは中塩大貴が残ってたのが悪い。
谷村へのスルーパスは完全にオフサイドにしなければいけないシーンと言える。
ただ右サイドハーフの加瀬が中央より左に、ほぼ中央を右サイドバックの石田が使うという…片側に人数をかけた厚みのある攻撃だった。
攻撃でこのような人数の寄せ方を見せたいわきだが、守備でも基本戦術は片方のサイドに人数をかけるスタイル。
11分には川上エドオジョン智慧の突破に対して3枚を寄せ、風間宏希がフォローに入るも…そこにも4人目がくる形となり人数をかけられて奪われてしまう。
14分には酒井崇一が内側に戻したボールがパスミスとなり、これが谷村海那に入ってしまう。
畑尾大翔が「抜かれず打たせず出させず」の素晴らしい対応を見せ、最終的にはシュートかパスか…というものをしっかりとブロック。
こぼれ球を中塩大貴がクリアして難を逃れる。
しかし…酒井はこういったパスミスが非常に多い。
この一連の流れでも、この直前の中塩へのパスも繋がりはしたが同様にプラス方向過ぎた印象が強い。
【15~30分】いわきのワンサイドプレスを崩せず
15分、左サイドで鏑木瑞生がボールを受けると、岡本一真がカットにきた勢いを上手く使って身体を入れ替える。
インナーラップで縦に抜け出した河村匠に縦パスを付けると、これを内側の谷村海那に。
谷村がこれを後ろに落とし、鏑木が狙うもこれは天笠泰輝がブロック。
こぼれ球を宮本英治が狙うも大きく枠を外れる形に。
ここしばらくはビルドアップもかなり向上し、プレスをかけられてもそれなりにいなしている印象があったが…今日はなかなか上手くいかない。
まさにワンサイドプレスという名称がピッタリな、片方のサイドに人数をかけて追い込むといういわきの速いプレスに圧倒されている印象が続く。
逆に言えば、ここをサイドチェンジや縦への大きなボールで突破できると…一気に数的有利を作れることになるのだが…。
いわきは攻守に非常に走っているので、見ていて非常に良いチームだなと思うが…これが90分続くとも思い難い。
風下ということもあり、前半はしっかりと耐えて後半勝負…という部分もあるだろう。
【30~45分】エドのアクシデント
32分、中塩大貴がパスコースを見つけられず…後ろに戻そうとしたところで加瀬直輝に刈り取られてしまう。
そのままドリブルで運ぶと、すぐ左側を上がった有田稜に。
これがちょっとマイナスになったこともあり、時間がかかったため…酒井崇一と畑尾大翔がシュートコースにしっかりと入ることができた。
それもあり、有田のシュートは枠を大きく外れる形となり助かる。
いわきには失礼な言い方になるが…結局この試合通じて、いわきの技術不足に救われるシーンは多かった。
決定力だけ見ても、もう少し高ければ…前半だけで3点は失っていてもおかしくない。
40分、川上エドオジョン智慧に代えて山中惇希を投入する。
これはクロスボールが…ちょうどエドにカウンターの形で顔に入ってしまい、ピッチに倒れ込んでしまったアクシデント。
一度はドクターのチェックを受けたのちにピッチに戻ってくるも、すぐに座りこんでしまい担架で退場する形となってしまった。
脳震盪による影響と見られ、一度はドクターのチェックをクリアしているので…この試合限りで次節まで続くような大事にはならないと思うが…。
ちなみに2021シーズンより脳震盪による退場は、通常の交代枠とは別に1人可能に変わっており、群馬としてはこの後に3回5人の交代が可能となる。
45分、いわきが左サイドでのスローインを縦に投げ、これを有田稜が受けると鏑木瑞生に落とす。
これを鏑木がダイレクトでボレーの形で中央の谷村海那に。
谷村が少し溜めると、ゴール前に入り込んできた鏑木に落とし、シュートを放つも枠の外。
最後の最後の部分では風間宏希、畑尾大翔、中塩大貴と3枚がシュートブロックに飛び込んでおり、それもあって枠を捉えられていないということはあるだろう。
そう見れば…しっかりと粘って守っているとは言えるが…とにもかくにもこれが決まっていたら難しいゲームとなっていた。
こうして前半は1点ビハインドのままハーフタイムを迎える。
【45~60分】開始早々の失点再び
後半は群馬のキックオフでスタート。
両チームともにハーフタイムでの交代は無しとなった。
48分、いわきが左サイドでスローインを受けると、一度ボランチの宮本英治に付ける。
宮本は出しどころがなくすぐ横の山下優人に出すと、山下も一度後方の遠藤凌に下げる。
すると遠藤はダイレクトで縦の谷村海那に付けると、これがオンサイドで抜け出す形になり、中央に折り返して有田稜が追加点。
このシーンは色々と思うことがあるので後ほど。
また言い方は失礼だが…いわきの決定力不足と群馬の守備陣の頑張りで…前半のピンチを追加点無しで乗り切ったというのに。
後半開始早々になんともったいない失点かと…。
ある意味では前半に失って0-2でハーフタイムを迎えていた方が、まだハーフタイムで修正できる分良かったのではないだろうか?
2点を追う展開となったこともあり、52分に群馬が一気に3枚代え。
佐藤亮に代えて北川柊斗、天笠泰輝に代えて内田達也、平松宗に代えて川本梨誉を投入する。
54分、山中惇希が刈り取ったボールは長倉幹樹が収める。
長倉から縦に川本梨誉に付けると、縦に仕掛けたのちにカットインし、北川柊斗へ。
これをダイレクトでシュートするもブロックされ、2本目も北川が打つも再びブロック。
3本目はミートせずに力なくキーパーまでボールは行ってしまう…という、いわきも気合いの入ったディフェンスを見せる。
60分には、山中惇希と長倉幹樹の2人で左サイドを突破。
長倉から逆サイド、中央付近まで入り込んできていた北川柊斗にパスを通すと、切り返しから左足でゴールを狙う。
これは高木和徹がセーブするが、こぼれ球を風間宏希が回収し、岡本一真に下げてからクロスを送るも合わず。
理想を言えば長倉のパスがもう少しプラス方向かつ速いボール…だったが、あの状態であれ以上を望むのは酷だろう。
欲しいボールよりも短くなったものを、上手くDFを引き寄せてから切り替えしてシュートまで持っていた北川は素晴らしかったが…こちらももう少し威力のあるシュートが打てれば…。
左足だったのが悔やまれるところか。
【60~75分】徐々にペースを握り、1点を返す
このように3枚代えから徐々に群馬もペースを握っていく。
もちろん時間帯と0-2という点差もあるのだが…それでも今までよりは自分たちの時間を作れるようになったことは確かである。
すると63分、中塩大貴の頭でのクリアボールを長倉幹樹が上手く足先で突いて風間宏希に通す。
風間はドリブルで持ち上がると、逆サイド岡本一真を使う。
岡本は縦に仕掛けるが…風間のパスが少し短かったこともありDFに対応されたため、一度後方に下げる。
これを受けた風間がファーサイドにクロスを送ると、これを長倉が頭で合わせて1点を返す。
風間のクロスはパーフェクト。
ここ数節まさにキレッキレの風間らしい素晴らしいキックだった。
長倉も、落下点に入れなかった石田侑資が後ろから身体をぶつけてきているにもかかわらず、しっかりと頭に当ててゴールにコントロールした。
それと忘れずにしっかりと触れなくてはならないのが、同サイドをオーバーラップした酒井崇一。
これまであまり見られなかった印象があるが、攻撃時は3バックということでやはり両サイドのCBのオーバーラップは必要である。
岡本が内側に入ったためにできたスペースを使ってオーバーラップしており、これが直接この得点に影響を与えたわけではない(DFが釣られたりとかもない)が…こういったプレーは高く評価されるべきプレーである。
ナイスラン酒井。
69分にいわきが動き、河村匠に代えて辻岡佑真、谷村海那に代えて永井颯太を投入。
更に直後の73分、コーナーキックのチャンスを前に加瀬直輝に代えて長身の近藤慶一を投入する。
【75~90分】最後までいわきの守備を崩せず
76分、北川柊斗が左サイドに流れてボールを引き出すと上手くキープ。
インナーラップした山中惇希に通すと、左足でクロスを供給。
これに川本梨誉が飛び込むも…いわきのDFもしっかりと付いてきており、判定はゴールキックに。
78分、いわきが最後の交代を使い石田侑資に代えて速水修平を投入する。
1点を追う群馬もそろそろ最後の交代カードを使いたいが…ベンチには細貝萌と城和隼颯であり、攻撃のカードが無いのが痛い。
やるならばタイミングを見て城和を投入しCBに入れ、畑尾大翔を最前線に送り込むパワープレーになるだろうか。
この時間帯は先ほどのプレーのように、北川柊斗が左に流れて受けるシーンが目立つ。
立ち位置としては長倉幹樹が左、北川が右ではあるが…長倉は下りてボールを引き出すシーンが多いため、それで空いた左裏のスペースを北川が使っているという感じか?
北川も右よりも左の方が(高い位置であれば)やりやすそうに見えるので、これは今後のことを考えると面白い1つのオプションになるかもしれない。
84分、群馬も最後の交代を使い、岡本一真に代えて城和隼颯を投入する。
やはり予想通り畑尾大翔を最前線に送り込み、右に川本梨誉、左は長倉幹樹のまま。
北川柊斗が岡本のいた右のWBに入る形となり、城和は畑尾のいた位置に。
これで完全に3バックとなるだろう。
畑尾大翔はハイボールの強さを見せはしたが…やはり待ち構えているDF複数を相手に勝ち切るのは難しい…。
もう少し崩してからクロスを上げられれば…と思いつつも、90分最後までいわきの運動量は落ちず。
もちろん落ちてはいるのだが…最後までこの試合への気持ちと言うか執念を見せつけ見事に守り抜かれてしまう。
こうしてアディショナルタイム5分が経過し、残念ながら5連勝とはならなかった。
結果を見て言うのは簡単だが…やはりこの3連戦を同じメンバーで行ったことに無理があったと思う。
特に運動量で勝負してくるいわきに対して、完全に後手後手にハマった感が強い。
交代策もここ数試合全く同じパターンとなっており…自分達のサッカーも大事だが、やはり相手に合わせてもう少し柔軟な対応も必要だろう。
次節の徳島戦はいわきとは違い、どちらかと言えば群馬の得意とするスタイルのチームと言えるかもしれない。
そのため今までのサッカー…ということで同じメンバーを使うのか、負けたことで多少変更を加えるのか…注目したい。
ピックアップポイント
48分の失点シーン
今回は久しぶりにプレーの中身、48分の2失点目のシーンを振り返りたい。
これは根本的な部分で言えば中塩大貴のポジションが悪い。
ボールウォッチャーとなっているのか、完全に畑尾大翔と酒井崇一のラインよりも3歩は後方にいる。
1失点目は自身のマークであった有田稜に引っ張られていた部分もあるので…とは思うが、この時は完全に余っておりなぜラインが揃わないのか疑問である。
ただ中塩が揃っていたとしても、際どくオンサイドだったようにも見えるが。
このシーンでしっかりと、明らかにしっかりとラインを上げているのは畑尾大翔のみであり、酒井と中塩は歩いているのが気になるところ…。
酒井は畑尾がスッとラインを上げたのを見て、慌てて自分も合わせて上げてはいるが…中塩…。
この辺りは連戦の疲労も大きく影響があるとは思うが…群馬の悪癖でもある試合への入りがぬるい部分でもある。
ということで、遠藤凌からのキラーパスが出された瞬間を切り取るとこんな感じである。
中塩が飛び出しておりオンサイドなのは当然として、もう一つ何か気になることがないだろうか?
そう、岡本一真のポジショニングである。
谷村海那は2トップの1枚であり、本来は岡本のマークでは無い。
無いが、自身よりも外側にいわきの選手はおらず…ここでは谷村の内側にポジションを取らないといけないだろう。
これが内側であれば遠藤凌はここにパスを付けただろうか?
通せたとしても、そのあとは岡本が対応可能となり酒井と畑尾でゴール前を守ることができた…となる。
その後のことは些細なことではあるが…ちょっと触れたいのが酒井の走るコース。
その後のプレーを図にするとこんな感じであった。(関与していない選手は図から削除)
岡本がスルーパスで剥がされたために、酒井が谷村に対して飛び出すのだが…有田が恐らくスルーパスに反応して一度ニアに。
そして谷村がいたことを見て中央にポジションを取り直すのだが、その谷村のポジション取りに釣られて酒井も内側に入っているように見える。
真っすぐ谷村に対して行って、クロスに滑り込んでも間に合ったかは微妙だが…これは中(谷村)は畑尾に任せて酒井は飛び出すシーンでは無いだろうか?
前半の4分でも酒井は自分が外にスライドしなかったシーンがあったので、対応がちょっと気になるところ。
また、畑尾大翔もファーサイド側にいる副審にオフサイドをアピールしつつ下がっているため、有田に前に入られてしまっている。
自分はオフサイドトラップとして1m近く一気にラインを上げているため、オフサイドをアピールしたい気持ちはよく分かる。
よく分かるが…ここはせめて手を上げるにとどめ、有田の動きから目を逸らしてはいけなかったシーン。
もちろんまっしぐらに走ったからとて間に合ったかは微妙なシーンだが、有田の先に足を出せた…可能性はあったかもしれない。
MOM
この試合のMOMは風間宏希としたい。
ここ数節本当に調子の良さを感じさせてくれ、アシストとなったクロスを始めとしてキックの精度が非常に高い。
それもあってか、この試合ではフリーキックも佐藤亮ではなく風間宏希が蹴っていたのが印象的。
また、課題かなと思っていた守備面や運動量の部分も最近は本当に良くなっている。
得点を取った長倉幹樹はいつも通り、厳しいマークの中次第点以上のプレーを見せてくれたと言える。
個人的にもう一人触れたいのは北川柊斗。
彼はここ数節途中出場が続いているが、かなり調子は良さそうな印象がある。
長崎戦と同じように…終盤の時間の無い時にいらないファールをしてしまっているのが気にはなるが…。
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