※ザスパクサツ群馬ファンによる、ザスパクサツ群馬贔屓のマッチレビューです。
前節はプレーオフ圏内確定を狙う熊本との試合でしたが、山口戦を思い出させるような大敗という結果に…。
しかし山口戦後の大事な大宮戦で勝点3を獲得した…という流れがあっただけに、残留に向けての天王山とも言える岩手戦に向けて何かデジャヴのような気も。
とは言えもう勝つしかない岩手に対して、引き分けでも…最悪最終節の結果次第でも残留が可能という…本来ならば非常に有利な状況が悪さをしそうな予感も。
更にはシーズンを通して苦手としている3バックを相手に、ホーム最終戦で今シーズンの集大成とも言える試合を見せることができるのか?
今回はそんないわてグルージャ盛岡戦をレビューします。
Contents
スタメン・フォーメーション
ザスパクサツ群馬
スターティングメンバー
ポジション | 背番号 | 選手名 |
GK | 21 | 櫛引政敏 |
DF | 2 | 城和隼颯 |
3 | 畑尾大翔 | |
19 | 岡本一真 | |
25 | 小島雅也 | |
MF | 7 | 加藤潤也 |
8 | 岩上祐三 | |
33 | 細貝萌 | |
42 | 高木友也 | |
FW | 9 | 北川柊斗 |
28 | 長倉幹樹 |
ベンチ
ポジション | 背番号 | 選手名 |
GK | 44 | 山田晃士 |
DF | 4 | 川上優樹 |
50 | 平尾壮 | |
MF | 27 | 奥村晃司 |
FW | 23 | 平松宗 |
40 | 鈴木国友 | |
47 | 川本梨誉 |
群馬は前節から2枚を変更し、前節得点を決めた北川柊斗がスタメンに。
更にはコロナで大量離脱となった時期に離脱し、その後なかなか復帰しなかった長倉幹樹がスタメンに復帰した。
(離脱期間を考えると、恐らく長倉は怪我があったと思われる)
ベンチには前節前半で…敢えてこう書くが…交代させられた平松宗が。
平松としては何としても途中から出場機会を得て、前節の雪辱を果たしたいところ。
更には鈴木国友、川本梨誉とFW3枚を入れた辺りにこの試合を勝ちにいく姿勢が見える。
いわてグルージャ盛岡
スターティングメンバー
ポジション | 背番号 | 選手名 |
GK | 19 | 松山健太 |
DF | 3 | 戸根一誓 |
4 | 牟田雄祐 | |
6 | 甲斐健太郎 | |
MF | 14 | 小松駿太 |
17 | 中村太亮 | |
18 | 宮市剛 | |
45 | 和田昌士 | |
FW | 11 | ブレンネル |
22 | 奥山洋平 | |
27 | オタボー |
ベンチ
ポジション | 背番号 | 選手名 |
GK | 41 | 野澤大士ブランドン |
DF | 37 | 深川大輔 |
MF | 5 | 石井圭太 |
46 | 中村充孝 | |
49 | 中野雅臣 | |
FW | 10 | クリスティアーノ |
13 | 色摩雄貴 |
岩手も前節から2枚代えとなり、ブレンネルとオタボーをスタメンから起用。
対してクリスティアーノはベンチからのスタートとなった。
ここ5試合勝ちが無い…という状況ながらも、夏に加入したクリスティアーノを筆頭に外国人トリオの攻撃力には注意が必要である。
そして宮市剛と中村太亮の両WBは、高さも速さもあるということで…群馬のウィークポイントであるサイドからのクロス…という展開には気を付けたいところとなるだろう。
試合経過
【0~15分】ボールを持ち攻勢となった序盤
前半は岩手のキックオフでスタート。
試合前の予想では長倉幹樹が前、加藤潤也が右サイドというものが多かったが…やはり長倉が右、KJが前に入ることとなった。
とは言え相変わらずKJはある程度自由に動けるようで、攻撃時も守備時も1.5列目のような立ち位置を取っていることが多い。
開始から5分頃までは比較的動きが無いと言うか…特に勝つしかない岩手に固さを感じる印象。
やはり失点しないことが第一となり、ある程度群馬がボールを持ちながら進めるものの決定機は作らせない…という状態になっている。
9分には最前線の北川柊斗が身体を張ったキープからファールを貰ってマイボールに。
このプレーが直接チャンスに…というシーンでは無いが、前節に続いて北川はこの試合でもしっかりと起点になれそうな存在感。
あまりポストプレーが上手いという印象は無かったものの、天皇杯で見せたポストプレーは見事だった。
そして前節、今節とそれを思い出させるようなプレーで攻撃の起点となっている。
11分、小島雅也から縦の高木友也に入れると、ここで加藤潤也とのワンツーから縦に抜け出す。
少しボールは欲しかった位置よりもマイナスになったと見えるが、上手く速度コントロールからダイレクトでニアに低いクロスを送る。
これを北川柊斗がドンピシャで合わせネットを揺らすも…これは枠の外。
ゴールまで距離が無く、ニアに入り過ぎたこともあり角度が無かったと言えるが…悪くないシーンとなった。
【15~30分】北川の2試合連続ゴール
17分、右サイドで得たコーナーキックを蹴るのは岩上祐三。
ここはショートコーナーを選択し高木友也に送ると、高木はそれを後方中央の細貝萌へ。
細貝から更にサイドを逆に広げ、下りてきた畑尾大翔に送るとダイレクトでファーサイドへ。
コーナーを蹴った岩上がそのまま右サイドに残っており、このボールを最奥で競り勝つと加藤潤也が見事なキープから反転して低く速いクロスをゴール前に。
これを北川柊斗が合わせて先制点を奪取。
KJは恐らく中を見えていてのパスでは無いと思うが…北川の動きは見事の一言。
基本ではあるが前に出る動きを見せ、DFがボールの方を見た瞬間に止まるor下がることで自身の前にスペースを生み出して見せた。
そして何節だったか忘れたが、この形のコーナーは以前にも見たことがある。
練習で何度もやっているであろう、しっかりとデザインされたショートコーナーだった。
(調べ直してみたが第29節の甲府戦の先制点となったプレーと同じ形)
22分、岩手が右サイドでコーナーキックを得ると、こちらのキッカーは中村太亮。
インスイングで巻きながら落ちる見事なボールをファーに放り込むと、これを奥山洋平が合わせるも枠をわずかに外れる。
櫛引政敏が予測を外したのか、想像以上にボールが伸びたのか…わからないが出かかって止めるという危ないシーン。
逆に言えばそれだけ良いボールが入ったと言える。
またこのゾーンを守る小島雅也の前に飛び込まれる形となっており、ここも今一つシーズンを通して改善されない部分ではある。
奥山の後ろから牟田雄祐も飛び込んでおり、体勢としては牟田の方が理想的だっただけに…重ならずに牟田が頭で合わせていたら危なかった。
続く23分、前線で北川柊斗がボールを受けるも…ここは早い寄せから潰されてしまう。
回収した小松駿太から縦のオタボーに付けると、これを右前にいたブレンネルに。
ブレンネルは右サイドをオーバーラップする宮市剛へ浮き球を送り、これを宮市が頭で落としてオタボーがネットを揺らすも…これは宮市のところでオフサイドの判定。
ブレンネルのところで畑尾大翔が良い対応をして少し時間をかけさせたことで、宮市はオフサイドポジションに。
城和隼颯もしっかりとラインを見ており、ネットは揺れたものの危なげないラインコントロールだっただろう。
【30~45分】決定機も決めきれず 前半でゲームは決まらず
33分には岩手にフリーキックが与えられるが…この細貝萌のプレーはファールだろうか…?
このフリーキックも中村太亮から非常に良いボールが入るが、ここはしっかりと跳ね返しに成功しこぼれ球を打たれるも枠の外に。
35分には加藤潤也が右に抜け出し、入れ替わった形となった長倉幹樹に向けてファーへクロスを送る。
これは合わなかったものの、再び回収してから北川柊斗がポストとなり落としたボールを岩上祐三が積極的に狙う。
このシュートは枠の上となるが、このシュートの積極性はシーズンを通して出したかったところだろう。
40分、和田昌士から縦へのアバウトなボールが入るが…これをブレンネルが畑尾大翔と競りながらも強引にゴール前に。
しかしこのボールは先に飛び出した櫛引政敏が回収し難を逃れる。
この時に櫛引とブレンネルの間で少し接触があったようだが…幸い櫛引に怪我は無さそうな程度の接触。
畑尾もしっかりと対応してはいるものの、ブレンネルが重戦車のごとくゴールに迫るというフィジカルの強さを見せた形となった。
ブレンネルと櫛引が一緒に写ると…一瞬サッカーではなくラグビーかと思うくらいに両者ガタイが良い…。
47分、左サイドのスローインを小島雅也がロングスロー気味に縦に入れる。
これを北川柊斗が頭で後ろに流すと、加藤潤也が追うもここは跳ね返される。
しかし跳ね返りを高木友也が頭で再びKJに送ると、ワンタッチで縦に仕掛けようとするが…これは対峙した牟田雄祐に当ててしまう。
だがKJはここからが凄かった…。
牟田に当たって返ってきたボールをヒールでコントロールすると、そのまま左足で牟田の裏に丁寧な優しいパスを落とす。
ここに高木が抜け出すと、中の長倉幹樹の動きをしっかりと見てから狙いすましたスルーパスを通す。
ドンピシャのタイミングで長倉が合わせるも…これを松山健太がファインセーブで止め、こぼれ球はクリアされてしまう。
リプレイを見ると長倉は恐らくオンサイド。
キーパーに当ててしまったかと思ったが、どうも松山が左足でセーブしているようで…この決定機を決められなかったのは痛すぎるがキーパーを褒めるべきだろう。
クリアボールを細貝萌が回収するも、右サイドに広げようとしたパスをオタボーが足に当てたところで前半終了。
良い形で前半を進められただけに、ここで2点差にできなかったのが後半に響きそうな予感。
【45~60分】わずか5分で3ゴール
後半は群馬のキックオフでスタート。
2点を追う岩手がハーフタイムで2枚代えとなり、オタボーに代えてクリスティアーノを、和田昌士に代えて中村充孝を投入する。
早々の45分、ロングボールが跳ね返されたこぼれ球を岩上祐三が左足でロングシュートを狙う。
枠には行っていたものの、得点には繋がりそうにないシュートではあったが今日の岩上の積極性は素晴らしい。
ここまで他のシーンでも良いプレーが目立ち、コンディションの良さを感じさせるシュートとなった。
46分、左サイドを高木友也が抜け出すと…縦への突破だけでなくペナルティエリア内に切り込む。
そこからニアに低く速いクロスを送り北川柊斗が合わせるも、ミートせずにキーパーに当ててしまう。
これがポストに当たり北川も詰めに行くが、松山健太がボールを引きずりだして自分の懐に。
決定機過ぎたが故に北川の詰めが甘かったのは事実だが…松山の執念が上回ったとも言える。
前半終了間際と合わせて、この大事な時間に2つ決定機を逃したのは痛過ぎる…。
しかし55分、群馬のカウンターから前線に運ぶも…岩手の帰陣も早く一度スローダウン。
長倉幹樹から一度岡本一真にボールを下げると、岡本が一気に縦に突破を見せる。
そのまま縦には抜けずに、DFを剥がしたところで短く中に折り返すと高木友也がトラップからミドルシュートを放つ。
これはDFに当たり難しいボールとなったものの、松山健太が良いセーブでコーナーに逃れる。
56分、このコーナーキックを岩上祐三がファーに送ると畑尾大翔がしっかりと競り勝つ。
畑尾から前に送られたボールを、加藤潤也が反転しながらダイレクトでボレーを放ち追加点。
KJらしい見事なボレーだったが…ゴールしたものの、この至近距離のシュートも松山は反応して手には当てている…。
まだ若いし…これはかなり将来有望なキーパーの予感。
57分には加藤潤也の良いプレスから、縦に出したボールを高木友也がインターセプト。
再びドリブルで縦に仕掛け、中の様子を確認するも…今度は自ら狙いに行く。
しかしこれも松山健太にセーブされ、こぼれ球も北川柊斗、長倉幹樹が詰めるより早くクリアされてしまう。
KJのタックルはアフターで甲斐健太郎の足に入っており、間違いなくファールだったが…今日の主審は判定が甘くこの程度は鳴らないと見てよさそうである。
しかし59分、ハーフラインを少し過ぎたところでファールを与えてしまうと…このフリーキックを蹴るのは中村太亮。
群馬はかなりのハイラインを取るが、中央ややファーへのボールをクリスティアーノが頭で合わせて1点を返されてしまう。
クリスティアーノの前の甲斐健太郎には細貝萌が付いており、その上を超えてクリスティアーノが合わせる形となったが…なぜ城和隼颯は距離を空けていたのか?
自身の後ろには両チーム2枚ずつと足りていたわけで、ここはしっかりとクリスティアーノに身体を寄せるべきだっただろう。
城和はこの辺りのクロスに対するポジショニングの悪さを改善すれば、更に上のステップへと行けそうなのだが…。
しかし中村のキック精度は凄いものがあるし、クリスティアーノのヘッドも力強くコースも良く…これは櫛引政敏としてはノーチャンス。
これで2-1となり、正直まだまだわからない難しいゲームになるかと思ったが…。
60分、このゴールの後のキックオフ。
一度後ろに下げたボールを右サイドの岡本一真に広げる。
下がりながら受けた岡本はダイレクトで縦に放り込むと、このボールは完全に北川柊斗がオフサイドポジション。
そのため北川は一切プレーの意思を見せずにオンサイドの位置まで下がっていく。
しかしその後方から長倉幹樹が一気にスピードを上げ、このボールを回収。
岩手の牟田雄祐と戸根一誓は北川がオフサイドポジションだったことで、油断した…とは言わないがプレースピードを落としてしまったのが致命的となった。
一気に長倉がゴール前に迫ると、飛び出した松山健太の上を抜くループシュートを左足で放ち追加点。
長倉の技術力を感じる見事なループシュートだったが、個人的には前半終了間際に決定機を外しておきながらここでループを打てる心臓の強さを褒めたい。
そして2-1となった直後に3-1と再び広げられたことは大きい。
わずか5分で、両チームでスコアが3つも動く怒涛の展開となった。
【60~75分】2点差も攻撃の手を緩めず
61分、どうやら先ほどの長倉との接触で痛めたようで、牟田雄祐と深川大輔が交代となる。
牟田は腿裏を押さえており、ちょっと長期の離脱になりそうな怪我を予感させるだけに…相手チームながら心配ではある。
62分、群馬の左サイドを奥山洋平が突破。
高木友也が今日唯一奥山に負けたと言って良いシーンだったが、縦に突破した奥山に低いクロスを送られてしまう。
これを中央でクリスティアーノが受けると、対峙した畑尾大翔と挟み込みにいった小島雅也の2人を相手にしながらも小島の股を抜くシュートを放つ。
恐らく見えていなかったと思うが…櫛引政敏が素晴らしい反応で左手一本でブロック。
片手かつ威力のあるシュートのためキャッチはできなかったが、左手を弾いたボールはポストと左手に挟まる形でセーブ。
つまり…あの体勢からポストギリギリのシュートを枠内に放ったことになる。
恐るべしクリスティアーノ…ではあるが、守護神櫛引も素晴らしかった。
64分に群馬が最初の交代を使い、北川柊斗に代えて平松宗を投入。
2点差ではあるが…サッカーでは最も危険な点差とも言われるだけに、ここではまだ守りには入らないという姿勢が見える。
北川は先制点はもちろんとして、この時間までしっかりと自分のタスクをこなしたと言える。
それだけに前節は前半で下げられることになった平松も、チャンスを与えられて燃えているだろう。
66分、加藤潤也から右サイドを駆け上がる岡本一真に浮き球が通る。
これを見事なトラップをしたまでは良かったが、すぐにシュートに持ち込めずに…少し時間がかかったこともありシュートはブロックされてしまいコーナーに。
67分、しかしこの右からのコーナーをファーで畑尾大翔が頭で叩き込んで追加点。
畑尾の飛行機パフォーマンスと、ユニフォームのエンブレムをしっかりと掴んで胸を叩くという姿が印象的となった。
畑尾のヘッドはもちろん素晴らしかったが、今日は本当に岩上祐三が良い。
と言うか…これが本来の彼の姿であり、一時期の精彩を欠いていたのは何だったのか…。
怪我人続出かつ今シーズンはワールドカップのために日程も過密気味ということで、単に疲労が溜まっていただけと思いたいところ。
69分に群馬が2度目の交代を使い、加藤潤也に代えて川本梨誉、小島雅也に代えて川上優樹を投入。
これで後ろは3バックとなるが、機動力のある川本を入れているのがいつもとは違うと言えるか?
3点差という余裕もあるだろうが…完全に守備固めではなく、守備はしっかりと固めつつも隙あらばまだ点を取るぞという姿勢を見せている。
【75~90分】3バックで逃げ切り策 それでも矢印は前に
71分、岩上祐三のフリーキックは岩手に跳ね返されるも、これを岩上が回収して左サイドから川本梨誉がクロスを上げる。
これは中の動きとズレてしまうが、こぼれ球を長倉幹樹が後方に落とす。
入り込んだ岡本一真は微妙にズレてシュートに行けないが、その後ろで岩上がミドルシュートを放つが…これは枠の上。
これが枠に飛べば…岩上完全復活と言えるのだが…。
73分、畑尾大翔からのロングボールは跳ね返されるが、これを細貝萌が再び前方に。
ここで平松宗が右足で相手DFよりも先に触り、入れ替わることに成功。
ペナルティエリアの外か中か、という位置ではあったがここから右足を振り抜くと松山健太の右手を弾き飛ばしてゴールに吸い込まれる。
右サイドに長倉幹樹が上手く流れてフリーを作っており、そこと悩んだようにも見えたが自ら右足を振り抜いた。
今シーズンこのチームに足りなかった姿勢が、この試合でようやく見えたとも言って良いのではないだろうか?
既に3点差となっていたことで気持ちに余裕はあったと思うが、このゴールに向かう前向きの矢印は今まで課題となっていた部分だろう。
75分、岩手が交代枠を使いブレンネルに代えて色摩雄貴、小松駿太に代えて石井圭太を投入。
80分には群馬が最後の交代を使い、岩上祐三に代えて奥村晃司、長倉幹樹に代えて鈴木国友を投入する。
91分には抜け出した鈴木国友の折り返しに、川本梨誉が合わせるも枠の上。
点差に余裕があったのは事実だが、最後まで守備一辺倒になるわけではなくしっかりと前向きの矢印を見せ続けたままタイムアップまで戦い切りゲーム終了。
見事に直接対決を制し、この試合で残留を決定させた。
ピックアップポイント
大きかった長倉の復帰
結果論かもしれないが、この試合で最も大きかったのは長倉幹樹の復帰と言える。
今シーズンを通して最後まで固定できなかったのが右サイドハーフであると個人的には考えており、ここがもっと早く決まればもう少し楽なシーズンとなっただろう。
まず最初に起用されたのは田中稔也。
そして3節で風間宏希が起用されるが、この試合で細貝萌が怪我により長期離脱となったことで…再び右サイドは田中に戻る(風間をボランチで起用するため)
第8節で奥村晃司が起用されるが、第9節では再び田中に戻る。
この試合は3-4-2-1と言えるかもしれないが、本質的には同じである(後述)
第13節には高木彰人が起用されるが、第14節からは再び田中に。
第26節で白石智之、第27節で高木彰人、第28節から風間を起用し、第32節から長倉が起用される。
長倉離脱後は田中に戻り、前節第40節ではKJが起用されている。
ここから見てわかるように、ファーストチョイスは田中稔也で間違いなかっただろう。
しかし稔也は思った以上にこのポジションで活きなかった。
特に攻撃面で迫力がなく、加入時から稔也の事を知っているサポーターとしてみると物足りなさがあったと言える。
その理由は以前にも書いたが、攻撃時は3-4-3となりシャドーの位置になるから。
特に両WBが広く高いポジションを取るために、シャドーが下りてきてボールを引き出す形になり…稔也は後ろ向きでボールを受けてからの選択肢が少なかったのが致命的となった。
(彼は前にスペースがあった方が活きる選手だろう)
左サイドでKJが攻撃を作れるのは、後ろ向きで受けてから振り向ける能力があるから…というのは以前に書いた通り。
それでも稔也を起用し続けたのは、今挙げたメンバーの中で稔也が最も守備で計算できる選手だから…だろう。
ここで改めてフォーメーション図を見てみよう。
守備時の4-4-2はこうである。
攻撃時には右サイドバックが高い位置を取り、左サイドバックが後ろに下がることで3バックに可変する。
3-4-2-1でも良いし3-4-3と言っても良いだろう。
上記の3-4-3の立ち位置を見れば明らかだが、右サイドハーフのポジションの選手は右のシャドーとなる。
つまり、攻撃時にはKJと同じ役割を求められることになる。
これを比較的上手くこなしていたのは高木彰人だったが…大怪我により離脱となったのが痛かった。
個人的には風間がこのポジションで上手くやれるかと思ったのだが…風間は中央の方が活きるのかもしれない。
また風間と奥村は守備時にサイドハーフとなることで守備強度が落ち、やはりメンバーを考えると田中稔也になるのだろうというのは理解できる。
ここにシャドーで機能する長倉幹樹が加入したことで、ある意味このポジションは埋まったと思ったのだが…離脱が痛かった。
KJ同様に攻撃を繋ぐ潤滑油の役割を果たし、更には最前線で得点に絡むこともできるということで…右に長倉、左にKJというのは現システムでは理想的と言える。
そして長倉はそれほど守備に不安が無いのも大きいだろう。
シーズンが終わってしまうかと思っていたが、今節で本当に大きな復帰となってくれた。
短期間ながらこの大活躍、更には下部リーグからの発掘という話題性により他チームからの注目も集めてしまっただろう。
なんとしてでも死守して来シーズンも群馬での活躍を見たいところ。
MOM
この試合のMOMは…長倉幹樹としたい。
長倉の復帰がこの試合に大きかったのは上記の通り。
本文内で何度も書いたが、岩上祐三は非常に調子が良い事を感じさせてくれた。
特にコーナーキックを中心に、この大量得点に大きな貢献をしたと言えるだろう。
また左サイドをほぼ完全に制圧した高木友也の存在感も大きかった。
課題となるのは右足の精度と守備力と言えるが、この試合では守備でもほぼ負けるシーンが無く62分の櫛引がポストとの間で防いだシーンくらいだろうか。
他には2節続けてゴールを挙げ、前線で起点となった北川柊斗。
更にはやはり攻撃で違いを作れるのは彼だなと思わせた加藤潤也も名前を挙げたい。
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