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【2022 J2第6節】アルビレックス新潟 対 ザスパクサツ群馬【レビュー】

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※ザスパクサツ群馬ファンによる、ザスパクサツ群馬贔屓のマッチレビューです。

前節は開幕戦以来となる2勝目となった千葉戦でしたが、開始早々のリードを最後まで粘り強く守りきるという展開でした。

ゴール自体は見事なものでしたが、追加点が取れなかったことが最後まで苦しい展開となったでしょうか。

今節は、前節初勝利と少し苦しんでいる印象はあるものの…戦力的にはこの位置にいることがおかしな新潟戦。

また耐える時間が長くなることが予想されますが、いかに守り少ないチャンスをモノにできるか…という展開になるでしょう。

スタメン・フォーメーション

アルビレックス新潟

スターティングメンバー

ポジション 背番号 選手名
GK 1 小島亨介
DF 5 舞行龍ジェームズ
31 堀米悠斗
32 長谷川巧
50 田上大地
MF 8 高宇洋
10 本間至恩
13 伊藤涼太郎
20 島田譲
33 高木善朗
FW 7 谷口海斗

ベンチ

ポジション 背番号 選手名
GK 21 阿部航斗
DF 15 渡邊泰基
25 藤原奏哉
35 千葉和彦
MF 6 秋山裕紀
22 松田詠太郎
FW 23 小見洋太

 

アルビレックス新潟と言えば、昨シーズンで田中達也が引退したのが記憶に新しいところ。

今節としては大分から加入のGKの小島亨介、更には昨シーズンも凄さを見せつけられた印象がある本間至恩や高木善朗辺りが注目となるだろうか。

一時期育成型レンタルで群馬にいた長谷川巧もスタメンとなり、長谷川と言えば昨シーズンには成長ぶりに驚いたもの。

ベンチには前橋育英の秋山裕紀、昌平の小見洋太と近年の高校サッカーで話題となった選手が。

加入からまだ出場は無いようだが、新潟には佐賀東から加入した吉田陣平もおり期待の若手が豊富と言える。

ザスパクサツ群馬

スターティングメンバー

ポジション 背番号 選手名
GK 21 櫛引政敏
DF 2 城和隼颯
3 畑尾大翔
17 山中惇希
25 小島雅也
MF 8 岩上祐三
10 田中稔也
15 風間宏希
38 天笠泰輝
FW 7 加藤潤也
23 平松宗

ベンチ

ポジション 背番号 選手名
GK 44 山田晃士
DF 4 川上優樹
32 渡辺広大
MF 16 久保田和音
27 奥村晃司
FW 11 深堀隼平
39 高木彰人

 

対する群馬は前節とスタメンは変わらず。

ベンチには山田晃士が今期初のメンバー入りとなったが、それ以外には変更は無い状態。

山根永遠や白石智之などが発表は無いものの…怪我で離脱中と思われ、それもあり大きな変更はしたくてもできないと言ったところか。

前節は初スタメンとなった天笠泰輝と山中惇希の左サイドコンビが非常に良かったこともあり、それも変化がない理由の1つと言えるだろう。

 

しかし清水慶記はどうしたのか?

こういう言い方は山田に申し訳ないが、現時点では恐らくポジションを奪ったとは思えないので…怪我が心配される。

試合経過

長谷川と谷口にしか見えなかった世界

前半は新潟のキックオフでスタート。

試合前から新潟では小雨が降り、それほど大きな影響は無さそうではあるが…ピッチコンディションは雨と言ったところ。

試合前から予想はできていたが、やはり新潟がボールを保持し回す展開に。

群馬としてはしっかりと守ってカウンターという、今シーズン多く見せている形の試合となりそうな予感。

 

そんな予感がしていたものの、10分には早々に崩れてしまう。

新潟の自陣から田上大地が一気に群馬左サイド奥の長谷川巧に展開。

長谷川には天笠泰輝が対応したものの、カットインからグラウンダーのスルーパスを通され…これに飛び込んだのが谷口海斗。

ゴールキーパーの櫛引政敏の目の前で少し触り、コースを変えてゴールに流し込んで早々に先制を許すことに。

天笠としては縦へ突破と読んでいたか、カットインへの対応が少し遅れた感はあるが…それはそれほど大きな問題ではないだろう。

DFラインや風間宏希の位置取りも悪くはなく、そこしかないというところに通した長谷川のパスが見事だった。

そしてそれを感じて入り込んだ谷口の動きが素晴らしく、まさに2人にしか見えていない世界だったと言える。

気になるのは谷口に対応していた城和隼颯。

動き出しには付いて行ったものの…なぜ途中で動きを止めたのか?

下がるのを止めてオフサイドポジションに置く…というのが狙いだったのかもしれないが…。

 

13分には群馬も攻撃に。

1度ボールを奪われるも加藤潤也が再び回収しショートカウンターへ。

これは新潟もしっかりと対応しチャンスと言うほどのものではなかったが、この試合でもいつも通り素早い攻守の切り替えができているのは良いところ。

 

16分には高木善朗にミドルシュートを打たれるが、これも打たせたと言って良いだろう。

中をしっかりと守れて対応できているからこそ、手詰まりになり高木は遠目から打つという選択肢しか残らなかった形。

1失点したものの、今期の特徴である堅守は維持できている。

堅守崩壊?まさかの複数失点

しかし20分、堀米悠斗から良い縦パスを伊藤涼太郎に通されてしまう。

伊藤はこれをダイレクトで裏に抜ける谷口海斗に通し、ワントラップから右足で放ったシュートがネットを揺らし追加点を許してしまう。

これはDAZNでの解説通り、新潟のFW陣が裏に抜ける動きを見せているのがポイント。

最終ラインも常に裏に抜けるFWを見ており、ここまでに良い長いパスを通されていることが大きいと思われる。

と言うのもFW陣が良い裏抜けを見せ、そこにボールが入るとなると…DFは対応するためにFWと一緒に後ろ向きに走ることに。

 

これにより最終ラインが下がり、MF陣による2列目との距離が空いてしまったのが痛かった。

この2ライン間に入り込んだ伊藤を使われ、この伊藤を誰も捉えることができなかった…ということになる。

この失点シーンは後ほど振り返るが、この2ライン間はこの後も前半ずっと使われてしまった。

試合中の修正は非常に難しいが、DFラインが低くなってしまいMFとのライン間、もしくはMFも釣られて下がることでFWとのライン間が空く…というシーンが目立った。

 

31分には山中惇希が裏を取られるも、良いスライディングで相手にボールを当ててマイボールに。

ちょっとしたプレーではあるが、こういったプレーでマイボールになるのとヤンボールになるのは大きな違い。

山中は攻撃的なプレーヤーだと思っていたが…前節といい守備も含めて非常にサイドバックを上手くこなしている印象。

しかも右利きながらあの左足のキックは…と思ってたが、調べたところ利き足は左のよう。

これは予想していなかったが、左のサイドバックに定着する可能性も高いかもしれない。

耐える前半 修正は可能か?

34分には群馬も良い攻撃を見せる。

中央で受けた田中稔也が、右サイドに開いている小島雅也を使う。

小島はグラウンダーのクロスをゴール前に送ろうとするが、これは対峙したDFに引っかかってしまい再び作り直すことに。

一度稔也に戻したところで、DFラインと駆け引きした加藤潤也が右サイドに飛び出し稔也からKJに。

ここでKJはクロスでは無くキープを選択するが…雨ということもあってか足を滑らせてボールをロスト。

KJにボールが入るタイミングでニアに平松宗が飛び出しており、完全に田上大地を振り切った状態だったので…ダイレクトでクロスを上げていれば前節の再現も期待できたのだが…。

ちなみにDAZNの映像、芝目からの判断ではあるがボールの方が前に出ているためダイレクトで上げていれば平松はオンサイドだっただろう。

 

41分には稔也のファールからのリスタート、一度DFラインにボールを下げた新潟だったが…堀米悠斗から裏に抜け出す本間至恩に一気にロングボールが入る。

城和隼颯が対応したものの、本間が競り勝ちタッチラインギリギリで残してシュートまで持ち込まれてしまう。

しかしこのシュートは角度が全くないために、櫛引政敏がしっかりと足でセーブ。

このシーンに限らず新潟は積極的に裏に抜ける姿勢と、そこへ堀米田上辺りから良いボールが供給されるシーンが目立つ。

群馬は守備システムが4-4-2ではあるが、攻撃時には稔也が中に入り小島が高い位置を取り、KJが下りてくるという3-4-2-1気味に可変。

そのため攻守の切り替え部分でウィングバックの裏、つまりは3バックの弱点部分を使われている…ということになるのかもしれない。

 

とにもかくにも2失点し、更には攻撃の形も思うように作れずシュート0に終わった前半となった。

ハーフタイムでしっかりと修正できるのか、このままズルズルと大量失点となるのか、今シーズンを占うような試合になりそうである。

ハーフタイムの修正力

後半は群馬のキックオフでスタート。

やはり何かを変える必要があると判断したか、平松宗に代えて深堀隼平を投入。

正直平松は見せ場が無かったが…これは平松だけのせいではなく、チームとして攻撃の形が作れなかった状態。

古巣である新潟相手に、これは平松自身も非常に悔しい交代となるだろう。

深堀を入れることで前線からチェイスし、相手のCBから良いロングボールを入れないという狙いになるだろうか?

更には攻撃時も裏抜けが上手い深堀に代えることで、相手のDFラインを下げて中盤から後ろのプレッシャーを減らしたい、という狙いがあるかもしれない。

 

49分、自陣から組み立てセンターサークル付近で岩上祐三にボールが入る。

このトラップが少し流れたために、取りに行けると判断したか島田譲が挟み込みにくる。

しかし岩上はトラップした右足のアウトサイドで、島田のマークからフリーになった加藤潤也に送る。

とっさの判断だろうが、左足でなく右足アウトで転がしたことで半テンポ早くタッチできたことでパスが通ることに。

KJが完全にフリーになりドリブルで運んだことで、長谷川巧は自分のマークを捨ててKJに対応。

そのためフリーになった左サイドの天笠泰輝KJからパスが入る。

深堀がニアに流れボールを要求し、そこに天笠からクロスが入るが…深堀の手前でカットにいった舞行龍ジェームズの足に当たりボールはそのままゴールへ。

舞行龍としてはあのプレーが精いっぱいとなり、オウンゴールとなったのは不運と言うか…不可抗力と言うか。

逆にあれを枠の外に逸らすことができたらファインセーブと言えるだろう。

ちなみに深堀は…もしかしたらオフサイドポジションだったかもしれない。

真横のアングルが無いので正確にはわからないが、かなり際どかったように見える。

とは言え深堀らしい良い入り方であり、中央には田中稔也、ファーには小島雅也と人数も入れており非常に良い攻撃であった。

もちろん、天笠のクロスは完璧である。

 

53分には小島の突破から深堀がシュートまで持ち込んだり、57分には山中がドリブルで長距離を運んだりと、追加点が欲しい群馬の攻撃も少しずつ増えてきた印象。

交代カードだけではなく、細かな動き方やポジション取りとハーフタイムで大槻監督がしっかり修正してきたのが伺えるのが好ポイント。

前半の終盤は耐える時間となったが、後半始まって見ると再び戦える状態に戻せたというのは大きいだろう。

60分には新潟も動き、伊藤涼太郎に代えて松田詠太郎を投入。

まさかの3失点

62分、谷口海斗の裏抜けに対してペナルティエリアまで櫛引政敏が飛び出してスライディングで対応。

本当に櫛引の守備範囲は広く、思い切りの良い飛び出しがこの試合だけでなくここまで良い方向に出ているように思う。

キーパーがしっかりとCBの裏をカバーして、スイーパー的な役割ができるとなるとDFラインは安心して上げることが可能になる。

とは言え、失点シーンもそうだが…城和隼颯が今日はFWを捕まえ切れていない印象がある。

画面に映っていないことも多く原因は不明だが、谷口の積極的な裏抜けの動きに苦労しているのだろうか。

 

64分には群馬右サイドの本間至恩へボールが入る。

ゆっくりとボールを持っていたところから、一気に中央にカットインし放ったシュートはクロスバーを直撃。

本間は本当に厄介なプレーヤーであり、縦にも中央にも入って行ける独特のリズムのドリブルが持ち味。

深堀隼平加藤潤也という攻撃のプレーヤーではあるが、DF2枚を剥がしてシュートまで持っていく辺りはさすがの一言。

群馬には山根永遠白石智之というドリブラーがおり、このように攻撃のリズムを変えるためにも個の突破力は必要なため、早期の復帰を願うばかりである。

 

66分、群馬右サイドからのコーナーキック。

ショートコーナーから高木善朗が良いクロスを送ると、それを田上大地が頭で合わせて追加点。

山中惇希の頭を超えたのが誤算かもしれないが、入り込んでくる田上小島雅也が対応できなかった形に。

しかし…ゾーンで守るとなると、このシーンのように後方から入ってくる選手への対応が遅れがちなのも事実。

特に今回はショートコーナーでテンポをズラされている、というのも大きかっただろう。

仕方ないと言ってはいけないが…個人的にはこの手のパターンは一定数防げないと思っている。

 

そして失点後のリスタート前に、群馬は2回目の交代となり天笠泰輝に代えて高木彰人を投入。

加藤潤也と位置を変えるかと思いきや、高木が左サイドに入ることに。

 

69分には田上大地から、一気に群馬左サイドの松田詠太郎にロングボールが入る。

松田は内側を上がっていた長谷川巧に預けて、自らは縦に抜ける動きを。

そこには高木彰人がしっかりと対応したこともあり、長谷川は中央の島田譲を選択。

読み切った形でパスカットに畑尾大翔が行ったが…わずかに届かず、島田に通りシュートを打たれるが櫛引政敏がファインセーブ。

畑尾がいなくなったことですぐに城和隼颯がスライドし、島田の正面に入ったことも効果があっただろう。

 

72分には群馬が3回目の交代を使い、田中稔也に代えて久保田和音を、岩上祐三に代えて奥村晃司を投入。

どちらも今シーズン初の出場となり、しっかりと結果を残して存在感を示したいところだろう。

意地を見せるも時すでに遅し

77分には新潟も2回目の交代を使い、長谷川巧に代えて藤原奏哉を、高木善朗に代えて秋山裕紀を投入。

 

82分には裏に抜けた本間至恩に対し城和隼颯が良い対応を見せる。

交代選手が上手く試合に入れていないか、点差の焦りで前線と後ろとの意思疎通が取れなくなってきているか…城和が珍しく厳しいことを言っているようなシーンが印象的。

ジェスチャーを見る限り、右サイド…小島雅也久保田和音か不明だが、もっと下りてきてボールを受けてほしいように見える。

そう言えばその直前にボールを持っていた畑尾も、「もらいにこい」というような素振りを見せていた。

前がかりになってしまっていて、後ろからすると出しどころが無い…というような状態か。

 

交代選手と言えば高木彰人が今一つなのが気になるところ。

今一つと言うか…なぜ左サイドに入れたのかが疑問であり、加藤潤也のポジションを変えたくなかったということだろうか?

高木はドリブルが上手いわけでもクロスが上手いわけでもなく、ここまででサイドハーフの選手として良い働きをしているとは言い難い。

彼の活きるポジションは前だと思うのだが…練習では良い動きをしていたということだろうか?

また加藤潤也もボールが出てこないためか、頻繁に下りてきて組み立てに関わろうとしている。

これが活きるシーンもあるが、昨シーズンの大前元紀同様に…上手くいっていないから下りてきてしまうという状態。

結局86分辺りで加藤潤也の指示(のように見える)によりポジションを変更し、高木が前、KJが左サイドになる。

 

その直後の同86分、群馬右サイド裏のスペースで受けた谷口海斗が一気にドリブルからシュートを放つ。

城和隼颯が対応していたが、半歩中にズラされ右足でのシュートを許してしまったのが気がかり。

あのポジション、右利きの谷口ということを考えると外へ追いやらねばならず、当然城和も理解しているのであの体の向きでの対応だったわけであるが…。

完全に交わされたわけではなく、タイミングをズラされて…という形ではあるが、それでもやはりあの状況で中に交わされるのは頂けないだろう。

 

89分には新潟が最後のカードを切り、谷口海斗に代えて小見洋太を投入。

91分には小島雅也のロングスローをニアで畑尾大翔が競り合い、そのこぼれ球を城和がシュート。

どうやら秋山裕紀の背中に当たってコースが変わったことで、キーパーの小島にはアンラッキーとなったようだが…これがゴールに吸い込まれて1点を返すことに成功。

群馬にとってはラッキーとも言えるが、やはりシュートを打つからこそこうなるわけで、昨シーズンのように打たない試合は見たくないところ。

 

94分には獲得したフリーキックに櫛引政敏まで上がるというパワープレー。

跳ね返されたボールを久保田和音がダイレクトで叩き枠に飛ばすも、シュートの前に笛が吹かれておりゴールは認められず。

アディショナルタイムの4分は調度過ぎ、5分に入ったところではあったが…ドフリーの久保田の下にボールがこぼれたので「そこで笛を吹くのか」というのが群馬ファンの気持ちだろう。

久保田が横に広げたり…となれば吹かれても仕方なかっただろうが…。

しかし久保田はドライブの効いた素晴らしいシュートだった。

新潟のゴールキーパーの小島亨介も笛を確認していたために全く反応しなかったが、反応してももしかしたら取れなかった可能性もある。

そのぐらい良いシュートであり、ゴール裏側などの角度からのカメラで見てみたいシュートだった。

 

こうして最後は反撃を見せるものの一歩及ばず、連勝とはならなかった今節。

内容的にはスコア以上の完敗と言って良いだろうが、個人的にはさほど悲観するゲームではなかったと思っている。

20分までに2失点したことでズルズルと大量失点する可能性もあったが、しっかり踏みとどまり前半を耐えたのが1つ。

そしてハーフタイムにしっかりと修正し、後半は(点差もあって新潟のペースが変わったのもあるだろうが)仕切り直せたというのが2つ目。

オウンゴールと、相手に当たりコースが変わるというラッキーはあるが、2得点を取れたというのが3つ目。

まだ6節ということもあり、この敗戦からどうチームを修正していくのか…この先も楽しみと言えるチームに成長していると思う。

ピックアップポイント

20分 失点シーンの畑尾の対応

今回は20分、2失点目のシーンを振り返りたいと思う。

まずは堀米悠斗が裏へのボールを蹴るモーションをしている。

この時も谷口海斗と思われるが、積極的に裏のスペースを狙っており、パスの精度も良いためにここへの対応に終始苦労していたと言える。

裏抜けへの対応のためDFラインが下がり、2列目とのギャップに伊藤涼太郎が入り込んだのは本文でも触れた通り。

 

その後は伊藤のダイレクトパス、谷口の完璧なトラップと…速度が全く落ちなかったことが得点へ結びついた最大の理由となるだろうが、畑尾大翔の対応を振り返りたいと思う。

下記は伊藤のダイレクトパスが谷口に入った瞬間の位置関係である。

 

まず最初に気になるのが、ボールホルダーである谷口に当たらなかったこと。

これは伊藤へのワンツーで戻ることを考慮して、谷口に当たらなかったものと思われる。

谷口に行けば中央の伊藤に通され、伊藤がダイレクトでゴールに流し込む…という構図が見えることになる。

どちらの対応が正しかったのかは結果論であり、チームの戦術や選手間の相互理解、更には選手の判断によるところが大きいことになり、良い悪いではないだろう。

映像だけで判断するならば、山中惇希がしっかりと絞っていたこともあり、伊藤への対応は山中に任せて畑尾谷口にスライドするべきだったと思うが…それはあくまでも映像を見たから言えることである。

 

そんな「谷口には行かない」という判断をした畑尾であるが、その後のプレーに色々な意図が見えるので想像を交えて紹介したい。

まず右手を上げて何かを指さしているが、恐らくこれは櫛引政敏への指示で「ニアを守れ」ということ。

畑尾自身が伊藤へのリターンパスとファーへのシュートコースを消し、櫛引がニアへ対応するということだったと思われる。

下記は谷口のシュートの瞬間の位置関係だが、畑尾はファーへのシュートに足が出せる位置であり、伊藤にリターンされてもシュートコースに入れる位置取りとなっている。

反面ニアへのシュートは捨て、キーパーに任せたと言えるだろう。

 

ある意味ではニアは櫛引、ファーは畑尾と責任分担がハッキリしたことで守りやすいと言えるが…シュートがあまりにも良かったことで櫛引もニアを抜かれることとなった。

恐らく櫛引としてもニアに意識を集中して守っていたと思うが…それを上回るシュートだったということに。

ゴール後には大の字になってお手上げとも言える態度の櫛引を見るに、その辺りの畑尾との意思疎通が取れていたように思われる。

(要はニアを抜かれたわけで自分の責任なのだが、あのシュートはお手上げ…ということ)

 

多分に映像を見ての想像も含まれるが、こういった駆け引きがあったことが予想され、このやりとりを考えるのもサッカーの楽しみの1つだろう。

「J2はレベルが低い」もっと言うと「Jはレベルが低い」なんて言う人もいるが、全てのプレーにこういったハイレベルの駆け引きがあることも事実である。

MOM

この試合のMOMは…山中惇希としたい。

取り立てて突出して良かった選手はいない印象であり、逆に普段のポテンシャルを出せていなかった選手が数名いた印象のある試合だった。

山中は前節同様に左サイドバックとしてプレーしたが、正直ここまでサイドバックを器用にこなすとは思っていなかった。

前節の方が活躍度合いは目立っただろうが、この試合も攻守にそつなく良いプレーを見せていたと思う。

また天笠泰輝との連携面も悪くなく、起用が続けば更に磨かれると思うと…これは楽しみな2人と言える。

 

1つ気になったプレーを書くと、57分のシーン。

攻撃時には右の小島が高い位置を取り、右から城和畑尾山中の3バック気味になるのが今シーズンの現在のシステム。

この57分は最終ラインで貰った山中が、フリーだったこととボールの出しどころが無かったことでかなりの距離をドリブルで運んだシーン。

最終的にはドリブルを止められ奪われる形となったが、元々CBどころか守備の選手でもない山中が左CB(と言って良いのかは置いておいて)に入っているのを活かしたシーンではないだろうか?

攻撃のリズムを変えるという意味でも、時折こういった攻め上がりを見せられると更に面白くなりそうな予感がある。

もちろんサイドバックとしてサイドを駆け上がる…というのは前節のアシストのシーンを筆頭に良い物を見せている。

それだけでなく、ビルドアップのシーンに3バックの一角が上がれるシーンを作れると…という意味である。

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