※ザスパクサツ群馬ファンによる、ザスパクサツ群馬贔屓のマッチレビューです。
開幕を見事な勝利で飾り、2戦連続でのホームでの試合となりました。
勢いこのままにスタートダッシュを決めたいところですが、対するは相性の良いとは言えない金沢。
そして開幕戦は非常に良い内容でもあっただけに、メンバー選考も含めてどう変えてくるのかも注目したいところです。
そんな第2節、ツエーゲン金沢戦をレビューします。
Contents
スタメン・フォーメーション
ザスパクサツ群馬
スターティングメンバー
ポジション | 背番号 | 選手名 |
GK | 21 | 櫛引政敏 |
DF | 2 | 城和隼颯 |
3 | 畑尾大翔 | |
24 | 光永祐也 | |
25 | 小島雅也 | |
MF | 7 | 加藤潤也 |
8 | 岩上祐三 | |
10 | 田中稔也 | |
33 | 細貝萌 | |
FW | 11 | 深堀隼平 |
30 | 山根永遠 |
ベンチ
ポジション | 背番号 | 選手名 |
GK | 1 | 清水慶記 |
DF | 4 | 川上優樹 |
5 | 藤井悠太 | |
MF | 14 | 白石智之 |
15 | 風間宏希 | |
41 | 中山雄登 | |
FW | 23 | 平松宗 |
スタメンは前節と全く変わらず。
ベンチは内田達也に代えて藤井悠太の1枚のみの変更となった。
まだ2試合目なので判断は早いだろうが、大槻監督も大きくメンバーは変えずに固定するタイプなのかもしれないといった印象を受ける。
また内田が外れて藤井ということで、内田が怪我やコンディション不良でなければ…恐らく内田はCBで計算されているように思われる。
そして前節に書いた守護神争いは2試合続けて櫛引政敏の起用ということで、現時点では櫛引が一歩リードしていると見て間違いないだろう。
また前節はFW登録だった光永祐也はDF登録に。
これは開幕戦ということで直前まで4-3-3なのか4-4-2なのかを絞らせない…という意図だったのだろうか?
ツエーゲン金沢
スターティングメンバー
ポジション | 背番号 | 選手名 |
GK | 1 | 白井裕人 |
DF | 4 | 松本大輔 |
5 | 松田陸 | |
16 | 毛利駿也 | |
39 | 庄司朋乃也 | |
MF | 6 | 松本大弥 |
8 | 藤村慶太 | |
10 | 嶋田慎太郎 | |
17 | 平松昇 | |
FW | 19 | 豊田洋平 |
20 | 林誠道 |
ベンチ
ポジション | 背番号 | 選手名 |
GK | 36 | 三浦基瑛 |
DF | 2 | 長峰祐斗 |
3 | 黒木謙吾 | |
MF | 13 | 大石竜平 |
22 | 力安祥伍 | |
FW | 11 | 杉浦恭平 |
30 | 大谷駿斗 |
対する金沢は実に6年目となる柳下監督。
今シーズン最大の目玉は地元の豊田陽平となり、まずはこのターゲットマンに楽にボールを収めさせないことが大事に。
そしてゴール前では持ち味の高さをいかに防げるか、というのが守備陣に求められるところ。
しかし金沢のFWというと、瀬沼優司の抜けた穴は大きいだろう。
また注目は右サイドバックの松田陸となり、彼の攻撃参加には注意が必要となってくる。
しかしこれまた左サイドバックだった渡邊泰基の移籍は痛いだろうが…ここは湘南から加入の毛利駿也が埋める形に。
試合経過
風下を選んだ群馬
まずは事前情報として、今日の正田醤油スタジアムは群馬らしく非常に風が強い日に。
いつも通りの北風となり、ホームのゴール裏からアウェイのゴール裏に強風が吹く展開となった。
それを考慮してか、コイントスで勝った細貝萌はコートを入れ替える選択。
金沢のキックオフでスタートすることとなった。
出足は風上の金沢が長いボールを使ってくるのに対し、群馬はしっかりと守って手数をかけない速い攻めを見せる。
開始早々に深堀隼平が裏に抜け出す姿も見せ、チームとしても前節同様に積極的に前に動いている印象がある。
5分、左サイドのスローインから山根永遠がボールを失うが…そのボールが中央に入ったところで小島雅也がしっかりとプレスに行く。
そしてその後のプレーを完璧に読み切った細貝萌がボールを奪取し、ファールを受けるが加藤潤也が回収したことでプレーオン。
結果としてその後攻撃は繋がらなかったものの、奪われてからの攻守の切り替えの早さは前節も感じた通り。
そしてレフェリーがしっかりと周囲の状況を確認しながら、プレーオンのジェスチャーをしたのが印象的だった。
持論ではあるが…良いレフェリーは流すところ流さず止めるところの判断が良く、流した場合は周囲にハッキリと伝わるように「プレーオン」の掛け声とジェスチャーを行う印象がある。
(もちろん掛け声とジェスチャーはルール上必須なのでどの審判もやるが、それがわかりやすいという意味)
7分には山根永遠がボールを回収したところから、一気に裏に抜け出す深堀隼平に良いスルーパスが入る。
これを深堀はワンタッチでシュートまで持っていくも、ミートせずに枠を大きく外すことに。
良い裏抜けだったが完全に抜け出したとは言えず…多少遅れたものの庄司朋乃也が後方からプレッシャーをかけたのも影響しているだろう。
しかし深堀らしい良い抜け出しと、奪った直後にその動き出しを見ていた山根と、チームとしての意思統一が見られるシーンだった。
12分には群馬左サイドからのコーナーキックというピンチを迎える。
デザインされたプレーだったのか、セットされたあとに1人だけスーッとニアに寄って行った庄司朋乃也にボールが入る。
庄司は頭で擦らせ、そのボールを松田陸が頭で合わせるも枠の外に。
松田は公式プロフィール上は175cmと、決して長身の部類ではないが…ヘディングは強い印象がある。
相手のミスを突いた決定機
序盤こそ群馬も良い攻撃を見せていたものの、段々と金沢のペースになってきた印象。
敢えて風下を選択した群馬としては、前半はしっかりと耐えて後半勝負というプランになるだろうか?
19分、相手のパスミスを回収した岩上祐三が一気に前線に長いボールを送る。
これは抜け出した加藤潤也に合わずにゴールキーパーまでいってしまうが、ゴールキーパーからパスを受けた松本大輔が足を滑らせてロスト。
KJが回収し白井裕人との1対1という決定機を迎える。
しかしGKの足元を狙ったシュートは白井が足に当ててスーパーセーブ。
正面に近く角度もあり距離も良かったが…あまりにもフリーで時間もあったが故に、できることが多過ぎてKJも少し迷ったようにも見える。
シュートスピードが少し足りなかったかもしれないが、セオリーとしては決して間違っていないGKの足元を抜くシュートだけに…これは白井を褒めるべきだろう。
また、あの展開であればパスを出す必要は全くないが…深堀がしっかりと右サイドにパスを受けられるようにフォローに来ているのも見逃してはならないポイントだろう。
22分には金沢の最終ラインに降りていた藤村慶太から、一気に逆サイドを駆け上がっていた松田陸にロングパスが通る。
トラップから…恐らくクロスだったと思うがシュート気味のボールが中に入るが、これはしっかりと櫛引政敏が抑える。
トラップが止まり過ぎて窮屈になったこと、また風の影響もあったかと思うが、これは非常にラッキーなシーン。
やはり松田陸の攻撃参加はこの試合でポイントになってくるだろう。
30分にはゴールキックからの組み立てで、自陣でパスを繋いでいるところで細貝萌がロスト。
回収した豊田陽平が風上を活かしてミドルシュートを狙うも、これは枠の上に。
嫌な失い方ではあったが、その後の田中稔也と岩上祐三の守備と切り替えの早さは良かった部分。
風下ということもあり、後ろから繋いでいくにはどうしても避けられないシーンではあるが…距離感を大事にしてこういったシーンは無くしていかないとならない。
細貝の危機察知能力とボール奪取力の高さ
34分には良い位置でフリーキックを与えてしまい、これを嶋田慎太郎が左足でニアを狙うもわずかに枠の外に。
ちなみにここまでの35分程度を見て、特に印象に残ったのが光永祐也の守備の向上。
開幕戦では裏を使われるシーンが目立ち、プレースタイルとしても守備よりも攻撃が持ち味のプレーヤーだとは思うが…この試合は非常に良い守備を見せている。
良い読みでコースを切り、パスカットやドリブル突破を防いでおり、しっかりと修正したきたことを感じさせてくれる。
39分には相手ゴールキーパーのパントキックを競り合う形で、岩上祐三が足を引っかけてイエローカードを受ける。
正直言って不必要なプレーであり、なんとももったいないカードであろう。
ポジションの特徴からカードが多くなるのは仕方ないが、それが故につまらないプレーでカードを貰ってしまうと…その後に響いてくる。
後半に向けて、タクティカルファールで止めなければならないシーンで…彼がやれば2枚目となってしまうわけで…。
そもそも今日の岩上は不調なのか、あまり良くない印象もある。
風下ということ、深堀という裏抜けが上手い選手がいること、その2点によって「奪ったら早いタイミングで前線に放り込む」という戦略なのだとは思うが…パスが合っていない。
良い時の岩上であれば前線の動きを確認してから蹴る余裕があるように見えるが、今日は見ないで蹴っているからFWの動きに合わないように思う。
レベルの高い、代えの効かない選手ではあるが…こういった時に途中で下げる判断ができるかどうか、というのも大槻監督には注目したいところ。
45分には自陣からショートパスで組み立てているところで、山根永遠のパスミスで失う。
奪った豊田陽平から嶋田慎太郎、林誠道とワンタッチでゴール前に迫られるも…戻った細貝萌がノーファールで後方からボール奪取に成功。
細貝らしい素晴らしいプレーだったと言えるが、個人的には影の功労者は城和隼颯。
城和がしっかりと時間をかけて林に対応したことで、細貝が戻る時間を作ることができた。
また、山根のパスミスは正直言って軽率だったと思うが…これはしっかりと金沢が形を作ってハメているとも言える。
畑尾大翔に入ってからの豊田の動きが全てであり、山根が豊田に気付かずに岩上のところに出してしまった…と言い変えられるだろう。
これは後ほど振り返りたい。
後半頭から風間の投入
後半は群馬のキックオフでスタート。
ハーフタイムで光永祐也に代えて風間宏希を投入し、どうやら小島雅也を左に回し、右サイドバックに岩上祐三を移すようである。
光永は悪くなかったと思うだけに…この交代の意図はわからない。
風上になるということで岩上を残しつつ風間を入れて、今までよりもしっかりと攻撃の形を作っていきたいということだろうか?
51分、金沢のフリーキックを跳ね返したセカンドボールに細貝萌が飛び込んでイエローカードを受ける。
このカードも正直不要であり、もったいないカードだったと思う。
こういった気持ちの入ったガツンといくタックルは細貝の持ち味ではあり、チームの士気を高めたり鼓舞したりと必要なシーンもあるだろう。
ただちょっとラフなタックルが多いというのが、昔から細貝の印象の一つにある。
特に群馬では彼の代わりはいないと言えるので、退場や累積による出場停止は気を付けてほしいところ。
このファールで与えたフリーキックだが、藤原慶太がファーに柔らかいボールを流し、大外の松本大輔が中央に折り返し、これを松田陸が頭で合わせる。
恐らく枠内に飛んだと思われるが、これは櫛引政敏がファインセーブでコーナーに逃れる。
完全にデザインされた金沢のセットプレーだったが…これはなんで松田陸がフリーだったのだろうか?
リプレイを見返すと、見失ったのは岩上祐三であるが…それ以上にここがポッカリと空いてしまっているのが気になるところ。
全選手が最後方で1列になってしまい、松田陸だけでなく庄司朋乃也や平松昇辺りが浮いている。
この辺りはまだ2戦目ということもあり、今後の課題として修正していくことになるだろうか。
54分には右サイドで獲得したコーナーキック。
蹴るのは前節同様に途中から入った風間宏希ということで、距離や角度にもよるだろうが…どうやらファーストキッカーが風間、セカンドキッカーが岩上となっているようである。
このコーナーはニアで山根永遠が競り勝ち頭で合わせるも、惜しくもボールはゴールキーパー正面にいってしまう。
そして同じく54分、金沢のビルドアップを加藤潤也が良いプレスでパスカット。
2CBの間を抜け出す形で深堀隼平がボールを受け、フォローに入ってきた庄司朋乃也に寄せきられる前にシュートまで持ち込むも…残念ながらこの左足はミートしなかったか力なくキーパーへ。
深堀としてはワントラップのタッチをもう少し長くしたかったか?
少し詰まった感があったようにも、軸足が多少スリップしたようにも見えるが…どちらにせよシュートに威力なく決定機を逃すことに。
しかしながらこの試合も2トップの守備は非常に良く、KJもポジションが前に移ったことで持ち前のラストパスが活きているように思う。
そして深堀は本当に裏への抜け方が上手い。
59分には松本大弥に中央を運ばれ、豊田陽平に楔でパスを入れ、そこから群馬右サイドに展開。
群馬右サイドに流れながら受けた平松昇が、更にその外の毛利駿也を使う。
毛利は追ってきた岩上祐三を交わし、中央の松本大弥に戻し、松本がミドルシュートを放つが枠の上に。
岩上は平松の対応をしながらパスに合わせて毛利にスライドしたために、ダイレクトでのクロスを最も警戒して飛び込んでしまったか?
結果としては簡単に当たりに行って交わされた形になってしまった。
この辺りは岩上をサイドバックで使うのであれば、目を瞑らなければならない部分になるだろう。
平尾壮の怪我は予想外だっただろうが…開幕前からサイドバック不足の声は出ており、補強できなかったのが響かないと良いが…。
プレスに苦しみ繋がらない群馬
62分金沢が最初の交代に動き、平松昇に代えて大谷駿斗を投入。
63分には自陣左サイド、小島雅也から一気に裏に抜けた深堀隼平にロングパスが出る。
これは風の影響もあったか、少し長くなってしまい相手GKまで流れてしまったものの…深堀の良いところであり続けていきたいところ。
小島も良く見えていたわけで、続けていけば合ってくるだろう。
後半は特に顕著だが…金沢のプレスがハマってきており、なかなかボールが前線まで運べない状況が続く。
それもあってか、この試合は加藤潤也が下りてきてボールを受けるシーンが目立つのも気になるところ。
昨シーズンの大前元紀の時もそうだったが、やはりもっと前で我慢をしていてほしいところである。
もちろん、我慢していてもボールが出てこないから触れるところまで下がってきてしまうわけではあるが…。
69分、セカンドボールを松本大弥に拾われ、繋いだところからリターンを受けミドルシュートを放たれる。
これがキーパーの目の前で落ちる形の見事なシュートとなり、櫛引政敏も弾くので精一杯に。
こぼれ球を豊田陽平が詰めており一瞬終わったかと思ったが…なんと豊田がバウンドに合わせられずシュートは真上に。
しっかりと詰めていた豊田はさすがだったが…予想以上にボールの跳ね返りが強かったか。
なんにせよ完全にやられた決定機を逃してくれる形になり、群馬としては救われる。
70分には群馬も交代に動き、田中稔也に代えて川上優樹を、深堀隼平に代えて平松宗を投入。
これにより川上が右サイドバックに入り、岩上祐三が一列上がってサイドハーフに入ることに。
金沢の大谷駿斗投入から、そのスピードを活かした攻め上がりで…岩上が守備に追われる時間が長かった。
そのため岩上が活きていなかったこともあり、大槻監督は大谷の対応に川上を入れ、岩上をもう少し攻撃面で活かしたい…という意図があるのかと思われる。
しかし川上は本当にサイドバックにコンバートとなるのだろうか?
75分にはそんな川上が積極的に前に上がっていき、左サイドの山根永遠からサイドチェンジのボールが川上に入る。
これを頭で中央に折り返すが、センターで待つ平松宗には合わず。
結果として合わなかった攻撃ではあるが、今までとは違う形の攻撃となり、変化を付けてきたという意味では良い攻撃だっただろう。
前節も思ったが、川上は単に守備固めだけでなくサイドバックとして攻撃参加も次第点なのが驚きである。
一言で言うならば「決定力不足」
77分には金沢も2回目の交代を行い、林誠道に代えて大石竜平を。
豊田陽平に代えて杉浦恭平を投入し、一気に2トップの両方を変更。
これで大谷駿斗が前に上がり、大石が左サイドに入るだろうか。
82分、金沢のスローインを見事な出だしで細貝萌が奪うも…この後のパスがミスパスとなりボールを失う形に。
カウンターで運ばれてピンチを迎えるも、ここは戻った細貝が自らのミスを帳消しにするフォローを見せる。
最終的には岩上祐三がボール奪取に成功し、前線の平松宗を走らせる縦パスを入れるが…これが通らない…。
84分には風間宏希のクリアボールを、自陣左サイドで加藤潤也が回収に成功。
山根永遠と2人で一気にボールを運び、カウンターの形で3対3の状況を作る。
加藤から中央の平松宗にクロスが上がるも、平松はニアにクロスはファーにと…双方の意思が合わない形に。
4人目として風間が中央に遅れて上がってきていたものの、逆サイドは誰も上がってこられず。
85分には群馬がハーフタイムを含めて3回目の交代を使い、加藤潤也に代えて白石智之を、岩上祐三に代えて中山雄登を投入。
白石は少し前から準備をしていたが、交代を待ち中山と同時に投入という形に。
これにより白石が左サイドハーフに入り、中山が右サイドハーフに、山根永遠がFWに入ることになる。
しかし攻撃時の形を見ると、平松宗を1トップに山根と中山が2シャドー、左に白石、右に川上と3-4-3気味にも見える。
89分にはハーフラインを少し超えた右サイドからのフリーキックを獲得。
時間が時間ということもあり、CBも前線に上げて得点を狙いに行く。
風間宏希のキックはペナルティスポット辺りに入り、これを畑尾大翔が競りマイボールに。
そして右の平松宗に送り、キーパーと1対1のチャンスを作るも…シュートはふかして枠の上に。
キーパーが出てきたこともあり、軽く浮かせてループを狙ったのか…単にふかしたのかはわからないが…サッカー経験者は結構思い当たる節があるだろう…あるあるな外し方である。
金沢は逆サイドでDFが1枚ボールウォッチャーになり残っていたのでオフサイドは無く、時間帯を考えても絶対に外してはならない決定機だった。
90分には金沢が最後の交代を使い、嶋田慎太郎に代えて力安祥伍を投入。
直前の決定機を外してしまうと…これまたサッカーあるあるではあるが、逆にピンチを迎えるものである。
90分、センターライン付近から松本大弥が一気に長いボールを供給。
ここに抜け出していたのは大谷駿斗であり、畑尾大翔が下がりながら対応するも…風の影響があったか落下点を読み違えて足で触ることができず。
そのまま大谷に渡り、ワントラップから強烈なシュートを放たれるも…これを見事な反応で櫛引政敏がセーブ。
右手一本で触りコーナーキックに逃れる。
櫛引のスーパーセーブに間違いは無いが、これがいわゆる中途半端な高さへのシュート。
違う角度からのリプレイが無かったので断言はできないが、1対1で止められてしまうシュートの典型だと思う。
決めるためにはもっと上を抜くか、速いシュートで転がすなどで下を抜くか。
もちろん繰り返すが、櫛引のビッグセーブなことは間違いない。
そしてこのコーナーキックは後ろから飛び込んできた松本大輔が、畑尾大翔の上をいき頭で合わせるがバーの上に。
93分には金沢のカウンターを浴び、一気に群馬左サイドに展開されてしまう。
そのまま大石竜平がシュートに持ち込むも、これは櫛引の正面となり弾き返すことに成功。
セカンドボールも拾われてシュートを打たれるが、枠を外れるという形に。
形としては勝ちを狙って前がかりになっているところで、失ってカウンターを浴びる形ではある。
しかし個人的には引き分け狙いの試合よりも、最後まで勝利を狙うこの展開は面白いと思う。
そして結果として、カウンターで沈むことがあるのは仕方ない範疇だと思っている。
94分が経過しタイムアップ。
両チームともに決定機を活かせず、決定力不足という形で痛み分けとなった。
ピックアップポイント
45分 金沢の前線からのプレス 豊田の動き
前半45分、山根永遠のパスミスからピンチを迎えたシーンを振り返りたい。
恐らく初めて相手チームのプレーを取り上げると思うのだが、豊田の動きが見事だったのでこのシーンを紹介したいと思う。
まずは群馬が自陣でボールを回していて、城和隼颯から右サイドの小島雅也に。
小島は良い判断で1つ飛ばして畑尾大翔に戻し、その時の状態が下記の図である。
DAZNで見返しているので、画面外の選手配置は想像が含まれているのをご了承頂きたい。
(この試合いつもよりカメラが近かった気がするが…どうだろうか?)
畑尾にボールが入ったことで、チェックに行ったのが豊田陽平。
畑尾は右サイドがダメだったので、フォローに下りてきた光永祐也を使い逆サイドである左サイドへ展開。
光永がボールを受けた時の配置がこんな感じ。
光永にボールが入った段階で、豊田は周囲をよく確認しているのに注目してほしい。
2トップということもあり、光永には林誠道がチェックしに行ったわけだが…ここで豊田はフォローに下りてきている岩上祐三を発見している。
まずは光永から直接岩上に出されることを考えて、スピードを上げてコースを消しに入っているのがポイント。
光永はそのまま同サイドを大きく使うべく、下りてきた山根永遠を選択。
光永が外を向いたことで豊田は一旦速度を落とすが、山根からのパスコースを切るべく再びスピードを上げて岩上との間に入る。
そして狙い通りに山根からのパスを回収してカウンター…ということである。
山根は豊田の動きが見えていなかったのか、はたまた大きく前線に蹴りだすつもりがキックミスとなったのか…。
恐らく前者だと思われるが、嶋田慎太郎がチェックにきていたこともあり岩上とのワンツーで抜け出すつもりだったのかもしれない。
しかしボールの出しどころをを限定し、左サイドに追い込んでから…という見事な金沢のプレスのかけかただった。
山根が大きく前線に蹴りだしたところで、金沢ボールとなる可能性は高かっただろう。
安全な出しどころは、小島の時と同じく光永を飛ばして畑尾に戻すところしかなく、いわゆる振り出しに戻る形に。
実に金沢のプレスが効いていることがわかるプレーだったと思う。
MOM
この試合のMOMは…櫛引政敏としたい。
ヒーローインタビューも櫛引だったように、恐らく多くの方が群馬からは櫛引をMOMに選ぶのではないだろうか?
そのくらい価値あるビッグセーブを複数回見せてくれたと思う。
スーパーセーブは改めて振り返る必要もないと思うが、櫛引のプレーで気付いたのはキックの精度とパンチ力。
足元が上手い…と言うと少し違う気がするが、止まっているボールのキック精度は非常に良い物がある。
そして向かい風をものともしない、非常にパワーのあるキックが特徴的だった。
これは清水慶記には無いアドバンテージと言えるだろう。
また開幕戦は横からのクロスボールを、ことごとくパンチングで対応している印象があった。
この辺りは好みの問題もあるが、キャッチにいってこぼすのが最悪であり、それを防ぐために最初からパンチングで対応というのも一つの手。
ただしキャッチできれば相手の攻撃を切ることが可能となり、成功するならばパンチングよりも魅力があるのも事実。
開幕戦では「なるほど、パンチを多用するタイプか」と思ったが、この試合では比較的キャッチするシーンが目立ったように思う。
まだ2試合なので、この点は今後も気にして見ていきたいポイントとなるだろう。
繰り返すがどちらが良いということではなく、考え方の違いと言うかプレースタイルの違いを気にして見ていきたい。
強いて言えば…個人的にはキャッチにいくキーパーの方が好みではある。
最後にもう一つ触れたいのが城和隼颯。
52分に松田陸のヘディングシュートをファインセーブで櫛引が止めているが、アディショナルタイムのスーパーセーブまでは城和をMOMにしようかなと考えていた。
どちらかと言うと畑尾大翔の方が目立っている印象のあるCBだが、この2試合非常にそつなくこなしたと思う。
派手なプレーは無いが基本に忠実に、地味ながら抜群の安定感で最終ラインを支えた…というのが個人的な城和の評価。
地味なのはポジショニングが良いから…と言い変えることもできると思う。
昨シーズンは怪我もあって出場機会があまり無かったが、今期はブレイクの年になることに期待したい。
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