※ザスパ群馬ファンによる、ザスパ群馬贔屓のマッチレビューです。
第20節はホームでのレノファ山口FC戦。
前節はアウェーで栃木との北関東ダービーでしたが、両チームの現状もあってか…あまりダービーらしさの無い試合となりました。
もはや全ての試合を勝つ…くらいの勢いが必要な状況となっているだけに、残留争いの直接のライバルとも言える栃木に引き分けで終わったのは痛すぎると言えます。
しかしこれで3試合負けなしとも言え、少しずつではあるものの上向いてきたかもしれません。
今節は天皇杯に続いて1週間で2回目となる山口戦。
好調山口が相手となりますが、同じ相手に3敗というのは避けたいところ。
今回はそんなレノファ山口FC戦をレビューします。
Contents
スタメン・フォーメーション
ザスパ群馬
スターティングメンバー
ポジション | 背番号 | 選手名 |
GK | 21 | 櫛引政敏 |
DF | 2 | 城和隼颯 |
3 | 大畑隆也 | |
29 | 田頭亮太 | |
36 | 中塩大貴 | |
50 | 菊地健太 | |
MF | 6 | 天笠泰輝 |
7 | 和田昌士 | |
15 | 風間宏希 | |
FW | 8 | 髙澤優也 |
14 | 川本梨誉 |
ベンチ
ポジション | 背番号 | 選手名 |
GK | 42 | 石井僚 |
DF | 24 | 酒井崇一 |
MF | 10 | 佐藤亮 |
22 | 高橋勇利也 | |
FW | 11 | 杉本竜士 |
23 | 平松宗 | |
40 | 佐川洸介 |
群馬は前節から2枚を変更。
前節一発レッドによって出場停止となっている川上エドオジョン智慧のところに田頭亮太を起用。
そして直近の天皇杯で良いプレーを見せた大畑隆也が酒井崇一に代わって起用されることとなった。
ベンチに関してはメンバー変わらず(酒井と大畑の入れ替えのみ)
結果的に前節からはエドと田頭の入れ替えのみとなり、天皇杯でニューヒーローが出てこなかったのが残念で仕方ない。
放送が無かったために試合は見れていないが、ハイライトや情報では「起用されないのには理由がある」といったところだろうか。
今回メンバー外の選手の中では、中野力瑠や細貝萌は比較的良かったとのことでありここは試してほしいと思っているのだが…。
レノファ山口FC
スターティングメンバー
ポジション | 背番号 | 選手名 |
GK | 21 | 関憲太郎 |
DF | 3 | ヘナン |
6 | キム ボムヨン | |
15 | 前貴之 | |
10 | 池上丈二 | |
MF | 16 | 吉岡雅和 |
37 | 田邉光平 | |
48 | 新保海鈴 | |
9 | 若月大和 | |
FW | 20 | 河野孝汰 |
24 | 梅木翼 |
ベンチ
ポジション | 背番号 | 選手名 |
GK | 1 | チェ ヒョンチャン |
DF | 13 | 板倉洸 |
MF | 18 | 相田勇樹 |
68 | 野寄和哉 | |
FW | 7 | 加藤潤也 |
19 | 山本駿亮 | |
94 | シルビオ ジュニオール |
対する山口は前節(リーグ戦)からスタメンの変更は無し。
ベンチメンバーは3人を入れ替えて…ということになった。
注目は前回対戦で2ゴールを奪った河野孝汰。
この左サイドは新保海鈴が高い位置を取ることもあり、やや河野は内側でプレー。
新保も攻撃的な選手だけにこの左サイドをいかに止めるか…というのは1つのポイントになりそうな予感。
他にはやはり2トップの梅木翼と若月大和。
梅木にも前回対戦でやられたのを思い出す…。
ベンチを見るとKJこと加藤潤也がいるが、田中稔也は残念ながら天皇杯のみで今回はベンチ外。
KJは今シーズン出番に恵まれておらず、山口の層の厚さを感じるところ。
夏の移籍期間でKJにオファーしてみたら…どうだろうか?
試合経過
【0~15分】序盤から山口が押し込む時間に
前半は群馬のキックオフでスタート。
0分、開始早々に右サイドの田頭亮太からファーにクロスを送り込むが、これは精度を欠き直接ゴールラインを割ってしまう。
最後の精度…ではあるが、試合の入りとしては良い入り方が出来たと言えるだろう。
2分、若月大和が持ち出したところを天笠泰輝が潰しにいくが、こぼれ球は田邉光平の下に。
天笠のところがファールだったようだが、これは田邉が回収したこともありプレーオンで流す判断。
やや前に持ち出してから強烈なミドルシュートを狙っていくが、ここは櫛引政敏がしっかりとセーブする。
9分、田邉光平から浮き球のパスがDF裏に送られると、池上丈二がワントラップからカットインを狙う。
ここは中塩大貴が対応したが、こぼれ球が若月大和の下に。
中に切れ込むと見せかけ右に持ち出し、右足を振り抜くが…これは城和隼颯がブロックしてコーナーに。
池上のところでの中塩の対応はかなり怪しいが…ノーファールだったのか、流したのか?
13分、群馬のクリアボールをヘナンがインターセプトし新保海鈴に送る。
新保から河野孝汰へ送り、これをダイレクトで落とすと池上丈二がミドルを狙うも枠の外に外れていく。
15分、田邉光平から良いパスが若月大和に送られる。
城和隼颯がチェックに行くがこれを若月が剥がしシュートに持ち込むが、中塩大貴がスライドしてフォローしておりコーナーキックに逃れることに成功する。
田邉からのパスが良かった…と言うか若月が良い位置でボールを受けたので、かなり危ないシーンだった。
【15~30分】見事なパスワークで崩される
18分、左サイドの高い位置でスローインを獲得すると、中塩大貴がロングスローと見せかけて短く始める。
縦の位置で髙澤優也が引き出すと中塩にリターン。
中塩がゴール前、ニアサイドにクロスを送り込むと和田昌士が飛び込むも…ここは前貴之へのファールを取られてしまう。
ファールにはなったがクロスの精度は素晴らしく、和田も良い入り方をしており得点の匂いのしたシーンであった。
21分、中盤の競り合いで天笠泰輝がボールを突くことに成功するも…これが若月大和への良いボールとなってしまう。
若月からのクロスに梅木翼が飛び込むも、ここは大畑隆也が身体を張ってブロック。
こぼれ球を櫛引政敏がしっかりと抑えてピンチを脱する。
山口サイドは大畑のハンドをアピールしているが、確かに手には当たっているもののこれはノーハンドで良いだろう。
よく身体を張ってスタメン起用に応えた形となった。
25分、関憲太郎からのロングボールは中塩大貴が跳ね返すも、このボールを池上丈二がダイレクトで前に送る。
これを若月大和が菊地健太を背負いながら右足アウトで流すと、梅木翼が触ったか触らなかったか?
やや重なる位置関係にいた河野孝汰が回収すると、自身の裏を回った若月に向けて横に落とす。
若月からダイレクトで縦に流れた梅木に送り、梅木がダイレクトで丁寧に落とすと、やや距離はあったもののダイレクトで左足を振り抜く。
このシュートが見事なコントロールショットとなり、櫛引政敏の手も届かないサイドネットに吸い込まれて先制を許してしまう。
素晴らしい山口の連携だったが…とにもかくにも若月が凄かった。
池上からのダイレクトできたパスを右アウトでフリックするアイディア、絶妙なタッチで梅木に付けた縦パス、見事なシュート…全てがパーフェクトであろう。
28分、中塩大貴からのロングボールを川本梨誉が受ける。
カットインから和田昌士に送ると、和田は更に田頭亮太へと逆サイドに広げていく。
田頭は縦には仕掛けず風間宏希に戻すと、これをダイレクトでゴール前にクロスを送り込み髙澤優也が競り勝つも枠の外に…。
前節も良いロングボールが中塩から出ていたが、この試合もやっと良いボールが出たと言える。
川本がある程度マイボールに出来ているところもあるので、これは続けていきたいところだろう。
【30~45分】決定機を外してくれ首の皮一枚繋がる
40分、右サイドでコーナーキックを得ると、キッカーは風間宏希。
ニアに送られたボールに城和隼颯が合わせるも、このヘディングは枠の上に外れてしまう。
良い形でフリーで入れただけに…これは枠に送りたかったところ。
42分、右サイドの高い位置でスローインを獲得すると、田頭亮太がロングスローを放り込む。
良いボールが入ったが…競り勝てずにボールは再び田頭のところに。
田頭がクロスを狙うが寄せた吉岡雅和の足に当たったようで、ボールは良いところに入らず若月大和が回収。
若月が素早くスペースに抜け出した吉岡にロングボールを送ると、受けた吉岡はグラウンダーで中央の河野孝汰にパスを送る。
これが大畑隆也の股を抜く形となった不運もあり、ボールは河野に通ってしまいキーパーと1対1に近い状況に。
絶体絶命のピンチだったが、このシュートは枠の右に外れていく。
ここまで複数得点の無い群馬としては、2点差になったら終わりとも言え…なんとか首の皮一枚繋がりハーフタイムを迎えることとなった。
【45~60分】山口の3枚代え
後半は山口のキックオフでスタート。
ハーフタイムでの交代は両チーム無くリスタートとなった。
45分、天笠泰輝から髙澤優也へパスを送ると、髙澤はこれを菊地健太に広げる。
健太の裏をオーバーラップした天笠を囮に、健太はゴール前にクロスを送り込むと髙澤が頭で合わせるも枠の外。
ニアの髙澤、中央に和田昌士、ファーには川本梨誉と3枚がゴール前に入り込めており、非常に良い形を作れたと言える。
47分、若月大和が素晴らしい切り返しでファールを誘って、ペナルティエリアやや外でフリーキックを与えてしまう。
これを池上丈二が直接狙っていくが、これは落ち切らずに枠の上に外れていく。
58分、山口ベンチが先に動き、池上丈二に代えて相田勇樹、河野孝汰に代えて野寄和哉、若月大和に代えて山本駿亮を投入。
勝っている側が一気に3枚代えという大きな変化をもたらす。
交代させれば良いというものではないが…武藤監督も動きが遅めのタイプである。
負けているかつ上手くいっているとは言い難いだけに、こういった思い切った采配が必要なのは群馬の方ではないだろうか?
【60~75分】群馬の時間帯を作るも決定機は作れず
61分には群馬ベンチも動き、和田昌士に代えて佐藤亮を投入する。
下がる際の和田のやや不満気な表情が印象的だったが、この試合は和田のJ通算200試合のセレモニーも行われており…和田としては最後までプレーしたかったところだろうか。
要所要所では効果的なプレーを見せていただけに、あとはその数をもっと増やしていきたいところ。
69分、左サイドでコーナーキックを得ると、キッカーは佐藤亮。
このボールを大畑隆也が合わせるが枠には飛ばせず。
しかし落下点で天笠泰輝が滑り込みながらシュートするも、これは城和隼颯に当たりこぼれ球は大きくタッチラインに蹴りだされてしまう。
この後もスローインから比較的長い時間チャンスは続くものの、シュートまでは打たせてもらえず。
最後には良いボールをゴール前に送り込むも、ここは先にヘナンが足を出し、こぼれ球をキーパーにセーブされてしまう。
71分、山口ベンチが動き、吉岡雅和に代えて加藤潤也を投入。
73分には群馬ベンチも動き、髙澤優也に代えて佐川洸介、川本梨誉に代えて杉本竜士を投入する。
立ち位置は逆となったものの、どちらも最前線にそのまま入る形となった。
【75~90分】攻撃に人数をかけるも崩しきれず
79分には山口ベンチが最後の交代を使い、田邉光平に代えて板倉洸を投入。
これにより板倉を中央に置く3バックに変化。
言い換えると5バックにして残り時間をしっかりと守り切るというメッセージのある交代となった。
82分、山口が左サイドの高い位置まで侵入するが、点差や時間帯もあり強引には仕掛けてこない。
しかし良い動き出しで加藤潤也が新保海鈴からボールを引き出すと、右アウトサイドで前方にフリック。
ここに前貴之が抜け出すとダイレクトで折り返すが、これはややKJには合わず。
ややマイナス気味で合わなかったが、KJが回収し横に落とすと野寄和哉がグラウンダーのシュートを放つが大畑隆也がブロックする。
83分には群馬ベンチも交代カードを使い切り、田頭亮太に代えて平松宗、風間宏希に代えて高橋勇利也を投入する。
田頭に代えて平松ということで…並びがどうなるのかと思ったが、どうやら4バックに変更する様子。
今までの5バックから田頭が外れ、そのままやや右にスライドする形と言える。
(右から大畑、城和、中塩、菊地の4バック)
中盤は風間の位置に勇利也がそのまま入り、1アンカーは継続。
右のインサイドハーフに佐藤亮、左に天笠泰輝という中盤の形は変わらず。
最前線の頂点に佐川洸介、右に平松、左に杉本竜士と、4-3-3になり前線を1枚増やす形となる。
残り時間は群馬が人数をかけて攻撃を展開するところまでは出来たものの、固く守る山口の守備は崩せず。
最後まで崩すことができずにタイムアップとなった。
ピックアップポイント
戻る戦術
3試合連続でのドローからこの試合で再び敗戦となったわけだが…この試合は以前のサッカーに戻ってしまった印象を受けた方も多いのではないだろうか?
負け試合だけに上手くいかなかった部分が多く、それにより停滞…という印象は受けるのは事実だが…中身も以前のサッカーに戻りかけているように思う。
せっかく勝ててはいないものの3試合続けて勝点を奪えたのに…という想いが強い。
具体的にはとにもかくにも後ろに重すぎる重心。
5バックとなりMFの3枚も下がることで前線の2枚が孤立している。
川本梨誉は良い形でボールを収めるシーンも見られたが、フォローが無いためにその後に奪われてしまう…ということが目立った。
髙澤優也に至ってはそういったプレーを得意としているタイプでもないために、完全に空気と化していたように見える。
(髙澤が光ったのは自身はゴール前に入り込み、外からのクロスを頭で合わせる…といったシーンだけだった)
試合後のインタビューで武藤監督が、5バックで山口のサイドを高く引きつけ、その裏のスペースを狙う…という話をしていた。
しかしそれが上手くいったのは28分にあった、中塩大貴から左サイド裏のスペースでロングボールを川本梨誉が受けた1つくらいではないだろうか?
とにかくもっと重心を上げる必要があり、やっとDFラインも勇気を持って上げられるようになっていたのに…というところ。
群馬の戦力を考えると、「しっかりと守ってカウンターで1点」というサッカーは決して間違っていない。
まずは守備からしっかりと入り、90分守り切って勝点1を得る。
チャンスがあれば沈めて勝点3を得る…という狙いは良いと思うのだが…点を取られてからも形が同じままというのが解せないのである。
スコアが動いてからは5バックである必要は薄く、もっと前に人数をかけて攻撃に厚みを作らなくてはいけない。
得失点差は大事だが…0-2や0-3になるリスクを負ってでも1-1を目指さなければ勝点は奪えないのである…。
もはや得失点差をどうこう言っている段階ではなく、例え大量失点したとしても…ゴールを奪いにいく姿勢を見せなければいけない段階ではないだろうか?
疑似カウンターを狙っている割に…カウンターに切れ味が無く、すぐに後ろに下げてしまうのも問題ではあるが…。
MOM
この試合のMOMは川本梨誉としたい。
恐らく賛否両論あると思うが、個人的にはこの試合の川本は高く評価したい。
確かにボールロストが目立ち、チャンスを作れないシーンは多かった。
シュートシーンがあったのか?というところもあり、得点機会に絡んだとも言えないだろう。
しかし完全に間延びして孤立した状態で、守備陣からのボールを収めるシーンが多かった。
ガチガチのポストプレーヤーというタイプではないだけに、身体を使ってのキープというよりも、良いタッチで前を向こうとするシーンが多かったように見える。
その仮定でボールを失うシーンも多かったが、根本的に川本以外ではクリアボールをマイボールにすることすらできない。
もう少し攻撃への切り替えが早くなり、厚みを増やして川本へのフォローも多くなれば攻撃の形を作れそうな感じを受けたのが選出した理由である。
次に大畑隆也の名前を挙げたい。
天皇杯に続いてスタメン起用となったが、やはり大畑のポジションはここだろう。
チーム事情は理解出来るが…右WBで起用されたことで不当に評価を下げてしまったというのを証明してみせたと言える。
酒井崇一とはタイプが違い、派手さはないもののミスもやらかさないタイプと言えるだろうか?
90分通して安定した強度の高い守備を見せてくれた。
酒井と大畑でポジション争いするも良いし、どちらかが中央で使えれば城和隼颯を休ませることもできる。
少なくとも3CBに対して、計算できる駒が4枚いるということは大きいだろう。
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