※ザスパクサツ群馬ファンによる、ザスパクサツ群馬贔屓のマッチレビューです。
前節は残留争いの直接対決とも言える松本山雅相手に、1-0でかろうじて逃げ切るという展開を見せた我らがザスパクサツ群馬。
決して良い内容だったと言えない部分はあるものの、何よりも結果が大事であり大きな大きな勝点3を獲得した試合でした。
続く今節は上位かつ相性の非常に悪い長崎…。
そして久々の水曜開催ということもあり、週末にこれまた残留の直接対決と言える相模原戦が控えている連戦の中…メンバーを含めてどういった戦いを見せるのかが注目となりそうです。
そんな第37節、V・ファーレン長崎戦をレビューします。
Contents
スタメン・フォーメーション
※試合はメインスタンドから見て左側に群馬、右に長崎でスタート
V・ファーレン長崎
スターティングメンバー
ポジション | 背番号 | 選手名 |
GK | 1 | 富澤雅也 |
DF | 16 | 毎熊晟矢 |
23 | 米田隼也 | |
24 | 江川湧清 | |
26 | 二見宏志 | |
MF | 6 | カイオ セザール |
19 | 澤田崇 | |
22 | 鍬先祐弥 | |
28 | ウェリントン ハット | |
FW | 13 | 加藤大 |
33 | 植中朝日 |
ベンチ
ポジション | 背番号 | 選手名 |
GK | 21 | 高木和徹 |
DF | 15 | 加藤聖 |
25 | 新里亮 | |
MF | 14 | 名倉巧 |
35 | 安部大晴 | |
FW | 18 | 山崎亮平 |
27 | 都倉賢 |
長崎は前節から1枚、エジガル ジュニオに代えて加藤大が入る形に。
前節途中交代で…特に接触や倒れていたわけではなかったものの、どうやら負傷で離脱となりそうで…これはザスパとしては非常にラッキーな形に。
ベンチもGKが代わってはいるものの、外れたエジガルに代えて安部大晴が入る程度とメンバーに大きな変更はなし。
怖いのは中盤の底に位置するカイオ セザールとなるだろうか…。
また、ベンチにはトッくんこと都倉賢が入っており、元気なのは嬉しいが今日は沈黙してもらいたいところ。
ザスパクサツ群馬
スターティングメンバー
ポジション | 背番号 | 選手名 |
GK | 21 | 松原修平 |
DF | 3 | 畑尾大翔 |
15 | 金城ジャスティン俊樹 | |
25 | 小島雅也 | |
40 | 大武峻 | |
MF | 6 | 内田達也 |
16 | 久保田和音 | |
41 | 中山雄登 | |
FW | 9 | 北川柊斗 |
18 | 進昂平 | |
50 | 大前元紀 |
ベンチ
ポジション | 背番号 | 選手名 |
GK | 1 | 清水慶記 |
DF | 24 | 光永祐也 |
32 | 渡辺広大 | |
MF | 11 | 田中稔也 |
19 | 白石智之 | |
33 | 細貝萌 | |
FW | 10 | 青木翔大 |
群馬は前節から6枚と大幅に代え、なんと岩上祐三と加藤潤也はベンチ外ということに。
恐らくではあるが…長崎ということで移動距離もかなりのものであり、中3日で迎える相模原戦に向けて温存ということになるだろう。
松原、ジャスティン、進辺りは久々のスタメンというチャンスなだけに、ここはアピールしていきたいところ。
しかし前節は無失点で終わり、本人のプレーにも悪い部分はなかった清水を代える必要はあったのだろうか?
松原が劣るという意味ではないが、怪我でもコンディション不良でもなく…上手くいっているキーパーを代える意味とは?
岩上やKJのように温存策で連れてきていないならまだしも…。
またベンチには加入から初のベンチ入りとなった細貝萌が入ったのも注目したいところ。
試合経過
意外?積極的にポゼッションして攻める群馬
前半は群馬のキックオフでスタート。
並びは予想通り、お互いに4-4-2のミラーゲームということに。
3分、金城ジャスティン俊樹、北川柊斗、久保田和音の3人で右サイドを崩す。
スペースに抜け出したジャスティンにボールは通るが…これはクロスを上げさせてもらえずコーナーキックに。
昇格圏内入りを目指す長崎と、残留圏を遠ざけたい群馬ということで…攻める長崎に守る群馬という展開になるかと思っていたが…。
意外や意外にも群馬がポゼッションしながら丁寧に攻撃を組み立てるシーンがこの後も続くことになる。
7分、小島雅也のパスがミスとなったところからカウンターを受ける形に。
中央の植中朝日に入りドリブルで持ち出す中、群馬右サイドをウェリントンが上がっていく。
しかしこれは畑尾大翔がカバーに入り植中に対応、スライドして大武峻がウェリントンを見られる位置取りを取ったことでウェリントンを封じることに成功。
植中は切り替えして、少し遠いながらもシュートを打って終わることを選択。
シュートは危なげなく松原修平がキャッチし、これは可能性の低いところから打たせた群馬DF陣の勝利と言えるだろう。
続く11分、群馬右サイドを使われたところからカイオ セザールに。
カイオが大きく逆サイドに展開し、受けた毎熊晟矢がミドルを放つもこれは枠の上に。
実況・解説は「DFが出てこないからシュートを…」と言っているが、小島のことを言っているならこれは出ないで正解だろう。
もう少し寄せられたかもしれないが、その外にはウェリントンがいたために小島は毎熊に当たるわけにはいかない。
そのため進昂平がプレスにいくことになったが、彼も鍬先をチェックしていたために距離があったが…よくしっかりと詰めた。
進が詰めたことで可能性の低いミドルを打つか、一度外のウェリントンを使うかの二択に絞らせたと言えるだろう。
進がボランチの鍬先に付いていたように、中山と内田のボランチの2枚がだいぶ右サイドに吸収されており群馬としてはかなり右サイドに寄った状態。
そのためもう少しFW(あのシーンだと大前かな)が下りて鍬先を見るか、外の毎熊を見ても良かったとは思う。
この辺りはこの試合メンバーが大きく変わったという影響もあるかもしれない。
徐々に流れは長崎に 出しどころに困る群馬
15分には松原修平のパスミスから攻撃を作られるも…これはコーナーに逃げることに成功。
松原はこういったキックミスが時折あるので、ここは今後のためにも改善していかないとならないだろう。
25分には群馬左サイドから大きなボールがファーに展開され、これをヘディングで折り返されるもシュートまでは打たせない。
この試合も畑尾大翔と大武峻のセンターバックコンビを中心に、粘り強い守備ができていると言えそうである。
しかし前半15分を過ぎたあたりから…ボールは自陣で持たせてもらえるものの…そこから前に運べない展開へとなっていく。
長崎のプレスが速く、高い位置まで追ってくるので後ろで回すシーンが目立つことに。
高いプレスということはその裏のスペースが空いているわけだが、大前元紀と北川柊斗、更には両サイドハーフの久保田和音と進昂平の動き出しに合わない状態が続く。
これはもちろん動く側のタイミングであったりDFをはがしきれていなかったりともらう側の問題と、プレスが速くボールを受ける止めるに精一杯で見えていない蹴れない出し手側の問題と、どちらもあるので何が悪いとは言い難い。
しかし…中央に岩上祐三がいないということが大きく感じてしまう展開となっている。
長崎のプレスもさすが上位だけあって、速いだけでなく連動しており出しどころをきっちり切っているのもポイント。
プレスが速いので大きく蹴る余裕が与えてもらえず、連動してコースを消されるので近場で前に当てることも出来ず…結果的に出せるのが後ろのみに…。
守り切れなかった前半
34分には出しあぐねて後ろで回している中、中山雄登のパスが短くなってしまったが…これを大武峻がなんとか触ってという苦し紛れに前に蹴ったように見えたが…これが左サイドを上がる進昂平に通る。
これはあのパスミスに対して進を見て出したのであれば…大武ヤバいな…。
進の外を小島雅也がオーバーラップし、そこを使うも左足で上げるクロスはやや精度を欠いてしまう。
前節抜群に良かった光永祐也を外したのも…何なのだろう?
相模原戦に向けて温存したいのか…それなら出ずっぱりの小島を休ませた方がとも思うのだが?
やはり光永はまだ信頼を勝ち取れていないということなのだろうか。
37分には群馬右サイドのスローインから、植中朝日、カイオ セザール、再び植中と繋がり、中の加藤大に当てカイオと流れるようなパスワーク。
そしてボールは再びゴール前に走りこんだ植中に戻り、見事なシュートを決められてしまう。
これなんでジャスティンは植中について戻らなかったのだろうか?
これは後ほど取り上げたいが、この失点の根本には大武のキックミスが2回あるのも忘れちゃいけないポイント。
最初はグラウンダーで前に当てようとしたのだろうが、久保田に当ててしまい相手のスローインとなってしまったこと。
次はそのスローインをクリアできただろうが、キックミスになり相手ボールとしてしまったことである。
もちろん失点の責が大武にあるとは言わないが、失点シーンの振り返りはそのシーンだけでなく、相手の攻撃の起点やボールを失ったところまで戻ってみる必要はあるだろう。
45分には中央、センターサークル付近で中山のバックパスが狙われておりウェリントンにカットされる。
そのウェリントンが運び、群馬右サイドには植中が上がってくるが…これは7分のシーン同様に畑尾と大武が良い対応を見せる。
植中が上がってきたことでウェリントンのチェックを畑尾に任せ、大武は植中をケアできるポジション取りを。
かつウェリントンが突破してきた際には畑尾と2人で挟める位置取りと…基本ではあるが完璧な対応。
ウェリントンは中に突破しつつ大武が出てきたところで植中にパスを通すが、ここもしっかりケアできる位置取りをしていたために植中のシュートは大武がコースにしっかりとブロックに入っている。
ウェリントンは植中から戻してほしかったようで、事実ゴール中央フリーにはなっていたが…畑尾と大武の間を通して戻すのはかなり難易度が高いだろう。
DFの基本通りの対応とは言えるが、DFで大事なのはいかにミスなく基本のことを全員がこなせるか。
これまたCBコンビの素晴らしい対応が見られたシーンであった。
待望の同点弾も帳消しとなる直後の失点
後半は長崎のキックオフでスタート。
両チームともに交代は無し。
1点のビハインドであり、内容的にも上手くいっていないだけに代えてくるかと思ったが…ハーフタイムでは動かないようだ。
しっかりとハーフタイムで修正できていれば良いが…前半は北川柊斗と久保田和音が機能していない印象。
開始早々の48分、小島雅也が良い対応でボールを奪いそのまま左サイドを少し縦に上がり潰されながらもクロスを供給。
中には北川しかいなかったが、ここにドンピシャで合い、北川も見事なトラップで前に持ち出すが…江川湧清が読み切った形でシュートは打たせてもらえず。
小島はこのクロスがコンスタントに送れるならば…左サイドでも全く問題はないのだが…。
現状では右サイドに置いた方が縦への突破力も、クロスの質も良いということで…やはり右サイドで使いたい選手。
北川もトラップまでは完璧で、ワンタッチで一気に前に持ち出してDFを剥がしたかと思ったが…江川の対応が上回った形になった。
しかしここで得たコーナーキック、大前元紀がニアに送ったボールを内田達也がバックヘッドでファーに逸らす。
これは相手キーパーの富澤雅也がファインセーブで触るが、そのボールがそのまま毎熊晟矢に当たりゴールに吸い込まれる。
結果としてはラッキーゴールだが、ニアで内田がファーに逸らして畑尾大翔か北川が詰める…というデザインされたプレーだったのだろう。
内田は完全にフリーを作り出したし、ヘディングはファーに送ったのだと思うが…枠を捉えておりキーパーが触らなければ入っていただろう。
まだまだ戦える、あわよくば勝点1を…と思っていた直後の50分。
裏に抜け出した植中朝日にロングボールを通され、大武峻が対応し中山雄登も挟み込みに戻るが…その間を見事にカイオ セザールに通されてしまう。
そのカイオはペナルティエリアのライン辺りを縦に持ち上がり、必死に戻った大武が対応するが…クロスのフェイントに大武が滑り込んでしまい、中にドリブルで切り込まれてしまう。
そして中央に折り返され澤田崇にゴールを割られる形になった。
大武がサイドに釣りだされる形ではあったが、中の枚数は足りていたと思う。
書き方的に大武が悪いように見える気もするが…サイドに流れたのは全く問題なく、カイオに対して滑り込んで交わされたのも対応は間違ってないだろう。
あの位置、あの体勢であればクロスに対して滑り込むのは当たり前であり、通常ならばブロックしてコーナーになりナイスディフェンスとなるところ。
個人的には澤田をフリーにさせた久保田の対応に問題があったと思う。
ここは後ほど見ていきたい。
待ちに待った細貝登場
57分、群馬右サイドを使われクロスを上げられるもここは対応。
しかしそのボールを左サイドでウェリントンが回収、対峙した小島雅也を半分外したところでクロスを供給。
これを植中朝日が頭で合わせるが、松原修平がファインセーブで止める。
植中の動きが見事であり、大武がボールを見ている時に少し下がって距離を取りファーに流れ、そこに阿吽の呼吸でボールが入る…やはり上位のチームはレベルが高い。
大武の対応が遅れたために楽に打たせてしまったのは事実だが、DFとしてはボールとマーカーと両方を見ながら対応するために難しく、サッカーではよくある得点シーンの1つ。
大武の対応を責めるのは酷であり、植中の動きを褒めるべきだろう。
しかしそれ以上に松原のナイスセーブに注目したい。
足元に叩きつけるというほぼ完璧なヘディングだったが、見事に対応してみせた。
以前も書いたが、松原はこういった時のステップワークが非常に上手く、これは清水慶記にはない特徴である。
しかしこれで与えたコーナーキック、ニアで江川湧清に合わせられ、キーパーの目の前で植中朝日にコースを変えられてゴールに吸い込まれてしまう。
ニアで江川に合わせられたのは…ゾーンであれば仕方ないところか。
しかしキーパーの目の前にいた植中は完全にオフサイドだったと思うが…?
群馬のオフサイドラインはニアポストに立っていた内田達也なので、江川が合わせたタイミングで植中はオフサイドポジションだっただろう。
植中のゴールとなっているように、最後に触れたのは確実であるために…ポジションがオンサイドだったという判定になっている。
59分にはこの試合最初の選手交代となり、中山雄登に代えて細貝萌、北川柊斗に代えて青木翔大が投入される。
セットプレー前から準備は整っていたが…相手セットプレーの際に代えるのはマークのミスなどを誘発するので…待つのがセオリー。
そしてセオリー通りに待ったが…結果論ではあるが、2点差ではなく1点差の段階で投入したかった。
69分には長崎も交代カードを切り、ウェリントンに代えて山崎亮平、澤田崇に代えて名倉巧を投入。
しかしここまで約10分のプレーであるが、細貝は一人レベルが違うことがわかる。
パストラップの技術が高いのはもちろんだが、スペースの消し方や攻撃時のスペースへの入り方、更には判断スピードと明らかにレベルが違う。
技術面はなかなか衰えないので心配はなかったが、実戦を離れていたことによる試合勘もそれほど心配なさそうだ。
細貝は浦和やドイツ時代、更には日本代表とどちらかと言うと守備的MFとしてクラッシャーのイメージが強い。
しかし実のところ、ボランチとしてゲームメイク能力も高くパスの起点にもなれる存在。
コンビを組む相手等、チーム状況で潰し屋に徹していたと言えるので、群馬では試合をコントロールする姿が見れる気がしている。
ただ時間帯と2点差という展開で、長崎のプレスも少し落ち着いているという点も無くはないので…この試合だけで判断は早計だろうが…残りの試合が楽しみな存在ではあろう。
意図をはかりかねる交代策
72分、スローインから一気に植中朝日にシュートまで持ち込まれるも…これは松原修平がナイスセーブを見せる。
3失点とはなっているが松原の出来はむしろ良いくらいであり、失点シーンはノーチャンス。
そしてこのクリアボールからカウンターを見せ、進昂平が切り返したところでファールをもらい、良い位置でフリーキックを獲得。
このフリーキックを蹴るのは大前元紀で、ゴールまで約25mと絶好の位置。
ファーを狙ったシュートは良いコースだったものの、最後落ち切らずに枠の上に。
本人のイメージとしてはもう少し曲げて落とす感じだったのだろうが…今シーズンの大前は少しキックの精度が本来のレベルではない気がしてしまう。
76分には長崎が動き、植中朝日に代えて都倉賢を、米田隼也に代えて加藤聖を投入。
しかし長崎が先に動いたか…上手くいっているわけでも勝っているわけでもないのに、相変わらず交代が遅い印象。
78分にやっと群馬も動き、畑尾大翔に代えて渡辺広大、大前元紀に代えて田中稔也、小島雅也に代えて光永祐也を投入。
計5枚となり、交代2回ではあるがここで使い切ってきた。
個人的にこの交代カードに意図を見いだせないのだが…どんな意図をもって交代したのだろうか?
まず畑尾を代える必要があるのか?
怪我でもなさそうだし連戦を考えて…としても10分多く休ませたところで大きく変わるものだろうか?
少しでも得失点差を減らしにいくなら、畑尾ではなく久保田に代えて白石智之だったと思う。
白石は温存したのだろうか?
温存するなら出場時間の少ない白石ではなく、田中を休ませた方が良かっただろうから…次節も白石は良くてベンチな気がしてならない。
光永は好意的に捉えれば、次節スタメンのために少し使って馴らしておこうといったところか。
85分には長崎も最後の交代カードを切り、加藤大に代えて安部大晴を投入。
そして88分、コーナーキックのチャンスは跳ね返され、こぼれ球を細貝が頭で光永に繋ぐが…これが合わずにカイオ セザールに奪われカウンターを受ける。
カイオがそのまま左サイドを突破し、ファーに流れた加藤聖にピンポイントのクロスを供給。
これを冷静に沈められて4点目。
コーナーキックで点を取りにいっていただけに、このカウンターは仕方ない。
カイオを細貝に任せて光永は鍬先祐弥に、ジャスティンはファーを捨ててニアに流れた名倉巧にと、対応は全く悪くない。
広大が必死にファーに戻ったが間に合わなかったのも仕方ないもので…むしろあのファーに良いクロスを通したカイオが凄い。
マークをスイッチしてカイオにいった細貝がもう少しボールに詰められた気はしないでもないが、もう少しドリブルで突破することを考慮しての距離だっただろう。
予想外にアーリーでクロスが入ったという印象がある。
結論としてこのカウンターを止めるのは不可能だったことになり、原因としてはその前の細貝と光永の連携不良と言える。
ここは細貝が初出場ということもあり、連携不足は仕方ない部分でもあるが…残り試合数もないのでそうも言ってられないのも事実。
そして試合はタイムアップし、1-4で終了。
負けて勝点0に終わることは想定内だったと思うが、得失点-3というのが最後に響かないことを願いたい。
(もちろん-1にするべく88分のコーナーではCB2枚を前線に入れて点を取りにいった結果なのだが)
ピックアップポイント
37分の失点シーン ジャスティンの対応に関して
まず37分の失点シーンだが、群馬右サイドでのスローインでスタート。
縦に流れた澤田にスローが入るがこれは体を上手く入れた大武がクリア…だったのだがキックミスとなり久保田と米田の前にこぼれる。
これを米田がマイボールにし、澤田に預け、植中に通る。
植中とカイオが見事なワンツーを見せるのだが、ここでの位置関係はこんな感じ。
この時に植中に対応していたのは中山であったが、カイオとのワンツーであっさりと剥がされたためにジャスティンがフォローに入る。
そして植中は中央の加藤に当て、加藤はフリックしてカイオに。
カイオから…というよりは進と競り合ってこぼれたボールが再び植中に戻りシュートを打たれてしまって失点。
植中から加藤に入り、加藤がフリックした段階で、ジャスティンはなぜか植中を追う事をやめて止まってしまう。
結果としてこれが失点の最大の原因となるわけだが、なぜジャスティンは植中のマークを止めたのか考えたい。
まずは大武にマークをスライドした可能性。
大武はボールを見ている、つまり加藤を見ている向きなので、背中側の裏を抜ける植中は見えていないだろう。
そう考えるとジャスティンが植中のマークを大武にスライドしたとは考えにくい。
続いて植中をオフサイドラインに置いた可能性。
実際はウェリントンの動き出しに合わせて下がった小島が最終ラインになっていたが、そこが見えておらず大武が最終ラインだと勘違いしていたとすれば…この可能性が考えられる。
もしくは小島が見えていたとしても、半歩出ているので再びラインを戻すと考えたか。
ジャスティンの対応を見ても植中が加藤に出した段階でボールウォッチャーになっているわけではなく、一度は入り込む植中に対して体を入れる素振りを見せた。
が、前に入られたことで追うのを止めたように見えるので…ジャスティンとしてはオフサイドポジションに置いたと判断した可能性が高そうな気がする。
植中にパスが戻った瞬間に小島もオフサイドをアピールしており、ゴール後のジャスティンの視線の先は副審であるので…この説が有力だろう。
実際には小島が残っていてオンサイドだったが…。
50分の失点シーン 久保田の対応に関して
続いて50分の失点シーンを振り返りたい。
まずはセンターサークルより相手陣側、内田のヘディングを回収した鍬先だろうか?
そこから裏に抜け出した植中に良いボールが入る。
ここの対応には大武が行き、ランニングバックした中山と挟みにいくが…挟むよりも一歩早く右足アウトサイドで2人の間を通されてしまう。
この時のポジショニングがこんな感じ。
これをカイオが拾う形になり、畑尾が出てくるかと思ったがパスが短かったこともあり再び大武が追うことに。
ちなみにカイオに入る前に内田は走るコースを変え、スペースを消す動きから中に入ってくる加藤に対応するポジションを取り直している。
恐らく畑尾がカイオに当たりにいった場合の事を考慮しての動きだろうが、この辺りの動き方が内田の上手さである。
ボールに絡まないので「立っているだけ」なんて言う人間もいるようだが、内田の上手さはこのスペースの消し方にある。
加藤に内田が付いたために、久保田は外の澤田をケアするべく必死に戻る。
そしてニア側に畑尾が、中央にジャスティンがフリーで、入ってくる敵とクロスに対応するべくポジションを取っている。
と、このように中の枚数は足りており非常に良い守備を見せていた。
大武のタックルが外され、カイオは更に中央に入り込んできたことで畑尾が出る。
加藤が上手く内田の後ろに入り込みマークを外すが、恐らく内田としても付いていく意思はなく中央のスペースを埋めたと思われる。
(多分、流れる加藤はジャスティンに任せた)
この瞬間画面には写っていないが、ペナルティエリア外から鍬先と米田が入ってきており、PKスポット辺りにパスが出た場合を想定した位置取りなのだろう。
(下画像には書いていないが、ウェリントンの左後方に鍬先・米田が走りこんできている)
ジャスティンが一瞬中に入ってきた澤田を見た事、ニアに入り込んだ加藤をジャスティンが追わなかった事、これらから久保田は澤田のマークをジャスティンにスイッチしたと判断したのだろうか?
後方から入り込んでくる鍬先と米田のことを考えて、澤田のマークを外してしまった可能性もゼロではない。
だが…どちらかと言うとボールウォッチャーになってマークを外し、「しまった」と思っているうちにボールがきてしまった…という感じに見える。
ファーを必死に戻ったことは素晴らしく、そこは評価したいが…。
マークのスライドがあったわけでもなく、シュートの直前に死角から前に入り込まれたわけでもなく、更にそのファーに入ってきた長崎の選手もおらず…擁護するのは難しいか。
MOM
この試合のMOMは…松原修平としたい。
4失点してMOMというのもどうかとは思うが…彼のミスによる失点はなく、失点シーンはキーパーとしてはノーチャンスだろう。
唯一のチャンスは2失点目の澤田のシュートがコースが甘く、触ることはできたが…といったところ。
しかしあれも「強いて言えば」のレベルであり、あれだけ深い位置からクロスを上げられていることを考えると、あの距離のシュートはノーチャンスだろう。
逆にファインセーブはいくつか見せており、高い評価で良いと個人的には思う。
攻撃陣はほぼ沈黙してしまった試合だっただけに、他に高評価を与えられるのは大武と畑尾のCBコンビ。
大武は少しミスがあったものの、やはりレベルが高く頼れるCBというのを見せてくれた。
畑尾はそつなく常時冷静な対応を見せ、この試合に関してだけ言えば松原の次点は畑尾としたい。
松原に話を戻すが、キーパーは特殊なポジションであり怪我や退場が無い限り試合中に交代はない。
更にはチームの負けが続いたり、大きなミスでもやらかさないと中々控えの選手にはチャンスが廻ってこないポジション。
現状では清水が少しリードしている印象があるが、松原が大きく劣るということは全くなく、非常に激しいポジション争い中と言えるだろう。
タイプが異なることもあり、監督やゴールキーパーコーチが変わると松原が正守護神になる可能性もある…というくらいの差である。
選手としては出場機会を求めたいところだろうが、チームとしては清水と松原とレベルの高い2人は残したいところ。
この2人は来シーズンも良いライバル関係で切磋琢磨してほしいと思うが…。
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