※ザスパ群馬ファンによる、ザスパ群馬贔屓のマッチレビューです。
第21節はアウェーでの栃木シティ戦です。
前節は長野を相手にスコアレスドロー。
誤審でのPKを始めとして、近藤壱成のスーパーセーブのおかげでなんとか引き分けに持ち込めた…という試合でした。
しかしながら群馬も決定機はいくつか作れており、お互いに言えることではありますが…どこか1つ決めていれば全く違う試合になったかもしれません。
攻撃の形は出来てきた…と思わせてくれる最近の試合ですが、なんとこの栃木シティ戦を前に山中惇希がいわきに移籍。
育成型でこのポジションを2人取っているわけで…覚悟はしていたものの、というところです。
今節は首位の栃木シティ戦。
シーズンダブルを達成し、ここから一気に浮上したいところでしょう。
今回はそんな栃木シティ戦をレビューします。
Contents
スタメン・フォーメーション
栃木シティ
スターティングメンバー
ポジション | 背番号 | 選手名 |
GK | 31 | 相澤ピーターコアミ |
DF | 15 | 佐藤喜生 |
22 | 鈴木裕斗 | |
33 | 乾貴哉 | |
42 | マテイ ヨニッチ | |
MF | 8 | 森俊貴 |
10 | 岡庭裕貴 | |
14 | 関野元弥 | |
FW | 77 | 田中パウロ淳一 |
79 | 齋藤恵太 | |
99 | 平岡将豪 |
ベンチ
ポジション | 背番号 | 選手名 |
GK | 1 | 原田欽庸 |
DF | 27 | 梅澤魁翔 |
MF | 13 | 大嶌貴 |
16 | 加藤丈 | |
26 | 宇津木峻 | |
28 | 小西慶太郎 | |
FW | 9 | 都倉賢 |
23 | 吉田篤志 | |
90 | ピーター ウタカ |
栃木は前節から1枚を入れ替え。
前節イエローカードをもらい出場停止となった、奥井諒に代えて乾貴哉を起用する。
そしてベンチもこの関係で梅澤魁翔がメンバー入りした以外には変更はなしとなった。
注目は前回対戦では出場しなかったマテイ ヨニッチ。
栃木シティの守備の中心選手となっており、この牙城をどう崩すことができるのか…というのが注目点となりそうな予感。
攻撃面では両WGの田中パウロ淳一と齋藤恵太。
そして元群馬の岡庭裕貴が中盤の底でゲームを組み立てることとなる。
ベンチには都倉賢とピーター ウタカと、どちらも大ベテランの域には入っているが…途中出場で決定的な仕事ができる選手である。
もはや年齢的にはフル稼働は期待できないだろうが、それでもベンチから怖さを見せられる選手と言えるだろう。
ザスパ群馬
スターティングメンバー
ポジション | 背番号 | 選手名 |
GK | 13 | 近藤壱成 |
DF | 3 | 大畑隆也 |
22 | 高橋勇利也 | |
30 | 小柳達司 | |
36 | 安達秀都 | |
MF | 7 | 西村恭史 |
8 | 山内陸 | |
37 | 瀬畠義成 | |
FW | 10 | 髙澤優也 |
18 | 田中翔太 | |
19 | モハマド ファルザン佐名 |
ベンチ
ポジション | 背番号 | 選手名 |
GK | 21 | キム ジェヒ |
DF | 3 | 大畑隆也 |
14 | 菊地健太 | |
MF | 8 | 山内陸 |
49 | 小竹知恩 | |
FW | 9 | 青木翔大 |
11 | 加々美登生 | |
18 | 田中翔太 | |
32 | 河田篤秀 |
群馬は前節から3枚を入れ替え。
野瀬翔也、櫻井文陽、下川太陽に代えて大畑隆也、山内陸、田中翔太がスタメン起用となった。
櫻井はやはり前節の怪我による影響か、ベンチ外となっている。
代わってベンチには久しぶりに風間宏希の名前が!
怪我人が多く出ているボランチに頼れる男が帰ってきた、となるだろうか。
注目は前節全く良さを見せられなかったモハマド ファルザン佐名と、ポジションが全くフィットしていない印象が強い田中翔太の両WBである。
ファルザンはポテンシャルは高そうであり、戦術や周囲との連携がフィットすれば…という期待感はある。
問題はそれがいつになるか…ということだけだろう。
田中は「左で突破させて、クロスに本職FWの田中が後ろから入ることでマークを付きづらく」という狙いはあるのだと思う。
しかしそれ以外の部分ではマイナス面が目立ち、なぜこのポジションにこだわるのか…その理由が見えてこない。
昨シーズンのJ3での活躍を考えると、是非とももっと前に置きたいプレーヤーだと思うのだが…。
そしてベンチは、同様に「今一つ采配の意図がわからない」青木翔大と加々美登生に注目したい。
どちらも出場した試合では次第点以上の活躍を見せているにもかかわらず、ここしばらく出場機会を減らしている選手と言える。
交代の遅さも目立つため、この辺りの交代策は注目して見ていきたいところである。
試合経過
【0~15分】ネットを揺らすもオフサイド
前半は栃木シティのキックオフでスタート。
1分、群馬のスローインのリスタート。
DFの裏に抜け出したモハマド ファルザン佐名がペナルティエリア内で倒されるも、これはノーファールの判定。
手がかかっていることは間違いないが、これはなかなかファールを取るのは難しいか…というレベル。
開始早々に気付いたのは、今日は守備でモハマド ファルザン佐名の立ち位置が高めの印象。
いつも通り3バックではあるようだが、右の田中翔太はほぼ最終ラインにいるが、ファルザンはその前のMFのライン上にいることが多い。
ゲームをしばらく見ていて判明したのは、栃木シティのサイドバックに対してこの両WBがマンツーマンで付いていること。
そのため高めのポジションを取っている乾貴哉をマークする田中は低めの位置に、低いポジションを取っている鈴木裕斗をマークするファルザンは高い位置に…ということになっているようだ。
沖田サッカーの守備の基本はマンマークであり、今日は4バックの栃木Cということで前線も髙澤優也と西村恭史が2トップ気味に対応。
左シャドーである(攻撃時にはほぼ左のインサイドハーフだが)山内陸は半列下がって、岡庭裕貴や関野元弥、森俊貴をチェックしている形となる。
逆に栃木Cは群馬の2CBに対して、両WGがマンツーマン気味に対応。
CFである平岡将豪が下りて、アンカーの瀬畠義成を見る形を取って同数を作っている。
13分、西村恭史がアーリークロスをゴール前に送ると、これを髙澤優也が左足で合わせてネットを揺らすが…残念ながらオフサイドの判定。
髙澤自身もラインから出ていることに気付いていたようで、ゴール後に喜びを見せることも、副審に抗議の姿勢を見せることもなかった。
ややタイミングが合わなかった…となるが、非常に狙いは良かったと言える。
そしてオフサイドで取り消される形にはなったが、髙澤もこれを決めるか外すか…というのは大きな違い。
きっちり決めたことで栃木Cのディフェンス陣に怖さを与え、ラインを上げにくくなる効果はあるだろう。
【15~30分】決定機を決めきれず
20分、フリーキックのチャンスを得ると、キッカーは西村恭史。
ニアに上げたボールは跳ね返されてしまうも、回収したモハマド ファルザン佐名が上げ直す。
これも跳ね返されてしまうが、回収した山内陸がファルザンに繋ぎ再びクロスを送る。
これをニアで瀬畠義成か?がフリックすると、ボールの行先は栃木Cの選手達だったが…重なったこともありクリアに手間取りボールは田中翔太の下へ。
キープから反転してシュートを狙っていくが、これは残念ながらミートしなかった。
24分、コーナーキックのチャンスが2つ続く。
2本目も安達秀都が上げていくと、これは相澤ピーターコアミが競り勝ってパンチング。
ファーサイドでモハマド ファルザン佐名が回収すると、右に持ち出して低く抑えたシュートでニアポスト際を狙っていく。
枠を捉えた良いシュートとなったが、これは相澤が足でビッグセーブを見せる。
誰もがクロスを上げ直すと思っただろうが、ファルザンはキーパーの立ち位置をよく見ていたのだろう。
空いていたニアを撃ち抜きにいった判断は悪くない。
30分、左からのコーナーキックを蹴るのは西村恭史。
中央ややニアで髙澤優也が合わせるも、これはわずかに枠の右側に外れてしまう。
ファーに流れたボールに対して乾貴哉がクリアに行くが、途中で止めて見送ってゴールキックに。
これは非常に素晴らしい判断であり、触っていれば恐らくオウンゴールとなっただろう。
【30~45分】先制したかった前半
33分、再び左からのコーナーキックのチャンスを迎える。
西村恭史の上げたボールは跳ね返されるが、これを安達秀都が回収。
遠めからファーを狙っていくが、ややアウトにかかったか…敢えてかけたのがかかり過ぎたのか…枠をわずかに外れてしまう。
足の振り方を見ると、ややアウトにかけてキーパーから逃げるようなボールでサイドネット…という狙いだったのが、かかり過ぎたように見えるが…。
キーパーから逃げる回転がかかっていると、キーパーが触ってもほぼコースが変わらないことが多く、これは敢えてアウトにかけたんじゃないかと思いたい。
38分、山内陸が良いDF対応を見せると、ロストしたボールは髙澤優也の足下に。
左のスペースにスルーパスを送ると、ここに高橋勇利也が入り込んでいたが…その手前でマテイ ヨニッチが先に滑り込んで蹴りだす。
このパスのアフターで髙澤は鈴木裕斗に潰されており、ここは繋がらなかったことでロールバックとしてほしかった。
というか…鈴木のところはプレーオンではなくノーファールとしているようであり、今日もまた審判の怪しさが目立つ試合となっている。
44分、栃木Cのミスを突く形でチャンスを迎える。
最後は西村恭史のスルーパスに安達秀都が入り込んでいたが、この手前でマテイ ヨニッチが足を出してボールに触る。
これがキーパーの方に向かい、相澤ピーターコアミが難なく処理してチャンスの芽を潰されてしまう。
さすがセレッソで桜の鉄壁と呼ばれた男…。
もう34歳ということでJ3にいるのかもしれないが…正直まだまだJ3では飛び抜けたCBであろう。
45分、相澤ピーターコアミからのロングボールを齋藤恵太が良いコントールから抜け出そうとするが、ここは高橋勇利也が素晴らしいスライディングを見せる。
こぼれたボールを勇利也がタッチラインギリギリで残し瀬畠義成に繋ぐ。
瀬畠から山内陸に繋ぐが、ここにプレスをかけられ山内のパスがズレてしまう。
齋藤が回収し、関野元弥にシュートを打たれるが大畑隆也が滑り込んでニアを切り、小柳達司が面を作りファーを切り、近藤壱成の正面しかコースを残さずに対応。
栃木シティの切り替えが早かったのは確かだが…勇利也が素晴らしいスライディングから頑張ってボールを残したわけで、ここは簡単に失いたくなかった。
こうして終了間際に1つピンチがあったものの、それ以外は群馬が押し続けた前半となった。
それだけに決定機をどれか1つでも決めておきたかったが…。
【45~60分】見事なカウンターでファルザンJ初ゴール
後半は群馬のキックオフでスタート。
両チームともにハーフタイムでの交代はなくリスタートとなった。
50分、髙澤優也のクロスをモハマド ファルザン佐名が折り返す。
これを西村恭史が収めてシュートを狙うが、ここは佐藤喜生にブロックされてしまう。
54分、田中パウロ淳一が左サイドをドリブルで持ち上がり、内側にコースを変えて右の齋藤恵太にパスを送る。
しかしこれを安達秀都がカット!
ここからモハマド ファルザン佐名に良いパスを送り、一気にカウンターを発動。
ファルザンがボールを運ぶと、その外を西村恭史が回る。
この西村を使うと、西村はトラップから再びファルザンにリターン。
これをワントラップから流し込んで、待望の先制点を奪う。
どうやらファルザンはこれがJ初ゴールとなるようである。
群馬の攻撃を奪われてカウンターを受けたところからのカウンター返しとなったわけだが、ここに最近失点が減ってきている秘密が隠されている。
これは後ほど。
このゴールの後のリスタート前に栃木Cが交代カードを使う。
関野元弥に代えて宇津木峻を投入。
56分、左サイドを上がった田中パウロ淳一から内側の岡庭裕貴にパスが通る。
ここは群馬DFも簡単にミドルを打たせなかったが、岡庭が粘って粘って自らシュートコースを作り出す。
コンパクトな振りから強烈なシュートを放ったが、ここは近藤壱成がビッグセーブを見せる。
こぼれ球を田中パウロが折り返すと、平岡将豪が詰めていたものの、これは枠の左に外れてくれる。
平岡としては合わせたと言うより当たっただけ…と言え、これは群馬にとってはラッキーだった。
【60~75分】徐々に流れは栃木シティへ
60分、栃木Cベンチが再び動く。
齋藤恵太に代えて大嶌貴、平岡将豪に代えてピーター ウタカを投入する。
61分、モハマド ファルザン佐名がカットインから右足を振るが、これは枠の右に外れてしまう。
西村恭史がフリーだったのでそこを使っても良かったと思うが、この自分で追加点を狙いにいく姿勢は悪くない。
今日は前節とは別人のようなキレのあるプレーを連発しており、本人としても調子の良さを感じているかもしれない。
62分、群馬ベンチも動く。
髙澤優也に代えて河田篤秀を投入。
髙澤は1つ決めきりたいところだったが、だいぶ戦術にフィットしてきた印象はある。
ゴール以外での貢献度はどんどんと増えてきており、沖田監督がスタメンで起用するのも理解出来るというもの。
しかし…チームの戦術的に今のプレーを求められているのだとは思うが…やはり髙澤はゴール前にいてこそ。
髙澤がクロスを上げる…ようなプレーがあるのは正直もったいないと思ってしまう。
オフサイドで取り消されたものの、ああいったものを決めてくれるのが髙澤だと思うのだが…。
67分、ピーター ウタカのオフサイドによりマイボールでのリスタート。
しかしこれがミスになり、大嶌貴にシュートを打たれてしまう。
ワンタッチありコーナーキックとなるが、こういった自陣でのミスは減らしていきたいところ。
68分、このコーナーキックを蹴るのは田中パウロ淳一。
乾貴哉が合わせるが、これは小柳達司が頭でクリア。
こぼれ球を両チームが競り合うが、このボールはコーナーキックを蹴った田中パウロのところに。
田中パウロが再びクロスを上げると、これは近藤壱成がパンチング。
しかし飛距離は出ず、こぼれ球を森俊貴に頭で詰められるも、ここも近藤がビッグセーブを見せる。
このこぼれ球に頭で飛び込んだ安達秀都と、足から行ったピーター ウタカが接触し、ウタカのハイキックのファールを取る。
ウタカは危険なプレーとなったが、まぁ左足でボレーを狙いにいくのはわかる高さのボール…。
しかし足裏から行ってしまっており、(安達も頭であり)危険なプレーとなるのは仕方ない。
結果としてイエローカードが出されたが…一発レッドはさすがに厳しいだろうから、まぁ妥当なところか。
このプレーのリスタート前に栃木Cベンチが動く。
森俊貴に代えて加藤丈、田中パウロ淳一に代えて吉田篤志を投入。
残り20分というところで交代カードの使い切りとなった。
1点負けている…というのはあるが、群馬もこのくらい思い切った交代策をやってほしいもの…。
71分には群馬ベンチも動く。
田中翔太に代えて加々美登生、モハマド ファルザン佐名に代えて小竹知恩と両WBを交代する。
【75~90分】アディショナルタイムの悲劇再び
83分、群馬ベンチが交代カードを使い切る。
高橋勇利也に代えて野瀬翔也、瀬畠義成に代えて菊地健太を投入する。
どうやらこれで3バックは変わらないものの、右から小柳達司、野瀬翔也、大畑隆也の並びになった様子。
身長のある野瀬を中央に入れて、ピーター ウタカをしっかりと見ようというところか。
また、恐らく左CBが勇利也から大畑に変わったことで、ここは通常の3バックと同じになると思われる。
勇利也の時はゴール前まで上がる変則3バック…いや2CBに近い形を取っているが、1枚増やす形になるだろう。
88分、大畑隆也からのロングボール1本に小竹知恩が抜け出す。
そのまま自分でシュートを狙っていくが、これは枠の右に外れてしまう。
モハマド ファルザン佐名が1つ結果を出しただけに、小竹としてもここは積極的に狙っていったか?
同じく途中出場となった河田篤秀が中央に、加々美登生がファーに。
特に加々美は猛烈な勢いでゴール前に向かっており、やはり交代選手にはこういったプレーを求めたいところ。
90分、右サイドの深い位置でのスローインを投げるのは菊地健太。
受けた山内陸が再び健太にリターンすると、そのまま縦に抜け出し、一つ左に持ち出してからクロスを送る。
これを河田篤秀が頭で西村恭史に落とすが、西村のトラップがやや長くなりシュートは打てずに加藤丈に先に触られてしまう。
しかしこのこぼれ球が河田の下に入ると、加藤を背負いながら反転からシュートを放つも相澤ピーターコアミにブロックされてしまう。
西村のところでしっかりと打って、試合を決めておきたかった…。
92分、栃木Cが右サイドの深い位置でスローインを得ると、これを早めのタイミングでクロスを送る。
この競り合いは小柳達司が競り勝ったようだが、こぼれ球は宇津木峻のところへ。
胸トラップから良いボレーシュートを放つが、ここも近藤壱成がビッグセーブを見せてコーナーキックに。
しかしこのコーナーをマテイ ヨニッチに叩き込まれて同点に…。
ちなみにヨニッチがヘディングした段階で、加藤丈とピーター ウタカの2人がオフサイドポジションに見える。
ここも次で取り上げたい。
とにもかくにも、相も変わらずのアディショナルタイムの悲劇となった。
首位の栃木Cを相手に勝利目前の良い試合をしたと評価するべきか、勝てる試合を落としたと評価するべきか…。
負け試合でも土壇場で勝点を拾えるからこそ栃木Cは首位におり、ここで勝点をこぼしてきたからこそ残留争いに巻き込まれ気味の群馬…と言えそうである。
ピックアップポイント
54分の得点シーンに関して
2つ取り上げたいポイントがあるので、手短にいきたい。
まずは54分の得点シーン、見事なカウンターでモハマド ファルザン佐名がJ初ゴールを記録したシーンである。
ファルザンが素晴らしかったのはもちろんだが、西村恭史が判断を変えて外を回ったことでゴールにつながった。
そしてその前、ファルザンにスイッチを入れる素晴らしいパスを出した安達秀都こそが、隠れたこの得点の功労者と言える。
なのだが、個人的に取り上げたいのはその前の栃木Cのカウンターの際の守備対応。
群馬は人数をかけて攻撃をしており、一度跳ね返されてピンチになりかけたところを山内陸が先にボールに触ってマイボールを継続した。
このボールを小柳達司が回収したことで、このまま小柳も攻撃参加していくという、非常に人数をかけた攻撃をしていたところである。
それを奪われひっくり返される形で田中パウロ淳一がボールを運んでいくわけだが、この時にしっかりと群馬は最終ライン3枚が残っていたのである。
しかもこの時のメンツは右から瀬畠義成、大畑隆也、安達秀都と、CBの選手は大畑のみ。
高橋勇利也はいつも通り積極的に攻撃参加しており、小柳達司は先ほど書いたように自らボールを運んで攻撃参加。
こうして大畑隆也しか残っていない最終ラインだったが、瀬畠義成と安達秀都がリスクマネジメントをしっかりとしてスペースを埋めていたのである。
この辺りが以前の沖田サッカーには見られなかったポイントであり、マンツーマン対応もあって剥がされてしまうと一気にゴール前まで運ばれてしまうという状況であった。
しかし瀬畠と安達のコンビになって、具体的には松本戦辺りからこのリスクマネジメントが一気に良くなったのである。
瀬畠と安達という「人」の問題なのか、「チーム」として形になったのがこのタイミングだったのかわからない。
しかし瀬畠と安達がそれぞれしっかりと、特にいつも不在になる勇利也のポジションを埋めるようになり守備は安定してきたと言える。
92分の失点シーンに関して
続いてアディショナルタイムの悲劇となった失点シーンを振り返りたい。
マテイ ヨニッチがヘディングで合わせた時点で、加藤丈とピーター ウタカがオフサイドポジションに見える…と既に書いたが、実はこれオンサイドかもしれない。
というのもニア(コーナーが上がった側)に西村恭史が残っており、少なくともカメラの画角からでは正確に判断できないレベルと言える。
ゴール前では間違いなく小柳達司や野瀬翔也よりも前に出ているが、群馬の最終ラインはここではなく西村である。
また立ち位置の関係上、副審はオフサイドが見やすい位置関係であるため…オンサイドだったのかもしれない。
と言うのは、副審からウタカが見えていればオフサイドだし、西村で見えなければオンサイドなので見やすいということ。(下図参照)
(ただし大嶌貴がヨニッチのヘディングのあとに西村の前に出ているため、副審からは大嶌が邪魔で西村の位置が正確に見れていない可能性はゼロではない)
このように「そもそもオンサイドポジション」の可能性もあり得るのだが、仮にオフサイドポジションだったと仮定しよう。
すると今度は「プレーに関与したかどうか」が論点になるわけだが、ここで問題になるのはピーター ウタカのみ。
ゴール裏からのアングルが放送されていないため、断言はできないものの…画面からは加藤丈がプレーに関与したようには見えない。
ちなみに加藤もウタカもどちらもプレーはしておらず、論点となるのは「キーパーのプレーを邪魔したか」となる。
そのため加藤に関しては、これをプレーに関与したからオフサイド…という人はいないだろう。
したがって論点はウタカのみとなるが、確かにボールはウタカの横を抜けてゴールに入っている。
これまた繰り返しになるが、真後ろのアングルがないため正確にはわからないが…近藤壱成の視界をウタカは妨げていないように見える。
となると、「ウタカがコースを変える可能性を考慮して、近藤のプレーに影響を与えた」可能性のみが残る。
キーパーの立場としてはウタカがここにいるのは気になるだろうし、近藤の反応もボールを二度見するような…少しおかしな反応にも見える。
やはりウタカが触るかもという頭はあったのではないだろうか?
個人的にはオフサイドを取ってほしいと思うが…人によっては取らないかもしれない…というレベルな気もする。
さて最後に主審の位置取りとその後の対応について取り上げるが、位置取りに関しては全く問題ない。
ヨニッチがヘディングし、ウタカが避けたところまでしっかり見えているポジションだと思う。
その後はゴールにボールが入ったのを確認し、その後に視界に副審を入れているように見える。
それからは画面がヨニッチのアップになってしまったので、主審と副審で話があったのか、副審は旗を上げていたのかいなかったのかわからない。
断片的ではあるが、情報を整理すると…恐らくオンサイドポジションだったのではないだろうか?
主審はヨニッチのゴールを確認し、副審を視界に入れるが旗は上がっていなかった。
そのためオンサイドポジションと判断し、そのままゴールを認めた。
というのが真相な気がする。
仮にオフサイドポジションだったとしても、ウタカがプレーに関与したかは判断がわかれる余地が残っており、誤審というには厳しいだろう。
どちらかと言えばニアに人数をかけ過ぎているこの立ち位置が本当に適正解なのか、そこが問題の論点になりそうである。
MOM
この試合のMOMはモハマド ファルザン佐名としたい。
正直言って前節とは別人だった。
ゴールはもちろんだが、恐らくゴールがなくてもMOMにしたかもしれない…というくらい良いプレーを連発していた。
この一週間で何があったのか…というのが気になるところだが、このまま今後も活躍を期待したい。
続いて名前を挙げたいのは近藤壱成。
幾度となくピンチをビッグセーブで凌いでくれた。
それだけに攻撃陣は2点目を奪って試合を決定づけたかったところ。
逆に良さが見られないのが田中翔太と山内陸。
しかしどちらもシステムの被害者というか…果たしてそこは適所なのか?という疑問が残る。
監督・コーチ陣は適所だと思って使い続けているのか?それとも、他に選手がいないために仕方なくここでプレーさせているのか…。
どちらもこのままだと真のポテンシャルを発揮できないままにシーズンが終わってしまいそうである。
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