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【2023 J2第23節】徳島ヴォルティス 対 ザスパクサツ群馬【レビュー】

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※ザスパクサツ群馬ファンによる、ザスパクサツ群馬贔屓のマッチレビューです。

 

第23節はアウェーでの徳島ヴォルティス戦。

群馬はここまでリーグ戦では6試合勝ちが無く、天皇杯も含めれば7試合勝ちが無いという状態です。

しかしながら前節は清水エスパルスを相手にドロー。

その前には東京ヴェルディを相手にドローと、勝ててはいないものの決して悪い結果ではない状態が続いています。

対する徳島も2試合ドローが続いている状態。

前回対戦ではスコアレスのドローとなっているだけに、今回もまた膠着したゲームとなることが予想されます。

 

今回はそんな徳島ヴォルティス戦をレビューします。

スタメン・フォーメーション

徳島ヴォルティス

スターティングメンバー

ポジション 背番号 選手名
GK 1 ホセ アウレリオ スアレス
DF 3 石尾崚雅
13 長谷川雄志
26 森昂大
MF 7 白井永地
10 杉本太郎
24 西谷和希
33 中野桂太
39 西野太陽
FW 8 柿谷曜一朗
9 森海渡

ベンチ

ポジション 背番号 選手名
GK 21 田中颯
DF 2 田向泰輝
MF 17 高田颯也
20 児玉駿斗
30 坪井清志郎
FW 15 棚橋尭士
16 渡大生

 

徳島は前節から2枚を変更。

玄理吾のところに中野桂太が入り、安部崇士のところに長谷川雄志が入る。

玄も安部もどちらも今節はベンチ外ということで…理由は不明ながらこれはラッキーと言える。

 

注目はもちろん柿谷曜一朗となるが、コンビを組む森海渡もしっかりと抑えなければならないポイント。

また中盤ではワンボランチとなる白井永地に自由にゲームメイクさせないことがポイントになるだろうか。

ザスパクサツ群馬

スターティングメンバー

ポジション 背番号 選手名
GK 21 櫛引政敏
DF 3 畑尾大翔
24 酒井崇一
36 中塩大貴
MF 5 川上エドオジョン智慧
15 風間宏希
17 山中惇希
19 岡本一真
22 高橋勇利也
FW 23 平松宗
28 長倉幹樹

ベンチ

ポジション 背番号 選手名
GK 42 石井僚
DF 2 城和隼颯
MF 29 田頭亮太
6 内田達也
FW 7 川本梨誉
9 北川柊斗
10 佐藤亮

 

群馬は前節から4枚を変更。

前節のイエローカードによる累積で出場停止となった天笠泰輝のところは、前節の交代で予想できたように高橋勇利也が入る。

また佐藤亮に代わり川上エドオジョン智慧がスタートからとなり、佐藤はベンチスタート。

2トップも変更となり長倉幹樹が怪我から復帰し、平松宗とコンビを組むことに。

武颯がベンチ外となっており…これは怪我の可能性が心配される。

 

ベンチには田頭亮太が初のメンバー入りとなり、前節最後に負傷が心配された岡本一真がスタメンに入っているものの…バックアップが必要ということになるだろうか。

また白石智之がベンチ外となり、川本梨誉がベンチに復帰となった。

試合経過

【0~15分】互いに集中した立ち上がり

前半は群馬のキックオフでスタート。

前節、開始2分で佐藤亮山中惇希の立ち位置を逆にした群馬だが、今節は山中川上エドオジョン智慧のコンビ。

これは今までと同じように右側に山中、左側にエドが入るようである。

 

4分、左サイドからのコーナーキックを得るとキッカーは風間宏希

このボールは中央で跳ね返されてしまうも、こぼれ球を山中惇希が回収。

対応する中野桂太との駆け引きから、一歩左側に持ち出してシュート性のボールをファーサイドに送り込むも…ここには誰も合わせられず。

ニアで平松宗が触れず、ファーでは高橋勇利也が反応できず…といった形だったが、恐らくはファーの高橋に合わせたのかと。

合わせた…と言うよりは「ここに入ってこい」というボールだったと言えるか。

 

6分、中野桂太から右サイドの西野太陽に広げると、カットインから低いクロスを供給。

これは受け手の森海渡の意図とはズレるが、伸ばした足に当たってコースが変わり…わずかにゴールの外へと外れていく。

はニアに流れかけており、西野のクロスはに対してマイナスであり…意図は全く合っていない、かつもトラップミスなのだと思うが…あわやゴールに吸い込まれるところであった。

 

12分、左サイドでボールを受けた杉本太郎が見事な切り返しからクロスを上げようとするが、これは山中惇希が良い対応を見せブロックしコーナーに。

良い切り返しで山中は剥がされかけていたが、しっかりと粘って良い守備を見せた。

今シーズンは山中の成長が本当に素晴らしく、攻守に別人のように逞しくなった印象がある。

このコーナーキックはニアで合わされるも、枠は捉えられずにボールはファーサイドに流れていく。

これを追った岡本一真森海渡の足を踏んでしまう形になりファールを取られてしまう。

 

どちらもボールを保持し大事に攻撃を作るチームということもあり、序盤は比較的膠着した展開となった。

【15~30分】見せ場は少なく。一進一退の攻防

17分、徳島が左サイドからのコーナーを得るとキッカーは長谷川雄志

ニアに送られたボールを西野太陽が後方へフリック。

これを森昂大がダイレクトでシュートするもゴール方向には飛ばず…と思ったらこれが酒井崇一に当たりゴール前に。

櫛引政敏がいち早く反応し、杉本太郎よりもわずかに早くボールを抑えるが…少しヒヤリとしたシーンとなった。

 

20分、風間宏希からセンスを感じる縦パスが送られるが…これはわずかに平松宗には合わず。

合わずと言うよりは…平松が反応しきれず…と言った方が正しいだろうか?

現在の群馬の得点力不足解消のためには、ボランチからいかにこういった良いパスを供給できるか…というのが鍵になってくると思う。

 

また、冒頭で触れたように今節も右に山中惇希、左に川上エドオジョン智慧となっている。

山中は右サイドでもそれなりにプレーできている印象があるが、エドはどうにも窮屈そうに見えるのは以前から書いている通り。

山中も右よりも左の方が良いプレーを見せている印象もあり、ここは左右逆にした方が良いのではないかと思うが…頑なに変えないところを見ると何かしらの意図があるのだとは思われる。

特にここしばらくは右サイドバックの岡本一真が攻撃時には内側のラインを取り、右サイドハーフの選手が大外のレーンを使うスタイルを採用している。

そうなると右も左も求められる役割は基本的に同じであり、エドは右の方が良いのではないだろうか?

(以前のように右サイドハーフはシャドーストライカーの役割となる場合は、エドより山中の方が向いているだろう。理想は佐藤亮かもしれないが)

【30~45分】徐々に動き出したゲーム

35分、徳島が左サイド高い位置でスローインを獲得。

西谷和希のスローインを杉本太郎が受けると、森海渡に預け、そこから再び西谷へ。

西谷から再び杉本が引き出し、カットインと見せかけ一つ縦に持ち出してからペナルティエリア内の中野桂太に良いパスを通す。

ワントラップからシュートを狙うが、これは櫛引政敏が足でファインセーブを見せ難を逃れる。

杉本のパスが非常に良いところに入ってしまい、中野も良いワンタッチで縦に抜け出してDFを振り切ったが…ちょっとシュートには角度が無くなってしまったか。

とにかく危ないシーンではあった。

 

37分には白井永地のミドルシュートを風間宏希がブロックしてコーナーに。

膠着気味のゲームではあるが、前半終了に近づき少しずつ動きを見せてきたと言えるだろうか。

 

41分、長倉幹樹が左サイド裏に抜け出してロングボールを受ける。

左サイドからクロスをファーに送ると、ここに山中惇希が入り込むが…徳島のDF陣もしっかりと対応してシュートは打たせてもらえず。

 

44分には再び長倉幹樹が左サイドに抜け出したところにスルーパスが送られる。

今度はカットインを選択しシュートを放つが、これはブロックされてしまう。

こぼれ球を山中惇希が狙っていくが、これはミートせず…。

【45~60分】可能性を感じるセットプレーも…

後半は徳島のキックオフでスタート。

ハーフタイムで群馬が動き、畑尾大翔に代えて城和隼颯を投入する。

試合を見ていた感じでは畑尾にはアクシデントは無かったように思うが…この時間に、しかもCBを変えるということは通常アクシデント以外には考えにくい。

楽観的に解釈すれば…ここから3連戦となるので、守備の要であり休めてなかった畑尾を休ませた…とも言えるが…。

怪我無く次節に顔を見せてくれることを祈りたい。

ちなみに畑尾がベンチに下がったことで、キャプテンマークは岡本一真の腕に巻かれることに。

 

54分、やや距離はあるものの…左サイドの良い位置でフリーキックを獲得。

山中惇希がちょこっと触ってから、風間宏希が左サイドに広げる。

川上エドオジョン智慧から再びリターンを受けた風間がゴール前にクロスを送り、ファーで城和隼颯が合わせるが…これはキーパーの正面に。

いつもとは違いショートで始めるという形を取り、最後は枠内シュートまで持ち込んでおり…やはり今シーズンのセットプレーは面白く可能性を感じるものが多い。

 

57分、岡本一真が右サイドで粘ってから平松宗へ。

平松から右サイド裏のスペースに走り出した山中惇希にスルーパスを送ると、カットインからシュートを狙っていくがこれは枠の上に。

ここでやっと逆足配置のメリットが1つ出る形となった。

素早い攻めだったこともあり、枠は外したもののシュートで終わるこの形は悪くは無いと言える。

岡本が内側を上がってきていたので使っても面白かったと思うが、個人的には左利きの山中だけにここは自ら行って良かったと思う。

【60~75分】互いに交代でゲームを動かそうとするも…

61分、試合の流れの中では徳島が先に動き、中野桂太に代えて児玉駿斗を投入する。

少し遅れた形にはなったが、リスタート前に群馬の交代も間に合い川上エドオジョン智慧に代えて川本梨誉平松宗に代えて北川柊斗を投入。

形としてはそのままの位置に川本北川も入る。

 

66分、森昂大から良い縦パスが入り西野太陽がワントラップで内側に持ち出し左足を振り抜くが、これはわずかに枠を外れる。

長倉幹樹がボールウォッチャーになった瞬間を見逃さず、長倉の後ろから西野がボールを引き出すという良い動き出しだった。

多少出遅れた感はあったが、中塩大貴もしっかりとフォローからシュートブロックに入りワンタッチあったようでコーナーキックの判定に。

 

75分、群馬が(試合の中では)2度目の交代を使い、風間宏希に代えて内田達也を投入する。

【75~90分】2度目の城和もゴールならず

81分、徳島も2度目の交代を使い森海渡に代えて棚橋尭士西野太陽に代えて高田颯也を投入。

 

84分、群馬が右サイドでコーナーを獲得すると…これを蹴るのはなんと川本梨誉

風間宏希がベンチに下がったこともあり、誰が蹴るのかというのはあったが…これで風間佐藤亮がいない時には高橋勇利也山中惇希に加えて川本が蹴るということのようである。

川本から中央に良いボールが送られると、ここにフリーで城和隼颯が飛び込み合わせるも…ホセ アウレリオ スアレスがファインセーブ。

…確かにファインセーブではあったが、正面に行ってしまったのが悔やまれるところ。

デザインされた動きで完全にフリーを作り出すことに成功しており、ボールの質も高かっただけに…これはしっかりと決めきりたいところだった。

城和としても今日2本目であり、45分チャンスを貰ったわけで…ここは決めたかっただろう。

 

85分、群馬が最後の交代枠を使い、山中惇希に代えて佐藤亮を投入。

この前に山中は足を攣るシーンもあり、展開・時間帯を考えても妥当な交代策ではある。

しかし…せっかくベンチ入りとなった田頭亮太を見たかった…という思いも。

 

87分には徳島も最後の交代を使い、杉本太郎に代えて渡大生を投入。

残り時間が少なくなる中…お互いに絶対に負けたくはないものの、何とか勝ち点3を取りにいこうとする姿勢を見せる。

 

90分、良いパスカットからショートカウンターを発動するも…ペナルティエリア外で佐藤亮が倒されてFKを獲得。

これを自ら狙っていくも…ボールは落ち切らずに枠の上に外れてしまう。

 

アディショナルタイムは3分の表示だったが、それを少し過ぎた94分までプレーは続く。

群馬がボールを奪うと攻撃を展開、左サイドから中央に戻し佐藤亮が右サイドにボールを広げようとするが…このボールが少し長くなり、岡本一真が足には当てるものの…コントロールできずにラインを割ってしまったところでタイムアップ。

出てきてまだ10分という佐藤だっただけに、94分走った岡本に対していつもの感覚でボールを出してしまったか…。

普段なら決して厳しいボールではなかったとは思うが、あれだけ走った岡本にはかなり厳しいボールだったのが悔やまれる。

ピックアップポイント

66分の西野太陽のシュートへの対応

今回はかなりヒヤリとした66分の西野太陽のシュートのシーンを振り返りたい。

長谷川雄志から右サイドの森昂大にボールを広げると、ここから素晴らしい縦パスが入ったシーンである。

試合の流れで書いたように、西野長倉幹樹の背中側に消えてポジションを取っており、長倉がボールを見た瞬間に動き出すという素晴らしい動き出し。

言い方としては長倉がボールウォッチャーになった際に裏に抜けた…と言えるのだが、これはよくよく見ると違うんじゃないかとも見えるので考察してみる。

 

まずはポジションだが、この時には長倉が左サイドハーフの位置に入っており、本来の左サイドハーフである川本梨誉と入れ替わっている形。

ボールホルダーである森昂大川本がスライドしていくわけだが、左サイドには西野の他に児玉駿斗がいることがわかる。(下記図)

 

つまり左サイドハーフの位置にいる長倉幹樹としては、西野太陽がインサイドに流れることで出来るスペースである自身の裏をケアしなければならない。

このスペースを児玉駿斗に使われる可能性があり、西野のマークを他の選手に移して児玉が狙うスペースをケアする…というのは全くもって間違っていない…というかセオリー通りである。

(下記図のように、長倉西野についていくと〇印のスペースを児玉に使われる)

 

そのため長倉はパスが出る前に西野が入り込むスペースを指さしており、「そっち抜けるから頼むぞ」という指示を送っているように見える。

贔屓目かもしれないが、守備の選手ではないとは言え…守備面でもサッカーIQの高さを感じさせる長倉があっさりと裏を取られたとは考えにくい。

このジェスチャーも上記のように、しっかりと状況判断をした上で指示を出していると考えた方がしっくりくると言える。

実際にこのシーンでは、ゴール前の森海渡に対して城和隼颯がマンマーク気味でついており、柿谷曜一朗には酒井崇一が、大外の西谷和希には岡本一真がついている。

中塩大貴が余っており、長倉が自身の裏から内側に入り込む西野のケアを中塩に指示したと考えるのが妥当だろう。

もしかしたら中塩ではなく風間宏希に対して…の指示だった可能性もあるが、中塩にマークをスライドしたと考えるのがセオリーと思われる。

中塩も少し対応が遅れたようにも見えなくもないが、あの縦パスに対して西野が縦に抜け出してシュートを打つ…というものへの対応の仕方と考えられる。

角度は無いものの…クロスの可能性もあり、そちらを潰す方がセオリーとしても正しいだろう。

(下記図の〇スペース部分に抜け出されて右足を振られる…ということ)

 

それに対して西野の内側へのトラップのアイディアが素晴らしく、中塩としては裏をかかれたために対応が遅れたように見えたと考えられる。

予想とは違うプレーに対してもしっかりと対応し、股下を抜かれる形にはなったものの…シュートブロックに行けているということを考えれば悪い対応では無いと言える。

 

考察が正しいかはわからないが、この一瞬のシーンでもこれだけの思考が渦巻いておりサッカーは面白い。

また考え方のセオリーとしては群馬のディフェンス陣は決して間違っておらず、危険なシーンとなったのは西野太陽のアイディアがセオリーを上回ったから。

やはりDFはロジックで守るのが鉄則となり、OFは個のアイディアや技術でそれを上回るのが決定機の近道となることがわかる。

MOM

この試合のMOMは山中惇希としたい。

試合経過のところでも書いたが、本当に今シーズンは試合ごとに成長を見せているのが印象的。

もう少し右足が使えると右サイドに配置された際にプレーの幅が広がるだけでなく、左サイドでもプレーの幅が広がるというのはある…。

とは言え今最も期待値の高いサイドアタッカーと言えるだろう。

 

次点では城和隼颯の名前を挙げたい。

畑尾大翔がアクシデントなのか、当初からハーフタイムでの交代が予定されていたのかは不明だが…急遽代役となったと考えると見事に穴を埋めて見せたと言える。

惜しいセットプレーのどちらかを決めていればMOMだったのだが…。

DAZNでは見切れているだけの可能性もあるが、試合終了後の挨拶に畑尾がいなかったように見えるだけに…城和は次節もチャンスが与えられる可能性が高い。

畑尾の離脱となると痛いが、今日の内容を考えるとしっかりと城和が穴を埋めてくれそうである。

 

攻撃面では長倉幹樹が…特に前半はやはり能力の高さを見せてくれた。

後半はメンバーが変わったこともあり、本人だけのせいではないが少し失速した感もある。

しかし怪我明けということを考えると次第点以上と言え、彼の復帰は本当に大きな戦力アップと言える。

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