※ザスパクサツ群馬ファンによる、ザスパクサツ群馬贔屓のマッチレビューです。
まさに泥沼の6連敗で迎えるモンテディオ山形戦。
山形にはホームで1勝、天皇杯で1勝と今期既に2勝という非常に相性の良さを感じさせる相手です。
現在の山形としては、なんとかプレーオフ県内でシーズンを終えたいといったところでしょうか?
現在の順位や戦力的には格上の相手とはなりますが、相性の良さを活かしてこの泥沼の状況を脱したいところ。
今回はそんなモンテディオ山形戦をレビューします。
Contents
スタメン・フォーメーション
モンテディオ山形
スターティングメンバー
ポジション | 背番号 | 選手名 |
GK | 1 | 後藤雅明 |
DF | 2 | 山﨑浩介 |
3 | 半田陸 | |
5 | 野田裕喜 | |
26 | 川井歩 | |
MF | 15 | 藤田息吹 |
18 | 南秀仁 | |
25 | 國分伸太郎 | |
FW | 17 | 加藤大樹 |
20 | チアゴ アウベス | |
29 | ディサロ 燦 シルヴァーノ |
ベンチ
ポジション | 背番号 | 選手名 |
GK | 23 | 藤嶋栄介 |
DF | 6 | 山田拓巳 |
37 | 喜岡佳太 | |
MF | 10 | 山田康太 |
22 | 河合秀人 | |
41 | 樺山諒乃介 | |
FW | 9 | デラトーレ |
山形は前節から3枚を変更。
CBの木村誠二、ボランチの小西雄大がベンチ外となり、山田康太がベンチスタートなった。
注目は何と言ってもこの夏に清水から加入となったディサロ 燦 シルヴァーノだろう。
加入後、前節の秋田戦で先発しこれが2試合目となるため…まだチームにフィットしていない可能性はあるが…能力の高さは間違いない。
他には、個人的に嫌いな選手(褒め言葉)である藤田息吹。
ポジション的にはボランチなのだが…気付くとなぜかゴール前にいる…という非常に嫌らしい選手。
ゲーム展開を読む力が高いからか、本当に神出鬼没というタイプである。
ザスパクサツ群馬
スターティングメンバー
ポジション | 背番号 | 選手名 |
GK | 21 | 櫛引政敏 |
DF | 2 | 城和隼颯 |
3 | 畑尾大翔 | |
19 | 岡本一真 | |
25 | 小島雅也 | |
MF | 8 | 岩上祐三 |
15 | 風間宏希 | |
33 | 細貝萌 | |
FW | 23 | 平松宗 |
30 | 山根永遠 | |
39 | 高木彰人 |
ベンチ
ポジション | 背番号 | 選手名 |
GK | 1 | 清水慶記 |
DF | 32 | 渡辺広大 |
MF | 17 | 山中惇希 |
27 | 奥村晃司 | |
FW | 14 | 白石智之 |
38 | 天笠泰輝 | |
群馬は前節からは5枚を変更し、今期初スタメンとなる岡本一真に注目となる。
川上優樹、高橋勇利也、加藤潤也、北川柊斗がベンチからも外れ、前節ベンチスタートだった藤井悠太、深堀隼平もベンチ外に。
代わって岩上祐三がスタメン復帰となり、しばらくベンチ外だった平松宗もスタメン復帰。
そして同じく、しばらくベンチ外だった山名惇希がベンチ入りとなったが…まさかのベンチの定員割れ…。
試合前には新型コロナに選手1名が感染と発表されていたが…記事を書くのが遅くなったこともあり、その後には新たに2名の感染が発表されている。
となるとこの3名にプラスして、濃厚接触が疑われる者などが起用できなかった可能性も…。
試合経過
攻める山形、守る群馬
前半は山形のキックオフでスタート。
前節は3バックを採用した群馬だったが、今日はスタメンの面子からも予想できるように4バックを採用。
細貝萌、岩上祐三、風間宏希と夢の3枚の同時起用となったが…中盤も3枚ではなく風間を右に持っていった4-4-2となる。
0分、開始早々に前の2枚がハイプレスをかけるとボールは群馬左サイドに。
ここにも山根永遠が連動してハイプレスをかけたことで、チアゴのキックはタッチラインを割ることに。
このスローインは山根に合わないものの、こぼれ球を素早く細貝萌が回収するとダイレクトで平松宗に楔のパスを付ける。
このパスは少しズレたか…しかし平松が伸ばした足でコースをしっかり変えて右サイドの風間宏希に展開。
距離はあったものの、風間はトラップからミドルシュートを狙うもこれは枠の外に。
開始早々に良いプレスと、速い連動した攻撃から1つシュートで終わることに成功したと言える。
しかしその後は基本的には戦前の予想通りと言える、山形がボールを保持しながら突破口を探すという展開に。
対する群馬はしっかりと守備ブロックを作って対応し、奪ったところからカウンターを狙うという展開。
11分、群馬の左サイドの裏のスペースへ抜け出したチアゴにスルーパスが通ると、技ありの1タッチから小島雅也をかわしてふわりとしたクロスを供給。
中央にはディサロ1枚であり、落下点には先に城和隼颯が入っており何の問題もないクロスかと思ったが…なんと城和が落下点を読み違えたか被ってしまう。
その後ろにいたディサロがヘディングシュートを狙うが、これはポスト直撃となり跳ね返りを畑尾大翔が冷静にクリア。
ポストに救われる形となったが…ここ数節続いている「開始早々にあっさり失点」という再現になりそうなシーン。
ディサロとの身体の接触は無かったので、風の影響などがあったかもしれないが…とは言えあれは絶対に被ってはいけないシーン。
ここしばらく城和の調子が上がってこないのが気になるところ。
シーズン序盤は堅守を支える存在だっただけに、疲労や夏の暑さ等々あると思うが…早々に復調が望まれる。
待望のセットプレーからの得点
19分、細貝萌が奪ったボールを山根永遠が一気に逆サイドに展開。
これを受けた風間宏希の裏を岡本一真が駆け上がると、風間は岡本を使う。
ゴール前にはニアに平松宗、ファーに山根永遠、中央マイナス気味の位置に高木彰人が入り込むが…岡本のクロスは高木の手前でクリアされてしまう。
そして山形はここからカウンター返しの形で、一気に右サイドのチアゴに展開して速い攻めを見せようとする。
チアゴへのパスが少し長かったこともあり、小島雅也が先に追いつき縦にダイレクトでパスを出そうとするが…これを読み切っていたか?チアゴが引っかけるとそのまま縦に突破。
チアゴはディサロに付いて下がるCB2枚と、ゴールキーパーの間を狙うクロスを供給するが…これが少し長くなったか、櫛引政敏が良い判断で飛び出してパンチングで対応。
21分には山形が右サイドでボールを回して攻撃を作るが、一度CBまで下げる形に。
再び作り直そうとボランチの藤田息吹にボールが入るが…ここから一気にDF裏に抜け出した半田陸へスルーパス。
これはトラップが流れたこともあり、櫛引政敏が回収するが…素晴らしいスルーパスであり完全にやられたシーン。
サイドバックの半田がなぜ中央のゴール前に裏抜けするのか…という話ではあるが、山形の攻撃の作り方としてチアゴが大外に開く形。
そのため半田は少し内側に絞る形を取り、更には積極的に前に顔を出している…という状態。
後ろのスペースから中央に入ってくるということで、誰がマークに付くのか?この辺りをしっかりとしておかないとこの先も似た形を作られるだろう。
22分、山形が最終ラインでボールを回しているが、今日の群馬のスタイルとしては1番後ろは無理に追わない…という形。
ここからパスコースを限定させつつ次のところで一気に詰めるという展開が序盤から見られるが、ここも國分伸太郎に縦に付けたパスを細貝萌が一気に距離を詰めてボール奪取。
このボールを高木彰人が収めると中央の平松宗へ送る。
山根永遠が左サイドから中央に切り込む動きを見せるが、平松は自分でシュートを選択しキーパーが触ってコーナーキックを獲得。
欲を言えば右サイド、風間宏希がもう少し早く上がってこれれば展開に幅が出たと思うが…この辺りは山根と風間のプレースタイルの違いと求められる役割の違いとも言えるだろう。
しかし細貝のボール奪取能力は本当に凄い。
DAZNでは解説も言っているが、わざと少し距離を置いてパスコースを作って誘っている…という印象がある。
出だしの鋭さと寄せの速さ強さというのはもちろんだが、狙っているところにパスを出させているから思い切りよく行ける…という言い方が正しいだろう。
この辺りが世界で戦った経験値の高さというものだろうか?
ここまで國分は細貝に潰されてゲームメイキングの仕事はさせてもらえていない印象となっている。
23分、このプレーで獲得した右からのコーナーキックを蹴るのは風間宏希。
ニアを狙ったキックは高木彰人が頭でフリックして後方に流すと、ファーで待っていた小島雅也がワントラップからボレーシュートを叩き込んで先制!
高木はシュートだったのかフリックだったのかは不明だが…小島がゴール前に詰めずに止まって待っていたところを見ると…ニアに入れてファーにフリックというのはデザインされていたのかもしれない。
しかし小島は…良いトラップからバウンドさせずにボレーで叩くという、FW顔負けの素晴らしいシュートを見せてくれた。
シュート自体もコースも威力も申し分なく、あれを触れるキーパーは世界トップクラスでもいないだろう。
こうしてセットプレーとしては岩上祐三が直接ゴールに流し込んだコーナーキック以来、今期2点目となるゴールを記録。
得点力不足に悩む群馬としては、セットプレーの精度を高めて得点の可能性を上げていきたいところ。
30分には山形が再び群馬左サイドを攻略しかける。
CBの山﨑浩介から少し中に絞り下りてくる形となったチアゴにパスを付けると、チアゴはこれをダイレクトで少し後ろの藤田息吹へ。
藤田はこれをダイレクトで右サイドからカットインの形で中央に裏抜けする半田陸へスルーパスを通す。
半田は完全に山根永遠を振り切る形で抜け出したが、畑尾大翔が良いフォローを見せクロスは滑り込んだ足に当ててブロック。
しかしこぼれ球を再び拾ってクロスを送ると、中央で國分伸太郎がヒールで流すような形でシュートを放つ。
これはボール2つ分ほど枠を外れて助かるが…これまた完全に崩されたシーンとなった。
ネットを揺らすもオフサイド
35分、再び山形は群馬左サイドを攻略。
半田陸から大外に開いていたチアゴに長めのパスが入ると、チアゴはこれを内側にいたディサロに預ける。
しかし…ディサロは縦に抜け出そうとしており意思の疎通がズレた形でボールは後方に流れてしまう。
だがこれを藤田息吹が回収すると、少しドリブルで運んでから逆サイドの大外、加藤大樹にクロスを供給。
加藤は頭で中央に折り返し、國分伸太郎が頭で詰めてネットを揺らすも…これは藤田のクロスのところで加藤がオフサイド。
ここでズルズルと下がらなかった畑尾大翔と城和隼颯のCBのラインコントロールは見事だったと言える。
そのためオフサイドラインとなったであろう最奥の岡本一真もそれ以上に下がらずにオフサイドが取れた。
岡本としては加藤のマークは人体の構造上ボールと一緒に見れないかつ、かなり首の振り幅も必要な距離だったため…かなり難しかっただろう。
実際にボールは岡本の頭を超えて加藤に綺麗に折り返されてしまっているので、ここのマークが付けないというのは仕方ないところ。
それもあって、しっかりとその手前でオフサイドで止められたというのは大きい。
42分、山形が右サイドからのスローインを入れるが…これは意図が合わずにそのままボールが流れてしまう。
これを直接櫛引政敏が回収するが、勝っていることもあり時間を使おうとする。
その意図に気付いたディサロが早くリスタートさせるために櫛引に寄っていくところ、櫛引の手前で岩上祐三と接触。
笛はならなかったがディサロが倒れていたために櫛引は一度タッチラインにボールを出してプレーを止めるが…このプレーに対してディサロが熱くなるシーンも。
リプレイを見ると、確かにディサロの寄せるコースにわざと岩上が進路を変え…更に接触直前でも多少向きを変えて体をぶつけているのが見える。
ディサロも岩上を避ける素振りを見せずにぶつかりに行ってるとも言え、結果両成敗の形でノーファールで妥当かとは思うが…ファールを取られるという無駄なリスクもあったプレー。(審判団には申し訳ないが…J2レベルでは時折不可解なジャッジが起こると思っている)
個人的には畑尾大翔くらいの対応で良かったと思うが…。
こうして前半は1点リードで折り返すものの、2点3点奪われていたとしてもおかしくはない展開であり、山形には相性の良さというものを感じさせる。
とは言え守備が崩壊というわけではなく、集中してしっかりと戦えてはいる前半だった。
守備強度の復活
後半は群馬のキックオフでスタート。
両チームともにハーフタイムでの交代は無し。
49分、高木彰人がハーフウェーライン付近左サイドで粘ってから細貝萌に繋ぐ。
細貝はこれを横の岩上祐三に送ると、岩上からダイレクトで縦の平松宗に付ける。
山形のCBが詰めなかったこともあり、平松は反転して前を向くと右サイドへサイドチェンジ。
ボールを受けた風間宏希は更に大外をオーバーラップする岡本一真を使うと、岡本はダイレクトでグラウンダーのクロスをマイナス気味に送る。
ここに入り込んだ岩上祐三がミドルシュートを狙うも…少しボールが足元に入り過ぎた形となりミートできずに枠を大きく外してしまう。
左で作って右に展開してから中央へ…という形としては完璧だっただけに、これは枠に送りたいところ。
今節は序盤から山形がキープする時間が長く、更には23分という早い時間で先制点が奪えたために4-4-2のブロックを作っている時間が長いために以前ほど顕著ではないが、攻撃時は岡本が少し高い位置を取っているようにも見える。
51分、山形が最終ラインでボールを回し右サイドから攻撃を作ろうとする。
タッチライン際でチアゴが受けると、スルスルと中盤を上がってきて群馬左サイド裏に抜け出した藤田息吹にパスが入る。
これをゴールライン際で折り返すが、これはしっかりと櫛引政敏が正面でセーブして難を逃れる。
中央には2枚が詰めていたために非常に危ないシーンだったが、パスが少し長かったか…折り返しに角度が無くて助かる形となる。
しかし…藤田は本当に神出鬼没というか…気付くと嫌なスペースに入り込んでくるので捕まえづらいところ。
ボランチのところでしっかりとDF陣に声掛けして、藤田が前線に入り込んでいることを教えないと危ないだろう。
55分、1点を追う山形が先に動きチアゴ アウベスに代えて山田康太を投入。
これにより國分伸太郎が右サイドに移り、山田が中央に入る。
エースキラー岡本
60分、右サイドで風間宏希がボールを受けると高木彰人がDFライン裏に抜け出すが…ここには出せず。
出しどころがなくキープしているとタッチラインに追い込まれ、当てて出そうとしたか?前に蹴りだしたボールは回収されてしまう。
しかしここで前の選手はしっかりと攻守を切り替え、回収した川井歩には風間自らプレスに。
川井からパスを受けた野田裕喜には平松宗がプレスをかけると、野田から再び川井に。
そして川井からのパスを風間が引っかけると、平松が抜け出してグラウンダーのクロスを供給。
中央には高木彰人が入り込んでいたが…ミートできずに空振りに近い形で後方へ。
このファーサイドには山根永遠が入ってきており、ミドルシュートを狙うも枠を大きく外れてしまう…。
良いプレスから奪って…という形だっただけに、ここは高木にしろ山根にしろ枠に送りたいところ。
ここで追加点が取れると展開がかなり変わってくるのだが…。
良いプレスと言えば、川井がボールを回収した際の岩上祐三の動きにも注目してほしい。
スルスルと上がってきて南秀仁の背後に迫ることで、ここへのコースを切ることに成功している。
65分には再び山形が動き、ディサロ 燦 シルヴァーノに代えてデラトーレ、加藤大樹に代えて樺山諒乃介を投入。
このタイミングで群馬も動き、風間宏希に代えて奥村晃司を投入する。
67分、群馬右サイドでロングボールの競り合いから始まる一連の攻防を樺山諒乃介と岡本一真が繰り広げる。
ロングボールは岡本が競り勝つが、ボールは樺山が回収。
しかし後ろ向きでキープした樺山に対して、岡本がしっかりと体を寄せて足も出すという対応。
まずこの距離感の詰め方が上手い。
岡本が足を出したタイミングで樺山は左に抜け出そうとするが、ここも素早いステップから対応。
2度3度とフェイントを交えて縦に突破を図るが…これも岡本が対応し、最終的にはタッチラインに逃れて防ぎきることに成功する。
岡本は9分の時も顕著だったが、ボールホルダーに対して比較的距離を詰めて対応している印象がある。
そうするとFWの自由度は下がるが…1つのフェイントに引っかかると一気にドリブルでの突破を許しがち…というリスクを負うことになる。
しかし岡本の対応を見ていると、距離をしっかりと詰めて簡単にクロスを上げさせない、パスを出させないという対応をしているわりに…ドリブルの初動にもしっかりと付いていき突破も許さないという見事な対応。
群馬はサイドから簡単にクロスを上げられて失点…というシーンが多くあり、もう少しクロッサーに対して距離を詰めたい…ということを何度か書いたがこの岡本の対応が理想と言える。
ルーキーながら前橋育英高校時代にはエースキラーの異名を取り、山田監督も1対1の守備対応なら既にプロで通用すると語っていた通りの素晴らしさであった。
まさに総力戦
78分、中央の藤田息吹から縦のデラトーレへのスルーパスは畑尾大翔がブロック。
こぼれ球を回収した南秀仁が裏に抜け出す藤田へスルーパスを送るが、これも城和隼颯がブロック。
しかしこれを拾った山田康太が右に流れながらシュートを狙うも、城和と畑尾がコースに入って打たせないことに成功。
山田はそのまま右に流れながら、右サイドを上がってきた半田陸にスルーパスを送る。
半田は中央に折り返すが、これは小島雅也がブロックしてコーナーに逃れる。
危ないシーンではあるものの、DF陣は集中を切らさずに守っているとも言える。
82分、CBからの縦パスを受けた山田康太が前を向くと、右サイドの國分伸太郎へ送る。
國分から内側を上がっていた半田陸に通すと、ワントラップから更に内側の藤田息吹に。
藤田はワントラップからシュートを放つが、これもわずかに枠の外に逸れる。
畑尾大翔がしっかりとコースを切っていたことも影響があっただろう。
これも完全に1点もののシーンであり、山形の決定力不足に救われる形と言えるが…本当に半田と藤田のポジショニングは厄介極まりない。
とは言え…これは山田のところに細貝萌がいけなかったことで山根永遠が山田を見ることになり、國分を小島が見る事になり、半田と藤田に岩上が対応する…ということで枚数が足りなくなった。
本来の細貝であれば山田に入ったところで前を向かせていないと思うが…やはり怪我明け直後ということもあり体力的にもう厳しい時間と言える。
そもそも細貝は前半の段階から肩で息をしている様子も見え、歩いている時間も長い。
的確な判断力で寄せるべきところ、行くべきところに潰しに行っているから目立たないが…正直言って早期復帰でリハビリ明けの身体に90分は厳しいのだと思われる。
やはり先ほど2点目を決めきっておけば…というところだろう。
85分には群馬が動き、高木彰人に代えて山中惇希、山根永遠に代えて天笠泰輝を投入。
山根はその前にも足を攣った形で担架に乗せられており…抑えているところが腿裏に見えるだけに少し心配である。
本人が「できる」と言ったのは想像に難くないが…無理させずに最初の段階で下げておいても良かったように思うが…。
この交代により山中を左WBに入れて岡本を右のWB、後ろが城和、畑尾、小島の5枚になるのかと思いきや…なんと山中は高木のいた2トップの片方にそのまま入ることに。
守備の形を下手に変えてバランスを崩したくない…という意図と思うが、山中のFW…というよりはトップ下的な動きになるか?は面白そうである。
87分、群馬右サイドを細かく繋いで突破され、山田康太のクロスにデラトーレが飛び込むが枠の外。
藤田息吹から山田へのスルーパスは小島雅也がオフサイドラインなので、恐らくオンサイドで良いだろう。
しかし山田からデラトーレへのクロスは…デラトーレは間違いなく小島より前のためオフサイドポジションだったと思うが…ボールの方が前でそこがオフサイドラインだったか?
デラトーレのヘディングが外れたために副審が旗を上げなかった可能性はあるが、小島も畑尾もオフサイドをアピールしており…これは微妙なところ。
とにかく外れてくれて助かったと言えるだろう。
94分、群馬左サイドから山田康太がクロスを上げると、中央で頭で合わせたのは藤田息吹。
しかしこのシュートは櫛引政敏の正面となり、助かったと言える。
これも山田のクロスに対して小島雅也の距離が遠いために簡単にクロスを上げられてしまっていることと、ペナルティエリアの外から入ってくる藤田に誰も対応できずにフリーにさせてしまっている。
これも完全に1点物のシーンと言え、今節は運にも恵まれていると言って良いだろう。
96分、群馬が最後の交代を使い平松宗に代えて渡辺広大を投入。
広大も山中同様にそのまま平松のいたポジションに入る。
そして長い6分を逃げ切り、実に久しぶりの勝利をつかみ取った。
ピックアップポイント
岡本一真という選手
今日は1つのプレーでは無く、今節初スタメンとなった岡本一真選手を取り上げてみたい。
天皇杯を除けば、この試合までで出場は2試合であり…9分と7分というわずかな出場時間しか与えられていなかったルーキーである。
しかし天皇杯を含めて良い攻撃参加を見せており、ファン・サポーターの中では是非ともリーグで使ってほしいという声が上がっていた選手と言える。
自分としては天皇杯はハイライトしか観られていなかったので、実質今節の90分がプロとなった岡本をしっかりと見た機会となった。
まず感じたのは試合展開の中でも書いたように、DF時の1対1での対応の良さ。
これまた繰り返しになるが、高校時代はSBながらエースキラーと呼ばれていただけに対人の守備の強さは持ち味の一つ。
今節は加藤大樹を相手に、終盤は樺山諒乃介を相手にしたわけであり…J2レベルでは能力の高いアタッカーを相手にしたと言って良いだろう。
この2人を相手に1対1での守備は終始勝利したと言える。
岡本の守備の特徴としては、これも繰り返しになるがボールホルダーへの距離が近いことが挙げられる。
寄せれば寄せるほどボール保持者は自由が無くなり、シュートやパスの選択肢が減り…更には足も出されればボールキープの難易度は上がる。
しかし寄せれば寄せるほどに、フェイントなどで揺さぶられ一瞬で加速して突破…といったプレーに対応するのが難しくなるというもの。
そのためゴールまでの距離や後ろの敵味方の人数関係などを考慮し、シュートを打たせないことを優先して詰めるか、ドリブルで抜かせないことを重視してある程度距離を保つか…といった判断が求められる。
この辺りの判断力と距離の取り方が上手いDFと下手なDFの違いになるのだが…岡本はセオリーに比べると距離が近めと言える。
若いこともあり反射神経や初期の加速力が良いから抜かれかけても付いていける…という面はあると思うが、次のプレーの予測精度も高い。
自由にやらせないために距離は詰めているものの、抜きにかかる瞬間というものをしっかりと予測し対応している…という印象を受けた。
例えば小島雅也がヒーローインタビューで「簡単にクロスを上げられるシーンが…」と言っていたが、彼のクロッサーへの対応は遠い。(自覚はあるようだ)
理想としてはもう少し詰めるべきなのだが、恐らく本人の感覚としてはあれ以上詰めるとドリブルに対応出来なくなる…ということなのだろう。
そういった意味で、現在の群馬のSBができる選手の中では岡本はトップクラスの対応力を持っていると言って良い。
攻撃面では短い時間ながら以前の2試合でも良いオーバーラップを見せていた通り、今節も適切なタイミングで前に絡んできていたと思う。
またオーバーラップ後のクロス精度は抜群に良い…とは言えないものの、それほど悪いというほどでもないだろう。
例えば49分のオーバーラップからの岩上祐三へのクロスは完璧な形だった。
課題と言えるのは組織的な守備であり、例えば30分の國分伸太郎のヒールが枠を外れたシーン。
これは半田陸の抜け出しに山根永遠が付いていけず、畑尾大翔が引っ張り出される形でフォローしている。
中央のディサロに対しては城和隼颯がスライドするわけで…となると國分を見るのは岡本の仕事となる。
しかし完全に反応、判断が遅れて國分はフリーでファーサイドに入り込んでいることに。
(半田のクロス1本目は畑尾がブロックしたため、ボールは入ってこなかったが)
ファーサイドと言えば、その外の加藤大樹も風間宏希が見れていないわけで…風間の対応も気になるところではあるが…。
他には51分の藤田息吹が左サイドに抜け出したシーンでは、城和隼颯としては完全にオフサイドを取ったと思っただろう。
しかし逆サイドで岡本が残っておりオンサイド。
岡本もチアゴのパスの瞬間にラインを上げてオフサイドをアピールしてはいるので、全く対応できていないわけではないが…ラインはズレている。
このように課題はまだあるし、恐らくこの組織的な守備面が今まで大槻監督が起用してこなかった理由なのかと。
(自分の印象としては個人の守備能力よりも組織での守備力を重視する監督)
しかしまだ高卒ルーキーであり、対人守備の良さやオーバーラップの的確さなど、かなり今の段階でも光るものを見せてくれている。
焦らずじっくりと育てていけば、かなりのレベルになるのではないだろうか?
岡本の活躍により川上優樹も触発されてレベルアップ。
小島雅也が左に移ることで高橋勇利也も競争の中でレベルアップ…なんていう相乗効果も期待したい。
順調に育てば…来シーズン終了時に引き抜かれてしまいそうな気もするが、岡本には長く群馬で活躍してほしいところである。
MOM
この試合のMOMは…細貝萌としたい。
前節もそうだったが、彼が復帰したことにより中盤の守備強度が段違いとなった。
特に今節は相方が岩上祐三ということもあり、中盤で山形に自由にやらせるシーンが少なかったと言える。
現在の群馬のラインナップとしては、潰し屋的な役割となる細貝が最も守備能力の高い選手だろう。
次いで怪我で離脱中であるが内田達也が守備能力が高いが、彼は潰し屋ではなくポジショニングの良さで勝負するタイプ。
対人の守備だけを見れば岩上の方が強いかもしれない。
岩上も決してディフェンスが得意な選手ではないのだろうが、こう考えると現時点で最も中盤にプレッシャーをかけられるコンビとなる。
持ち味が違うので…単純に守備面だけを取り上げてダメだとは言いたくないが、以前の風間宏希と久保田和音のコンビで失点が続いていた理由もココにある。
しかし試合展開の中でも触れたが、細貝は間違いなく90分戦えるスタミナが無い。
(怪我で長期離脱していたために仕方のない部分)
そのためゲームの流れを読んで、サボるところをしっかりとサボって90分持たせることになるが…そうだとしても替えの効かない存在と言える。
サッカーは11人でやるスポーツであり、交代も含めれば最大16人となり…1人の存在が大きくゲームを変えるというものではないが…群馬の細貝はそんな数少ない1人でゲームを変えられる存在だろう。
夏の補強の声がなかなか聞こえない群馬としては、ある意味で細貝の復帰が最大の補強となるかもしれない。
(書くのが遅くなったおかげで、鈴木国友の加入が発表された)
他に触れたいのは岡本一真。
岡本に付いては、この上のピックアップポイントに書いた通り。
そしてもう一人触れたいのが高木彰人。
天皇杯のあとから積極的に起用されるようになったが…本当に驚きの新発見。
昨シーズンの印象とは全く異なり、本来はこのようなセカンドトップやトップ下的なプレーが持ち味だったのだろうか?
技術的にもそれほど上手い印象は無かったが、この試合では度々上手さを見せてくれた。
タイプは多少異なるものの、加藤潤也と同じ役割を果たせる貴重な選手と言えるだろう。
KJを左サイドに移して共存させることも可能であり、プレースタイルとしては高木としてもKJとしてもその方が活きる。
急成長しているのか…元々このくらいの能力はあったのか…わからないが、ここ最近の高木のプレーは素晴らしい。
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