※ザスパクサツ群馬ファンによる、ザスパクサツ群馬贔屓のマッチレビューです。
前節に実に久しぶりとなる勝利により連敗を脱出した群馬。
しかしそうは言ってもすぐ下には降格圏が見え、全くもって安心できない状態が続いています。
今節はコロナの影響によりメンバーが揃わないことで第28節が中止(延期)となった甲府をホームに迎えるゲームです。
群馬も報道では4名が陽性ということも発表され、どちらも果たしてメンバーが揃うのか…開催されるのかといった状態でもあったりします。
今回はそんなヴァンフォーレ甲府戦をレビューします。
Contents
スタメン・フォーメーション
ザスパクサツ群馬
スターティングメンバー
ポジション | 背番号 | 選手名 |
GK | 21 | 櫛引政敏 |
DF | 2 | 城和隼颯 |
3 | 畑尾大翔 | |
25 | 小島雅也 | |
MF | 8 | 岩上祐三 |
15 | 風間宏希 | |
19 | 岡本一真 | |
33 | 細貝萌 | |
38 | 天笠泰輝 | |
FW | 23 | 平松宗 |
40 | 鈴木国友 |
ベンチ
ポジション | 背番号 | 選手名 |
GK | 1 | 清水慶記 |
DF | 32 | 渡辺広大 |
MF | 14 | 白石智之 |
16 | 久保田和音 | |
17 | 山中惇希 | |
27 | 奥村晃司 | |
41 | 中山雄登 |
群馬は前節からは2枚を変更し、天笠泰輝をスタメンに起用。
更には夏の移籍期間で獲得した鈴木国友を早速スタメンで起用ということに。
主力選手としては前節に続いて加藤潤也、田中稔也が不在となり…今節は高木彰人も不在という状態。
山根永遠も今節はベンチ外ということになった。
この辺りはコロナの影響なのか、練習中などの怪我があったのか…時期的に移籍関係の色々が関わっているのか…といったところ。
ヴァンフォーレ甲府
スターティングメンバー
ポジション | 背番号 | 選手名 |
GK | 31 | 岡西宏祐 |
DF | 3 | レナト ヴィスキ |
4 | 山本英臣 | |
5 | 浦上仁騎 | |
MF | 7 | 荒木翔 |
18 | 鳥海芳樹 | |
24 | 山田陸 | |
27 | 小林岩魚 | |
41 | 長谷川元希 | |
FW | 11 | ブルーノ パライバ |
19 | 宮崎純真 |
ベンチ
ポジション | 背番号 | 選手名 |
GK | 21 | 小泉勇人 |
DF | 25 | 大和優槻 |
MF | 14 | 中山陸 |
26 | 石川俊輝 | |
FW | 9 | 三平和司 |
15 | 飯島陸 | |
44 | 内藤大和 |
対する甲府は水戸戦から実に7枚代えとなり、前節が中止となったように非常にメンバーを揃えるのにも苦労している状態。
ここ最近はニュースでもコロナの感染者が激増していると報じられているように…この辺りはどのチームにも起こりうるリスクと言える。
個人的な注目としては最前線のブルーノ パライバと、2シャドーの鳥海芳樹に宮崎純真。
そしてベンチには色々と苦い思い出が蘇る三平和司となる。
ベンチと言えば、以前群馬にいた小泉勇人は…常にベンチ入りしている印象があったので今節は出場するかと思ったが…。
試合経過
シーズン初?デザインされたCK
前半は甲府のキックオフでスタート。
9分、ゴールキーパーまでボールを下げたところから…逆サイド下りてきた風間宏希に櫛引政敏が良いパスを付ける。
受けた風間はターンして中央に運び、細貝萌を経由して逆サイドの天笠泰輝まで再びサイドを変えて広げていく。
しかし甲府もしっかりスライドして対応し少し詰まった感はあったが…鈴木国友、岩上祐三も絡んできて細かくパスを回して天笠を再び使う。
天笠が1対1を仕掛けクロスを供給すると、これを最奥で岡本一真がダイレクトで折り返し風間が合わせるもミートせず。
しかしこれがゴール前の平松宗の足元に転がり、シュートを狙うもポスト直撃となった。
とは言え平松のポジションはオフサイドだったようで…仮に入っていたとしても認められなかったところ。
しかしながら…風間もミートしたかったところだし、オフサイドで取り消しになっただろうが平松もポストではなくネットを揺らしたかったところ。
また見事な左サイドの仕掛けではあったが、天笠のクロスは恐らく狙いとは違う場所に飛んだように思うが…よく岡本はダイレクトで折り返したもの。
もう少し甲府が持って群馬が守る展開になるかと思ったが、予想よりも群馬も積極的にボールを保持しながら攻撃を作るシーンが。
そのため前節よりもハッキリと見えるが、この試合は守備時には4-4-2となり攻撃時には3-4-3となるいつもの可変システムを採用している。
右サイドの岡本一真が高い位置を取り、左サイドの小島雅也が低めの位置でCBに変わるという状態となっている。
14分、右サイドでコーナーキックを獲得するとキッカーは風間宏希。
中に送ると見せかけたところから、ショートコーナーで天笠泰輝を選択。
天笠はそれを更に中央少し後方の細貝萌に戻すと、細貝は更にゴール前から下りてきた畑尾大翔を使って横に広げる。
ほぼ中央の位置から畑尾がゴール前にボールを送ると、これを岩上祐三が頭でフリックして平松宗が飛び込んで先制に成功する。
完全にデザインされたプレーとなっており、セットプレーからは今期3点目だろうか?
得点力不足に苦しむ群馬としては、セットプレーを大事にしていきたいところ。
恐らく本来のデザインとしては、コーナーキックを受けた天笠泰輝が内側に戻してゴール前に侵入。
右のCKを左に広げて、畑尾から再び右側の天笠に戻して頭で合わせるか折り返す…という2重にも3重にも左右を揺さぶるプレーだったと思われる。
畑尾のクロスが少し低かったか、超えないと判断したであろう岩上が頭でフリックしたナイス判断と言える。
ちなみに最後頭で合わせた平松宗の更に奥、ここにも鈴木国友がしっかりと入り込んでいるのも注目してほしい。
鈴木国友 まさかの負傷退場
先制を許したことで甲府としてもギアが上がった印象があり、ボールを保持しながら群馬を攻略しようとする姿勢が目立つように。
甲府のフォーメーションとしてはボランチが2枚並びで始まったものの、状況に応じて山田陸の1枚を残して長谷川元希は高めのポジションを取ることも。
2枚並ぶシーンもあるが、1アンカー気味となっているシーンも目立つ。
20分、甲府が群馬右サイドの宮崎純真までボールを広げると、縦への突破の素振りから内側にトラップし風間宏希との距離を作ることに成功。
少し距離はあるものの、大外からゴール前に入り込む鳥海芳樹にクロスを供給。
これには小島雅也もしっかりと鳥海に付いていたこともあり、誰も触れずボールは櫛引政敏まで流れる。
しかしクロス自体がゴールに向かうものであり、櫛引としても直前で鳥海が触ることを考えつつ…抜けたボールに対応するという難しいシーン。
意外と誰も触れずにキーパーも見送りゴールに吸い込まれる…なんてパターンになりがちな素晴らしいクロスだった。
26分、群馬右サイド裏に出されたスルーパスは畑尾大翔がブルーノ パライバの前に体をしっかりと入れて対処。
ボールは飛び出した櫛引政敏が抑えて難なく処理するが…ブルーノが畑尾を手で押したことで少々ヒートアップ。
キャプテンの細貝萌が激しく主審にジェスチャーを示し、ボールを抑えた櫛引も冷静に主審と会話をするも…ブルーノにはカードは出ず。
思えばこれが今後の荒れる展開への布石となった可能性も…。
ここでカードを出しておけば、上手くゲームをコントロールできたんじゃないかとも思ったり。
27分、鈴木国友が足を傷めて座り込んだことでプレーが止まる。
鈴木は10分頃だったか?足を踏まれたかで負傷したものの、そのままプレーを続行していたが…どうやらやはりダメな様子。
仕草や事前の細貝萌がベンチに伝えた「感覚無いっぽい。(代わりの選手を)準備させといて」という言葉から考えると、足の指か甲にヒビ…もしくは骨折といったところだろうか?
言い方が適切かはわからないが…シーズン中のレンタル移籍ということで、出場機会を求めての移籍であることは間違いなく…鈴木としても所属元のチームで崖っぷちの状態と言える。
しかも山形にレンタル中だったわけで、レンタル先を変える移籍ということになり…心中察するところ。
群馬で活躍して山形に復帰…もしくは群馬も含めて他のクラブから声がかかるように存在感を見せたいといった想いで来ただろう。
軽傷であることを願うばかりだが…。
この鈴木国友の負傷退場により奥村晃司が、そのままFWのポジションに投入される。
フラストレーションの溜まるジャッジ
奥村晃司はそのまま鈴木国友のいた最前線の左側に入ったようではあるが、展開によっては天笠泰輝がディフェンスラインに吸収され5バックに。
奥村が天笠の本来のポジションに下り、5-4-1気味で守るシーンも。
33分頃には風間宏希が前に上がり奥村が右サイドに移る時間もあるものの、基本的には奥村が鈴木のいたポジションに入っている様子。
ある意味では展開で柔軟にポジションを入れ替えているとも言える。
35分、甲府の最終ラインから鳥海芳樹がボールを引き出すと少しドリブルで運んでから前の長谷川元希に縦パスを付ける。
調度DFラインとボランチの間で受けた長谷川は見事なヒールでのダブルタッチで抜け出し、岡本一真を剥がすことに成功。
しかし城和隼颯がしっかりとスライドし寄せたことで、シュートはコースが無くなり枠の外へ。
38分、甲府が群馬陣内でボールを回しながらチャンスを伺う。
最終ラインから左サイドの大外、小林岩魚まで広げると少し距離はあるものの…そのままクロスを選択。
ここにブルーノ パライバが飛び込み、畑尾大翔も対応してはいたものの…前に入り込まれて頭で合わせられるも枠の上に。
落下点には先に畑尾が入っており、ブルーノがその前に強引に入り込んだ形となったためにボールが高く叩けなかった…という印象。
個人的には上記のように思うので畑尾が競り負けたわけではないと思っている。
気になるのはどちらかと言えば、簡単に小林にクロスを上げられている風間の対応。
効果的なクロスを送り込むには位置が低いのは事実だが…今期の群馬はクロスからの失点が非常に多い。
DFとしては対応しやすい単純なクロスしか上がらない位置とも言えるだろうが、ピンポイントで良いクロスを上げられて競り負けていたり…ボールウォッチャーになって入ってくる選手を見落としていたりと…群馬のウィークポイントとなっているだけに、クロスを簡単に上げさせないようにしたいところ。
40分には細貝萌が左足首を抑えて座り込みプレーが止まる。
その前のプレーでボールに強く行った際に少し捻ったか?
それとも同じくボールにいった平松宗と接触があったので、そこで踏まれる形になったか?
とにもかくにも、怪我した左足首というだけに心配である。
42分、群馬の左サイド深くまで宮崎純真に使われると、反転してカットイン。
入れ替わるようにペナルティエリア内に入り込む鳥海芳樹にスルーパスを通すと、鳥海はシュートを狙うが…これは畑尾大翔がブロック。
こぼれ球を長谷川元希が胸トラップからシュートを狙うが、これも風間宏希と細貝萌が挟み込む形で対応。
長谷川はこの際に細貝にブロックされる形でボールに行けずに倒される形となったために、ホールディングをアピールするも笛は鳴らず。
まぁファールを取るには…というプレーではあると思うが、長谷川としては納得できないという気持ちも理解はできる。
44分には高く上がったボールの落ち際を処理しに行った城和隼颯に対して、少し遅れる形でブルーノ パライバが足裏でチャージ。
主審はファールを取り口頭での注意は与えるものの…カードは出されず。
痛がり倒れた城和本人も、すぐ近くにいた畑尾大翔も口調は穏やかそうに見えるものの表情は険しく主審に抗議。
リプレイでは解説の渡邉一平さんが「レッドかも」と言うように、完全に遅れて足裏で行っており…J2にもVARがあったならば介入したかもしれないシーンと言える。
そして再開の笛が鳴るも、時間帯やボールの位置を考えてボールの位置にいた畑尾大翔はキッカーを櫛引政敏に任せてボールから離れようとする。
これに対して主審が遅延行為と取ったようで…笛が吹かれ畑尾にはイエローカードが提示。
畑尾は納得できないという様子で大きく手を広げ、ベンチでは大槻監督も4審に抗議しているものの…まぁ覆ることは無く。
DAZNでは実況・解説ともに苦笑いを交えて「ちょっと気の毒ですねぇ…」という言葉が出るように、非常に不可解なジャッジとなった。
ちなみに畑尾はこれで3枚目となり、出場停止に向けてリーチとなってしまう。
今日の試合は群馬にとっても甲府にとっても、お互いにフラストレーションの溜まるジャッジが目立つ。
上手くゲームをコントロールできていない印象が強く、それもあってか比較的ラフなプレーも見られる印象となっている。
このままアディショナルタイム4分を経過し、1点リードのままハーフタイムを迎えることとなった。
12人目の選手 クロスバー
後半は群馬のキックオフでスタート。
両チームともにハーフタイムでの交代は無しでの再開となった。
49分、敵陣で細貝萌が良いプレスをかけてボールをロストさせることに成功。
これを奥村晃司が回収すると風間宏希に落とし、風間はこれを左サイドに抜け出す天笠泰輝へロングボールを通す。
小島雅也が更に大外からオーバーラップするのを囮に使い、天笠はファーサイドへクロスを送るも…これは手前でカットされコーナーに逃げられてしまう。
しかしこのプレーは細貝らしい良いプレスに、奥村と風間のらしい視野の広さからの展開力。
天笠と小島のオーバーラップと、非常に選手の持ち味の出た良いプレーだったと言える。
50分、このコーナーキックもキッカーは風間宏希。
ニアポストにいた岩上祐三が急に動き出してニアのストーンの手前に。
風間のキックはここにピンポイントで送られ、岩上と小島雅也とが重なった感はあるものの…恐らく岩上が頭で合わせてゴール前に。
これを岡西宏祐がファンブルするも、奥村晃司が詰めるより早くキャッチングし直して処理。
岩上のヘッドは恐らくシュートでは無く、ゴール前にフリックして…奥村が詰めるというデザインプレーだと思うが…ボールは少し長くキーパーまで行ってしまったというところだろう。
しかしこれも事前に準備してきた様子が見られ、非常に可能性を感じさせるセットプレーとなった。
51分には右サイドで受けた岡本一真が仕掛けるも、小林岩魚との間でぶつかり合うような形でボールは高く前方に上がる。
これをレナト ヴィスキがクリアに行き、岡本も先に触ろうと飛び込むも接触。
これは岡本がクリア後に接触したとして岡本のファールになる。
ファールの判定に疑問は無いが…レナトはあれだけ足を振り切る必要はあっただろうか?
岡本が無謀に飛び込んだ…とも言えるが、レナトのその後のジェスチャーを見るに飛び込んでくる岡本にイラッとして足を振り抜いたようにも見える。
レナトはその前のハイボールの競り合いでも、ヘディング直前に競り合った平松宗を手で押しており…不満が溜まってプレーがラフになっている印象がある。
55分、群馬の左サイドから中央を経由し右サイドに展開。
小林岩魚が岡本一真を相手に勝負に行き、寄せられつつもゴール前にクロスを供給すると…これをファーサイドで宮崎純真が頭で合わせる。
ここはどうにか櫛引政敏が右手一本で弾き出し、こぼれ球を風間宏希が頭でコーナーキックに逃げて難を逃れる。
宮崎には天笠泰輝が付いていたものの…ポジション争いで競り負ける形で落下点に先に入られてしまった。
そしてこのコーナーキック。
長谷川元希はショートコーナーを選択し、一度近場に出してからリターンを受けると角度が変わったところからクロスを供給。
このボールが平松宗の頭をわずかに超え、その後ろに入り込んだブルーノ パライバが頭で合わせるも…クロスバーを直撃。
こぼれ球は天笠泰輝がクリアし危機を脱出するが…非常に危ないシーンだった。
双方ラフに 荒れる展開
61分には追う展開の甲府が動き、レナト ヴィスキに代えて飯島陸、ブルーノ パライバに代えて三平和司を投入。
64分には群馬も動き、天笠泰輝に代えて山中惇希を投入する。
山中は天笠のいた左サイドハーフにそのまま入ることになり、前節のFWに続いて高めのポジションでの投入。
むしろこのサイドハーフこそが現システムでは適所と言えるかもしれない。
とは言え群馬は鈴木国友の負傷により前半で交代枠を1回使っており、ここで山中を投入したことで…残りは3枚あるものの1回…。
このタイミングで切るのが1枚で良いのか…という疑問は無きにしも非ず。
65分、群馬がボールを保持し最終ラインで回している展開のため3バックとなり、ウィングバックの役割として高い位置を取っていたのが交代して入った山中惇希。
更に裏のスペースに飛び出したところで、小島雅也からロングボールを引き出す。
ボールをコントロールするとキープして少し時間を作り、上がってきた奥村晃司を使う。
奥村は更に中の岩上祐三へ送ると、岩上はそれを左サイドに上がってきた小島に広げる。
しかしこの後の小島のクロスは精度を欠いてしまい、ゴールラインを超えてゴールキックに。
なんとか1点を守り切りたい群馬、早く追いつきたい甲府。
そしてナイターゲームとはいえ、暑さにより奪われる体力。
更には両チームともにフラストレーションの募るジャッジと…様々な理由が重なり、ゲームは比較的ラフなプレーが多く荒れてきた展開に。
飲水タイムでは群馬も甲府も、どちらもキャプテンを中心に主審のところに行って会話をするシーンが。
73分には甲府のゴールキーパーからのロングボールを岡本一真と荒木翔か?が競り合う。
岡本のファールの判定だが、こぼれ球が長谷川元希の下にこぼれたためにプレーオンでプレーは続くことに。
長谷川がドリブルで運ぶと、最前線で三平和司が左サイドに流れ…ここにスルーパスを送るがこれはオフサイド。
三平がDF裏に入りこんで左サイドに流れた瞬間に、群馬DFはラインを下げるのを止めるという見事なオフサイドトラップ。
小島雅也が飯島陸と共にラインを下げてしまい…オフサイドラインは小島となり際どくなってしまったが…畑尾のプレーは見事なオフサイドトラップだったと言える。
74分には甲府が2度目の交代枠を使い、鳥海芳樹に代えて石川俊輝を投入。
75分、入ったばかりの石川がセンターラインを少し過ぎた右サイドで受けると、DFラインの裏に抜け出そうとする宮崎純真目掛けてフィード。
しかしこれは城和隼颯がしっかりと対応し、頭で跳ね返す。
この跳ね返りを奥村晃司と石川でポジション争いするが、どちらも競れずに頭を超えると…その外で回収した山中惇希が一気にスピードを上げて左サイドを持ちあがる。
ストライドの大きなドリブルで一気にペナルティエリアまで迫ると、対峙する山本英臣をダブルタッチで抜きにかかるも接触して転倒。
しかしこれはなぜかノーファールの判定となる。
完全にダブルタッチで交わしていただけに…接触以外では倒れないと思うが、倒れるほどの接触ではないと判断されたのか?
しかし山中はスピードがあり、足元の技術力もあるとは思っていたものの…まさかあのスピードからダブルタッチを繰り出すとは思わなかった。
やはり左サイドバックで使っていた段階から、右の小島雅也を低めにして山中を高めのポジション…つまりは逆でプレーさせれば良かったのに…。
治らないクロス対応
77分には接触は特に無かったと思うが、荒木翔が左足の腿裏を痛めて座り込む。
これには他の選手から×印が出されるも…自らの足で一度ピッチの外に出て治療を受けることに。
一度は再びピッチに戻ろうという姿を見せるも、トレーナーに続行は不可能と判断されたようで81分に中山陸が投入される。
直後の82分、甲府がボールを回しながら群馬の隙を伺う形で攻撃を作ろうとする。
左サイドで小林岩魚がボールを受けると、センターラインとペナルティアークとの中間付近の低い位置にもかかわらず一気にゴール前にロングボールを供給。
これにDF裏に抜け出していた三平和司に頭で合わせられ、同点ゴールを叩き込まれてしまう。
三平は畑尾大翔と小島雅也の間に入り込むような見事なポジショニングから、やや後ろからくるボールを見事に枠内に収めてみせたということで…これはまた三平にやられたかというところ。
畑尾と小島の対応にも問題はあるが、その前の小林へのマークが甘いのも原因の1つ。
かなり早いタイミングのクロスではあるが、平松宗も風間宏希も全くプレッシャーをかけておらずフリーで余裕を持って蹴らせてしまっている。
風間は38分にも小林へのプレッシャーがかかっていないところからクロスを上げられているが…シーズンを通してチーム全体としてクロッサーへのプレッシャーが甘すぎる。
この形で果たして何点失ったことか…。
群馬としては1点を守って逃げ切りたかったところを逃げ切れなかった…という展開になり、85分に交代カードを切る。
平松宗に代えて白石智之、奥村晃司に代えて渡辺広大を投入。
どうやら広大を後ろに入れて3バックにし、完全に3-4-3に移行。
白石を最前線に、右に風間宏希、左に山中惇希という形を取る。
奥村は鈴木国友の負傷により、前半の早い時間から出場したとは言え…途中出場途中交代ということで本人としては悔いが残るだろう。
今一つ効いてなかったことは事実だが…奥村のFW起用というのも現状による苦肉の策と言え、これだけで評価するのは避けたいところではあろう。
89分、裏に抜け出した山中惇希へ小島雅也からロングボールが送られるが…ここで山中を倒す形で浦上仁騎のファールを取る。
このフリーキック、風間宏希のボールはファーサイドに送られ渡辺広大が頭で落とすと、ゴール前で小島雅也がワントラップからシュート。
しかし残念ながら枠を捉えることができず…。
小島としてはサイドは逆のものの、前節のイメージもあったと思うが…さすがに2試合続けてチャンスをものにすることはできなかった。
とは言え、明らかにここ数節セットプレーに可能性を感じるようになったのは進展と言えるだろう。
90分には跳ね返したボールを白石智之が最前線で競ると、こぼれ球を風間宏希が回収。
山中惇希が一気に左サイドの広大なスペースを駆け上がると、風間から技ありのアウトサイドでのスルーパスが送られる。
抜け出した山中は75分同様に1人で仕掛け、同じく対峙した山本英臣をダブルタッチで交わしにいくも…山本の足がかかり今度はファールの判定。
今回はトップスピードのままのダブルタッチではないものの、速度を落としたところから再び加速してのダブルタッチと…かなり面白いものを見せてくれた。
ファールの笛は鳴ったものの、カードが出ないことに大槻監督は抗議の姿勢。
再開の笛の前にも主審の横で細貝萌が何かを言っており、これも恐らく山中へのファールに対してカードが出ない説明を求めていると思われる。
アディショナルタイムは5分となったが、攻める甲府に対して攻撃を諦めたわけではないものの…大きなリスクは負おうとしない群馬。
5分が経過し1-1のドローという結果になった。
ピックアップポイント
終盤の交代はドロー狙いだったのか?
今回は試合終盤の展開を振り返ってみたいと思う。
試合開始から15分で先制した群馬だったわけだが、この段階から無理に2点目を取りにいく姿勢は見せずに比較的セーフティーなプレーが多かった印象がある。
簡単に…悪い形で失わないことを徹底しており、攻撃はしっかりとやり切って完結させるか…一度戻してやり直すという形と言える。
まずこの段階で賛否両論あるとは思うが…リーグの中で下から2番目の得点数という現状を考えると個人的にはこの展開は理解できる。
2点目が奪えれば理想ではあるものの失ったら再びリードするのが難しい得点力と言えるため、まずは失わないことを重視すると。
しっかりと守ってカウンターで追加点が取れれば良し、取れなくても嫌な形で失わないようにセーフティーに。
相手ボールになっても、しっかりと4-4-2のブロックを敷いて再びしっかりと守る…というのがプランなのだと思われる。
さて、結果として守り切れずに43分に同点とされたわけだが、その後の交代カードは引き分け狙いだったのだろうか?
渡辺広大を投入して3バックとしたわけだが、単純に4バックから3バックにしたことで守備固めと言うのは単純過ぎるだろう。
前線には白石智之を投入しているわけで、完全にドロー狙いとは言い切れない。
ドン引きで守備を固めるならば白石ではなく中山雄登を入れて、山中を前に中山を左に入れるという手もあったと思う。
また90分の山中惇希の単独での仕掛けのように、チャンスとなれば一気にゴール前に迫る姿勢も見せた。
あくまでも手数をかけずに、簡単に失ってピンチを招かないように…というのが前提にはあるものの、最後まで勝点3を諦めなかったとは言える…と個人的には思っている。
果敢に勝点3を狙いに行って勝ち切れば劇的であり、逆に奪われてカウンターで沈んでもその姿勢は高く評価されるべきだとは思う。
そういったサッカーの方が面白いのも事実であり、ファン・サポーターとしては最後まで勝利を狙う姿勢が見たいのもわかる。
しかし…もはやそういった時期は過ぎたと言える。
残留に向けて大事なのは勝点3を狙ってリスクを負うよりも、確実に勝点1でも積み重ねていくこと。
そして1番怖いのはチーム内で意思の疎通が乱れ、勝ちにいった選手と守りにいった選手に分かれてチームがバラバラになること。
そういう意味ではリスタートにも時間をかけ、明確に「無理して攻めずに、絶対に1は積み上げる」という姿勢が見られたのは良かったと思う。
反対意見も多くあるだろうが、個人的にはあの時間に守り切れなかった時点で「勝点1」に切り替えるというのは現実的だっただろう。
理想を言えば…というのはあるが、もはや現実をしっかりと噛みしめる時期である。
MOM
この試合のMOMは…風間宏希としたい。
かなり今節は悩ましく、歯切れよく風間と言い切れないのは…やはり失点シーンを代表に守備面に難があるから。
しかし攻撃面での貢献度は高く、フリーキックでも非常に良いボールを供給し続けたと言える。
守備に追われてしまうと彼の良さは出なくなるので、なんとか守備の負担を減らして攻撃に専念させたいところだが…現状難しいのも事実。
4-4-2の右サイド、攻撃時には中に入ってシャドーになるということで…現状では最も風間を活かせる位置とは言えるが…。
他に悩んだ選手としては、まずは細貝萌。
彼はもはや言う事は無く…いるのといないのでは大きくチームが変わる。
精神的な支柱でもあり、要所要所でしっかりとチームの雰囲気を締めることができる選手である。
得点を挙げた平松宗も悩んだが…彼はやはり終盤のガス欠が気になるところ。
もちろん猛暑の中、最前線で攻撃に守備にと走り回ってくれているわけではあるが…代えのFWがいないのがツラい。
それでもチーム最多の6ゴール目を記録し、攻撃の中心となるのは間違いない。
鈴木国友の負傷具合や高木彰人を始めとする他のFWの状況は不明だが、上手いことローテーションしつつガス欠まで引っ張らないで起用できれば…。
そして途中出場ながら光ったのが山中惇希。
あのスピード溢れるドリブルと、そこからのダブルタッチは見事の一言。
何度考えても…なぜ左サイドバックで起用していたのか…。
いや、SB起用はチーム状況を考えれば理解はできるのだが…であればなぜ小島雅也と役割を逆にしなかったのか?
ボールの運び方は異なるものの、白石智之を見ているかのような突破力であり、2人を両翼に並べたら破壊力は凄いだろう。
守備面ではかなり心配な部分もあるので…実現は難しいだろうが。
守備の負担を減らすという意味でも、この2人の2トップは面白いかもしれない。
なかなかチーム状況的に使いづらいタイプなのは理解できるが、点を取らなくてはいけない時の切り札として白石だけでなく山中も計算できるだろう。
この記事を書くのが遅くなったこともあり、山根永遠の横浜FCへの移籍が発表された。
加藤潤也にも移籍の噂があるということで、山中惇希の今日のプレーはこの喪失感を埋めてくれるだろう。
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