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【2025 J3第22節】ザスパ群馬 対 鹿児島ユナイテッドFC【レビュー】

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※ザスパ群馬ファンによる、ザスパ群馬贔屓のマッチレビューです。

 

第22節はホームでの鹿児島ユナイテッドFC戦です。

前節は栃木Cを相手にドロー。

後半の早い時間に先制に成功したものの…今シーズン何度目となるのか、アディショナルタイムに耐え切れずに失点という内容でした。

勝てた試合を落としたと言うべきか、上位を相手に勝点を取れたと言うべきか、評価が分かれそうな試合となったかと思います。

今節は前回対戦で2-5と大敗した鹿児島が相手。

リーグでも上位に付けており、ここで良い試合ができれば後半戦の巻き返しに勢いがつくかもしれません。

 

今回はそんな鹿児島ユナイテッドFC戦をレビューします。

スタメン・フォーメーション

ザスパ群馬

スターティングメンバー

ポジション 背番号 選手名
GK 13 近藤壱成
DF 3 大畑隆也
22 高橋勇利也
30 小柳達司
36 安達秀都
MF 7 西村恭史
8 山内陸
37 瀬畠義成
FW 18 田中翔太
19 モハマド ファルザン佐名
32 河田篤秀

ベンチ

ポジション 背番号 選手名
GK 21 キム ジェヒ
DF 14 菊地健太
43 野瀬翔也
MF 15 風間宏希
35 玉城大志
FW 49 小竹知恩
9 青木翔大
10 髙澤優也
38 小西宏登

 

群馬は前節から1枚を入れ替え。

髙澤優也に代えて河田篤秀をスタメン起用する。

ベンチは加々美登生と下川太陽が外れ、玉城大志と小西宏登が久々のベンチ入りとなった。

玉城に関してはクラブから公式な発表はなかったと思うが、小西とともに怪我からの復帰と思われる。

玉城も小西も離脱前は非常に良かっただけに、この復帰は大きいが…加々美と下川も決して悪くはなかっただけに…。

 

注目はもちろん髙澤優也に代わって最前線に入る河田篤秀。

ここ数試合徐々に髙澤がフィットしてきている印象があっただけに、それを変えてまで河田を使うということは…練習中にかなり良かったのではないだろうか?

キッカー不在の現チームの中では、重要なキッカーであることもポイントになるかもしれない。

(河田がゴール前におらず、フリーキックを蹴るのももったいない気はするが…)

鹿児島ユナイテッドFC

スターティングメンバー

ポジション 背番号 選手名
GK 1 藤嶋栄介
DF 3 杉井颯
7 千布一輝
21 相馬丞
44 青木義孝
MF 8 藤村慶太
27 山口卓己
73 田中稔也
FW 13 近藤慶一
18 河村慶人
20 圓道将良

ベンチ

ポジション 背番号 選手名
GK 16 山内康太
DF 23 小島凛士郎
29 岡崎慎
MF 5 ジョアオ
14 吉尾虹樹
FW 9 アンジェロッティ
10 武星弥
11 福田望久斗
36 米澤令衣

 

鹿児島は前節からスタメンに変更なし。

ベンチメンバーも入れ替えなしとなった。

注目はここまで3ゴールの河村慶人と、1ゴールながらここ最近一気に出場機会を増やしてきた圓道将良の2人か?

もちろん元群馬で、前回対戦でも得点を決められてしまった田中稔也も気になるところ。

 

しかしどちらかと言えばベンチのアンジェロッティが気になる人も多いのではないだろうか?

鹿児島のトップスコアラーであり、前回対戦でも2点を決められており…正直言って苦手意識が強い選手である。

またアンジェロッティに次ぐ4ゴールの福田望久斗もベンチに控えており、アディショナルタイムでの失点癖のある群馬としては非常に怖いところか。

試合経過

【0~15分】幸先よく先制するも…

前半は群馬のキックオフでスタート。

 

2分、河田篤秀が単独で突破からシュートまで持ち込むも、これはキーパーがキャッチできなかったもののブロック。

しかし相手のミスから、しっかりとシュートで終わったところは素晴らしい。

 

5分、左サイドからのコーナーキックを蹴るのは河田篤秀

中央に良いボールが入ると、ここに飛び込んだ高橋勇利也の頭の上を超え、その奥に入った田中翔太がドフリーで叩き込んで先制に成功する。

鹿児島DF陣は完全に勇利也に釣られて、田中を見れていなかった。

勇利也が被る形になっているので、ボールの軌道も見づらかったと思われるが…さすが本職FWという素晴らしいヘディングを決めてくれた。

ここまでシャドーやWBなど、なかなか本来の良さが活きない使われ方をしている田中だが、このゴールをきっかけに量産体制に入れるか?

 

こうして幸先よく先制に成功した群馬だったが、続く9分。

鹿児島が左サイド深い位置でスローインを得ると、投げるのは杉井颯

受けた圓道将良がリターンすると、再び杉井から圓道へ。

圓道から内側後方の藤村慶太にパスを送ると、これを藤村がダイレクトで素晴らしい縦パスを通す。

このポケットへのボールに山口卓己圓道の2人が抜け出していたが、より近い山口が対応。

ゴール前に折り返すと、このクロスには山内陸が必死に足を伸ばし先に触ったが…こぼれ球を圓道に詰められて失点してしまう。

群馬DFが足りていた中央よりも、最初からフリーの圓道に落とした方が可能性は高かったと思うが…恐らく山口からは圓道が見えていなかったのだろう。

また、ファールを取るのは難しいレベルではあると思うが…ゴール前では近藤壱成河村慶人にぶつかられてプレーに影響が出ている。

繰り返すが…ファールを取るレベルではないだろうが、ここはしっかりと抗議した方が良いような気がする。

少なくとも櫛引政敏であれば相当に抗議しているだろう。

抗議したから覆るものでもないし、あまり何でもかんでも抗議するのも審判の心証を損なうだろうが…近藤は少し大人しすぎる。

 

10分、河田篤秀の落としに安達秀都が良い形で入ったが、ここはシュートは打たせてもらえず。

そのため安達は丁寧な落としを選択し、モハマド ファルザン佐名がシュートを狙っていくが…これは枠の上に外れてしまう。

前節良いゴールを決めているファルザンだけに、ここは枠に送りたかったところ。

 

12分にも良い形でゴール前に迫ると、最後はモハマド ファルザン佐名が切り返しからシュートを狙っていく。

これはブロックされてコーナーを得ており悪くはないが、映像を見た感じだと左足でもうワンテンポ早く打った方が可能性が高そうであった。

場所を考えると、DAZNでの映像の印象より角度がなく切り返した可能性も考えられるが…。

【15~30分】疑惑の判定。幻となった大畑のゴール

18分、鹿児島がコーナーキックを得ると、キッカーは藤村慶太

このキックは近藤壱成がパンチングでクリアするも、ファーで回収され再びゴール前に。

混戦から最後はこぼれ球を詰められる形になるも、これは枠の上に外れてくれる。

 

序盤は非常に良い形で群馬が攻撃できていたが、10分を過ぎた辺りから鹿児島もしっかりと修正対応。

なかなかうまく前進できなくなってきた印象を受ける。

 

25分、杉井颯のカットから、中央の近藤慶一へ。

近藤のシュートはキーパーの正面で助かる形になった。

これは田中翔太が良いタッチから突破を図ろうとしたのだが、ややタッチが長くなってしまい杉井にカットされたところから。

とは言え剥がしきれればチャンスを迎えただろうし、この辺りは紙一重と言える。

沖田サッカーの概念を考えると、ここはこのようなリスクを覚悟で…恐れずに積極的に突破を狙うことになるだろう。

 

29分、群馬が左サイドでコーナーキックを得ると、再びキッカーは河田篤秀

先ほどゴール前に良いボールを上げて得点に結びつけているだけに、この裏をかく形なのか…ここはショートを選択。

モハマド ファルザン佐名が受けると、シュートフェイント(クロスフェイント?)から縦に持ち出して低く抑えたシュートを狙っていく。

これをファーポスト際で大畑隆也が触って押し込むも、オフサイドの判定となってしまう。

映像を見ると…大畑が触らなくても入っていたか?それともポスト直撃くらいだったか?

結果的に「余計な事を…」となってしまったが、あの位置にいたら誰でも触ってコースを変えるだろうと思う。

しかも再びリプレイを見ると…一番外の青木義孝大畑の位置はほぼ変わらず、オンサイドだった可能性が高そうである。

これを誤審と言ってしまうには厳しい気もするが…この試合は結果を大きく変えてしまった可能性のある誤審が多かった。

これはまとめて後ほど。

【30~45分】稔也の恩返し再び

34分、杉井颯がキーパーと1対1という決定機を迎えると、狙いすましたループ気味のシュートでファーを狙っていく。

しかしこれがクロスバーを直撃して跳ね返り、群馬としては助かる形に。

この杉井へのパスが非常に良く、完全に群馬としては崩された形と言える。

 

43分、河田篤秀がボールを運び、ここに西村恭史が絡んでチャンスを作り掛けるが…河田西村の意図がズレてしまう。

結果的に河田のパスが繋がらず、回収した山口卓己から藤村慶太へ。

藤村がドリブルで右に運びながら河村慶人へパスを送ると、河村が勝負の姿勢を見せてからゴール前へのパスを選択。

これをダイレクトで田中稔也が流し込んで逆転を許してしまう。

自分達のミスからではあるが…失点に直結するような位置からのミスではないだろう。

ボールを運んだ藤村に対応した安達秀都があっさりかわされた印象もあるが、まぁここもそれほど問題ではないだろう。

問題は稔也をドフリーにしてしまった高橋勇利也の対応か。

河村が勝負の姿勢を見せていたこともあり、縦に突破し大畑隆也が抜かれてしまった際のフォローが頭にあったのだとは思うが…全く稔也の位置を見れていなかったのが問題。

更に言えば大ベテランである小柳達司は、あの位置からなら勇利也稔也も見えているわけで、コーチングはしてないのだろうか?

稔也はこれが今季2点目だそうで…つまりはどちらも群馬戦でのゴールということ。

イメージの問題かもしれないが、群馬は恩返し弾を浴びることが多い気がしてならない。

 

ちょっと余談にはなるが…そんな田中稔也のゴールだが、ゴール後の稔也のパフォーマンスについて触れておきたい。

ゴールを見届けてから喜びを見せずに離れていくと、群馬サポ側に両手を合わせるポーズ。

そして鹿児島のチームメイトとハイタッチをしていくが、あまり喜びは見せずにいる。

最後にいつもの両手を天に向けるポーズをして戻って行った。

群馬出身であり古巣でもあるということで、やはり複雑な思いはあるのかなと思ったシーンであった。

それと同時に、稔也の中にザスパ群馬に対する大きなリスペクトも感じたシーンであった。

(真相は本人のみぞ知るところではあるが)

【45~60分】相変わらず遅い交代

後半は鹿児島のキックオフでスタート。

両チームともにハーフタイムでの選手交代はなくリスタートとなった。

 

56分、鹿児島ベンチが先に動く。

近藤慶一に代えてアンジェロッティ藤村慶太に代えてジョアオを投入。

 

57分、山口卓己からアンジェロッティに当てにいった縦パスは高橋勇利也がカットしたものの、これをアンジェロッティがいち早く反応する。

こぼれ球を回収すると、やや遠目から左足で強烈なシュートを狙っていく。

非常に良いシュートだったが、これは近藤壱成がしっかりと対応しコーナーに逃げる。

やはりアンジェロッティは怖い存在である。

 

先に動けば良いというものではなく、更に言えば負けているから動けというのもまた違うとは思うが…相変わらず群馬は交代が遅い印象。

ここまで決してうまくいっているとも言い難く、鹿児島より先に動かなくてはいけないのは群馬ではないだろうか?

(もちろん今日の鹿児島は日程の関係で中3日というのも、早い時間での交代になった理由ではあろうが)

昔のように3人しか交代できないわけではなく、今では5人も交代できるのだからもっと積極的に動いて良いと思うのだが…。

【60~75分】風間の今季初ゴールで同点に

61分、モハマド ファルザン佐名が突破を仕掛け、最後は中にカットインを選択。

ここはシュートを打たせてもらえなかったが、西村恭史に丁寧に落とす。

これを西村が低く抑えて狙っていくが、ややコースが甘くキーパーにセーブされてしまう。

枠を外すのも問題だが…ここはもう少し際どいコースを狙いたかった。

 

62分、群馬ベンチが動く。

河田篤秀に代えて髙澤優也安達秀都に代えて風間宏希を投入する。

投入された風間が何かベンチからの指示を伝えているが…なるほど、風間が左側に入るのか。

整理すると山内陸安達のいた右側のボランチ(攻撃時には右のインサイドハーフ)に移り、風間山内のいた左のシャドー(攻撃時には勇利也との関係にもよるが、左のインサイドハーフ)に入ることとなる。

ちなみに今日先発となった河田であるが、非常にしつこく守備をしていた印象。

正直河田はそれほど守備をするイメージがなかったが、今日は良い意味で裏切られた守備対応であった。

 

64分、風間宏希から左サイドのモハマド ファルザン佐名に広げる。

ファルザンのクロスに西村恭史が飛び込むが、これは千布一輝が必死に足を伸ばして先にクリア。

しかしこのこぼれ球を、髙澤優也が戻りながらの左足ボレーで強引にゴール方向に持っていく。

惜しくもポストを直撃してゴールラインを割ってしまうが…これが決まっていればスーパーゴールであった。

本当に髙澤はこういったシュートは上手く、これを見せてくれるからこそ期待感がある。

まさにロマン枠である。

ちなみにゴール前に飛び込んで倒れていた西村は、このシュートに対して一瞬触るか悩んだようにも見えたがプレーしなかった。

プレーしていたらオフサイドであり、結果的に枠を外れているがナイス判断と言えるだろう。

(嫌味だが、仮に髙澤のシュートが決まっていたら…この程度の反応でも今日の審判団であればオフサイドを取ったかもしれない)

 

65分、鹿児島ベンチが再び動く。

田中稔也に代えて吉尾虹樹圓道将良に代えて福田望久斗を投入する。

 

67分、高橋勇利也からのロングフィードにモハマド ファルザン佐名が抜け出していく。

左サイド裏のスペースに抜け出したファルザンだが、必死で戻ってスライディングで飛び込んできた青木義孝が見えていたのか?

クロスを上げるようなステップでのフェイントで青木を滑らせると、切り替えして中に入っていき中央でフリーの髙澤優也へ。

髙澤の欲しかったボールよりややマイナスとなったためか、元々決めていたのか不明だが…これを髙澤が丁寧に落とす。

するとここに入ってきた風間宏希が叩き込んで再びスコアは同点に。

どういう判断で風間に落としたのか…髙澤に聞いてみたいシーンとなったが、結果的には大正解の選択肢となった。

 

71分、左からのコーナーを得るとキッカーは風間宏希

このボールは良い競り合いの勝負となったが、やや負けた形でボールはファー側にこぼれる。

山内陸が回収し、縦に走った西村恭史を使う。

西村が低くマイナスに折り返すと、ここに入り込んだ田中翔太が合わせるも…ミートせずに力ないボールとなりキーパーにキャッチされてしまう。

先制弾を叩き込んで上がっている田中だけに、ここは2点目を決めたかったところだが…やや力んでしまったか?

 

72分、群馬ベンチが動く。

田中翔太に代えて小西宏登大畑隆也に代えて野瀬翔也を投入する。

どちらもポジションはそのままの位置に入ることとなる。

【75~90分】ハンドなし?オフサイド?PKで万事休す

76分、西村恭史からのクロスを風間宏希が収めると、密集した狭い場所ながらもコンパクトに足を振り抜きシュートを狙っていく。

これが青木義孝の手に当たるが、ハンドは取ってもらえず。

当然風間は抗議をするが、プレーが切れなかったこともあり…すぐに切り替えて守備対応をせざるを得なくなった。

このシーンも後ほど。

 

77分、鹿児島ベンチが最後の交代を使う。

河村慶人に代えて米澤令衣を投入する。

 

79分、野瀬翔也からのボールを千布一輝が頭でクリアするも、前には飛ばせず。

これを髙澤優也が拾うと、良い身体の使い方で青木義孝からボールを守りシュートを狙っていく。

ゴール前で高橋勇利也が詰めたが、触らずにそのままネットを揺らすが…オフサイドの判定で取り消しに。

このシーンも後ほど。

 

81分、アンジェロッティ米澤令衣へのスルーパスを狙っていくが、ここは小柳達司が滑り込んでカット。

しかしボールは福田望久斗のところに入ってしまう。

福田から山口卓己へスルーパスを狙うと、ここは野瀬翔也が滑り込んでカット。

再びボールは福田の足下に入ると、縦に抜け出した福田を後ろから小西宏登が倒してしまう形になりPKの判定に。

倒れるレベルか?というのはあるが、まぁ足もかかっているように見えるし、後ろから押しているように見えるのでファールは妥当。

妥当ではあるが、ここまで散々決定機を誤審で潰された側としては納得いかない判定である。

82分、このPKを福田望久斗が自ら決めて再びリードを許す形に。

 

87分、群馬ベンチが動き、西村恭史に代えて青木翔大を投入する。

これにより青木が最前線に入り、髙澤優也西村のいた右のシャドーに入ることになる。

この最後の交代がいつも遅い。

 

こうしてこの後は特にチャンスらしいチャンスも作れず、善戦はしたものの…誤審という不運もあり鹿児島にダブルを許してしまう形になった。

審判が違えば勝てた、とまでは言わないが…こうも審判に壊される試合が多いと審判のせいにもしたくなるだろう。

試合後に珍しく高橋勇利也が主審に対してヒートアップしているシーンが印象的であった。

ピックアップポイント

29分 大畑のオフサイド

まずは29分の、大畑隆也のゴールがオフサイドとなり取り消されたシーン。

コーナーキックをショートで始め、モハマド ファルザン佐名が縦に仕掛けて…恐らく直接狙ったと思うのだが、これをゴール前で大畑がコースを変えたもの。

確かに流れの中で見るとオフサイドに見えるシーンであった。

しかしリプレイを見ると、大畑と最終ラインである青木義孝はほぼ変わらないように見える。

DAZNの放送の角度からオフサイドを語るのはちゃんちゃらおかしいのはわかるが、明らかに出ていたわけではないのは事実だろう。

 

しかしながら副審の位置関係から考えると、自分に近い側でのプレーであり非常に見やすい。

最終ラインの青木大畑が見えなければオンサイドであり、見えればオフサイドという…ある意味では非常にわかりやすいシーンであった。

ファルザンのシュートがやや離れているため、このタイミングでしっかりオフサイドラインが見れていたのか…という部分はあるが、決して難しいシーンとは言えないのが事実ではないだろうか?

ということで、これは審判としては見やすく誤審の起こりにくいパターンと考えられる。

個人的にはオンサイドじゃないかという思いはあるが…これは先ほど紹介したことを考慮し、副審の判断を尊重しオフサイドであったとする。

まぁ仮にオンサイドだったとしても明らかな誤審というには厳しいレベルであり、「これもまたサッカー」の範疇であろう。

 

76分 風間のシュート

続いて76分の風間宏希のシュートが、青木義孝の手に当たったシーン。

これは正直言って理解不能。

ハンド以外の何物でもなく、主審・副審から見えていなかった…もしくは見逃したとしか考えられない。

 

敢えて深堀りしてみると、考えられる可能性としては「距離が近過ぎる」というもの。

要は距離が近いと、手がしまえない(後ろに組めない)ということ。

競技規則的に明確に書かれているわけではないが、これ(距離)はある程度は考慮されているのは間違いのない事実である。

 

とは言え、あれだけ身体から離れた位置に手があったわけで…これは手を広げたと取るのが通常のジャッジであろう。

意図的ではないが、ここまで手を広げると意図的としてハンドになるのが今のデフォルトと言える。

(それが故にDFの選手からは「後ろで手を組むしかない」「後ろで手を組んだらプレーできない」という問題が叫ばれている)

ということで、これはPKを取ってノーカード…もしくは青木にはイエローカードが妥当であっただろう。

PKを決められたかどうかは別問題ではあるが、PKの成功率を考えると…この誤審は大きく試合を壊したと言える。

 

79分 髙澤のオフサイド

最後に髙澤優也のオフサイドだが、これはどこでファールを取ったのか…から考えたい。

考えられるのは野瀬翔也からのボールに対して髙澤がオフサイドというもの。

そして髙澤がこれをキープした際に、青木義孝を倒したことでオフェンスファールを取ったというもの。

最後に、髙澤のシュートに詰めていた高橋勇利也のオフサイドを取ったという3つが考えられる。

 

しかし最後の勇利也のオフサイドに関しては、その前に笛が鳴っているように見えるため除外して良いだろう。

髙澤がシュートを打ったくらいで笛が鳴っており、キーパーの藤嶋栄介も笛でプレーを止めてシュートに反応していないように見える。

 

では残る2つだが、これは正直確信は持てない。

副審の旗の上げ方からオフサイドを取ったのだと思うが、この一連の流れの中で副審が見切れているシーンも多く…旗をどう上げたのかがわからないのが正直なところ。

(パッと上に上げていればオフサイド、振りながら上げていればファール)

だがまぁ自分にはオフサイドと判断したように見えた。

 

では髙澤はオフサイドだったのか?

確かに野瀬翔也がボールを前に蹴りだした時点で、髙澤はオフサイドポジションである。

しかしボールは直接髙澤のところではなく、千布一輝が頭でクリアしたボールが髙澤のところにいった形。

となると論点は千布のプレーを、ボールにチャレンジしたとするか?になる。

例えばシュートブロックなどで当たったボールがオフサイドポジションの選手に入ったケースなどは、シュートブロックはリアクションでありボールにチャレンジしたわけではないのでオフサイドが成立する。

しかしクリア…もしくはクリアミスというものは、明確な意図を持ってクリアに行っているわけであり、ボールにチャレンジしたと判断する。

言い換えると、(このシーンで言えば)千布がトラップしパスミスで髙澤に繋がったのと同じなのでオフサイドにはならないわけである。

 

つまり審判団はこの千布の頭でのクリアを「意図的なプレー」とみなしていない場合、このオフサイドが成立する。

果たしてあれは意図を持ってクリアしにいったプレーではないのだろうか?

少なくとも自分にはクリアに行き、やや思い通りにクリアできずに髙澤に繋がったようにしか見えない。

人それぞれ解釈の余地が残っている…とは言えるかもしれないが、このオフサイドは誤審と言っていいのではないだろうか?

MOM

この試合のMOMはモハマド ファルザン佐名としたい。

2試合続けてファルザンを選出。

これで前節は「マグレ」ではなかったと証明したと言っていいだろう。

(逆に1試合目は何だったのか…?)

試合展開の部分もあり、それだけではないのは事実だが…この試合では小竹知恩が途中投入されておらず、90分フルで「代える必要がない」と判断された。

山中惇希の移籍は非常に痛かったが、このポジションはどうやらファルザン小竹で埋まりそうである。

もちろん両者共にレンタルであり、今シーズンはいいものの…将来まで見据えると山中の移籍は痛いのだが…。

 

続いては同時に投入された髙澤優也風間宏希

髙澤はここ数試合非常に良くなってきており、今節はなぜスタメンから外れたのか?と思った次第。

(代わってスタメンに入った河田篤秀も、なるほどスタメンに起用されることがわかる良さではあった)

この試合は途中出場になったが、ゴールこそなかったもののアシストが1つ。

惜しいシュート1つと、オフサイドによる取り消し1つで十分に機能したと言っていいだろう。

途中出場でもしっかりと機能したことが、チームとして…沖田監督としては今後非常に大きな収穫になったのではないだろうか?

もはやシーズンも折り返しを過ぎており、今頃「フィットしてきた」とか言っている段階ではないのだが…それでも髙澤の復調は大きいと言える。

 

また風間に関しても、何があったのかは明確になっていないがシーズン序盤で離脱。

出番は無かったものの前節でようやく復帰してくれた。

そして復帰戦となった今節だが、ゴール1つ以外にもらしいプレーを随所に見せてくれたと言える。

まだまだ物足りなさがあるのは事実だが、ここからコンディションを更に上げていってくれることに期待したい。

 

最後に小西宏登に触れて終わりにしたい。

大怪我からの、これが復帰戦となった小西だが…終わってみればPK献上と散々な結果になった。

プレー時間は15~20分程度と短かったが(怪我明けを考えると妥当だが)、それでも特に目立つプレーは見せられなかったと言える。

離脱前の小西を知っている人間からすれば、正直この試合の小西は物足りなかったと言うだろう。

とは言え、約2ヶ月の離脱であり怪我明けからの途中出場ということで、試合勘はもちろん…コンディションもまだ戻り切っていないはず。

そして離脱期間中にサッカーが変わった(進化している)ということもあり、この試合だけで評価するのは時期早々。

まずは復帰を喜び、次節以降の活躍に期待したい。